日々の絵本と読みもの

雨あがりの「しずく」の美しさを味わう 『しずく』

雨あがりの「しずく」の美しさを味わう 

『しずく』(「ちいさなかがくのとも」6月号)

あめが あがった。おもては しずくで いっぱいだ。
こんな書き出しで始まる『しずく』には、雨あがりに見られるさまざまな「しずく」が描かれています。小さな葉っぱについた、小さなしずく。大きな葉っぱの真ん中にすわった、大きなしずく。枝にぶらさがって、ゆらゆらしているしずくが、風に吹かれてぱらっと落ちました。


作者の越智典子さんは、コケについた小さなしずくのきらめきから、「おひめさまのぎょうれつ」に「しずくの かんむり」というフレーズが浮かんできたと語っています。そんなイメージにぴったりだったのが、作品の後半に登場する、しずくのついたチョウチンゴケ。きらっと光るしずくを頂いたコケの様子は、まさに「おひめさま」と「かんむり」です。
越智さんの言葉を繊細な絵で表現したのは、絹や和紙、天然石や金・銀などの伝統日本画の自然素材を生かした作品を描く、日本画家の野口満一月さん。しずくのきらめきを、幻想的な美しさで写しとっています。

雨が降る中、傘をさし、長靴を履いて、水たまりにも入りながらお散歩するのも楽しいですが、雨あがりの散歩道は、晴れている時とも、雨が降っている時とも違います。ひとつひとつ違った形をしたしずくを観察しながら、雨あがりにしか楽しめないお散歩に、ぜひお子さんと一緒に出かけてみてくださいね。

2017.06.30

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