日々の絵本と読みもの

“魔女宅”の作者、角野栄子さんによる魔女見聞記『魔女に会った』

『魔女に会った』

10月31日、ハロウィンの仮装パレードで目にすることも多い魔女。魔女というと、全身黒づくめで先のとがった帽子をかぶり、目はぎょろっとしていて、かぎ鼻……。ちょっと怖いイメージがつきものですが、そもそも魔女っていったいなんでしょう。

この本、『魔女に会った』は、「魔女の宅急便」シリーズの作者、角野栄子さんが、魔女のことをもっと知りたいと、ドイツやベルギーのお祭り、ルーマニアに暮らすといわれる魔女を訪ねた「魔女見聞記」です。


角野さんが最初に訪れたのは、ドイツの南西、黒い森とよばれる地方にある、ブロインリンゲンという小さな町。2月のすえ、この地方の町々でファスナハトというお祭りがあり、仮面をつけた魔女たちがねり歩くのだそうです。
「魔女の日」の2月23日、お祭りのパレードが始まりました。長いほうきを大きく動かし、走りまわりながらやってきた魔女は、子どもの頭をぐるぐるなぜて泣かせたり、見物人を乳母車にのせて走りだしたり、元気いっぱいです。ファスナハトの魔女の特徴は、額にいぼのある仮面をつけ、高くとんがった頭にネッカチーフをかぶっていて、水玉模様のブラウスには木彫りのペンダントをつけ、7つのつぎあてがついたエプロンとスカート、しましまの靴下に麦わら靴をはいています。私たちのイメージする魔女とはだいぶ違うようですね。
あたりが暗くなる頃、家々の明かりを消して町じゅうが真っ暗になり、いよいよ魔女の火祭りが始まります。

他にも、ドイツの北、ハルツ地方のワルプルギスの祭り、ベルギーのイーペルという町の猫祭りで行われる「魔女の火刑」など、その土地によって、魔女の意味するものや人々がお祭りに込める願いがさまざまであることが紹介されます。

さらに、角野さんはルーマニアのマラムレシュ地方に暮らしているという魔女に会いに行きます。飛行機でオーストリアまで13時間、そこから汽車で36時間、国境を2つも越えてやっとたどり着いた村……。はたして、本物の魔女に会えるのでしょうか。

最後に、魔女に出会う旅を終えた角野さんが、いろいろな顔を持つ魔女について語られている言葉が印象的です。時代や文化をこえて、人々が作り出してきた魔女とはなにか。ぜひ、この続きは、本を読んでみてくださいね。

担当M
写真を撮られたのは、角野さんと、写真家のみやこうせいさん。ワルプルギスの祭りで、「魔女は派手なほどいいのよ」と、子どもから大人まで色とりどりの魔女に扮している写真がとても楽しいです。

2022.10.28

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