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月を見上げていたら、空から男の子が下りてくるかも?『つきのぼうや』

月を見上げていたら、空から男の子が下りてくるかも?

『つきのぼうや』

空にのぼったお月さまがふと下を見ると、池にもうひとりのお月さまがいることに気がつきます。もうひとりのお月さまと友だちになりたくなったお月さまは、「つきのぼうや」を呼んでいいました。「ちょいと ひとっぱしり したへ おりていって、あのつきを つれてきてくれないか」。

「はい、いってまいります」つきのぼうやは、かごをさげると元気よく空を駆け下りていきました。流れ星をけとばし、雲を突き抜け、飛行機の横を通り過ぎ、少しずつ地上へと近づいていきます。途中、空にあがった凧や風船、誰かが投げたボールに出会いますが、どれも丸いけれどもうひとりのお月さまではないようです。

船着き場にまで下りてきたつきのぼうやは、そのまま水の中に飛び込みます。魚たちに出会い、どんどん深く下りていったその先に、キラキラひかる丸い小さな手鏡を見つけます。つきのぼうやがのぞいた手鏡に映っていたものは……。 つきのぼうやは、空で待つお月さまに友だちを連れて帰ることができるのでしょうか? ユーモラスな結末には、思わずクスリと笑ってしまいます。



1975年に日本で刊行された『つきのぼうや』。この作品の魅力はユーモラスなお話と絵に加え、細長い絵本の形にもあります。つきのぼうやが、空高いところから少しずつ私たちの住む地上に下りてくる様子が、縦に長い判型を使って効果的に描かれ、移動の距離や時間、その中での出会いや発見を、よりリアルに子どもたちに伝えてくれます。

今夜は中秋の名月。この絵本を片手に、お子さんと夜空を見上げてみてください。つきのぼうやが皆さんの目の前を通り過ぎるかもしれませんよ。

他にも中秋の名月にあわせて読みたい「お月さまの絵本」をこちらで紹介しています。

2017.10.04

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