日々の絵本と読みもの

クリスマスに読みたい3冊の絵本

クリスマスに読みたい3冊の絵本

クリスマスが近づき、めっきり寒くなりました。寒い日には、あたたかな部屋でゆったりと絵本を楽しんでみるのはいかがでしょうか。ページを開けば、心あたたまる物語の世界が広がります。今日は、クリスマス・イブの出来事を描いた3冊の絵本をご紹介します。


『ゆうびんやのくまさん』

あるクリスマス・イブの朝、ゆうびんやのくまさんは手紙や小包の入った袋を受け取りに駅に行きました。そして、雪の中、手押車に袋を積んで郵便局まで運びます。
次の仕事は、手紙や小包にはんこを押すこと。「ばん ばん ばん!」といきおいよく! 忙しくても仕事はきっちり。ほどけかかった贈り物の小包も、丁寧に包みなおします。次は配達。ヒイラギの飾りがついた制帽をかぶり、胸をはって歩く姿からは、くまさんがこの仕事に誇りを持っていることが感じられます。
仕事が終わった後は、お風呂に入り、暖炉の火の前で夕食をとってくつろぎます。ひとり暮らしのくまさんですが、居心地の良さそうな部屋には、クリスマスツリーが飾られ、プレゼントもたくさん届いていますよ。小包には何が入っているのでしょう? 小さな絵本ですが想像がふくらむ「くまさん」シリーズの1冊です。
 


『ぐりとぐらのおきゃくさま』

森で雪合戦をしていたぐりとぐらは、雪の上に大きな足跡をみつけました。たどっていくと、自分たちの家の前で消えています。中に入ってマントをかけようとすると、そこには赤いコートが……。暖炉の前には手袋と靴下が干してあって、部屋のすみに大きな袋もあります。「おきゃくさまは、いったい どこだろう」家のなかを探しますが、誰もいません。
すると、どこからかカステラを焼くいいにおいがしてきます。台所へとんでいくと、そこには、白いひげのおじいさんが焼きたてのケーキを持って立っていました。
その夜、ぐりとぐらの家には、友だちがおおぜい集まってきて、みんなでクリスマスのケーキを食べ、歌ったり踊ったりしました。
ミステリー仕立てではじまるこの絵本は、何度読んでもドキドキ、ワクワク。思いがけないおきゃくさまから贈り物をもらい友だちと分かちあった、ぐりとぐらのクリスマス・イブのお話です。
 


『クリスマスのものがたり』

これは、スイスの絵本作家、フェリクス・ホフマンが聖書のお話を静かに力強く描いた絵本です。
お話は、ナザレの町の娘マリヤに、天使ガブリエルが「あなたは、おとこの子をうむだろう。その子をイエスとなづけよ。その子は、大いなるものとなり、やがては、ひとびとの救い主となるだろう」と告げる場面からはじまります。
マリヤと婚約者の大工ヨセフは、生まれ故郷ベツレヘムへと向かいました。身重のマリヤはロバにのり、ヨセフは徒歩での長旅でしたが、ようやく着いたときにはもう宿はなく、小さな馬屋に泊まることになりました。
その夜、男の子イエスが生まれました。マリヤは飼い葉桶に寝かせた赤ちゃんに、そっと手を添えています。何ともあたたかな「聖家族」の絵です。羊飼いと賢者も、イエスに会いにやってきます。みんな、神から救い主が与えられたことを喜びました。
この絵本は、ナザレの家の軒先で、まるまるとした赤ちゃんのイエスが、マリヤからヨセフに手渡される場面で終わります。つつましい暮らしのなかで、新しい家族の誕生の喜びにあふれています。

3冊のクリスマス・イブを描いた絵本はいかがでしたでしょうか? もうお気づきかもしれませんが、この3冊に共通するのは、贈り物。届けたり、もらったり、分けあったり、どの贈り物も素晴らしいものばかりですね。
心に残る絵本は、作者から私たちへの贈り物でもあります。ぜひお手にとってご覧ください。
 

2017.12.22

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