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桃源郷ものがたり



桃の花が咲き乱れる心の安らぐ理想郷


著者紹介
松居直(まつい ただし)
1926年京都生まれ。同志社大学法学部卒。1952年の福音館書店の創業に参画。現在福音館書店相談役。絵本に『ぴかくんめをまわす』『だいくとおにろく』などがある。1996年「児童文化功労者」の表彰を受ける。
蔡皋(さい こう)
1946年中国湖南省長沙生まれ。湖南少年児童出版社編集者・画家。第14回BIB金のりんご賞、中国児童美術優秀作品賞を受賞。絵本、挿絵などの作品が多数。日本での挿絵の仕事に『聊斎志異』(岩波書店)『花仙人』(福音館書店)がある。長沙在住。
編集担当からのメッセージ
松居直さんの幼年時代、家の床の間に、そびえ立つ山の麓が桃の花で埋め尽くされた南宗画が飾られていた。山麓に川が流れていて、漁師が舟を漕いで川を遡っていく姿が描かれている。この絵を見て、しきりと空想したことが松居さんのファンタジーの原点となったという。やがて中国の古典『桃花源記』を知った松居さんは、1500年前の田園詩人陶淵明の世界に惹かれていった。そして、ついに5年前、BIB金のりんご賞を受賞した中国の女流画家、蔡皋さんとこの本の編集担当者といっしょに桃源郷のモデルとされる中国の湖南省桃源県を訪れることが出来た。質素で心の安らぐ田園生活に真の豊かさがあり、平等で助け合う社会は理想郷なのだという人々の古来からのあこがれは、現在においてもなお意義をもつものではないだろうか。長い歳月の試練をうけたこの古典を、新たな形で子ども達に伝えたいという松居さんの人生経験から生まれた発想は、この絵本の出発点だった。中国を代表する絵本画家の絵に、デザイン界の大御所、杉浦康平先生が新しい感覚を加えて、子ども達が楽しめる絵本、どこの国にも自慢できる東洋的な美しさにあふれる一冊となりました。
くわしい内容紹介
 ある日、漁師が舟をこいで川をさかのぼっていくと、いままで見たこともないみごとな桃の林が、両岸にどこまでも続いています。そして、みなれない山のほら穴から微かな光がもれていました。不思議に思った漁師はほら穴に入り、そろりそろりと進むと、突然、目の前が開け、土の肥えた田んぼやきれいな池が現れ、楽しそうな村人に出会いました。村人の話によると、大昔、先祖が戦争を避るため、この土地へ逃れてきたということです。そして、もう何百年も外の世界と行き来していないというのです。漁師が、この平和な美しい村で何日か過ごし、家に帰ろうとすると、村人は「ここで見たり聞いたりしたことは、誰にも話さないでほしい」と頼みますが……。



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