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16歳で父親に!? リアルでキュートな青春小説
著者紹介
ニック・ホーンビィ(Nick Hornby)
1957年イギリス生れ。教員・会社員生活を送ったあと、92年、熱狂的なアーセナル(プレミア・リーグ)ファンである自身の身辺を描いた『ぼくのプレミア・ライフ』でデビュー。95年に発表した創作『ハイ・フィデリティ』が大ベストセラーとなり、一躍人気作家に。98年発表の『アバウト・ア・ボーイ』もふくめ、以上3作は映画化されている。ほかの著作に小説『いい人になる方法』、エッセイ『ソングブック』(以上すべて新潮文庫)など。『ガツン!』は、独身三十男のモラトリアム的な生活を描くのに定評のあった作者が、はじめて十代の男の子を主人公に据えたヤングアダルト小説である。本作の舞台になったイズリントンからも遠くないノース・ロンドン在住。
森田義信(もりた よしのぶ)
1959年福岡県生れ。大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て翻訳家・文筆家に。新潮文庫に収められたホーンビィの翻訳はすべて手がけた。ほかの訳書にスーザン・マイノット『いつか眠りにつく前に』(河出書房新社)、ロン・マクラーティ『奇跡の自転車』(新潮社)、ジョン・レノン『空に書く ジョン・レノン自伝&作品集』(筑摩書房)、バリー・ハナ『地獄のコウモリ軍団』(新潮クレスト・ブックス)など多数。
編集担当からのメッセージ
 十代の青春を描いて、その性の部分へも踏み込んだ小説は、けっこうたくさんありますね。いっぽうで、性の部分もふくめて等身大の十代を描いても、妊娠やその先までを描いた青春小説というと、まだすくないのではないでしょうか(……あ、ケータイ小説では「十代の妊娠」もめずらしくないかもしれませんが……)。
 とはいえ、思えば初代「金八先生」の時代から、つまり1980年ごろから「十代の妊娠」は、日本ではお茶の間レベルでも親しみのあるテーマであったのに、従来の青春小説においてそれはあまり一般的でなかったかもしれません。
 その、近いようで実は遠い(?)間柄だともいえる「青春」と「妊娠・その後」とを、イギリスの人気作家ニック・ホーンビィは、自身初のヤングアダルト小説のモチーフに据えたのでした。
 主人公のサムは見事に等身大の十代男子。優等生ではないけど、不良では決してなく、母親思いで、でもいい子ぶりはしない。そんな男の子が巻き込まれる妊娠騒動、というわけです。悩む彼の自問自答、恋人のアリシアや母親などとの関係が、とてもいきいきと描かれます。
 音楽好きの作者ならではの、作中に流れるBGMも魅力のひとつ。「妊娠」が、素朴な意味で「青春期の終極」かもしれないとしたら、本作は「終り」からみた青春小説だともいえるでしょうか。それでも、まだ人生はつづいていくんですけれど。
くわしい内容紹介
 ロンドンに住む15歳のサムは、32歳の母さんとふたり暮し。女手ひとつで自分を育ててくれた母さんをサムは深く愛しています。女の子よりスケボーに夢中のサムでしたが、同い年のアリシアとつきあうようになり、16歳の誕生日の直前、不用意にも彼女を妊娠させてしまったかもしれない、と気づきます。ああ、なんてこと! 16歳で自分を身ごもったために進学を断念した母さんとはちがって、上の学校に進んで美術を専攻するつもりでいたのに、もし赤ん坊ができたらどうなっちゃうんだろう……。
 そのうえ、父親になる覚悟が定まらずジタバタするばかりのサムが、「スケボーの神様」の不思議な力によって未来に飛ばされ、まだ生れてもいない赤ん坊とご対面なんてことに!? されどまた現実に引き戻され……。否応なく迫りくる出産時期を、果してサムと彼をとりまく人たちはハッピーに迎えられるのでしょうか? なにより、ごくフツーの“いまどきの十代の恋愛”だったサムとアリシアとの関係は、妊娠という事実を前にしてどう変っていくのか?
 恋愛、家族、進学、未熟さからの成長--ティーンエイジャーにとっての切実なテーマが、ユーモア満点、固有名詞もゆたかに、リアルな内面描写とともに綴られていきます。これまでは独身三十男を描くことに定評のあったイギリスの人気作家が、はじめて十代の男の子を主人公に書いた、とってもキュートな青春小説。


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