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すみ鬼にげた

岩城範枝 作/松村公嗣 絵
定価 1575円(本体価格1500円)
80ページ 25×20cm
ISBN978-4-8340-2471-5



すみ鬼にげた

すみ鬼にげた

「鬼がなぜ泣いている?」大工見習いのヤスが
唐招提寺で「すみ鬼」と出会ったお話。
著者紹介
岩城範枝(いわき のりえ)
1945年、東京に生まれる。早稲田大学教育学部国語国文科卒。もとコピーライター、放送作家。両親は神田の生まれという三代目の江戸っ子。子どものころから両親・祖母に連れられて、映画や歌舞伎、能、狂言などに親しむ。絵本の作品に狂言を元にした『鬼の首引き』(井上洋介絵)と『木の実のけんか』(片山健絵/以上福音館書店)がある。東京都在住。
松村公嗣(まつむら こうじ)
1948年、奈良に生まれる。愛知県立芸術大学美術学部(日本画)卒。同大学院で片岡珠子氏に師事、同大学院美術研究科修了。現在、同大学美術学部日本画専攻教授。24歳で院展に「漁婦」を出品、初入選。以後入選、奨励賞受賞を重ね、現在、日本美術院評議員同人。30代から、インド、ネパール、スペイン、ポルトガル、中国のウルムチ、トルファン、インドネシア、チベットなどへ取材旅行に出かけ、人々の暮らしや、雄大な大自然などをテーマに制作。1982年、愛知県立芸大模写委託事業として、法隆寺壁画模写に従事。現在、春日大社の大祭の絵巻を制作中。子ども向けの絵本の制作は、本書が初めてとなる。名古屋市在住。
編集担当からのメッセージ
 この物語の「すみ鬼」は、奈良、唐招提寺の金堂を支える、実在の「隅鬼」です。普段は間近に見ることができない「隅鬼」に、屋根の修復中で足場が組まれているところを伝って、すぐ近くで拝見させてもらうことができました。四体の隅鬼のうち、三体は檜で彫られた奈良時代の作、南西に置かれた隅鬼は松で彫られた元禄時代の作。顔も彫り具合もまったく違うのです。なぜ、一体だけが違っているのか、それは謎だということでした。推測できるのは、元禄の修復のときに、何かトラブルがあり、一体のみ新たに作られたのではないかということです。
 作家の岩城範枝さんは、その一体の笑ったような表情に創作意欲をかき立てられ、イメージがどんどん湧いてきたとおっしゃっています。300年の時を隔てて、その隅鬼が、謎とされていた自らの物語を、作家に密かに託したのかもしれません。
 「隅鬼」は寺などの屋根の軒下の四方に魔除けとして屋根を支えて置かれています。中国から伝わり、現在日本に残っているのは、唐招提寺と法隆寺の五重塔にだけということです。中国では残っているものはないとのこと。歴史上も大変貴重な存在であり、どこか愛嬌のある「隅鬼」のことを、この物語を通して、子どもたちに知ってもらえたら、と願っています。
 物語は、小学校中級を中心に、読んであげるのなら1,2年生でも楽しんでもらえると思います。
くわしい内容紹介
 唐招提寺の金堂の軒下の四隅に、小さな「すみ鬼」が屋根を支えているのをご存知ですか? 高さ30センチほどなので、なかなか下から見つけるのは難しく、ほとんど知られていないようです。2000年から始まった大修理により地上に降ろされ、「唐招提寺展」で初めて間近で見られることとなりました。四体並んだ「隅鬼」を見た作家の岩城範枝さんは、いたくその姿に心を動かされ、中でも一体だけ他と違う顔の「隅鬼」に強く心惹かれ、そこから物語た生まれてきたのです。
 今から300年前、時は元禄時代、大工見習いの少年ヤスが、その「すみ鬼」と出会うことから物語が動きだします。この寺を建てた高僧、鑑真が中国から渡って来た船に乗り込んだ鬼たちは、僧たちに見つかり、寺を守る「すみ鬼」されてしまったのでした。ヤスに会ったすみ鬼の一人は、日本の鬼と勝負をしたいという願いを叶えたいと懇願します。さて少年ヤスはどうするのか? 奈良から吉野の山奥へと、夜道をひた走る鬼と少年の道行きは、思わぬ展開をしてゆきます。
 日本画家、松村公嗣氏による大胆かつ繊細な絵が、時代と場所の香りを伝え、物語に力を与えてくれています。



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