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白鳥ルイのトランペットが、みなに幸せを運ぶ
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E・B・ホワイト(E.B.White 1899〜1985)<作>
米ニューヨーク州マウントヴァーノン生れ。1921年コーネル大学卒業後、いくつかの職業を経て、「ニューヨーカー」のスタッフとなる。「ニューヨーカー」、「ハーパース・マガジン」などに多くの短篇、評論、エッセイなどを発表。45年、『スチュアートの大ぼうけん』(あすなろ書房)ではじめて児童文学を試みる。仕事のかたわら田園生活を楽しみ、その体験から52年、『シャーロットのおくりもの』(あすなろ書房)を発表。70年に発表した『白鳥のトランペット』は児童書第三作である。同年、ローラ・インガルス・ワイルダー賞受賞。78年にはその全体的な功績に対してピューリッツァー賞特別賞を受賞。その作品は、アメリカの小学校の学級文庫には必ず収められる古典となっている。
エドワード・フラシーノ(Edward Frascino)<画>
ニューヨークはブロンクス生れの漫画家。1965年から「ニューヨーカー」のスタッフ・カートゥーニストに。「ニューヨーク・タイムズ」などに描きつづけた軽妙な挿絵でも知られる。絵本に『まほうつかいのナニーヌーニー』(評論社)など。
松永ふみ子(まつながふみこ 1924〜1987)<訳>
東京生れ。慶應義塾大学文学部図書館学科卒業。1964年より、いぬいとみことともに児童文庫であるムーシカ文庫をつづける一方、英米児童文学の翻訳紹介につとめた。『クローディアの秘密』(岩波少年文庫)をはじめとした、E・L・カニグズバーグの翻訳で知られる。福音館文庫での訳書に『キルディー小屋のアライグマ』がある。
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お読みいただければわかるように、主人公の白鳥ルイの声が出ないという設定そのものは、あくまで本書の話題のひとつでしかありません。
所与のものとして、ある困難をかかえた主人公が、まわりのサポートを得ながら困難を克服する新たな武器を獲得したあと、おのれの天分を伸ばし、みずからを、そして周囲の人たちを幸せにしていく。この物語がおもしろいのは、そうした太い筋をささえるディテール--白鳥のみずみずしい半擬人的な造形や(特にとうさん白鳥とかあさん白鳥の夫婦漫才的おかしさ!)、男の子サムと白鳥ルイの対等な友情関係、それに登場する人間の大人たちの、多少打算的でありながら良心的でもあるという世俗的健全さ--が、人情味こまやかに描かれているからでしょう。設定は設定なれど、変に道徳的にならず、だれもが楽しめる童話になっているのはそのゆえだと思います。
1976年に初版が出たこの翻訳本における身体障礙の表現を、今日の眼からどうみるかについては、たいへん悩みましたが、本作のなかで決して差別を助長するように使われているのではないこと、むしろ人には違いがあるという現実を踏まえたうえで、それに起因する分け隔てを乗り越えていこうというメッセージが込められていることを考え、語の修正はわずかにとどめました。この物語の底に流れる偏見なき、アメリカらしい「オープン・マインド」を感じとっていただければ幸いです
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『ちびっこスチュアート(スチュアートの大ぼうけん)』や『シャーロットのおくりもの』など、いまも世界中の子どもたちに親しまれているピューリッツァー賞作家、E・B・ホワイト。彼の代表的な童話三作のうち、本邦では本作だけが入手しづらい状態にありましたが、待望の復刊となりました。
カナダ・米モンタナ州境。トランペット白鳥は、その美しい声がご自慢なのに、ルイは声が出なかった。これじゃあ、年頃になったとき、めすに愛をささやくこともできやしない。行く末を案じたとうさん白鳥は、ルイのために、なんと楽器店から声の代りに鳴らせるトランペットを盗んできた! 人間のことばの読み書きも覚えたルイは、トランペット代を弁償するためボストン、フィラデルフィアへと冒険に出かけ--。
いわば身体にハンディを負った主人公の物語ですが、得意の演奏で人々を楽しませるルイの姿は、あくまでほがらか。スウィングしたくなるように楽しい、児童文学の新しい古典です。
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