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 ★  あのねメール通信~福音館書店メールマガジン  2002年6月3日 Vol.7 ★
                

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         ◆◇◆  CONTENTS  ◆◇◆          

《1》 お父さんの絵本『とべ! ちいさいプロペラき』 松居直
《2》 空想、すくすく 福音館文庫。創刊間近です。
《3》 『ゴリラとあかいぼうし』著者・山極寿一さんのエッセイ
《4》 6月の新刊のご案内
《5》 「かがくのとも」400号『てとてとてとて』著者・浜田桂子さんからの言葉
《6》 月刊誌最新号<2002年7月号>のご案内
《7》 「母の友」編集室の汲ゥら

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《1》 お父さんの絵本『とべ! ちいさいプロペラき』 松居直
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 今回はお父さんが読み手になってほしい、飛行機の絵本の話をします。
 お父さんのどっしりとした膝に腰をおろして、お父さんのすこし改まったような
声で絵本を読んでもらうのは、子どもにとっては格別の歓びです。絵本のなかに
は、お父さんの声で聞きたい物語もあります。とりわけ乗物の絵本などに、そうし
た物語が多いようです。
 このことは男と女の役割分担と考えずに、まずはお父さんを絵本の読み手に引っ
ぱりだす作戦とお考えください。またお父さんが共感できる物語だと、読み方に自
然と力が入り、聞き手の子どもを惹きつけるものです。そして“お父さんが読んで
くれた絵本”として、子どもの心に残ります。
 乗物絵本の魅力は、機械のもつ外観や型式やデザインなどの形態と、走ったり飛
んだりするスピード感、またそれを操る人がいることへの関心といった機能とが、
物語と絵のなかに巧みに取りこまれ、さらに普段はあまり気がつかない機械の細部
が語られたり、絵でみられたりすることにあります。語り手自身がそうしたことに
興味をもちますと、物語の語りに実感がこもり、現実味が増します。
『とべ! ちいさいプロペラき』は、今どき珍しい小型双発エンジンのプロペラ機
が主人公で、そのお相手には対照的に四つもジェットエンジンをもった巨大な旅客
機が登場します。この大小の比較がまず子どもの眼をひきます。どんな事件が起き
るのでしょうか?
 はじめはなんとなく心細そうなプロペラ機の気持ちに、子どもも心配して心を向
けるでしょう。しかしその小型機の気持ちを受けとめて、さり気なくしっかりと支
えはげます大きなジェット機の対応に、子どもは安心感をもち、読んでくれている
大人の存在をダブらせて、頼り甲斐と温かさを感じとるでしょう。
 この間の機微を作者は控え目に、しかし心をこめて巧みに物語ります。普段大人
がこの大型機くらいの心くばりを子どもにできれば、子どもたちも自然にゆたかな
心遣いを身につけるようになるのでしょう。

(「全日私幼連PTAしんぶん」第485号より転載)

『とべ! ちいさいプロペラき』 小風さち 作/山本忠敬 絵

松居直(まつい ただし)
1926年京都府生まれ。同志社大学法学部卒業。福音館書店の設立と同時に編集長に
就任。現在は相談役。編集長時代に月刊絵本「こどものとも」を創刊。児童文学な
どの評論活動も行う。絵本の作品は『ももたろう』『ぴかくんめをまわす』(とも
に福音館書店)、評論に『絵本とは何か』(日本エディタースクール出版部)など
がある。絵本の最新作に『桃源郷ものがたり』(福音館書店)。

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《2》 空想、すくすく 福音館文庫。創刊間近です。
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 6月14日、福音館文庫創刊の日がせまってきました。
 創刊にあたってわたしたちが最初にやった作業は、福音館書店がこれまでに刊行
してきたすべての童話のリストを作り、1冊1冊、読んでいくことでした。
 400冊ちかい童話の中から対象年齢を小学校中級以上にしぼり、ひたすら読み続け
るというのはなかなかしんどい作業でしたが(なにしろ長編の力作が多いので
す)、絶版になった作品がすごくおもしろくて大喜びしたりと、思いがけない発見
もたくさんありました。
 その成果が初年度、36冊のラインナップです。ホームページにのっていますか
らぜひごらんください。なつかしいあの本が見つかるかもしれません。また、二年
目以降も毎月ぞくぞくと新刊を発行していく予定です。どうぞご期待ください。

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《3》『ゴリラとあかいぼうし』著者・山極寿一さんのエッセイ
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 “ゴリラの森から”

 この絵本は、アフリカのコンゴ民主共和国にあるカフジ・ビエガ国立公園のすぐ
そばで、小さい頃からゴリラに親しんで育ったダヴィッド・ビシームワと、長年そ
こでゴリラの研究をしてきた私が合作した物語です。本当に起こった出来事ではあ
りませんが、将来きっと起こるに違いない物語だと私たちは信じています。それ
は、かつて公園に保護されたゴリラの子どもが赤い帽子にとても興味を示したこ
と、野生のゴリラが時々水たまりに映る自分の顔をじっと見つめて遊ぶのを観察し
たことがあるからです。そこで赤い帽子を前にして、私はゴリラならこうするだろ
う、ダヴィッドは地元の子どもならこうするだろう、と思ったことをそのまま物語
にしたのです。
 カフジ・ビエガ国立公園では、もう30年も前からゴリラ・ツアーをやっていま
す。外国から来た観光客がガイドに連れられて野生のゴリラを訪問し、短時間ゴリ
ラの生活を垣間見るというツアーです。おかげでゴリラは世界的に有名なりました
が、地元の人々にはあまり知られていません。むしろ畑荒らしをするゾウやヒヒた
ちと並ん、やっかいものの動物と思われています。ゴリラの保護区である公園をつ
くるために、人々は祖先伝来の土地を捨てなければなりませんでした。森で狩猟採
集活動をしていた人々も仕事を失いました。地元の人々には、公園に対しても、野
生動物に対しても不満があります。最近起こった戦争で、食べる物に困った人々は
森に入ってゾウやゴリラたちを狩猟し始めました。この2年間でゾウはほとんど絶
滅し、ゴリラの数も半減してしまったのです。このままでは、人々がゴリラの魅力
を知る前にゴリラたちは消えていってしまいます。子どもたちが大きくなる頃、私
たちが誇りとしたゴリラたちはもういないかもしれません。
 危機感をつのらせた私たちは、地元の若者たちに呼びかけてボレボレ基金という
団体をつくりました。ゴリラと共存し、自分たちの生活を改善するために世界の
人々と手を組もうというのがその目的です。カフジ・ビエガ国立公園は世界遺産に
指定されています。ゴリラを含む公園の自然は地元の人々ばかりでなく、世界の
人々の共通な財産です。それを守るために地元の人々がしている苦労をもっと世界
に知ってもらい、どうしたらゴリラや野生動物と共存できるかをいっしよに考えて
いこうというのです。この絵本はその活動の一環としてできました。ゴリラが村の
すぐ近くの森にすんでいるなんて、とびっくりする人がいるかもしれません。で
も、ゴリラも人も関わりをもたずに生きていけないのが現代のアフリカなのです。
互いに平和に共存できる未来をつくるために、この絵本が役に立つことを願ってい
ます。

          2002年3月               山極寿一

『ゴリラとあかいぼうし』
山極寿一 作/ダヴィッド・ビシームワ 絵

山極寿一(やまぎわ じゅいち)
1952年、東京に生まれる。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。京
都大学助教授。専門は人類進化論。1970年代からアフリカのジャングルでゴリラの
野外研究を続け、ゴリラとの会話を試みている。近年はゴリラの保護を推進してい
る。

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《4》 6月の新刊のご案内
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 今月は福音館文庫創刊15点と『ゴリラとあかいぼうし』のほかに、

『虫の飼いかたさがしかた』 藤丸篤夫、新開孝 写真・文

を刊行します。プロの昆虫カメラマンは、日本に6~7人しかいません。その中の
2人の方に、撮影や取材のとき、実際に行っている「虫の飼いかた さがしかた」を
公開してもらいました。6月12日(水)配本予定です。

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《5》「かがくのとも」400号『てとてとてとて』著者・浜田桂子さんからの言葉
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 新しい本ができあがった時、私は本を抱きしめそっとささやきます。「ちゃんと
本に育ててもらうのよ」と。
 形としての本に命を吹きこみ、育んで下さるのは読者です。そして読者は本ばか
りでなく著者をも育むのです。
 私は今まで、読者からのお手紙にどれだけ多くのことを気づかされ、励まされて
きたことでしょう。
 たとえば『あそぼうあそぼうおとうさん』(「かがくのとも」291号-現在、かが
くのとも傑作集として刊行中)です。おとうさんの体に登ったり滑ったりする遊び
満載の本です。
 あるお父さんから、こんなお手紙が届きました。「疲れて仕事から帰ってくる
と、子どもがこの本をかかえて玄関で待っています。私にとって悪魔の書です。」
私は「やったー」っと思いました。
 この本のなかに〈さんまのひらき〉という遊びが出てきます。寝ころがっている
お父さんを〈さんまのひらき〉に見立てるのです。さっそく、お母さんからお手紙。
「うちはサンマではありません。脂ののったアジです。だから子どもは〈アジのひ
らき〉にして遊んでいます。」私はくすくす笑ってしまいました。
 新しい本ができました。私は抱きしめ、ささやきます。「ちゃんと本に育てても
らうのよ」と。
『てとてとてとて』。かがくのとも400号です。人間の手の不思議さ素晴らしさを、
楽しい絵本に展開しました。元気いっぱいの子どもたちが、どっさり登場します。
どうぞ手から手へ広がっていきますように。
 幼いころの本の記憶……、手に取った時の重さ、表紙の手ざわり、めくると微か
にたちあがる匂い、一枚の絵、ひとことの言葉。胸のときめきとともに鮮明です。
 そして今、私は幼い人に向けて絵本を作っています。深い幸せを感じずにはいら
れません。

『てとてとてとて』浜田桂子 作(「かがくのとも」2002年7月号、通巻400号)

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《6》 月刊誌最新号<2002年7月号>のご案内
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☆本日6月3日は月刊誌最新号<7月号>の発売日です。
表紙画像、くわしい内容紹介、定期購読のお申し込みはこちらをご覧ください。


◇◆ こどものとも0.1.2.『こりゃ まてまて』
              中脇初枝 文/酒井駒子 絵           ◇◆
 幼い子が散歩に出かけ、チョウやトカゲ、ハトやネコに出会います。「こりゃま
てまて」と追いかけると逃げられてしまいます。

◇◆ こどものとも年少版『やあ、こんにちは』
             ふくちのぶお 作                 ◇◆
 幼い子どもは、周囲の物に、目や口、顔を見つける名人です。この本では、時計
や椅子、鍋などが表情豊かに読者に話しかけてきます。

◇◆ こどものとも年中向き『トマトさん』
             田中清代 作                 ◇◆
 ある夏の日、真っ赤に熟れたトマトさんが地面に落ちました。暑い太陽にじりじ
りと照らされているうちに、トマトさんは……。

◇◆ こどものとも『しのだけむらのやぶがっこう』
         カズコ・G・ストーン 作                ◇◆
 しのだけ村に蛾と蚊の学校ができました。蚊はいい音でとぶ練習、蛾はパタパタ
とびの練習です。七夕の日に素敵なことがおこります。

◇◆ ちいさなかがくのとも『かに かにの すなだんご』
                          荒川暢 作                    ◇◆
 つくれやつくれ、すなだんご。どこにおこうか、すなだんご。すなだんごづくり
の名人、小さなカニたちのお話です。

◇◆ かがくのとも『てと てと てと て』
         浜田桂子 作                       ◇◆
 手は、いろいろな役割をするだけでなく、人の心をつなぐ窓でもあるのです。そ
んな手の不思議さ、すてきさを楽しく描きます。

◇◆ おおきなポケット【かがく】「じしゃくであそぼう」
                三原道弘 文/いりやま さとし 絵
           【ものがたり】「ネコのナペレオン・ファミリー」
                  木坂涼 文/はた こうしろう 絵     ◇◆
 かがくは身近な磁石を使って、磁石の持つ不思議な力を考えます。ものがたり
は、ちょっと長めのお話に挑戦。飽きずに楽しめる絵物語です。

◇◆ たくさんのふしぎ 『石の中のうずまき アンモナイト』
            三輪一雄 文・絵/松岡芳英 写真           ◇◆
 太古の生き物“アンモナイト”の化石を探してみよう。石の中に隠されている美
しい渦巻き模様を見ながら、太古の海を想像します。

◇◆ 母の友 特集“太陽とじょうずにつきあう-紫外線の話”        ◇◆
 オゾン層が減少して、有害な紫外線が微増中。そこで太陽とのつきあい方を考え
ます。他に絵本作家、得田之久さんのインタビューなどがあります。

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《7》 「母の友」編集室の窓から
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 特集のために、情報はできるだけたくさん集めます。でも記事にするのは、紙面
の関係もあって、その中の一部のみ。本当はもっと書きたかった……というのが本
音です。特集に載せなかったものを、ひとつご紹介いたしましょう。
 ケトプロフェンという成分を含んだ鎮痛消炎剤は、紫外線を浴びると接触皮膚炎
(かぶれ)や光線過敏症(日光の当たった部分にかゆみなどが出る)を引き起こす
こともあるそうです。肩こりやねんざなどに用いる鎮痛消炎剤で、クリーム、ロー
ション、ゲル状の外用薬として市販されています。仕事柄、肩こりになりやすいの
で、我が家にも鎮痛消炎剤の塗り薬を常備していますが、薬箱を調べてみたらケト
プロフェンを含んだものがありました。
 詳しくは、厚生労働省のホームページ「医薬品・医療用具等安全性情報(173
号)」などで公表されていますが、使用後、数日(長い場合は数か月)経過してか
ら日光を浴びて発症した例もあり、発疹が全身に広がったという重症例もあるそう
です。使用した場合は、外出時に衣服やサポーターなどで紫外線から塗布部を守る
工夫が必要です。屋外で活動する人やスポーツをする人は紫外線を浴びる確率も高
いの で、購入の際は成分を確かめたほうがよいでしょう。
 最後になりましたが、先月お届けしたこの欄で、青木玉さん奈緒さん母娘を撮っ
てくださったカメラマンを、岡倉天心の孫と紹介しましたが、正しくは5代目にあ
たられます。お詫びして訂正します。

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◆発行者:株式会社福音館書店 販売促進部宣伝企画課
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