あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2013年4月17日 Vol.138
今年は「ぐりとぐら」誕生50周年!
 いつも「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 4月より毎月2回の配信になりました。第3水曜は、特集エッセイと来月の新刊のご案内に加えて、新しい企画2本をお届けします。
 今年度の特集エッセイは、最初のお話の登場から50周年を迎える「ぐりとぐら」について、各界で活躍されている皆様に毎月交代で思い出やエピソードなどを綴っていただきます。
 新企画として今回より、児童書専門店のご紹介と、月ごとのおすすめ本のご案内を開始します。
 どうぞお楽しみに。
《1》特集エッセイ「ぐりとぐらと私」 今月は絵本作家の筒井頼子さん
「ぐりとぐら」に感謝         筒井頼子
 私がまだ若い母親だった頃です。
 長女が二才を過ぎると、物語に興味を示しはじめました。子どもの本について、ほとんど何の知識もないまま、ある日、私は本屋の奥まで入りこみました。そこで出会ったのが、『ぐりとぐら』です。
 頁を繰っていくうち、私は自分の立っている場所も時間も忘れていました。幼い頃、私は森の中でひとりで遊ぶのが好きでしたが、突然、目の前にその森が立ち現われ、広がりました。幼い私が、空想の中で、その森へ一緒に連れていった動物たちが、絵本の中でいきいきと動きだしたのです。どの頁の中にも、幼い日の私がひそんでいるようでした。
 私はさっそく『ぐりとぐら』を買い求め、家に帰って娘に読んでやりました。その日から、娘もすっかり夢中になりました。都会の真ん中で、森などとは全く無縁に暮らしていたのでしたが。
 どれほど読んでやったことでしょう。朝に昼に夜に。娘が嬉しい時、寂しい時に。あのぐりとぐらの歌を一緒に歌っては、よく踊りました。娘はひとりで本を開いては、すっかり覚えた物語を、読みあげるのも好きでした。時には黙って、ただなでたり、さすったりもしましたし、こっそりなめているのを見たことさえあります。ですから、その本の上に立っている娘の姿を目にした時には、本当にがっかりしました。
 「深呼吸! 深呼吸!」どなりそうな自分を落ちつかせながら、娘に近づいて、わかったのです。娘が、なぜ、その頁の上に立って、かすかに足踏みしていたのか――。娘が立っていたのは、ぐりとぐらが、集まってきた森の動物たちと、大きなカステラを分けあって食べている、あの場面でした。娘はうっとりとした表情で、その場面の中に入りこもうとしていたのです。足のつま先から頭のてっぺんまで、まるごとです。
 「大事な本だから――」と、私は娘を抱きとって、その頁を前にふたりで並んですわり、絵の中のカステラを分けあって食べました。
 幼い子どもをそこまで捕えて放さない「ぐりとぐら」が、そして、絵本そのものが、私はとても羨ましくなりました。やがて、羨ましいのなら、自分でも書いてみようと思いたったのです。
 できあがった作品の幾編かを、『ぐりとぐら』が出版されていたという理由で、福音館書店に投稿してみました。それが編集部の目にとまったのでしょう。中の一編「はじめてのおつかい」は編集部のアドバイスを頂きながら、1976年、月刊「こどものとも」3月号として、出版されることになりました。他の幾編かは、「母の友」に載せて頂きました。その後、「子どもの館」(※)でも作品が掲載されるようになったのです。「子どもの館」は私にとって、長く子どもの本の学校のような存在になりました。
 まるで、よくできた夢のような話です。
 『ぐりとぐら』に出会わなかったら、子どもの本の世界への扉は、開かれなかったかもしれないと思うと、あの本屋での偶然に、本当に感謝しています。
 ちなみに、二女も三女も、同じような成長の過程で、同じ場面に、同じようにもぐりこもうと試みたのでした。
 今、本棚に並んでいるのは、三代目の『ぐりとぐら』です。本を開くと、娘たちの幼い日の声や表情が、共に楽しんだ日のまま、懐かしく思い出されます。

※ 「子どもの館」…1973年から1983年まで、児童文学の世界を広げ深めていくことを目的に小社より刊行された月刊雑誌。
『ぐりとぐら』 『ぐりとぐら』

中川李枝子 文/大村百合子 絵  
定価840円
『はじめてのおつかい』 『はじめてのおつかい』

筒井頼子 作/林明子 絵   
定価840円

撮影 宇井眞紀子
筒井頼子(つついよりこ) 1945年、東京に生まれる。広告会社などに勤務後、絵本、童話などの創作を始める。童話に『ひさしの村』『いくこの町』『雨はこびの来る沼』(現在品切れ)、主な絵本に『はじめてのおつかい』『あさえとちいさいいもうと』『いもうとのにゅういん』『とんことり』『おでかけのまえに』(以上福音館書店)などがある。宮城県在住。
《2》「絵本に出会える場所」児童書専門店のご紹介
   こども冨貴堂(北海道)
☆いろいろな絵本を見てお気に入りの絵本を見つけたいとき、絵本に詳しい店員さんに相談にのってもらいたいとき、頼りになる児童書専門店が全国各地にあります。

 今月から、そんなお店をご紹介することになりました。今月は北海道旭川市のこども冨貴堂さんを営業担当者からご紹介します。
 北海道旭川市といえば、冬場は毎年-20℃以下になる寒さの厳しい地域。そこに、訪れただけで誰もが暖かい気持ちになるような児童書専門店があります。その名も「こども冨貴堂」。1981年に旭川冨貴堂で児童書を担当されていた泉光江さんが独立し、北海道ではじめての児童書専門店としてオープンしました。その後、子どもの本が大好きな9人の仲間たちに引き継がれ、2011年には創業30周年を迎えています。
 緑の壁に赤く塗られた扉を開けると、20坪ほどの店内には絵本や童話がぎっしり! 奥にはギャラリーのスペースがあり、北海道の作家さんの作品などを紹介しています。やさしい笑顔のスタッフたちは全員子どもの本のエキスパート。話しこんでいるとさりげなくお茶がでてきたり、目を輝かせて絵本を見つめる子どもたちに読み聞かせをしたりと、ゆったりした時間が流れます。
 また、あべ弘士さん、堀川真さんなどの旭川在住の絵本作家たちとの交流も深く、お隣にはあべ弘士さんのギャラリー“プルプル”が併設されています。(なんと、こども冨貴堂のお手洗いはあべさん特製!)毎月第2土曜日には読み聞かせ会が開催され、終わったあとは楽しい工作教室も! 地域の人びとに愛され、たくさんの子どもたちに絵本を手渡しつづけている「こども冨貴堂」、お近くにいらした際にはぜひお立ち寄りください。

 こども冨貴堂
 〒070-0037 旭川市7条8丁目買物公園
 Tel:0166-25-3169 
 10:00-18:30 年末年始以外無休
《3》5月の新刊のご案内
《5月1日(水)販売開始》
『カステラ、カステラ!』 『カステラ、カステラ!』

明坂英二 文/齋藤芽生 絵 
定価1365円 

今ではだれもが知っているカステラ。ポルトガル生まれのお菓子が日本のカステラになるまでに、どんな工夫があったのでしょうか。
『美術館にもぐりこめ!』 『美術館にもぐりこめ!』

さがらあつこ 文/さげさかのりこ 絵 
定価1365円

どろぼう三人組と美術館のウラがわをのぞいてみよう。美術品がどう運ばれ展示されるか、学芸員などプロの仕事もよくわかります。
『いけの おと』 『いけの おと』

松岡達英 作 
定価840円

池のほとりで耳をすましていると、いろんな音が聞こえてくるよ。音でつづる、池の小さな生きものたちのドラマ。
 

《5月7日(火)販売開始》
『風のローラースケート―山の童話』 『風のローラースケート
―山の童話』


安房直子 作/小沢良吉 画 
定価630円

峠を舞台に、動物と人間との交流を「ほんとうに楽しく」書いたと作者が述懐した、新美南吉児童文学賞受賞作。解説:やなせたかし
 

《5月8日(水)販売開始》
『ずっと まもっているよ』 『ずっと まもっているよ』

メアリー・アン・フレイザー 作/むらかみみづほ 訳 
定価1365円

動物の親は、子どもをいろいろな方法で守ろうとする。親は子どもを必死に守り、子どもは成長し、そして命を繋いでいく。
『切り株ものがたり』 『切り株ものがたり』

今井恭子作/吉本宗画 
定価1260円

時は大正末期。山間の里に住む少年は〈山の衆〉の少女に熱い恋心を抱く。かまどにくべられた一体の人形が二人を引き裂くが……。

《5月15日(水)販売開始》
『おいしいよ! はじめて つくる かんこくりょうり』 『おいしいよ! はじめて つくる かんこくりょうり』

ペ ヨンヒ 文/チョン ユジョン 絵/かみや にじ 訳 
定価2100円

プルコギ、チャプチェ、チヂミ……この本には、親子で作れる、子どもたちの大好きな韓国料理がたくさん詰まっています。
 

《5月22日(水)販売開始》
『おかしなおかし』 『おかしなおかし』

石津ちひろ 文/山村浩二 絵 
定価840円

「ぷるぷるプリンが トランポリン」「のどがからから クラッカー」……お菓子たちが様々なスポーツをする、愉快な言葉遊び絵本。
『旅の絵本VIII』 『旅の絵本VIII』

安野光雅 作
定価1470円

繊細な筆使いで旅の楽しさを描く、絵だけの絵本。待望の八巻目の舞台は日本です。電気が普及する前の日本の風景が描かれます。
《4》書籍編集部だより
☆絵本・童話第一・童話第二・科学書の編集部から毎月交代で読者の皆様にむけたメッセージをお届けします。今月は童話第一編集部です。

童話第一編集部から
 3月21日、物語が住む小さな家、ウェブマガジン「Web福音館」がスタートしました。
 まずは、ひこ・田中さんの「モールランド・ストーリー」、富安陽子さんの「アヤカシさん」、中脇初枝さんの「ちゃあちゃんのむかしばなし」の三作品でのスタートです。
 みなさんがここで出会うのは、「本」という形を与えられる前の物語たちです。いずれ「本」として生まれ出て、みなさんにお目見えするまでの間、物語たちはわたしたちがウェブ空間に建てたこの小さな家で、ゆっくり育っていきます。
 年若い読み手に、胸躍り、見知らぬ世界と繋がることのできる物語を、その小さい背中にそっと手を添えともに歩んでくれるような物語を、人生のさまざまな季節で何度も手に取り、読み返したくなる物語を届けたい。そのために、古くは「赤い鳥」が、そして福音館では「子どもの館」がその役割を果たしてきたような、「物語が育つための場所」を作ろう。そしてその場所は、書き手にも、読む人たちにも、そしてなによりここで育つ物語にとって居心地がよく、様々な物語が集い、それらが自由にのびのびと息をする、面白い物語が育つのにふさわしい楽しいところにしていきたい。
 この小さな家にわたしたちはそんな思いを込めました。
 どうか、この家を見守り、ここで物語が育っていくのを見届けてください。そして、この家で育った物語が「本」の世界に生まれ出たとき、その一冊があなたの手元に置かれますように。

★Web福音館
《5》今月のおすすめ本
☆小社の既刊本の中から、ぜひ読んでほしい本を、毎月少しずつ紹介していきます。今月はさわやかな季節にふさわしい本を選んでみました。

『いちご』 『いちご』

平山和子 文・絵 
定価840円 
2才から

畑で冬を越したいちごが花を咲かせ真っ赤に実って食卓にのるまでを描いた美しい絵本。赤ちゃん絵本の定番『くだもの』同様、思わず手がのびます。
『くわずにょうぼう』 『くわずにょうぼう』

稲田和子 再話/赤羽末吉 画 
定価840円
4才から

よく働いて、飯をくわない女房がほしい――そんな欲ばり男の所へ本当に飯をくわない嫁がきましたが……。赤羽末吉が描く日本の昔話の絵本。
『すみれとあり』 『すみれとあり』

矢間芳子 作 /森田竜義 監修
定価945円 
4才から

アリがスミレの種を運んでいるのを発見! どうしてアリが種を運ぶのか、じっと観察していると……。植物と昆虫の協力関係を描いた科学絵本。
『らいおんみどりの日ようび』 『らいおんみどりの日ようび』

中川李枝子 作/山脇百合子 絵 
定価1260円
小学低学年から

キャベツが好物の緑色のライオン、らいおんみどりは、猫のトランペ、白熊のムクムクとともに、猫の姉さんのトロを団長にサーカスをはじめます。
『ねずみ女房』 『ねずみ女房』

ルーマー・ゴッデン 作/ウィリアム・ペーヌ・デュボア 絵/石井桃子 訳  
定価1260円 
小学中学年から

平凡に暮らしていたネズミが、ある日、捕えられているハトが野にあこがれる様に強く心打たれ、渾身の力で、かごの戸を開けてやります……。
『アラスカ 光と風』 『アラスカ 光と風』

星野道夫著・写真 
定価1575円 
中学生から

18才の時に見た小村の写真がすべての始まりだった――取材中に急逝した著者のアラスカへの熱い思いを伝える7編の撮影旅行記。
《6》「ぐりとぐら」誕生50周年記念 思い出エッセイ募集
 たくさんの読者の皆さまに愛され、「ぐりとぐら」は2013年に誕生から50年を迎えることになりました。
 これを記念し、「ぐりとぐら」シリーズの思い出エッセイを募集いたします。詳しくは次のページをご覧ください。
 たくさんのご応募をお待ちしています。
 ★「ぐりとぐら」誕生50周年記念思い出エッセイ募集 応募要項
《7》Facebookページ開設のお知らせ
 福音館書店ではFacebookページを開設し、「ぐりとぐら」誕生50周年記念のキャンペーンのご案内や「ぐりとぐら」をめぐるトピックスなど様々な情報を発信していきます。
 読者の皆様も「ぐりとぐら」をお楽しみになっているようすなどぜひご投稿ください。
 Facebookページの公開は4月22日の予定です。
 ★Facebookページ福音館書店 http://www.facebook.com/fukuinkan
《8》原画展のお知らせ
●佐々木マキ見本帖
会期 2013年4月6日(土)~6月23日(日)
前期:4月6日(土)・5月15日(水)/後期:5月18日(土)・6月23日(日)
※前後期で展示作品が異なります。
休館日 4月24日(水)、5月16日(木)、5月17日(金)、5月29日(水)
開館時間 10:00~19:30
会場 武蔵野市立吉祥寺美術館    
〒180-0004東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-16FFビル(コピス吉祥寺A館)7階
問い合わせ先 TEL0422-22-0385
入場料 100円(小学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料)
関連作品 やっぱりおおかみ』『はぐ』佐々木マキ 作・絵

●はじめての美術 絵本原画の世界2013
会期 2013年4月6日(土)~5月12日(日)
休館日 月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
開館時間 9:30~17:00(観覧券の発売は16:30まで)
会場 宮城県美術館    
〒980-0861 仙台市青葉区川内元支倉34-1
問い合わせ先 TEL022-221-2111
入場料 一般1,000円(900円)、学生800円(700円)、小・中・高校生300円(200円)
( )内は20名以上の団体料金
関連作品 『ぐりとぐら』『しょうぼうじどうしゃ じぷた』『おしゃべりなたまごやき』『はじめてのおつかい』などの原画を含む26作家、43タイトル、約320枚の絵本原画が紹介されます。

●井上洋介展
会期 2013年4月13日(土)~6月2日(日)
休館日 火曜日・第二水曜日
開館時間 10:00~17:00(観覧券の発売は16:30まで)
会場 小さな絵本美術館八ヶ岳館    
〒391-0115 長野県諏訪郡原村原山
問い合わせ先 TEL0266-75-3450
入場料 一般700円(600円)、中学・高校生400円(350円)     
小学生300円(250円)    
( )内は団体料金
関連作品 関連作品:『おだんごぱん』(「こどものとも」1960年2月号)『まがればまがれみち』(「こどものとも」1990年12月号)

●後藤 仁 絵本原画展 絵本出版・日本画画業30年記念
会期 2013年4月21日(日)~5月1日(水)
期間中無休
開館時間 10:00~19:00
会場 いしど画材   
〒277-0005 千葉県柏市柏1−4−5−4F
問い合わせ先 TEL04-7167-1410
入場料 入場無料
関連作品 ながいかみのむすめ チャンファメイ―中国・トン族の民話

●創造する家族「秋野不矩・沢宏靱 展」
会期 2013年4月27日(土)~ 6月9日(日)
休館日 5月7日、13日、20日、27日、6月3日
開館時間 9:30~17:00
会場 浜松市秋野不矩美術館    
〒431-3314 浜松市天竜区二俣町二俣130
問い合わせ先 TEL053-922-0315
入場料 一般800円(640円)、高校生500円(400円)     
小・中学生300円(240円)    
( )内は前売り料金
関連作品 プンクマインチャ』大塚勇三 再話/秋野亥左牟 画
 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000