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 ★  あのねメール通信~福音館書店メールマガジン  2003年1月16日 Vol.14 ★

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         ◆◇◆  CONTENTS  ◆◇◆          

《1》 冬来りなば、春遠からじ 『はなをくんくん』 松居直
《2》 1月の新刊・福音館文庫のご案内
《3》 『ちゃっくりがきぃふ -らくご絵本』著者・桂文我さんのエッセイ
《4》 月刊誌最新号<2月号>のご案内
《5》 「母の友」編集室の窓から

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《1》冬来りなば、春遠からじ 『はなをくんくん』 松居直
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「感じる」ことは「知る」ことの大切な入口になる!

 20世紀の環境破壊の問題にいち早く警鐘を鳴らした名著『沈黙の春』の著者レイ
チェル・カーソンは、自然と子どもの育ちの中の重要なかかわりについて、『セン
ス・オブ・ワンダー -神秘さや不思議さに目を見はる感性-』(新潮社 刊)と
いうすぐれた本を書きました。そのなかでこう語っています。
“私は、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭を悩ませてい
る親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じ
ています。(中略)美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものに
ふれたときの感激、思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひ
とたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと
思うようになります。そのようにして見つけだした知識は、しっかりと身につきま
す。消化する能力がまだ備わっていない子どもに、事実をうのみにさせるよりも、
むしろ子どもが知りたがるような道を切りひらいてやることのほうがどんなにたい
せつであるかわかりません。”
『はなをくんくん』はまさに「感じる」ことをとおして「知る」絵本です。アメリ
カでは幼い子を自然と科学の世界へ導くときの入口となる物語絵本として、この絵
本は高く評価されています。
『はなをくんくん』は真冬の森の物語です。冬ごもりをしていたノネズミ、クマ、
カタツムリ、リス、ヤマネズミたちが、なにかの気配に目をさまし、いっせいに巣
穴から出てかけだしてゆきます。
 なにがおきたのでしょう。
 動物たちは雪の降りしきるなかを、“みんなかけてゆく”“みんなはなをくんく
ん”。やがて彼らはなにかを見つけて、“みんなぴたり”“みんなとまった”、そ
して笑いだし踊りだします。“みんな「うわあい!」”と叫びだします。
 一体なにごとが起きたのでしょう。それは絵本を手にとって確かめてください。

                                                     松居直(児童文学家)

(「全日私幼連PTAしんぶん」第465号より転載)

『はなをくんくん』
 ルース・クラウス 文/マーク・シーモント 絵/きじまはじめ 訳

松居直(まつい ただし)
京都生まれ。1951年同志社大学法学部卒業後、福音館書店の創業に参画し、編集部
長、社長、会長をへて、1997年より相談役、現在に至る。1956年月刊物語絵本「こ
どものとも」を創刊し、編集長として赤羽末吉、長新太、堀内誠一、安野光雅、加
古里子、中川李枝子など、多くの絵本作家を世に出す。また、『ももたろう』
(1965年サンケイ児童出版文化賞受賞)『だいくとおにろく』や、陶淵明の詩をも
とにした『桃源郷ものがたり』など多数の絵本を執筆。著書は、『絵本とは何か』
『絵本の森へ』(日本エディタースクール出版部)、『絵本・ことばのよろこび』
『子どもの本・ことばといのち』(日本基督教団出版局)、『にほんご』(共著、
福音館書店)、『絵本の力』(共著、岩波書店)など多数。

★『ももたろう』 松居直 文/赤羽末吉 画
★『だいくとおにろく』 松居直 再話/赤羽末吉 画
★『桃源郷ものがたり』 松居直 文/蔡皋 絵
★『にほんご』安野光雅 大岡信 谷川俊太郎 松居直 編

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《2》1月の新刊・福音館文庫のご案内
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【福音館文庫】
≪1月14日(火)配本≫
★『木馬のぼうけん旅行』
 アーシュラ・ウィリアムズ 作/ペギー・フォートナム 画/石井桃子 訳
◎おもちゃ作りのおじさんが作った小さい木馬は、おじさんのためにお金儲けをし
ようと旅に出ます。木馬は一生懸命働くのですが……。品切れ品から文庫版で復活
です。

★『ズボン船長さんの話』 角野栄子 作/鴨沢祐仁 画
◎ケンは4年生の夏休みに元船長さんと知り合い、大事な宝物にまつわるお話をき
くことになります。

【新刊】
≪1月15日(水)配本≫
★『バルンくん』 こもりまこと 作
◎バルバルバルーッと軽快に走るバルンくんが、向かった先はサーキット場。様々
な表情の自動車たちと一緒にレースを楽しみます。

★『はしるの だいすき』 わかやましずこ 作
◎にぎやかな足音をたてて動物たちが走ってきました。力強い線と鮮やかな色彩
で、動物たちの走る楽しさを描きました。

★『ここよ ここよ』 かんざわとしこ 文/やぶうちまさゆき 絵
◎「どこに いるの?」の呼びかけにお母さんの陰に隠れていた赤ちゃんたちが顔
を出します。動物たちが生き生きと描かれます。

≪1月22日(水)配本予定≫
★『やねうらべやの おにんぎょうさん』 柳生まち子 作・絵
◎屋根裏部屋に一人のおにんぎょうさんがいました。ぼんやり座っているだけでし
たが、ある日、のねずみがやってきました。すると……。

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《3》『ちゃっくりがきぃふ -らくご絵本』著者・桂文我さんのエッセイ
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 落語は、絵本でも楽しい

 小学生の頃からの落語好き。42才になった現在でも、その熱は冷めないどころ
か、より熱くなっているのですから、やはり落語という芸能には、とてつもない魅
力があるものだと、我ながら驚きつつ、再確認している昨今です。
 落語に限ったことではありませんが、舞台からひとりの演者が客席にメッセージ
を送る芸能は、多人数で演じる芸能より、観客の想像力に頼る部分が多いもので
す。まして話の途中で衣装を替えることもなく、化粧もせず、背景も使わない上
に、立ち上がることも、歩き回ることもせず、座布団の上に正座をしたままで話を
進める落語は、正に観客の想像力〔創造力も含む〕に頼らなければ、成り立たない
芸能です。
 それだけに演者は、観客が想像しやすい話し方により、話を展開していかなけれ
ばなりません。同じストーリーでも、自らの経験や推測により、頭の中で創り出す
世界は、各々違います。その中で、演者のイメージと、観客のイメージが重なり合
うように、観客の納得できる言葉を選び、その上に感情を乗せていくのです。話を
上手く運び、舞台と客席が徐々に一体化してくる面白さは、他の芸能では考えられ
ない快感です。
 観客へ快く楽しいメッセージを伝える場合、言葉によるリズムや、音の面白さも
重要なポイントです。言葉による快感のひとつに、擬態語や擬声語がありますが、
落語、特に上方落語には、これがたくさん使われています。
 下駄の音が「カラコロ、カラコロ」。丸薬が熱により弾ける音は「パラパッチ
パッチ、プッスン」。これらは、その最たるもので、この言葉を耳にしているだけ
でも、滑稽さを含んだ落語の世界が、頭の中に浮かび上がってくるから不思議で
す。その上、何やら懐かしさまで感じてしまうのは、私だけではないでしょう。
 この度、福音館書店から「ちゃっくりがきぃふ」を刊行することになりました
が、これは『商売根問』という落語の最初の部分を脹らませ、絵本用に仕立てたも
のです。この落語には、人間が発する言葉の面白さや、耳で聞こえてきたものを滑
稽な言葉に変えて表現する愉快さが、たくさん含まれています。
 お父さん、お母さん方が、どのようなリズムで、この絵本を子どもたちに読んで
下さるものか、そして、子どもたちは、どのような面白い声やリズムで、口に出し
て読んでくれるのだろうかと想像すると、楽しくてなりません。
「ちゃっくりがきぃふ」が、末永く読み継がれていくことを期待しつつ、私白身、
次の作品に向けて、新たな出発をすることにいたします。
 
                                  桂文我

★『ちゃっくりがきぃふ -らくご絵本』 桂文我 話/梶山俊夫 絵

 桂文我(かつら ぶんが)
いま関西落語の中堅として、大活躍中の落語家です。1960年、三重県松阪市に
うまれ、1978年、桂枝雀に入門、1995年に四代目桂文我を襲名しました。
国立演芸場花形演芸会大賞(1995年)や、大阪市咲くやこの花賞(1996
年)など、たくさんの賞も受賞されています。子どもにも落語に親しんでほしい
と、親子で落語を楽しむ「親子寄席」の普及にも力を注いでいます。著書には『ご
くらくらくご』(小学館)『落語の達人・全5巻』(岩崎書店)などがあります。
現在、松阪市にお住まいです。

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《4》月刊誌最新号<2月号>のご案内
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☆月刊誌最新号<2月号>発売中です。

◇◆ こどものとも0.1.2.『バルンくんのさんぽ』
              こもりまこと 作                 ◇◆
 スポーツカーのバルンくんが散歩に出かけ、さまざまな自動車に出会います。ワ
ゴン車やキャンピングカー、ジープなどが登場。

◇◆ こどものとも年少版『バッターくん』
            織田道代 文/古川タク 絵                 ◇◆
 バッターくんのユニホームはミシンさんが作った。ミシンさんが好きなピアノは
ピアーノさんが……と、人と人が次々とつながって……。

◇◆ こどものとも年中向き『おでん おんせん』
             山田ゆみ子 作                 ◇◆
 台所から、おでんが逃げ出しました。山の中でおでんたちは、あたたかい温泉を
求めてさすらいます。寒い冬にぴったりの絵本。

◇◆ こどものとも『くものすおやぶん とりものちょう』
         秋山あゆ子 作                    ◇◆
 虫の町一番のお菓子屋に、盗人から予告状が届いた。くものすおやぶんは、盗人
「かくればね」を待ち受けるが、その正体は……。

◇◆ ちいさなかがくのとも『つららが ぽーっとん』
                          小野寺悦子 文/藤枝つう 絵            ◇◆
 つららに春の訪れをたずねると、つららのしずくが答えます。「ぽーっとん、
ちーかい」はやく春にならないかな。

◇◆ かがくのとも『ゆきのあさ』
         笠原則行 作                       ◇◆
 北国の冬は、雪ではじまります。初雪が根雪になると、どの家も朝は雪かきで
す。北国の冬の生活をほのぼの描いた生活絵本です。

◇◆ おおきなポケット【かがく】「うどんやさん」
                いしいしんじ 文/矢吹申彦 絵
           【ものがたり】「かしこいめぎつねのものがたり」
                  百々佑利子 文/牧野良幸 絵      ◇◆
<かがく>「うどんやさん」ののれんをくぐった男の子に聞こえてきたのは? 
押す音、叩く音、伸ばす音……。ふしぎなことばの絵本です。
<ものがたり>よっぱらいの森番バルトシュにつかまってしまったこぎつねのミミ
は、村をとびだして森での生活を始めます。

◇◆ たくさんのふしぎ『シュヴァル 夢の宮殿をたてた郵便配達夫』
           岡谷公二 文/山根秀信 絵             ◇◆
 毎日30キロを歩いて郵便を配達していた男が、たったひとりで、33年もかかっ
て、夢の宮殿をたてた。いったい、どんな男だったのか?

◇◆ 母の友 特集“『「わらべうた」で子育て』をめぐって”        ◇◆
 連載から生まれた本『「わらべうた」で子育て 入門編』をめぐり伝承者阿部ヤ
ヱさんと母親たちの座談会。シリーズ・絵本作家との対話は小野かおるさんです。

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《5》「母の友」編集室の窓から
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『「わらべうた」で子育て 入門編』についているCDには、阿部ヤヱさん自身の
語りによる解説が収められています。昨年7月、東京の某所で録音はおこなわれま
した。朝方激しく降っていた雨も、午後にはすっかりやんで蒸し暑い天気になり、
録音終了後立ち寄ったホテルのラウンジで、好物のアイスクリームをおいしそうに
食べる阿部さんの姿を、今でもはっきりと覚えています。
 しかし、何よりも印象に残っているのは、録音がほとんど取り直しもなく、なん
ともスムーズにおこなわれたこと。CDを聞いていただければ分かると思います
が、それぞれの解説は決して短いものではありません。それが、ほとんどリハーサ
ルもなしに、すらすらと言葉が口をついて出てくる。あらかじめ用意した原稿も
あったのですが、ほとんどそれに頼ることなく、その場でどんどん言葉を付け足し
ていく。録音してくださった音響の方も「なかなかこうはいかないですよ」と感心
することしきりでした。

★『「わらべうた」で子育て 入門編』 阿部ヤヱ 著/平野恵理子 絵
                  福音館書店「母の友」編集部 編

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