あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2013年12月4日 Vol.153
師走、ラストスパートか、来年への助走か……
 いつも「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 今年は「ぐりとぐら誕生50周年」というめでたいこともあり、何かといそがしい一年でした。このメールマガジンも4月から月2回HTMLメールも配信してまいりましたが、皆様お楽しみいただけましたでしょうか。
 さて12月は新刊がないので、今号だけは少しゆったりした誌面になります。気ぜわしい年の暮れにむけて皆様もどうぞご自愛ください。
《1》新刊『ワニのお嫁さんとハチドリのお嫁さん』の
   作者清水たま子さんのエッセイ
ワニの花嫁            清水たま子     
ワニのお嫁さんとハチドリのお嫁さん

 メキシコ・オァハカ州の先住民には、誰にでも、トナと呼ぶ分身がいます。トナは人間ひとりひとりに生涯寄り添って、そのひとを守ってくれます。ヒョウやブタや七面鳥のような動物や、マンゴーの木といった植物のことが多いのですが、時には風や雨のような自然現象のこともあります。ふだんは見えないけれど、人間に危機が訪れると姿を現します。反対にトナが攻撃されたり、災難にあうと、人間本人も病気になったり、死んでしまうので、トナは絶対の秘密。本人と生みの親だけしか知りません。
 さて、オァハカ先住民のチョンタル族の伝統行事に、人間の村人が、生きたワニと結婚式をあげるお祭りがあります。ワニは噛み付かないように口を紐で縛られていますが、ウエディングドレスを着せられ、頭にはベールと白い花をつけて、花婿役の男性に抱かれてワルツを踊ります。
 オァハカ先住民の村々には、それぞれ先祖代々伝わるお祭りがありますが、このお祭りはとびきり珍しいものです。お祭りが開催されるのは、雨期がやってくる直前の最も暑苦しいシーズンです。燃えるような太陽に照らされて、村の路地は真っ白く光って見えます。そこを楽隊を引き連れた大勢の婦人たちが、ワニの花嫁を抱いて行進します。ほかの村人たちは路地という路地に出て、ワニの花嫁を迎え、村は一気に高揚します。行進の婦人たちはワニのお披露目と同時に、路地に立つ村人たちから寄付金をつのります。預金箱のようなものに寄付金を入れると、ワニを抱かせてもらえ、楽隊の音楽でひと踊り。
 ワニの行列について村中を練り歩くのは、あまりに暑いので断念し、私は頃合いを見計らって教会に行きました。教会前には数人の男たちが待っていて、中の花婿役の男性がワニを抱き取って教会に入場し、やがて結婚のミサが、本物の牧師さんの手で行われます。私は、てっきり牧師役も村人のひとりがそれらしく演じるのかと思っていたので、本当の牧師さんが執り行ったのには驚きました。その後は教会内で民族舞踊の奉納。これも先住民のお祭りとしては異例です。普通こういう民族舞踊の奉納は教会の外の広場で行うからです。
 ミサが無事に終了すると、役場前の体育館ほども広いスペースで、ごちそうが振舞われ、村人全員参加のダンスパーティーです。村人は代わる代わるワニの花嫁を抱いて踊ります。ワニを抱いて踊れば、これからの一年を安全無事に過ごせるということでしょうか、幸せそうな表情が、どの村人の顔にもあふれています。村長さんの手にワニが渡され、村長さんが大きく足を挙げて見事なステップを見せると、ひときわ大きな歓声と拍手が巻き起こりました。
 お祭りをながめているうちに、自然にこんな発想が生まれました。「ワニの花嫁は、人間の娘が彼女自身のトナに変身したのだ。」と。『ワニのお嫁さんとハチドリのお嫁さん』は、このお祭りからインスピレーションを得て私が創作しました。
 オァハカ先住民のうわさ話や言い伝えには、人間が動物になってしまった話がよくあります。その反対に、動物だと思って木に縛りつけておいたら、よく朝人間になっていた、というのもあります。オァハカ人にとって、人間から動物へ、動物から人間への変身ばなしは、ごく身近なのです。チョンタル族のお祭りは、オァハカ先住民の心の核とも言えるトナの思想の、あからさまな表現のように私には思えます。
 『ワニのお嫁さんとハチドリのお嫁さん』から、そんなオァハカ先住民の魅力的な精神性を、楽しんでいただければ幸いです。

著者:清水たま子(しみずたまこ)1949年埼玉県生まれ。跡見学園短期大学生活芸術科卒業。美術評論家久保貞次郎氏に師事。絵本に『カエルのおよめさん』(「こどものとも」第503号)『ロバのつくった道』(「たくさんのふしぎ」第237号・以上、福音館書店)がある。1985年から2012年までメキシコに在住。現在は神奈川県在住。
ワニのお嫁さんとハチドリのお嫁さん

『ワニのお嫁さんとハチドリのお嫁さん』
清水たま子 文/竹田鎭三郎 絵  定価1680円
昔々、メキシコの海辺にあった二つの国、ウワベ国とチョンタル国は百年もの間戦いを続けていた。そして、調停のため両国の娘を花嫁として交換することにしたのだが……。

《2》月刊誌最新号<1月号>のご案内
 月刊誌最新号<1月号>は、好評発売中です。

こどものとも0.1.2.『ピリンポリン』 こどものとも0.1.2.
『ピリンポリン』


西巻かな 作
定価410円

きれいに並んだかたちが、ページをめくると、動いたり、崩れたり、様々に変化します。楽しいオノマトペとデザイン的な絵が赤ちゃんをひきつけます。
こどものとも年少版『プーコン』

こどものとも年少版
『プーコン』


井上洋介 絵と文
定価410円

角笛を買ったぼく。ぼくが角笛を「プー」と吹くと、きつねの子が「コーン」とないた。「プー」「コン」「プー」「コン」。

こどものとも年中向き『ふじさん おはよう』 こどものとも年中向き
『ふじさん おはよう』


福知伸夫 作
定価410円

新聞配達をするお兄さん、畑に出たおばあさん、登園中の男の子……見る場所や時間によって、富士山は様々な顔を見せてくれます。
こどものとも『カタッポ』

こどものとも
『カタッポ』


大原悦子 文/山村浩二 絵
定価410円

片方だけ落とされた手袋、カタッポたちは、持ち主を探すため、人知れず駅の落とし物箱を抜け出しました。彼らをどんな運命が待っているのでしょうか? 

ちいさなかがくのとも『ひつじさん あそんでよ』 ちいさなかがくのとも
『ひつじさん あそんでよ』


池谷陽子 作  
定価410円

お父さんといっしょに、ひつじ牧場にいきました。ねえ、ひつじさん、あそぼうよ。ひつじと仲良くなりたい女の子のお話です。
かがくのとも『こんなとき きみなら どうする?』 かがくのとも
『こんなとき きみなら どうする?』


五味太郎 作
定価410円

なんだか楽しそうな山道、とっても怪しいパンやさん、ちょっと怖そうな家…次々と現れる、楽しくも迷っちゃう選択肢を前にして、君なら何を選択する?
たくさんのふしぎ『虹色いきもの図鑑』 たくさんのふしぎ
『虹色いきもの図鑑』


齋藤 槙 文・絵
定価700円

金色の羽をもつ鳥、蛍光色に光る魚、宝石のようにかがやく虫など、地球を彩る生きものたちの虹色の世界をお楽しみください。
母の友

母の友 
特集1「あってよかった! 園文庫」特集2「お口ぽかん、してませんか?」


定価530円

絵本が子どもと親と園をつなぐ?「園文庫」の思わぬ効用を探ります。そのほか、私たちの「口」と体の深い関係をご紹介します。

こちらから1月号の目次をご覧いただけます。

《3》月刊誌編集部からこんにちは
 毎月交代で月刊誌の編集部から、読者の皆様にむけてメッセージをお届けしています。今月はちいさなかがくのとも編集部です。「母の友」編集室からのメッセージもお送りしています。

ちいさなかがくのとも編集部から
 「ちいさなかがくのとも」の1月号は『ひつじさん あそんでよ』、ひつじと仲良くなりたい女の子のお話です。女の子は、もこもこの毛にさわりたくてしかたありません。「ひつじさん、あそぼうよ」といって追いかけると、あらら……みんな、おしりをむけて離れていってしまいました。どうしたら、あそんでくれるのかな?
 取材でひつじ牧場に行きました。放牧場のあちこちで、ひつじたちがのどかに草を食んでいます。その顔をアップで写真に撮ろうと、早速柵内に。ひつじまであと1mほどの所まで来たとき、それまで一心に草を食んでいたひつじが突然おしりを向けました。私がじりじり近寄るとひつじはゆっくり遠ざかり、私が大きく踏み出すと、サッと離れる。カメラに写るのは、おしりばかりです。ひつじさん、こっち向いて! 思わず絵本の女の子の気持ちになりました。
 ひつじはおとなしく、子どもも安心して触れ合える動物ですが、攻撃する術を持たない分、警戒心が強いのです。動きこそおっとりしていますが、さわれる距離まで近づこうと思うと、これが案外難しいのでした。
 とはいえ、全くさわらせてくれないのかというとそうでもないのが、ひつじの面白い所です。こちらがじっとしていれば寄ってきてくれることも。取材中、1頭のひつじが作者の池谷陽子さんにおもむろに歩み寄り、「掻いて」とばかりに首を突き出しました。以前北海道で牛の酪農をしていた折に、ひつじも2頭、大切に育てた経験をお持ちの池谷さん。「この毛の感触、懐かしい~」とひつじを撫で続け、ひつじも気持ちよさそうに体を預けていました。
 動物とあそびたい、でもあそんでくれない――そんな思いを持った時こそ、動物と仲良くなる方法を見つけるチャンスです。これから動物と触れ合う中で、子どもたちが自分なりのすてきな方法を編み出してくれますように!
こちらから「ちいさなかがくのとも」をご覧いただけます。
「母の友」編集室の窓から

 2013年もあとわずかですね。10代のころ、「歳をとればとるほど、1年が速く過ぎるように感じるよ」と年配の方に言われ、「ふーん」と思ったものですが、しみじみ「ほんとだなあ」と思う、四捨五入すれば40の冬であります(これから、もっと速くなるのかな……)。
 さて、「母の友」1月号の第1特集は「あってよかった! 園文庫」です。園文庫とは幼稚園・保育園で絵本を家庭に貸し出す仕組みのこと。子どもは園で十分に絵本を楽しんでいるはずなのに、なぜ、家庭に貸し出すのでしょうか? 実はそこには深い理由があったのでした。第2特集は「お口ぽかん、してませんか?」。食べるときによく「かむ」ことの意外な効用や、気になる子どもの歯並びのことなど、口をめぐるお話をお届けします。
 今月も「母の友」は盛りだくさんの内容です。お楽しみください。
こちらから「母の友」1月号の目次をご覧いただけます。
母の友編集部ではfacebookページをはじめました。

《4》2013クリスマス・セレクションのご案内
 今年もクリスマス向けに、プレゼントに最適の絵本、クリスマスの絵本、冬の絵本をそろえて、クリスマス企画を展開しています。この企画ページからご注文いただいた方には、『ブレーメンのおんがくたい』(ハンス・フィッシャー絵)の絵柄をかわいらしくデザインしたオリジナル袋(ポリエチレン製)にご注文の品を入れて、12月20~22日ごろお届けできるようにお送りします。
 くわしくは下記ページをご覧ください。

2013クリスマス・セレクション
《5》2014年カレンダー発売のお知らせ
 来年2014年のカレンダーが発売になりました。
 毎年おなじみの「ぐりとぐら」のカレンダーと、もう1点、今年は安野光雅さんの「旅の絵本」のカレンダーです。今年も忘れずに、ぜひお求めください。
『ぐりとぐらカレンダー 2014』 『ぐりとぐらカレンダー 2014』

中川李枝子 作/山脇百合子 絵 
価格1300円 

絵本シリーズの中から季節に応じた12ヵ月の絵を厳選しました。予定を書きこめる、使いやすいデザインです。
『2014 旅の絵本カレンダー』 『2014 旅の絵本カレンダー』

安野光雅 絵 
価格1300円

最新刊日本編を含む安野光雅「旅の絵本」シリーズ全8冊から、名場面を厳選しました。世界各国を旅する気分を味わえるカレンダーです。
《6》「ぐりとぐら」誕生50周年記念キャンペーンのご案内
 「ぐりとぐら」誕生50周年を記念して2つのキャンペーンを実施中です。締め切りがせまっておりますので、ご応募はお早めに!

「ぐりとぐら」お絵かき大募集
お子様が描いた「ぐりとぐら」の卵の車に自分たちが乗っている絵を、デジカメやスマホなどで画像にしてお送りください。ご応募いただいた画像をWEBサイトに公開し、絵を描いてくださったお子様あてに、「ぐりとぐら」からのお礼のハガキをお送りします。
応募期間2013年6月1日~2014年1月6日

 すでに子どもたちの個性あふれる作品をたくさんいただいています。こちらからみんなのお絵かきをご覧ください。
応募方法などの詳細はこちらへ

シールを集めてグッズをもらおう
期間中「ぐりとぐら」シリーズについている応募シールを集めると、シール枚数によって「ぐりとぐら」のすごろくやトートバッグなどが抽選または全員プレゼントで当たります。Wチャンスもありますよ!
応募期間2013年6月1日~12月31日
くわしくはこちらへ

 福音館書店Facebookページでは、「ぐりとぐら」誕生50周年記念キャンペーンの紹介をはじめ、タイムリーな楽しい話題を次々にお届けします。ぜひみなさま「いいね!」を押して、交流を深めましょう。
福音館書店Facebookページ
《7》中川李枝子さん講演会のご案内
 ぐりとぐら誕生50周年を記念して、作者中川李枝子さんの講演会を、この秋から大阪/名古屋/東京の3会場にて開催しております。「ぐりとぐら」誕生の秘密や、作品に込めた思い、そして今、子どもに関わるすべての大人たちに伝えたいことを、丁寧に語っていただきます。

 大阪会場(11月2日開催)の講演録はホームページで12月中旬ごろ公開の予定です。

 名古屋会場(12月14日開催)のお申込みは11月1日で締切となりました。厳正な抽選の上、当選された方には受講票のハガキをお送りしました。

 東京会場(2014年2月1日開催)につきましては、中川李枝子さんとスタジオジブリの宮崎駿監督の対談形式の講演会を開催することになりました。(お申込み 締切は12月13日)すでに定員を上回るご応募をいただいておりますので抽選となります。

応募方法などの詳細はこちらへ

《8》原画展のお知らせ

●木下 晋展—生命の旅路
会期 2013年11月12日(火)〜 2014年2月8日(土)
休館日 毎週月曜日(祝休日は開館、翌平日休館)、12月29日(日)~1月3日(金)
開館時間 9時30分〜16時30分
会場 原爆の図 丸木美術館
〒355-0076 埼玉県東松山市下唐子1401
問い合わせ先 TEL 0493-22-3266
入場料

大学生以上900円(800円)、中・高校生または18歳未満600円(500円)、小学生400円(300円)、60歳以上・比企地区在住者100円引き、障碍のある方は半額
( )内は20名以上の団体料金

関連作品 『はじめての旅』

●大橋 歩の想像力  Imagination from/into/beyond Words
会期 2014年1月4日(土)~2月16日(日)
休館日 月曜日(祝休日は開館、翌平日休館)
開館時間 9時30分~17時(入館は16時30分まで)
会場 三重県立美術館
〒514-0007 三重県津市大谷町11
問い合わせ先 TEL 059-227-2100
入館料

一般600円(400円)、高・大学生400円(300円)、小・中学生 無料
( )内は20名以上の団体料金

関連作品 こどものとも年少版『これはおひさま』
こどものとも年少版『おしょうがつさん』

●アートが絵本と出会うとき―美術のパイオニアたちの試み
会期 2013年11月16日(土)~ 2014年1月19日(日)
休館日 月曜日(祝日の場合翌平日)、12月27日(金)~1月4日(火)
開館時間

10時~17時 、会期中の土日は20時まで延長

会場 うらわ美術館   
〒330-0062 さいたま市浦和区仲町2-5-1浦和センチュリーシティ3F
問い合わせ先 TEL 048-827-3215
入館料

一般600円(480円)、高校・大学生400円(320円)、小・中学生200円(160円) ( )内は20名以上の団体料金

関連作品 『ちんろろきしし』

●井上洋介図鑑展―漫画、タブロー、絵本―
会期 2014年1月11日(土)~2月23日(日)
休館日 月曜日(祝日の場合は翌平日)、2月12日(水)
開館時間 9時~17時(入館は16時30分まで)
会場 刈谷市美術館
〒448-0852 愛知県刈谷市住吉町4-5
問い合わせ先 TEL 0566-23-1636
入館料

一般300円、学生200円

関連作品

『あじのひらき』
こどものとも年中向き『馬の草子』

 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000