あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2014年7月2日 Vol.167
もうすぐ七夕、今年は晴れるかな?
 いつも「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 7月になりましたが、あやしげな空模様が続いています。考えてみれば、七夕のころはまだ梅雨が明けていないところも多く、織姫・彦星を見られることのほうがまれなのかもしれません。
 それでも星への願いは、きっと届きますよ。今回のエッセイは、セルビアの美しい昔話『ほしをもったひめ』についてです。お楽しみに。
《1》新刊『ほしをもったひめ—セルビアのむかしばなし』の
   作者 八百板洋子さんのエッセイ
『ほしをもったひめ』との出会い  
                         八百板洋子     
ほしをもったひめ

 まだ20代の初めごろ、わたしはブルガリアのソフィア大学で詩の研究をしていました。寄宿舎での2人目の同室者、ヴォルガの家が、バルカン山脈の山あいにあったので、冬や夏の休暇になると、招かれて、そこで過ごしました。
 あるとき、庭さきでおばあさんが羊の毛を紡ぎながら昔話を話してくれました。
 わたしは、初めて聞いた話なのに、故郷で聞いた昔話と共通のぬくもりを感じ、その後、テープレコーダーをかかえて、バルカンの国々の昔話を採録するようになりました。
 それから長い歳月、ブルガリア、ルーマニア、旧ユーゴスラビアの国々など、バルカンの国々に伝わる昔話を研究し、紹介してきました。
 以前出版した、『吸血鬼の花よめ』(福音館書店)では、ブルガリアに伝わる伝説や昔話を紹介しています。また、バルカンの昔話集『いちばんたいせつなもの』(福音館書店)の中では、旧ユーゴスラビアの一つだった、セルビアの昔話をいくつか紹介しており、その表題作は、貧しい木こりの娘が知恵と愛のちからによって幸せになるお話です。『ほしをもったひめ』も、セルビアの昔話です。
 セルビアの国と聞いて、みなさんはどんなイメージを思い描きますか。
 セルビア人は、7世紀初めにバルカン半島に移住しました。これらの地域はじつに山がちなのですが、外部との往き来は容易で、古くからオリエントとヨーロッパをつなぐ東西交流の場でした。
 そのため、たびたび戦火の舞台となり、ビザンツ帝国やオスマン帝国など、長いあいだ異民族の支配にさらされてきました。今でも、これらの地域には、多様な民族や宗教が混在しています。
 しかし、その結果、東西のさまざまな影響を受け、豊かな文化が育まれてきたのです。
 数々の戦禍に見舞われたセルビアは、今も美しい自然に囲まれ、山や農村では、ゆったりとおいしそうに草をたべる羊の群れを目にすることができます。
 『ほしをもったひめ』は、まるで山に実る赤いカリンカのように、ちょっとすました愛らしい女の子、カリーナひめと、魔法によって姿を変えられてしまった者たちを助けようと知恵と勇気を発揮する、貧しい羊飼いの若者のお話です。
 このお話との出会いは、もう、だいぶ前になります。
 1995年の5月、スロベニアのブレッド湖畔で国際ペンクラブの作家会議が開かれ、参加しました。スロベニアが、旧ユーゴスラビアから独立して間もないころでした。会議が終わった後も、わたしは昔話を採録しようと、滞在をのばし、あちらこちらに足を運んでいました。そのとき、首都リュブリャナの小さな本屋で、このお話と出会ったのです。
 本屋には美しい装丁の本がたくさん並んでいました。その中に、ざらざらした紙に、ただ文字を印刷して綴じただけの古びた本があり、思わず手にとって読みました。それは、セルビア語版のもので、ユーゴスラビアの、さまざまな民族の昔話が載っていました。『ほしをもったひめ』は、この本に収録されていたものです。
 このお話には、自然や平和を大切に思う、この地域の人々の心があらわれているように感じ、胸があつくなりました。
 わたしは、日本の子どもたちにこの絵本といっしょに、遠いセルビアの豊かな文化の香りもとどけたいと願いました。あなたも、カリーナひめの世界へつながる扉をあけてみてください。

著者: 八百板洋子(やおいた ようこ)

1946年、福島県生まれ。1970年、ソフィア大学大学院留学。訳詩集『ふたつの情念』(新読書社)、『吸血鬼の花よめ-ブルガリアの昔話』でそれぞれ日本翻訳文化賞を受賞。『ソフィアの白いばら』で産経児童出版文化賞、日本エッセイストクラブ賞を受賞。訳著書に『いちばんたいせつなもの-バルカンの昔話』『もりのてぶくろ』『ナスレディンのはなし』(以上福音館書店)など多数。

ほしをもったひめ

『ほしをもったひめ—セルビアのむかしばなし』
八百板洋子 文/小沢さかえ 絵
定価(本体1300円+税)
昔々、深い森に囲まれたお城に、年老いた王様と美しい姫が住んでいました。王様は、姫のどこに星があるかを言い当てた者に、国の半分と姫を譲るとお触れを出しますが……。


《2》月刊誌最新号<8月号>のご案内
 月刊誌最新号<8月号>はまもなく発売です。

こどものとも0.1.2.『おかお ない ない』 こどものとも0.1.2.
『ほおずき ほおずき』


降矢洋子 作
定価(389円+税)

ほおずきが3つ。顔を出して、こんにちは。やさしい言葉にのせて、赤、オレンジ、黄の愛らしいほおずきたちのちいさな冒険を描きます。
こどものとも年少版『はなびがあがりますよ』

こどものとも年少版
『はなびがあがりますよ』


のむら さやか 文/織茂恭子 絵
定価(389円+税)

真っ暗な夜空に打ち上げられた花火が大きく開いて、車や花やくらげなど、色々なかたちに変化します。楽しい擬音と迫力ある貼り絵で表現した絵本です。

こどものとも年中向き『おにいちゃんのサメ』 こどものとも年中向き
『おにいちゃんのサメ』


いしだえつ子 文/吉岡さやか 絵
定価(389円+税)

「うちにサメがいるの。おにいちゃんのサメ」。
妹がお兄ちゃんのそばで動き回っているサメについて、こっそり話し始めました。
こどものとも『あむとあおいりーど』

こどものとも
『あむと あおいリード』


小風さち 作/山口マオ 絵
定価(389円+税)

黒い犬あむは、飼い主に以前可愛がられていた犬に嫉妬しますが、あるお盆の夜、天国からそのライバルがあむの前に姿を現します。

ちいさなかがくのとも『なつの はやしの いいにおい』 ちいさなかがくのとも
『なつの はやしの いいにおい』


舘野 鴻 作
定価(389円+税)


夏の林にただよう、甘ずっぱいにおい。においをたどっていったチョウが見つけたのは、いろんな虫たちでいっぱいの木のくぼみ。

かがくのとも『にほんざりがに』 かがくのとも
『にほんざりがに』


川井唯史、野中俊文 文/浅井粂男 絵
定価(389円+税)

はるか昔から日本に住み続けてきたニホンザリガニ。北の大地で落ち葉を食べながらひっそりと生きる、その生態を紹介します。

たくさんのふしぎ『ちいさなみなみのしまのくらし』 たくさんのふしぎ
『小さな南の島のくらし』

崎山克彦 文/西村繁男 絵
定価(667円+税)

お金をもたなくても豊かに生きているのはなぜだろう? 野球場の広さの島で、島民たちと20数年くらしてきた作者が語ります。
母の友

母の友 
特集1 絵本? おもちゃ? しかけ絵本の世界
特集2 いま、日本(ここ)にある危機

定価(505円+税)

特集1では、しかけ絵本の魅力を通常の絵本と比べて伝えます。特集2では、社会に広がるひずみの原因に、斎藤環、堤未果両氏の話で迫ります。
こちらから8月号の目次をご覧いただけます。

《3》月刊誌編集部からこんにちは
 毎月交代で月刊誌の編集部から、読者の皆様にむけてメッセージをお届けしています。今月は母の友編集部です。

母の友 編集部から

 
 今年度も「絵本があれば、子育てはもっと楽しい。」を合い言葉に、絵本と子育て、毎月2本の特集を柱にお届けしている「母の友」。子どもにどうやって絵本や童話を読んでやったらいいのかという方はもちろん、絵本の魅力をもっと知りたい方、子育ての指針を得たい方、社会で起きていることに意識的でありたい方等々、子どもにかかわるすべての人に向けて、生活者の目線で発信しています。ぜひ一度お手にとっていただけますと幸いです。

 さて明日発売の8月号の特集1では、「しかけ絵本」の世界を覗きます。めくる、引っ張る、飛び出すなど、2次元の本に工夫を施したしかけ絵本は、本の体裁をとってはいますが、その楽しみは通常の絵本とは異なります。多種多様なしかけ絵本の世界と歴史をご紹介しつつ、物語絵本との違いにも迫ります。

 特集2のタイトルは、「いま、日本(ここ)にある危機」。いかめしいように思われるでしょうか? でも今まさに日本は危機に瀕していると私たちは考えます。一見平和なはずの社会は不安だらけ。その不安が弱者へのバッシングなどに向くようにもなってきました。そんな中、集団的自衛権が閣議決定されてしまいました。いったい今、日本に何が起きているのでしょうか。特集では、精神科医の斎藤環さんに、日本人の奥底にある心理の面から、ジャーナリストの堤未果さんに個人の力を超えた社会構造という側面からうかがいます。社会を作っているのは私たち一人ひとりである——その自覚なくして、子どもに豊かな社会を手渡していくことはできません。今後も、ハハトモらしく、読者とともに考えていきたいと思います。

こちらから「母の友」をご覧いただけます。


《4》だるまちゃんブログもお見逃しなく!

先月からはじまったブログ「まるまる だるまちゃん」。もうご覧になりましたでしょうか。フェイスブックやホームページではお伝えしきれない、「濃い」だるまちゃんの話題をお届けしています。今はなかなか読むことのできない、刊行当時の加古さんの思い、一作ごとに掘り下げた深い作品紹介、だるまちゃんに関する最新情報など盛りだくさんの内容で、随時更新中です。

だるまちゃんぶろぐまるまるだるまちゃん

だるまちゃんのえほん7さつセット

だるまちゃんの絵本7冊セット
加古里子 作・絵
セット定価(本体5600円+税)
『だるまちゃんとてんぐちゃん』『だるまちゃんとかみなりちゃん』『だるまちゃんとうさぎちゃん』『だるまちゃんととらのこちゃん』『だるまちゃんとだいこくちゃん』『だるまちゃんとてんじんちゃん』『だるまちゃんとやまんめちゃん』

《5》原画展・イベントのお知らせ

●美術館に行こう! ディック・ブルーナに学ぶモダン・アートの楽しみ方

会期 2014年7月5日(土)~9月7日(日)
休館日

月曜日(7月7日、7月21日、8月4日、9月1日は開館)、7月8日、7月22日、8月5日、9月2日

開館時間 9時40分~18時(入館は閉館の30分前まで)
会場 愛媛県美術館
愛媛県松山市堀之内
問い合わせ先 TEL 089-932-0010
入館料

一般1300円(1100円) 高校・大学生900円(700円) 小・中学生400円(200円)※( )内は前売料金、20名以上の団体料金

関連作品 みんなの人気者ページ「うさこちゃん」

●第34回企画展 世界文化遺産登録1周年記念 「富士山と鉄道」
会期 2014年4月8日(火)~7月21日(月・祝)
休館日 月曜(但し祝日の場合は閉館、翌日休館)
開館時間 10時~17時(入館は閉館の15分前まで)
会場 旧新橋停車場 鉄道歴史展示室
東京都港区東新橋1-5-3
問い合わせ先 TEL 03-3572-1872
入館料

無料

関連作品 たくさんのふしぎ 1986年3月号『御殿場線ものがたり』(品切)


●あべ弘士の動物塾

開催日時

1.2014年5月11日(日) 14時~16時(4月2日より受付開始) 終了
2.2014年6月22日(日)14時~16時(5月1日より受付開始) 終了
3.2014年7月27日(日)14時~16時(6月1日より受付開始)
4.2014年8月23日(土)13時~15時(7月2日より受付開始)

会場 子どもの本専門店 メリーゴーランド
三重県四日市市松本3-9-6
問い合わせ先 TEL 059-351-8226
参加費 各回:大人2,500円 子ども1,500円(※)
年間パス:大人9,000円 子ども5,000円(※) ※小学5年生以上
内容

あべ弘士さんと共に、動物について、生命について、これからの地球について学び合います。
【各回テーマ】
1.いまなぜ動物園が人気なのか?
2.野生動物はいま
3.動物と人間の共存のために
4.動物園へ行こう!


● 開館10周年記念特別企画 薮内正幸の足跡 I
会期 2014年3月21日(金)~7月15日(火)
休館日 毎週水曜日
開場時間 10時~17時(最終日は16時まで)
会場 薮内正幸美術館
山梨県北杜市白洲町鳥原2913-71
問い合わせ先 TEL 0551-35-0088
入場料

高校生以上500円 小・中学生200円 幼児無料

関連作品 『復刊・薮内正幸 日本の野鳥セット』

●NTT西日本スペシャル おいでよ!絵本ミュージアム2014
会期 2014年7月25日(金)~ 8月17日(日)
休館日

会期中無休

開館時間 10時~18時(入館は閉館の30分前まで)
会場 福岡アジア美術館
福岡市博多区下川端3-1 リバレインセンタービル 7・8階
問い合わせ先 NPO子ども文化コミュニティ TEL 092-552-1540
西日本新聞社        TEL 092-711-5513
入館料 一般900円(700円) 高校・大学生600円(400円) 小・中学生400円(300円) 未就学児無料 ※( )内は前売料金、20名以上の団体料金
関連作品 『ロボットのくにSOS』『めっきらもっきらどおんどん』

●もーやんとえっちゃんの絵本原画展 えほんはつづく
会期 2014年6月28日(土)~9月7日(日)
前期:6月28日(土)~8月3日(日) 後期:8月5日(火)~9月7日(日)
休館日

月曜日(祝日の場合は翌火曜日)7月6日(日)休館、7月7日(月)開館(開館記念日のため入館無料)

開館時間 10時~18時(入館は閉館の30分前まで)
会場 BBプラザ美術館
神戸市灘区岩屋中町4丁目2番7号BBプラザ2F
問い合わせ先 TEL 078-802-9286
入館料

一般400円(320円) 大学生以下は無料 ※( )内は前売料金、20名以上の団体料金  

関連作品 『カニ ツンツン』『あみだだだ』ほか

●ハンス・フィッシャー絵本原画展
会期 2014年7月12日(土)~7月27日(日)
休館日

会期中無休

開館時間 9時30分~17時
会場 刈羽村生涯学習センター「ラピカ」第1・2学習室
新潟県刈羽郡刈羽村大字刈羽100番地
問い合わせ先 TEL 0257-20-3102
入館料 入場無料
関連作品 『ブレーメンのおんがくたい』『長ぐつをはいたねこ』

●村岡花子と「赤毛のアン」の世界展
会期 2014年7月4日(金)~9月28日(日)
休館日

月曜日  ただし、7月21日(月・祝)開館、翌22日(火)休館 、8月11日(月)臨時開館 、9月15日(月・祝)開館、翌16日(火)休館

開館時間 10時~17時(入館は閉館の30分前まで)
会場 弥生美術館
東京都文京区弥生2-4-3
問い合わせ先 TEL 03-3812-0012
入館料 一般900円 高校・大学生800円 小・中学生400円
関連作品

『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『アンディとらいおん』『ごきげんならいおん』


●絵本の世界を読み解く—吉田新一講演会「ポターやバートンの世界」
日程

2014年7月13日(日)
10時15分~11時45分 ビアトリクス・ポターの世界
13時15分~15時    バージニア・リー・バートンの世界

会場

野洲市市民活動支援センター(野洲図書館ホール)
滋賀県野洲市辻町410

定員 60名
申し込み方法 7月6日までにFAXでお申し込みください。
FAX 0748-37-5479
問い合わせ先 子ども・本・文化を考える会 TEL 0748-37-5479
参加費 無料
関連作品

『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『ピーターラビットのおはなし』

 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000