あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2014年8月6日 Vol.169
身も心もとろけそうな暑さ! 熱中症にご用心!
 いつも「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 8月はいよいよお盆休み、海へ山へ、そして故郷へと、民族大移動がはじまります。それは普段とはちがう時間、幼いころの自分を取りもどす時間だったり、ご先祖様や戦争で亡くなった人たちに思いをいたす時間だったり、旅は時間も越えるようです。
 今回のエッセイは、そんな夏にぴったりの新刊『夏の朝』の作者、本田昌子さんです。お楽しみに。
《1》新刊『夏の朝』の作者 本田昌子さんのエッセイ
     『夏の朝』によせて  本田昌子
     

 山奥に人知れず咲き乱れる花々の光景。傍らにたたずむひとりの少年。そこから始まる物語の大筋は、もうずいぶん前から私の中にあったような気がします。ただそれが何の花なのか、見つけることができないままに長い年月がたっていました。
 ある日、本棚にあった古い写真集をなにげなく手にした時、山里の沼をいっぱいに埋めつくす古代蓮の写真が目にとまりました。よどんだ水の中から細い花茎を立ちあげて、凛と咲きほこる大輪の花。
 「果実は亀裂を生じ易く、自然発芽することが多い。繁殖の仕方は現在の蓮より原始的で、長いあいだ地中に埋もれ、忘れられていた果実でも、不意に目覚めて発芽することがある」。
 古代蓮が持っているそれらの性質は、探し続けていた物語の主役として、ぴったりの条件を備えていました。やっとめぐりあえた、と心が躍りました。
 私はさっそく、古代蓮を栽培している近隣の植物園や公園、寺院に出かけて、実際の花を観察してみることにしました。ひとくくりに古代蓮といっても地域によって様々な特徴があり、多分に感覚的ではありますが、花の色、大きさ、におい、という三つの要素をかけあわせると、だいたい同じような値になるのではないか、という私なりの見解を得ることができました。たとえば、ある植物園の古代蓮の花は大きいけれど、色は白に近く、においもやさしい。またたとえば、ある公園の古代蓮の花は小さくて淡いピンク色、その分、強い芳香がある、という具合に。それなら私は物語の中で、小ぶりでにおいはほのかに甘く、代わりに燃えるような紅色の古代蓮を咲かせてみたい、と思いました。
 そうして背景が少しずつ明確になってくると、子どものころのエピソードが次々によみがえって、物語をつないでいきました。庭の片隅に咲いていた小さな花。広縁に満ちていた陽の光。家族や友人と交わしたことば。それらは本当にささやかなものばかりでしたが、いったんひとつの場面が脳裏に浮かべば、その時吹いていた風や、草木のにおいや、虫や小鳥たちの声までもが、あとからあとから溢れてきました。それはきっと、もっと見たい、聞きたい、触れたいと、体じゅうで世界を知ろうとしていた子ども時代の旺盛な好奇心も、一緒に思い出しているからでしょう。古代蓮の果実の性質そのままに、とうに忘れたと思っていた記憶の中から不意に現れた、それはうれしい過去の私自身との再会でした。
 新しい出会いもありました。ため息が出るほどに美しい挿絵を描いてくださった木村彩子さんをはじめ、あたたかなご教示をいただいたたくさんの方々との出会いは、これからも永くかけがえのないものとなるでしょう。あの日、本棚で見つけた蓮の花は、確かに過去から未来へと、想いをつなげてくれました。

ほしをもったひめ

著者: 本田昌子(ほんだ まさこ)

1959年、山口県生まれ。山口大学文理学部理学科化学専攻卒業。子どもたちに手描きの絵本を作ることから始め、児童文学を志すようになる。『未完成ライラック』(岩崎書店)で福島正実 記念SF童話賞佳作、『朝がくるまで』(「万里子へ」を改題)(講談社)で講談社児童文学新人賞佳作を受賞。マレーシア在住を経たのち、「スコールでダンス」で児童文学ファンタジー大賞奨励賞、本作で同佳作を受賞。他の著書に『はるかなるサンタ・マリア』(講談社)。東京都在住。

なつのあさ

『夏の朝』
本田昌子 文/木村彩子 画
定価(本体1700円+税)
取り壊されるのを待つばかりの祖父の家。その庭の蓮が花開くとき、時間を越え、少女はいつかの夏へと旅をする。それは、かつてそこに生きた人々の想いをたどる旅だった。


《2》月刊誌最新号<9月号>のご案内
 月刊誌最新号<9月号>は発売中です。

こどものとも0.1.2.『やもりのもりー』 こどものとも0.1.2.
『やもりのモリー』


田村ゆう子 作
定価(389円+税)

おなかを空かせた、やもりのモリー。蛾をみつけて、壁をちょろちょろ懸命に追いかけます。そこへ、ねこがやってきて……。布で制作された人形と背景で表現する写真の絵本です。

こどものとも年少版『たこらすとうみがめのおじいさん』

こどものとも年少版
『たこらすとうみがめのおじいさん』


安江リエ 文/いまき みち 絵
定価(389円+税)

ちびだこのたこらすは、ウミガメのおじいさんの背中に乗って、初めて海の上に出ました。たこらすの胸躍る冒険を描きます。一針一針、丁寧な刺繍で描かれた人気シリーズの3作目。

 

こどものとも年中向き『てつたくんのじどうしゃ』 こどものとも年中向き
『てつたくんのじどうしゃ』


わたなべ しげお 作/ほりうち せいいち 絵
定価(389円+税)

てつたくんが歩いていると、車輪がひとつ、またひとつと転がってきます。さらに心棒、板にエンジンもやってきて、自動車ができあがりました…。
こどものとも『ねぼすけスーザときいろいリボン』

こどものとも
『ねぼすけスーザときいろいリボン』


広野多珂子 作
定価(389円+税)

スーザと仲良しのテレサおばさんに、もうすぐ赤ちゃんが生まれます。スーザは自分が赤ちゃんのときに着ていた服に手編みのリボンを縫い付けて、プレゼントすることにしました。

ちいさなかがくのとも『のこぎりやまの ふしぎ』 ちいさなかがくのとも
『のこぎりやまの ふしぎ』


大橋政人 文/伊藤秀男 絵
定価(389円+税)

のこぎりやまは、てっぺんにギザギザが4つある大きな山です。車にのって出かけたときに窓から見ていると、あれっ? のこぎりやまのギザギザが3つになってる!

かがくのとも『どんぐりを おとしたのは だれ』 かがくのとも
『どんぐりを おとしたのは だれ?』


高柳芳恵 文/はた こうしろう 絵
定価(389円+税)

林を歩いていたら、ドングリの枝が落ちてきた!? 枝を持ち帰って観察したら……。産卵後に枝を落とすという独特の行動をするゾウムシ"ハイイロチョッキリ"の生態に迫ります。


たくさんのふしぎ『サメは、ぼくのあこがれ』 たくさんのふしぎ
『サメは、ぼくのあこがれ』

吉野雄輔 文・写真
定価(667円+税)

サメは、約4億年前に地球上に姿を現してから、ほとんどその姿を変えていません。1本でも傷つくと列ごと生えかわる歯、速く泳ぐための「鮫肌」、特殊な卵のしくみなど、サメのなぞにせまります。



母の友

母の友 
特集1「お年寄りと読む絵本」 特集2「読者手記・あのとき、母として」

定価(505円+税)

お年寄りと一緒に絵本を読む試みが、家庭や老人施設などで始まっています。なぜ絵本を? お年寄りは絵本を楽しむの? どんな絵本がいいの? そんな疑問を、実践する人々にうかがいます。そのほか、母としての気持ちが心をうつ、読者手記2編をご紹介。
こちらから9月号の目次をご覧いただけます。

《3》月刊誌編集部からこんにちは
 毎月交代で月刊誌の編集部から、読者の皆様にむけてメッセージをお届けしています。今月はたくさんのふしぎ編集部です。

たくさんのふしぎ 編集部から

 
 こんにちは、「たくさんのふしぎ」編集部です。
 9月号は『サメは、ぼくのあこがれ』。水中写真家の吉野雄輔さんが、世界各地の海で出会ったサメたちを紹介してくれます。
 サメは、恐竜の出現よりも前に地球上に現れ、そのときからほとんど姿を変えていないと言われています。生物として完成したため、もう進化する必要がなかったからだと。実際、サメは目や耳などが優れ、歯も列ごと抜け替わるなどの特殊なしくみを持っています。
 また、鼻の部分に、ロレンチニ器官と呼ばれる、他の生物にはない感覚器官を持っています。これは他の動物が筋肉を動かすときに生じる微細な電流を関知して、獲物を発見できるという優れもの。
 ところが、この優れた器官は、非常にデリケートにできているため、逆にサメの弱点ともなっているとのこと。ホオジロザメなど大型のサメでも、ここをなでられたり殴られたりすると、一時的に気絶したような状態になるそうです。(不幸にしてサメに襲われたとき、それを利用して逃げられるかもしれない、といった話が、海に潜る人たちの間では、伝わっているそうです)。
 現在、一見人間はこの地球を支配しているように見えますが、その出現はたかだか400万年前。4億年も生き残ってきたサメに比べれば100分の1しか生きていません。吉野さんに言わせると、「生物としてまだ新米のぺーぺー」なのだそうです。

こちらから「たくさんのふしぎ」をご覧いただけます。


《4》誕生50周年記念 ぐりとぐら展 鹿児島で好評開催中!
2013年に誕生から50年をむかえた「ぐりとぐら」。誕生50周年の集大成として、朝日新聞社主催の「誕生50周年記念 ぐりとぐら展」が2014年から2015年にかけて全国を巡回します。
 「ぐりとぐら」の物語7作品をはじめとした170点以上の原画を軸に、大人も子どもも「ぐりとぐら」の世界を楽しむことができる大規模展覧会です。

誕生50周年記念 ぐりとぐら展公式ホームページ
2014年7月20日(日)~8月31日(日)
会場:長島美術館 鹿児島市武3-42-18
開館時間:9時~17時 (入館は閉館の30分前まで)※7月20日は10時開館、8月3日は19時閉館
入館料:一般900円、高・大学生600円、小・中学生300円、幼児100円
お問い合わせ先:TEL 099-250-5400

巡回予定   ※都合により変更になる場合がございます。
2014年 9月 6日(土)~10月13日(月) ひろしま美術館(広島)
2015年 2月17日(火)~ 3月 2日(月) ジェイアール名古屋タカシマヤ(愛知)
2015年 4月11日(土)~5月31日(日)  伊丹市立美術館(兵庫)
2015年 開催予定(日程未定)    いわき市立美術館(福島)

ぐりとぐらののえほん7さつセット

ぐりとぐらの絵本7冊セット
中川李枝子 作/山脇百合子絵
セット定価(本体5600円+税)
みんなの人気者ページもご覧ください。

《5》原画展・イベントのお知らせ
●あべ弘士の動物塾
開催日時

2014年8月23日(土)13時~15時(7月2日より受付開始)

会場 子どもの本専門店 メリーゴーランド
三重県四日市市松本3-9-6
問い合わせ先 TEL 059-351-8226
参加費 各回:大人2,500円 子ども1,500円(※)
年間パス:大人9,000円 子ども5,000円(※) ※小学5年生以上
内容

あべ弘士さんと共に、動物について、生命について、これからの地球について学び合います。
【テーマ】
動物園へ行こう!


● 中脇初枝展「ちゃあちゃんの里帰り」
会期 2014年9月19日(金)~ 11月3日(月・祝)
休館日 会期中無休
開場時間 9時~17時(入館は16時30分まで)
会場 高知県立文学館 2階企画展示室
高知県高知市丸ノ内1-1-20
問い合わせ先 TEL 088-822-0231
入場料

一般500円、高校生以下無料 

関連作品 『こりゃまてまて』

● 平澤朋子原画展 ニルスが出会った物語
会期 2014年8月21日(木)~9月15日(月)
定休日

水曜日(祝日の場合は営業)

開場時間 11時~18時30分
会場 ブックハウス神保町
東京都千代田区神田神保町2-5 北沢ビル1F
問い合わせ先 TEL 03-3261-5691
入場料

無料

関連作品 『ニルスが出会った物語 1まぼろしの町』ほか

●美術館に行こう! ディック・ブルーナに学ぶモダン・アートの楽しみ方
会期 2014年7月5日(土)~9月7日(日)
休館日

月曜日(9月1日は開館)、9月2日

開館時間 9時40分~18時(入館は閉館の30分前まで)
会場 愛媛県美術館
愛媛県松山市堀之内
問い合わせ先 TEL 089-932-0010
入館料

一般1300円(1100円) 高校・大学生900円(700円) 小・中学生400円(200円)※( )内は前売料金、20名以上の団体料金

関連作品 みんなの人気者ページ「うさこちゃん」

●NTT西日本スペシャル おいでよ!絵本ミュージアム2014
会期 2014年7月25日(金)~ 8月17日(日)
休館日

会期中無休

開館時間 10時~18時(入館は閉館の30分前まで)
会場 福岡アジア美術館
福岡市博多区下川端町3-1 リバレインセンタービル7・8階
問い合わせ先 NPO法人子ども文化コミュニティ TEL 092-552-1540
入館料 一般900円(700円) 高校・大学生600円(400円) 小・中学生400円(300円) 未就学児無料 ※( )内は前売料金、20名以上の団体料金
関連作品 『ロボットのくにSOS』『めっきらもっきらどおんどん』

●もーやんとえっちゃんの絵本原画展 えほんはつづく
会期 2014年6月28日(土)~9月7日(日)
休館日

月曜日(祝日の場合は翌火曜日)

開館時間 10時~18時(入館は閉館の30分前まで)
会場 BBプラザ美術館
神戸市灘区岩屋中町4丁目2番7号BBプラザ2F
問い合わせ先 TEL 078-802-9286
入館料

一般400円(320円) 大学生以下は無料 ※( )内は前売料金、20名以上の団体料金  

関連作品 『カニ ツンツン』『あみだだだ』ほか

●片山 健 絵本原画展
会期 2014年8月13日(水)~8月24日(日)
休館日

会期中無休

開館時間 10時~18時(最終日は16時まで)
会場

船橋市民ギャラリー
千葉県船橋市本町2-1-1 船橋スクエア21ビル 3階

片山健さんの講演会があります。
2014年8月16日(土)14:00~  定員100名(要予約)

問い合わせ先 TEL 047-420-2111
入館料 一般500円(前売400円)、中・高校生200円(前売100円)、小学生以下無料
関連作品 『タンゲくん』『たのしい ふゆごもり』など

●村岡花子と「赤毛のアン」の世界展
会期 2014年7月4日(金)~9月28日(日)
休館日

月曜日  ※8月11日(月)臨時開館 、9月15日(月・祝)開館、翌16日(火)休館

開館時間 10時~17時(入館は閉館の30分前まで)
会場 弥生美術館
東京都文京区弥生2-4-3
問い合わせ先 TEL 03-3812-0012
入館料 一般900円 高校・大学生800円 小・中学生400円
関連作品

『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『アンディとらいおん』『ごきげんならいおん』


●平澤朋子さん 装画と挿絵の原画展
会期 2014年7月12日(土)~8月8日(金)
休館日 会期中無休
開館時間 10時~23時(日・祝日は22時、最終日は17時まで)
会場 ジュンク堂書店 池袋本店 8階児童書売り場(原画展示は壁面)
東京都豊島区南池袋2-15-5
問い合わせ先 TEL 03-5956-6111
入館料 無料
関連作品

『ニルスが出会った物語 1まぼろしの町』 『緑の模様画』 ほか


●西巻茅子の世界

会期 2014年7月12日(土)~9月21日(日)
休館日

月曜日 ※9月15日(月)は開館

時間 9時~17時(入館は30分前まで)
会場 鎌倉文学館
鎌倉市長谷1-5-3
問い合わせ先 TEL 0467-23-3911
入場料 一般300(210)円、小・中学生100(50)円 ※( )内は20名以上の団体料金  
関連作品

『うみのおさんぽ』 『おさんぽさんぽ』 『サンタクロースのくるひ』


●かこさとしの世界

会期 2014年7月17日(木)~8月24日(日)
休館日

月曜日(休日の場合は開館)、第四木曜日

時間 9時~17時(入館は16時30分まで)
会場

仙台文学館 企画展示室
仙台市青葉区北根2-7-1

問い合わせ先 TEL 022-271-3020
入場料 一般500円、高校生200円、小・中学生100円  
関連作品

「だるまちゃん」シリーズ


●ゴー・ビトゥイーンズ展 ~こどもを通して見る世界~
会期 2014年5月31日(土)~ 8月31日(日)
休館日

会期中無休

時間 10時~22時(火曜日のみ17時まで、入館は閉館時間の30分前まで)
会場 森美術館
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
問い合わせ先 TEL 03-5777-8600
入館料 一般1,500円  学生(高校・大学生)1,000円  子ども(4歳~中学生)500円
関連作品

福音館書店の児童書を含めた「えほんのとしょかん」コーナーが設けられ、自由に読むことができます。

 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000