あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2014年9月3日 Vol.171
長月とはよくいったもので、秋の長雨、秋の夜長……
 いつも「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 このあいだまであんなに暑かったのに、9月の声を聞くととたんに秋めいてくるから不思議です。朝晩の涼しさに、虫の音に、すっかり秋を感じるようになりました。
 秋といえばお月見。今回のエッセイは、日本最古の物語「竹取物語」の登場人物をすべてカエルで描いた斎藤隆夫さんです。
《1》新刊『かえるの竹取ものがたり』の画家 斎藤隆夫さんのエッセイ
     なぜかえるの竹取物語だったのか  斎藤隆夫
     
かえるのたけとりものがたり

 12年前に『かえるの平家ものがたり』が出版された後、竹取物語をかえるで絵本にしてみたいと思った。さっそく、編集のTさんに申し出たが、この時は見送りになった。面白いものになるだろうぐらいの気持ちだったから、是非にも絵本にしたいと思っていたわけではなかったのだが、仕事の合間にラフスケッチを描いたり、資料集めなどの作業をするようになっていた。誰かの作で絵本か絵巻物でもあればそれを見るだけで気がすんでしまったのかもしれないが、そうした作品はなかったから、自ら描いて見えるものにするほかなかった。見てみたかったというのが本当で、長い年月飽きず、止めもしなかったのはその願望が案外強かったせいだろう。
 3年くらい前に、Tさんから出版に向けての快諾の連絡があった。かつての私の申し出を覚えていてくださったからで、その時には俵万智さんに文をお願いすることも内心決めていた様子だった。俵さんも、こんな“きわどいもの”に、よく文を書いてくださったと思う。お蔭でこの絵本が日の目を見ることができたのだから、お二人にはとても感謝している。“きわどいもの”と書いたのは、“なぜかえるで竹取物語なのか”ということなのだけれど、絵本になるまでに、幾度もたずねられたことだった。これからもたずねられるだろう。
 私がはじめて竹取物語の原作を読んだのは、44、5才にもなってから息子の中学時代の国語の副読本によってだった。幼いころの記憶の中にあったかぐや姫の物語の印象は、一変してしまった。かぐや姫はかなりしたたかであり、竹取の翁は打算的なところがあるようにみえた。貴公子たちは軽薄で、邪で、滑稽であり、かぐや姫への執心ぶりは度を越していると感じられた。物語だからとも思ったが、そうとも言えないとわかったのは平安の殿上人の実際の生活を知ってからで、その後は気味悪ささえ感じた。こうした印象をもって、各々の登場人物の性格に応じた姿の人間で描けば、いやらしい絵本になってしまうのは目にみえていた。同様に色々の動物に当てはめてみてもやはりそうなってしまう。彼らの行状をしゃれのめしてしまう道化者でもいれば、おかしみを生じるから嫌みを逃れるが、その役を負った者はいない。原作を変えてしまうわけにはいかないとなると、登場人物たちが自らの毒気や生々しさを中和させて、おかしみに変えてしまう存在になるしかないと思った。
 かえるにはあの世とこの世の中間でフワフワと夢見心地で生きているような妙な風情がある。その風情が中和作用をもたらすから、うってつけだった。ただしこれは私の一人合点かもしれず、果たして効を奏したのか、古典を貶めることになったのか。いずれにしても、もう少しかえるの世界に入り込んで描いてみてもよかったのではと思っている。

著者: 斎藤 隆夫(さいとう たかお)

1952年埼玉県生まれ。画家。太平洋美術学校卒業。1993年、絵本『まほうつかいのでし』(上田真而子文、福音館書店)で第42回小学館絵画賞受賞。2004年、絵本『かえるの平家ものがたり』(日野十成文、福音館書店)で IBBY(国際児童図書評議会)オナーリストに選定。絵本の仕事に『カガカガ』『ずいとんさん』『あたまがいけ』(以上、日野十成文)、『月にあいにいったアギサ』(伊藤比呂美文)、『おおぐいひょうたん』(吉沢葉子再話)(以上福音館書店)、『これもむしぜんぶむし』『せんりゅうのえほん』(以上、内田麟太郎文、鈴木出版)などがある。長野県在住。

かえるのたけとりものがたり

『かえるの竹取ものがたり』
俵 万智 文/斎藤隆夫 絵
定価(本体1800円+税)
日本最古の物語、かぐや姫の話から生まれたユニークな絵本です。おじいさんが竹林で女の子をみつけて育てました。やがて、女の子の美しさは国中の評判になりました……。


《2》月刊誌最新号<10月号>のご案内
 月刊誌最新号<10月号>は発売中です。

こどものとも0.1.2.『ぱんぱん あーん』 こどものとも0.1.2.
『ぱんぱん あーん』


すとう あさえ 文/堀川理万子 絵
定価(389円+税)

「ぱんぱん あーん」とパンが口をあけます。「ウィンナーさん、レタスさん、おはいんなさい」。ウィンナーとレタスが勢いよくパンに飛び込み、ウィンナーサンドのできあがり!





こどものとも年少版『おばけ!ほんと?』

こどものとも年少版
『オバケ! ホント?』


岡田善敬 作
定価(389円+税)

身の回りにある何の変哲もない物に白い布をかけて目を付けると・・・オバケに早変わり! 見慣れた園の風景が一変します。園のあちこちに現れる、いろいろな姿かたちのオバケたち。


 

こどものとも年中向き『てつたくんのじどうしゃ』 こどものとも年中向き
『クルトンさんと パンのきかんしゃ』


宮嶋ちか 作
定価(389円+税)

クルトンさんは出会った相手にその場でパンを焼いてふるまう優しいパン屋さんです。ある町で、クルトンさんは、電車が止まって困っているサーカス団長とトラの子に出会います・・・。

こどものとも『きりぎりすくんとよるのおんがくたい』

こどものとも
『キリギリスくんと よるのおんがくたい』


伊藤知紗 作
定価(389円+税)

キリギリスくんは、マツムシくん、スズムシくん、コオロギくん、クツワムシくん、ウマオイくんの夜の音楽隊と一緒に演奏したいのですが、昼の虫なので夜になるとどうしても眠くなってしまい・・・。



ちいさなかがくのとも『こんにちは またあした』 ちいさなかがくのとも
『こんにちは またあした』


工藤直子 文/はた こうしろう 絵
定価(389円+税)

秋の野原で女の子はいしころをみつけました。そこに、いろんな生きものがやってきます。そのひとつひとつに「こんにちは」と語りかけながら、いしころとじゃんけんをしたり……すてきな時間をすごします。



かがくのとも『す~は~』 かがくのとも
『す~は~』


坂井 治 作
定価(389円+税)

私たちはいつでもどこでも、いつのまにか呼吸をしています。きれいな空気があって安全に呼吸できることは、生物が生きていく前提なのです。呼吸を通じて、自分の体と自然環境について考えてみましょう。

たくさんのふしぎ『きのぼりゴリラ』 たくさんのふしぎ
『木のぼりゴリラ』

山極寿一 文/阿部知暁 絵
定価(667円+税)

野生のゴリラにはヒガシゴリラとニシゴリラがいますが、動物園のゴリラ舎は、ヒガシゴリラの暮らしに合わせてつくられていたのです。ところが、ニシゴリラの研究が進むにつれて、両者の暮らしに大きな違いがあることがわかってきました。




母の友

母の友 
特集1「科学の目をもつということ」 特集2「だっこのふしぎ」

定価(505円+税)

「科学」と聞いて、何を思い浮かべますか? 特集1では、現代の大人が失いかけた科学する心と、子どもの日常にあふれる科学の喜びを、「見る」をキーワードに、中村桂子氏×茂木健一郎氏の対談から考えます。特集2では、だっこをしない親が多いといわれる中、ベビーカーにはない、だっこの効用を考えます。


こちらから10月号の目次をご覧いただけます。

《3》月刊誌編集部からこんにちは
 毎月交代で月刊誌の編集部から、読者の皆様にむけてメッセージをお届けしています。今月はこどものとも第二編集部です。

こどものとも第二編集部から

 
 こんにちは。こどものとも第二編集部です。赤ちゃんや年少さんという小さい子どもに届ける月刊絵本をつくっている私たち。「おもしろい!」「いいな」 とシンプルに思える感覚が一番大切です。その感覚を大切にしながら、「赤ちゃんならどう感じるかな?」に思いをめぐらす毎日です。
 10月号の「こどものとも年少版」は、写真絵本『オバケ! ホント?』。園を舞台に色々な形のオバケが現れます。オバケはすべて、実際の布をさまざまなモノに掛けてつくっています。使った布は大中小の3種類あり、大きいものは長辺7mもあります。限られた時間の中で、自然なオバケに見える形やひだを調整しながらの、楽しくもたいへんな撮影でした。子どもたちはオバケが大好き。「ホントはオバケじゃないよ」とわかっていても、心のどこかで「でも、もしかしたら……」と思っています。ユニークなオバケがたくさん登場するこの絵本、オバケの正体をあてっこしながら、親子で楽しんでください。
 「こどものとも0.1.2.」の10月号は『ぱんぱん あーん』です。「おはいんなさい」というやわらかな言葉に合わせて、ロールパンや食パンなどが「あーん」と口を開きます。そこに飛び込むのは、ウィンナー、コロッケ、フルーツなどの具材たち。色々なサンドが次々にできあがる楽しい展開です。そしてこの絵本に描かれたパンのおいしそうなこと! 赤ちゃんが思わず手を伸ばすことうけあいの絵本です。

★こちらから「こどものとも年少版」をご覧いただけます。
★こちらから「こどものとも0.1.2.」をご覧いただけます。

《4》「あのねぶっくくらぶ」2014年度後期申し込み受付中!

 福音館書店が自信をもっておすすめする、選りすぐりの絵本と童話を毎月1冊 ずつ、お子さまの成長にあわせてみなさまのお手元に直接お送りする「あのねぶ っくくらぶ」は、2014年度後期半年分(2014年10月~2015年3月)のお申し込み を、ただ今受付中です!

  ★あのねぶっくくらぶのご案内

《5》誕生50周年記念 ぐりとぐら展 今度は広島で開催!
2013年に誕生から50年をむかえた「ぐりとぐら」。誕生50周年の集大成として、朝日新聞社主催の「誕生50周年記念 ぐりとぐら展」が2014年から2015年にかけて全国を巡回します。
 「ぐりとぐら」の物語7作品をはじめとした170点以上の原画を軸に、大人も子どもも「ぐりとぐら」の世界を楽しむことができる大規模展覧会です。

誕生50周年記念 ぐりとぐら展公式ホームページ
2014年9月6日(土)~10月13日(月)
会場:ひろしま美術館 広島市中区基町3-2
開館時間:9時~17時 (入館は閉館の30分前まで)※9月6日は10時開場
入館料:一般1200円(1000円)、高・大学生900円(700円)、小・中学生500円(300円)※( )内は、前売りおよび団体(20人以上)の料金
お問い合わせ先:TEL 082-223-2530

巡回予定   ※都合により変更になる場合がございます。
2015年 2月17日(火)~ 3月 2日(月) ジェイアール名古屋タカシマヤ(愛知)
2015年 4月11日(土)~5月31日(日)  伊丹市立美術館(兵庫)
2015年 開催予定(日程未定)    いわき市立美術館(福島)

ぐりとぐらののえほん7さつセット

ぐりとぐらの絵本7冊セット
中川李枝子 作/山脇百合子絵
セット定価(本体5600円+税)
みんなの人気者ページ ぐりとぐらもご覧ください。

《5》原画展・イベントのお知らせ

● 中脇初枝展「ちゃあちゃんの里帰り」

会期 2014年9月19日(金)~ 11月3日(月・祝)
休館日 会期中無休
開場時間 9時~17時(入館は16時30分まで)
会場 高知県立文学館 2階企画展示室
高知県高知市丸ノ内1-1-20
問い合わせ先 TEL 088-822-0231
入場料

一般500円、高校生以下無料 

関連作品 『こりゃまてまて』

● 平澤朋子原画展 ニルスが出会った物語
会期 2014年8月21日(木)~9月15日(月)
定休日

水曜日(祝日の場合は営業)

開場時間 11時~18時30分
会場 ブックハウス神保町
東京都千代田区神田神保町2-5 北沢ビル1F
問い合わせ先 TEL 03-3261-5691
入場料

無料

関連作品 『ニルスが出会った物語 1まぼろしの町』ほか

●美術館に行こう! ディック・ブルーナに学ぶモダン・アートの楽しみ方
会期 2014年7月5日(土)~9月7日(日)
休館日

月曜日(9月1日は開館)、9月2日

開館時間 9時40分~18時(入館は閉館の30分前まで)
会場 愛媛県美術館
愛媛県松山市堀之内
問い合わせ先 TEL 089-932-0010
入館料

一般1300円(1100円) 高校・大学生900円(700円) 小・中学生400円(200円)※( )内は前売料金、20名以上の団体料金

関連作品 みんなの人気者ページ「うさこちゃん」

●もーやんとえっちゃんの絵本原画展 えほんはつづく
会期 2014年6月28日(土)~9月7日(日)
休館日

月曜日(祝日の場合は翌火曜日)

開館時間 10時~18時(入館は閉館の30分前まで)
会場 BBプラザ美術館
神戸市灘区岩屋中町4丁目2番7号BBプラザ2F
問い合わせ先 TEL 078-802-9286
入館料

一般400円(320円) 大学生以下は無料 ※( )内は前売料金、20名以上の団体料金  

関連作品 『カニ ツンツン』『あみだだだ』ほか

●村岡花子と「赤毛のアン」の世界展
会期 2014年7月4日(金)~9月28日(日)
休館日

月曜日  ※8月11日(月)臨時開館 、9月15日(月・祝)開館、翌16日(火)休館

開館時間 10時~17時(入館は閉館の30分前まで)
会場 弥生美術館
東京都文京区弥生2-4-3
問い合わせ先 TEL 03-3812-0012
入館料 一般900円 高校・大学生800円 小・中学生400円
関連作品

『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『アンディとらいおん』『ごきげんならいおん』


●西巻茅子の世界
会期 2014年7月12日(土)~9月21日(日)
休館日

月曜日 ※9月15日(月)は開館

時間 9時~17時(入館は30分前まで)
会場 鎌倉文学館
鎌倉市長谷1-5-3
問い合わせ先 TEL 0467-23-3911
入場料 一般300(210)円、小・中学生100(50)円 ※( )内は20名以上の団体料金  
関連作品

『うみのおさんぽ』 『おさんぽさんぽ』 『サンタクロースのくるひ』


●JBBY40周年記念トーク企画「子どもの本のこれから—未来への贈りもの」
日時 2014年10月12日(日)
時間 14時~16時
会場 川口基督教会
大阪市西区川口1-3-8
問い合わせ先 主催 JBBY(日本国際児童図書評議会) ※申し込み方法はJBBYにお問い合わせください。
TEL 03-5228-0051
参加費 一般1000円、高校生以下無料
概要 角野栄子さんをホスト役に、荒井良二さん、金原瑞人さんをゲストに招き、子どもの本について語ります。
※11月に福岡(ゲスト ひこ・田中さん、令丈ヒロ子さん)、2015年1月に東京(ゲスト あべ弘士さん、穂村弘さん)で開催予定

●ブラティスラヴァ世界絵本原画展
会期 2014年9月27日(土)~ 11月9日(日)
休館日

月曜日(10月13日、11月3日は開館)、10月14日(火)、11月4日(火)

時間 9時~17時(入館は30分前まで)※10月25日(土)は20時まで開館(入館は30分前まで)
会場

かわら美術館
愛知県高浜市青木町9-6-18

問い合わせ先 TEL 0566-52-3366
入場料 高校生以上600円(480円)、中学生以下無料  ※( )内は前売、20名以上の団体料金  
関連作品

『きこえる?』 『おうさまのおひっこし』 『馬の草子』



 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000