あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2014年12月3日 Vol.177
サンタクロースの橇も走る、師走

 いつも「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 12月になりました。夕方にはすぐに日が落ちて、駅前広場にも、住宅街の庭先にも、イルミネーションのきらめきがまぶしく感じられます。
 今回のエッセイは、新刊のクリスマス絵本『まよなかの ゆきだるま』の作者 森 洋子さんです。こちらも美しい夜の風景を、どうぞお楽しみください。

《1》新刊『まよなかの ゆきだるま』 の作者 森 洋子さんのエッセイ
     歩き出すゆきだるま     森 洋子
     
まよなかのゆきだるま

 冬の朝、目を覚ますと気配がいつもとちがいます。外の音が聞こえてきません。あっ、もしかすると。雨戸を開けるといちめんの銀世界です。子どものころ、東京育ちの私には雪は珍しく、朝から大張り切りでした。学校に早々に出かけます。一番乗りの校庭はまっさらな巨大な画用紙です。一筋の線を引いて横切ります。木造校舎の窓ガラスには雪が張りつき、誰もいない教室は繭の中のようです。一時間目から授業返上で雪遊びです。校庭は合戦場に変わり、びしょ濡れの落ち武者たちが達磨ストーブの周りに集まると、だれかのどこかがこげる匂いがしてきます。
 さんざん遊んで、学校から帰ると、もう一仕事です。この絵本のあっちゃんのようにゆきだるま作りにとりかかります。町のあちこちで子どもたちがゆきだるまを作っています。雪玉はギシギシと音をたて大きく重たくなっていきます。全力の力仕事で汗ばんできます。そうして日が暮れるころにやっとゆきだるまは完成しました。次の日はすっかり晴れて屋根の雪も解け、雨樋がせわしく音をたてています。学校から雪かきされた乾いた道を帰ってくると、私のゆきだるまは解けかかって悲しくゆがんでいました。私はその前で友人を失ったような泣きたい気持ちになりました。私のゆきだるまは、あっちゃんのゆきだるまのように夜中に出歩いたのか定かではありませんが、確かに私の友人でした。
 『まよなかの ゆきだるま』ではゆきだるまたちが自分を作ってくれた子どもたちのために奮闘します。子どもたちが待ちに待っているサンタクロースの窮地を救うのです。子どもにとってクリスマス・イブの晩にやってくるサンタクロースは、目撃しなくても疑いようのない実在です。そして子どもたちのゆきだるまも、夜更けに月光の下、動きまわっても不思議ではありません。しゃべり出し、歩き出す友人なのです。
 『まよなかの ゆきだるま』の制作中、サンタクロースの橇(そり)のシーンで悩んだ問題がありました。「サンタクロースの橇は空中で静止できるのだろうか」ということです。「飛んでいないと落ちてしまうのではないでしょうかね」などと二人の編集者の方と私の三人でしばらく机を囲んで考えました。私はその時、大の大人が三人揃って真剣にそのことを考えていることが面白くてしかたありませんでした。そして大切なのはこれなんだと思いました。ファンタジーは子どもも大人も真剣に全力で完成させるものだと思います。絵本『まよなかの ゆきだるま』がクリスマス・イブの晩にサンタクロースの手からたくさんの子どもたちに届くとうれしいです。

著者: 森 洋子(もり ようこ)1959年、東京生まれ。東京芸術大学美術学部絵画科卒業。同大学院修了。2001年、個展「森洋子絵写真電車」が東急世田谷線にて1ヵ月間運行される。2005年、絵本草稿『路地裏の鬼』が文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品になる。2008年、絵本『かえりみち』(トランスビュー)、『満月村』(共著・パロル舎)、『きりがみであそぼう』(共著・西東社)、2013年、『ぼくらのひみつけんきゅうじょ』(PHP研究所)を刊行。「こどものとも」に『おるすばん』(「こどものとも」2013年2月号)がある。神奈川県在住。

まよなかのゆきだるま

『まよなかの ゆきだるま』
森 洋子 作
定価(本体800円+税)
クリスマス・イブ、あっちゃんは雪だるまをつくります。その夜、サンタさんのそりが丘の木に引っかかり、あっちゃんと雪だるまは助けに行きます。

《2》月刊誌最新号<1月号>のご案内
 
こどものとも0.1.2.『おっしくっらまんじゅう』 こどものとも0.1.2.
『おっしくっら まんじゅう』


おかい みほ 作
定価(本体389円+税)

トマトさんとりんごさんが「さむいねえ」といって、おしくらまんじゅうをはじめたら、ほっかほかとあたたまって赤くなりました。

こどものとも年少版『くつくつだいすき』

こどものとも年少版
『くつくつだいすき—こんなくつあったらいいな


スギヤマ カナヨ 作
定価(本体389円+税)

こんなくつ、あったらいいな。ボヨーンってはずむボールぐつ、ペタペタ歩けるかえるぐつ、ピクニックしたくなるはらっぱぐつ!

こどものとも年中向き『まほうのひょうたん』 こどものとも年中向き
『まほうのひょうたん—スリランカの昔話』


シビル・ウェッタシンハ 再話・絵/松岡享子 訳
定価(本体389円+税)

ある日、ひどい洪水になり、お百姓たちは大きなひょうたんの中に避難しました。スリランカを代表する絵本作家によるとぼけた楽しい昔話絵本。

こどものとも『たんじょうびのきのみ』

こどものとも
『ごぶじろう—日本の昔話』


稲田和子 再話/いなだ なほ 絵
定価(本体389円+税)

おばあさんの指から生まれたごぶじろうは、おじょうさんの供をして金比羅参りへと出かけます。小さな者が活躍する昔話です。



ちいさなかがくのとも『こすってこすって』 ちいさなかがくのとも
『こすって こすって』


福知伸夫 作
定価(本体389円+税)

紙をかぶせてクレヨンでこすると、でてきたでてきた、きれいなもよう、ふしぎなかたち。うちわをこすると? 葉っぱはどうかな?

かがくのとも『くもをみつけよう』 かがくのとも
『クモを みつけよう』


小林俊樹 文/石橋真樹子 絵
定価(本体389円+税)

丸い網を張るクモ、糸を一本だけ張るクモ、土の中に暮らすクモ、網を張らないクモなど、身近にいる様々な種類のクモを紹介します。

たくさんのふしぎ『くらやみのつりしぐろーわーむ』 たくさんのふしぎ
『暗闇の釣り師グローワーム』

小原嘉明 文/石森愛彦 絵
定価(本体667円+税)

幻想的な光をはなつ虫、グローワーム。暗くて湿った洞窟にすむこの虫の、苦労がたえないエサとりを紹介します。

母の友

母の友 
特集1 物語の中の地図
特集2 「菌」と暮らす

定価(本体505円+税)

特集1は、絵本や童話に出てくる地図から子どもの世界を探ります。特集2は、抗菌・消臭グッズ全盛の今、知っておきたい体への影響を。


こちらから1月号の目次をご覧いただけます。

《3》月刊誌編集部からこんにちは
 毎月交代で月刊誌の編集部から、読者の皆様にむけてメッセージをお届けしています。今月はかがくのとも編集部です。

かがくのとも編集部から

 クモをさがして

 「かがくのとも」1月号は『クモを みつけよう』。身近なさまざまな場所にいるクモをご紹介する絵本です。クモというと「キャー」と思われる方も多いことでしょう。でも、もしクモがいなかったら、あなたの身のまわりは、カやハエ、ガやゴキブリなどの虫だらけになってしまうかもしれません。そう考えるとクモの存在がありがたく感じてきませんか?
 この絵本に登場するクモたちと出会うため取材に出かけ、ほぼすべてのクモを実際に見たのですが、前半の主役オニグモだけなかなか出会えません。体も大きいし普通種なので、すぐに見つかると思ったのですが。「このままでは絵ができあがらない。どうしよう?」焦る気持のまま休日に家族で散歩していました。すると都営住宅の階段入り口に壊れかけた網があり、横の蛍光灯の上にちょこんとオニグモが鎮座しているではありませんか! 「な、なにか入れるもの!!」「化粧品を入れてある袋ならあるけど、何に使うの?」「いいから早く貸して!」いぶかる妻の手から袋をもぎとると、すぐに捕獲しました。やった! 家に帰った後、妻から徹底的な袋洗いを命ぜられたのはいうまでもありません。
 寒さが厳しくなると、クモは活動をやめてしまうので、その姿を見る機会はめっきり減ってしまいます。でも、成体で越冬するクモもたくさんいて、公園の樹木のネームプレートの裏などで隠れているクモを見つけることができます。寒さに耐えながら、じっと春を待つクモの姿を皆さんも探してみて下さい。

★こちらから「かがくのとも」をご覧いただけます。


《4》クリスマス・セレクションのご案内

クリスマスセレクション 今年もクリスマス・プレゼントに最適なクリスマスの絵本・冬の絵本をそろえて、クリスマス企画を展開しています。

 こちらの企画ページからご注文いただいた方には、『ブレーメンのおんがくたい』(ハンス・フィッシャー 絵)の絵柄をかわいらしくデザインしたオリジナル袋(ポリエチレン製)にご注文の品を入れて、12月20~22日ごろお届けできるようにお送りします。

 特に今年は、新刊『まよなかの ゆきだるま』の絵柄のクリスマス・カードもお付けします。また、大人の方へのプレゼントにおすすめの本も選んでみました。

 このサービスのお申し込みは12月15日(月)15時で締切となります。お早めにぜひどうぞ。
くわしくはこちらをご覧ください。
★2014クリスマス・セレクション

クリスマス・セレクション42点の中から、その一部をご紹介します。


《対象年齢:0才から2才》

『くつくつあるけのほん』

「くつくつあるけのほん」(全4冊)

林 明子 作
セット定価(本体2800円+税)
0才から

『くつくつあるけ』、『おててがでたよ』、『おつきさまこんばんは』など、赤ちゃんの日常に寄り添った楽しい絵本4冊セット。

『くりすますのふしぎなはこ』

『クリスマスのふしぎな はこ』

長谷川摂子 文/斉藤俊行 絵
定価(本体800円+税)
2才から

クリスマスの前の日の朝見つけた箱を開けると、サンタさんの姿が見えました。箱の中を見る度にサンタさんは家に近づいてきます。クリスマスのわくわく感がいっぱいの絵本。

《対象年齢:3才から4才

『さんたさんからきたてがみ』 『サンタさんからきたてがみ』

たんの ゆきこ 作/垂石眞子 絵
定価(本体800円+税)
3才から


クリスマスの前の日、郵便屋さんは手紙を雪の中に落としてしまい、一通だけ宛名が濡れて読めなくなってしまいました。さて、誰にきた手紙だったのでしょう……?

『くりすます・いぶのおはなしせっと』 「クリスマス・イブのおはなしセット」(全3冊)

長尾玲子 作
セット定価(本体1713円+税)
3才から


イブの日、小さな女の子あっちゃん、ケーキ屋さん、サンタさんの、それぞれつながりあった3つの心温まるお話。刺繍で描かれた素敵な絵本です。

 

『くりむのしろいきゃんばす』

『クリムのしろいキャンバス』

イ ヒョンジュ 作 /かみや にじ 訳

定価(本体1500円+税)
4才から

自分で描いた雪の森に入っていったクリム。困っている動物たちを助けるため、雪のキャンバスにクレヨンで絵を描くと……。

『さむがりやのさんた』

『さむがりやのサンタ』

レイモンド・ブリッグズ 作/菅原啓州 訳
定価(本体1200円+税)
4才から

狭い煙突の通路に文句をいいながら、プレゼントを配達して歩くサンタのおじいさん。ほんとはちょっと気むずかしやで寒がりなんです。

《対象年齢:一般》
『きょう』 『今日』


伊藤比呂美 訳/下田昌克 画
定価(本体1400円+税)

世界中で、赤ちゃんを育てている母親たちを励ましている詩を、1冊の本にしました。日本のすべてのお母さんに。

『えほんさっかのあとりえさんさつせっと』 『絵本作家のアトリエ3冊セット』

福音館書店母の友編集部 編・著
セット定価(本体4600円+税)

人気絵本作家をそのアトリエに訪ね、作家の人生と作品に込められた思いを美しい写真とともに伝える、すべての絵本ファンに贈るシリーズです。

《5》原画展・イベントのお知らせ

● 「『かいちゅうでんとう』刊行記念 みやこし あきこさん 原画展 
会期 2014年11月11日(火)~12月10日(水)
休み 会期中無休
時間 9時~21時 ※最終日は20時まで 
会場

丸善 丸の内本店
東京都千代田区丸の内1-6-4 丸の内オアゾショップ&レストラン1~4階

問い合わせ先 丸善丸の内本店 和書グループ 03-5288-8881(営業時間 9:00~21:00)
入場料

無料 


●あずみ虫の世界展 ぴたっ!
会期 2014年11月1日(土)~12月7日(日)
休館日

月曜日

時間 10時~17時(入館は16時30分まで)
会場

木城えほんの郷
宮崎県児湯郡木城町石河内475

問い合わせ先 TEL 0983-39-1141
入場料

一般500円、小・中学生・高校生300円

関連作品

『ぴたっ』 『いもむしってね…』


●秋山とも子 石川えりこ タカタカヲリ「三人三様」展
会期 2014年12月8日(月)~ 12月13日(土)
休館日

会期中無休

時間 11時~18時30分(最終日は17時まで)
会場 檜画廊
東京都千代田区神田神保町1-17
問い合わせ先 TEL 03-3291-9364
入場料

無料

関連作品

『ボタ山であそんだころ』 『でんしゃがまいります』


●リマッピング日比谷プロジェクト2014 都市と森の境界に現れるアート

会期 2014年11月21日(金)~ 12月7日(土)
休館日

会期中無休

時間

月~金:10時~22時 土:10時~19時 日・祝:10時~17時

会場

日比谷図書文化館 ※片山健さんの絵本の原画が展示されます。
東京都千代田区日比谷公園1番4号(旧・都立日比谷図書館)
リマッピング日比谷プロジェクト2014についてはこちら

問い合わせ先 実行委員会事務局:TEL 03-5155-2511
  入館料

無料

関連作品

『おなかのすくさんぽ』



 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000