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 ★  あのねメール通信〜福音館書店メールマガジン  2003年5月7日 Vol.18 ★
                

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         ◆◇◆  CONTENTS  ◆◇◆          

《1》 絵本を遊ぶ 松居直
《2》 月刊誌最新号<6月号>のご案内
《3》 「母の友」編集室の窓から
《4》 『野あそびずかん』著者・松岡達英さんのエッセイ
《5》 5月の新刊・福音館文庫のご案内

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《1》絵本を遊ぶ 松居直
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 四月から五月にかけては、初めて幼稚園や保育園にあがるお子さんたちがいま
す。今まで毎日を家族とくらしていた子どもが、お友だちやいろいろの人に出会う
ことになります。そのなかでいちばん気になる存在は、何といっても“せんせい”
という人です。“せんせい”って一体どういう人でしょう?
 お母さんやお父さんは、新入園のわが子に、先生ってなあに、先生ってどういう
人なのかを、説明できる方がおられますか? 学校の先生とも違うし、ご近所のお
ばさんやおじさんとも違う、先生ってどういう人なのかは、子どもにとっては大問
題です。そこで絵本『せんせい』の登場となります。
 この絵本は、お子さんに読んであげる前に、まずお母さんとお父さんがじっくり
と真剣−−これが大切です−−に読んでみてください。大人を馬鹿にしているなど
と思わないで、まずはじめに挿絵をよく見て、絵を読んでください。その上で文章
を一語一語ていねいに、声に出して読みます。
 この絵本の画家の長新太さんは、絵で子どもに語りかける名人です。大人にとっ
ては一見無雑作に、あるいは出鱈目(でたらめ)にさえ見える長新太さんの挿絵
は、実は子どもにとっては無類なほど雄弁に話しかける絵です。このおもしろさが
わからないと、絵本を読む力はないとさえいえるほどです。
 作者の大場牧夫さんは童話作家ではありません。わが国屈指の正真正銘の保育者
で、幼稚園のすばらしい園長先生でした。しかも子どもたちと遊ぶことにかけて
は、かなう人がいない先生でした。子どもの気持や好奇心に対する観察力と洞察力
は、舌を巻くばかりです。そんな先生が、子どもたちに“せんせい”とは何か、ど
んな人かを語っているのですから、初めて先生と出会う子どもたちにぜひ読んで、
子どもとともに楽しんでください。
 親といっしょにこの絵本を楽しんだ子どもの心には、いきいきとした先生像がで
きるでしょう。親といっしょに『せんせい』を楽しんだ体験は、子どもに安心感と
ユーモアという余裕と笑いを与えます。そして先生と遊べるというわくわくするよ
うな期待感を生みだし、その実現をねがって家を出るでしょう。
 これは絵で遊び、眼で遊び、言葉で遊び、耳で遊ぶ、先生と遊ぶ絵本です。

                                 松居直
『せんせい』 大場牧夫 文/長新太 絵



松居直(まつい ただし)
児童文学家。京都生まれ。1951年同志社大学法学部卒業後、福音館書店の創業に参
画し、編集部長、社長、会長をへて、1997年より相談役、現在に至る。1956年月刊
物語絵本「こどものとも」を創刊し、編集長として赤羽末吉、長新太、堀内誠一、
安野光雅、加古里子、中川李枝子など、多くの絵本作家を世に出す。また、『もも
たろう』(1965年サンケイ児童出版文化賞受賞)『だいくとおにろく』や、陶淵明
の詩をもとにした『桃源郷ものがたり』など多数の絵本を執筆。著書は、『絵本と
は何か』『絵本の森へ』(日本エディタースクール出版部)、『絵本・ことばのよ
ろこび』『子どもの本・ことばといのち』(日本基督教団出版局)、『にほんご』
(共著、福音館書店)、『絵本の力』(共著、岩波書店)など多数。

★『ももたろう』 松居直 文/赤羽末吉 画
★『だいくとおにろく』 松居直 再話/赤羽末吉 画
★『桃源郷ものがたり』 松居直 文/蔡皋 絵


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《2》月刊誌最新号<6月号>のご案内
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☆月刊誌最新号<6月号>発売中です。

◇◆ こどものとも0.1.2.『にわとりの たまご』
              増田 純子 作                ◇◆
 にわとりのお母さんと3羽のひよこたちの微笑ましいやりとりを描きました。シ
ンプルな形と鮮やかな色が美しい貼り絵絵本。

◇◆ こどものとも年少版『すきすきぼうし』
            スギヤマカナヨ 作       �          ◇◆
 帽子大好きな人も、あまり好きではない人も、この絵本を見たらぜったいに欲し
くなる帽子に出会えます!

◇◆ こどものとも年中向き『ぼくがちょっと よこをむいていたら』
             得田之久 作/吉野晃希男 画 �         ◇◆
 ぼくがちょっと横を向いてきいちごを食べていたら、葉っぱが消えバッタが消え
……。食べたのは誰だ? ユーモラスな絵本です。

◇◆ こどものとも『ばらのことり』
          よこみちけいこ 作                  ◇◆
 亡くなったお母さんが好きだったばらの茂みに小鳥が落ちていた。ふうこは叫び
ます。「ばらからことりがうまれたよ!」と。

◇◆ ちいさなかがくのとも『はっぱ はらっぱら はっぱっぱ』
                多田多恵子 文/齋藤正光 絵          ◇◆
 びりりり。ぴっ。しゅるるる。はっぱをちぎってみよう。ふしぎなもようができ
た! 汁や糸が出てきたり、うわ、においがする!

◇◆ かがくのとも『かお みえるかな』
         U.G.サトー 作                      ◇◆
 魚や野菜をあちこちにおくと、あら不思議、顔になりました。しかも表情までわ
かるではありませんか。楽しい視覚遊びの絵本です。

◇◆ おおきなポケット【かがく】「ある日たんけんたい」
                金 斗鉉 作
           【ものがたり】「かんがえるカエルくん・いのち」
                  いわむらかずお 作    �      ◇◆
(かがく)初夏の野山歩きを通して、雑木林や川などの自然の中での発見や遊びを
紹介します。
(ものがたり)今回は<いのち>がテ−マです。おなじみカエルくんとネズミくん
がいのちってどこからくるんだろうと考えます。

◇◆ たくさんのふしぎ『変形菌な人びと』
           越智典子 文/伊沢正名 写真/牛尾篤 絵       ◇◆
 「植物? 菌類? それとも動物?」昔からたくさんの人が、分類からはみ出た
へんな生きもの、変形菌のとりこになってきました。

◇◆ 母の友 特集“テレビゲームは子どもの敵?”             ◇◆
 テレビゲームがなぜ子どもたちをとりこにするのでしょうか。その原因を探りな
がら、テレビゲームが子どもに及ぼす影響を考えます。

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《3》「母の友」編集室の窓から
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 夜電車に乗っていると、塾帰りでしょうか、子どもたちの集団を見かけることが
あります。そして、彼らはたいがい手に携帯ゲームを持ち、一心不乱に画面を眺
め、素早く指を動かしています。その動く指のあまりの早さに感心しながら、瞬時
のうち様々な判断を下すために、今彼らの頭はフル回転しているのだろうなと何と
なく思っていました。
 ところが、どうやらそうではないらしい。ゲームの種類にもよりますが、むしろ
ゲームをしている間、脳のある部分はほとんど働いていない。つまりお休みしてい
るというのです。
 実はそれがわかったのは、ごく最近のことでした。テレビゲームが人体に及ぼす
影響については、今までほとんど研究テーマとして取り上げられてきませんでし
た。ここに来てようやく、テレビゲームに実際に触れてきた若い世代の研究者を中
心に、ゲームと人体との関係について研究が始まっています。
 今回の特集では、そのテレビゲームの人体に及ぼす影響に焦点を絞って取り上げ
ています。

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《4》『野あそびずかん』著者・松岡達英さんのエッセイ
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「野あそびずかん」の舞台は新潟県川口町です。
 ここは私の生まれ故郷長岡から車で30分くらいの、農業それも主に魚沼こしひ
かりの産地です。
 魚沼三山が見える魚野川は、魚や鳥、昆虫など、とても生物が多く、さらに源流
はスケールの大きな谷川連峰ですから、たいへん魅力的な場所です。
 川口町の駅の裏は100メートル以上の高さの河岸段丘が続いていて、少年のこ
ろ下の国道をバスで通る時、この丘の上にはきっとすごい自然があるにちがいない
と思っていました。コナン・ドイルの「ロスト・ワールド」を彷彿とさせる魅力的
な場所にちがいないと、考えていたのでしょうか。

 縁あって憧れのこの丘にアトリエを構えるまでは、その奥にいくつもの集落が
あって、そこには昔日を偲ばせる素晴らしい情景があるとは思ってもいませんでし
た。その中でも木沢地区は特に好きで、友だちがたくさんできました。集落は500
世帯、小学校が一つ、生徒は今年四人になってしまいます。お年寄りだけの家も多
いのですが、皆元気に働き活気があります。初めてここを訪れた時、畑仕事をして
いる人に道を聞いただけなのにサツマイモやエダマメを「もって行け、どうせムジ
ナの餌になるだけだ」と言って私たちにどっさりくれました。物をくれるからいい
所だという訳じゃないのですが、とにかく素朴で優しい人が多いのです。外出する
時は家の外からしんばり棒をかけて、”ただいま留守”の印にしているくらいです
から悪い人もいないのでしょうか。ちょっと都会では考えられないことです。
 ここには集落の中心になっているただ一軒の商店があり、人々の社交場であり、
生活必需品を賄う場所でもあります。私たちもすぐにここの女店主みっこさんと友
だちになりました。方言の強い言葉はとても強烈で、よそから来た子どもたちは怖
がります。その日二つ目のアイスを買いに行ったりすると「アイスは一日一つで十
分だ、体に悪い」と言って子どもたちは説教されてしまいます。利益よりも子ども
の躾を大切にしてくれる優しい人なんです。ここは村人たちの溜まり場で、その人
たちに動物や植物の情報を聞きに私たちもよく行きます。
 真夏以外はいつもストーブがあってヨモギ茶のヤカンが湯気を上げています。そ
れを飲ませてもらいながら漬物なんか食べていると、つい時間を忘れてしまいそう
になる、心地よい団欒がそこにはありました。冬はカジカ、夏はアユを炭火で焼
く、金治さんという魚焼き名人の仕事場でもあります。時々彼が獲ってきたカジカ
をみっこさんが素揚げにして、醤油をかけた料理は川魚とは思えない美味しさで
す。山菜や茸もここに集まってくるので、資料のための写真を撮ったり秘密のポイ
ントを教えてもらったり、珍しい郷土料理をご馳走になったりと、すでにここの常
連になりつつあります。

 こんな人たちに囲まれてモリアオガエルの産卵やハッチョウトンボの観察など手
近ですぐにやれてしまうのですから、私はなんと素敵な仕事場を手に入れてしまっ
たのだろうと、感動してしまいます。昨年の春「キツネの巣穴があった」という情
報を知らせてくれた人がいて、私に教えたあと妻にこっそり聞いたそうです。「と
ころで先生は、昼間からいつも虫取りネットを振り回して昆虫採集したり、あちこ
ちふらついて、悪い人じゃなさそうだけど一体何の仕事をしているんだ?」 悲し
むべきか否か、ここでは絵本作家などという仕事はなかなか理解してもらえない所
なのでした。

 しかし、このような自然の豊かな環境では、私が作っているような自然の絵本は
必要ないのかと考えてしまいました。どこを向いても絵本以上の自然ばかりなので
すから。
                                松岡達英

 
★『野あそびずかん』 松岡達英 作

松岡達英
 1944年、新潟県生まれ。自然科学のイラストの世界で活躍している。著書に
『ぼくのロボット大旅行』『地面の下のいきもの』『冒険図鑑』(福音館書店)、
『ツーティーのうんちはどこへいった?』(偕成社)、『だんごむし そらを と
ぶ』(小学館)など、多数。
  昨年春から越後川口にアトリエをかまえ、捕虫網と釣り竿と絵筆が手放せない
日々をおくっている。

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《5》5月の新刊・福音館文庫のご案内
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【福音館文庫】
≪5月13日(火)配本予定≫
★『アライグマ博士と仲間たち【全3話】』
 ベン・ルーシャン・バーマン 作/アリス・キャディ 画/木島始 訳
◎なまずがふちに住む動物たちが、洪水や、狩人、ずるがしこいキツネから、ふる
さとを守り抜くユーモアあふれるお話。

★『名医ポポタムの話−ショヴォー氏とルノー君のお話集3』
 レオポルド・ショヴォー 作/出口裕弘 訳
◎カバのお医者ポポタムは「患者が死んでからこそ私の出番」と、自ら発明した糊
やポンプを駆使して、けたはずれの治療を……。

【新刊】
≪5月7日(水)配本予定≫
★『いーは と あーは』
  やぎゅう げんいちろう 作
◎君の歯はどんな歯? あーっと口を大きく開けて見てみよう。友達と見比べるの
も楽しいよ。いろんな歯について楽しく考えていく科学絵本です。

★『コッコさんとあめふり』
  片山 健 作
◎毎日毎日、雨降りです。コッコさんはてるてるぼうずを作りますが、なかなか雨
はやみません。そこでコッコさんはてるてるぼうずに色々なものを詰めますが…。

★『ポットくんとわたげちゃん』
  真木文絵 文/石倉ヒロユキ 絵
◎タンポポのわたげが空をうめつくすように飛んでいきます。でも、とり残された
3本のわたげちゃん、はたして飛べるのでしょうか。

≪5月21日(水)配本予定≫
★『菜の子先生がやってきた!−学校ふしぎ案内●つむじ風の一学期』
  富安陽子 作/YUJI 画
◎誰でも会うことはできないけれど、運がよければ会えるという「菜の子先生」。
ひとたび学校に現れれば、そこは痛快・まかふしぎワールドに!



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