あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2015年2月4日 Vol.181
春立ちぬ。南の国から出発したかな?

 いつも「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 暦の上では春が始まりましたが、きびしい寒さと豪雪は相変わらず日本付近に居すわっています。それでも2月に入って、新聞に「球春到来」の文字が躍りだすと、なんだか気分だけはあたたかくなるから不思議です。
 春は引っ越しのシーズン、今月はモンゴルの遊牧民の雄大な引っ越しを描いた絵本『トヤのひっこし』の作者インタビューをお届けします。

《1》新刊『トヤのひっこし』 特別インタビュー
ガンバートルさん ボロルマーさんが語る『トヤのひっこし』とモンゴルのくらし
    
トヤのひっこし

G…ガンバートルさん B…ボロルマーさん T…編集担当者

――この本がうまれたきっかけを教えてください。
T:10年前にモンゴル大使館でボロルマーさんの絵が展示されていたのを見て、「面白い」と思ったんです。日本では、引っ越しといえばトラックでたくさんの段ボールを運んでいくイメージだけど、モンゴルの遊牧民の日常的な引っ越しというのを日本の子どもたちにもイメージしてほしいなと思い、お願いしました。でも、お二人とも都会育ちですよね、本に描かれたような引っ越しをしたことはありますか?
B:私はウランバートルに生まれ育ったので…。一般的にモンゴル人は引っ越しが好きです。私はそんなに好きじゃないけれども(笑)。
G:引っ越しは子どものころから楽しみでした。冬のあいだは都会のマンションで過ごしていて、春になると別荘に行きます。父は風景画家だったので、風景を描くために家族でいろいろなところに行きました。そのときはテントによく泊っていました。モンゴルの遊牧民たちは、天気や家畜の様子・特性などを見ながら1年に4~10回も移動することがあります。引っ越しは当たり前のことです。欠かせないものですね、遊牧民の特徴です。
T:それでも今、電気製品を多く使うようになって、引っ越しは難しくなったんじゃないですか? 
G:本のようにラクダを使って移動するのは少なくなっていますね。都会から近い草原だと、移動に車を使うことが多いです。都会から離れているところだけ、ラクダを使っていますね。こういう遊牧民生活はだんだん少なくなっているので、絵本の中にも残していきたいです。
T:本の中で描かれているラクダは5匹ですよね、ほかの家畜は数えていますか?
B:作る前に決めていました。牛は2匹、羊は21匹、ヤギは7匹です。
T:全編をとおしてちゃんとあっているから、すごいなと思いました。遊牧民はちゃんと数えるんですね(笑)。
B:ページごとに二人で数えて、確認して(笑)。

――作品では家畜以外にも動物の親子がたくさん描かれていますね。
B:去年、草原によくスケッチしにいきました。そのとき、しんとしたというか、そんな感覚になりました。穏やかな草原でも、よく気をつけると、バッタとか鳥など自然の音がして、たくさんの虫がいて、いろいろな生き物が生きているという感じがしました。そういう自然の素晴らしさをだしたいと思いました。

―― 一枚の絵を描くのに、どれくらい時間がかかるんですか。

B:描くのは早いんですけど、構図をどうするのかなど、ラフスケッチに時間がかかります。色はあまり考えないですね。色は心の中からあふれて、でてるものだから。
T:ガンバートルさんは、文章を書くとき何をイメージしたんですか?
G:こういうモンゴルの引っ越しというのは身近なものでした。子どものころの思い出などもまじえ、自分が移動しているつもりで書きました。絵であらわすのが難しいモンゴルの文化などを、文章にしました。遊牧民のふつうの生活を書いています。
T:大きな事件があるわけではないけど、えんえんと歩き続けて、ゴビ砂漠を抜けて、「新しい土地についた」というところまで読むと、感動しますね。モンゴルは草原だけのようにみんな思っているけど、実際はいろんな地形がある。この本ではぜんぶ描いていますね。
B:南はゴビ砂漠があって、まんなかは草原で、北は高い山が連なる森林地帯です。そういう違いもこの本に描きたかったです。いろんなモンゴルの風景を感じてもらいたいです。
T:日本の人も中国の人も、生涯何回引っ越したか数えられるくらいだから、モンゴルの人のように年に4回引っ越すという、そういう世界は知らないですよね。絵本を読んでまた別の世界を知るということはとても大事なことです。子どもたちから好かれる本になってほしいな。
B:雲の家族も引っ越ししています。最初から…。
T:気づかなかった! 今度いろいろ説明してもらわないと(笑)。

著者:
イチンノロブ・ガンバートル(Ichinnorov Ganbaatar)
モンゴル文化芸術大学美術部卒業。2004年、第14回野間国際絵本原画コンクールで奨励賞を受賞。大学時代の同級生でもある妻のボロルマーと絵本や紙芝居を多数創作している。『センジのあたらしいいえ』(こどものとも年中向き)、『いしのおもちゃ』(こどものとも)、『こくこくこっくん』(こどものとも0.1.2)(以上、福音館書店)、紙芝居『おじいさんとトラ』(童心社)などがある。埼玉県在住。

バーサンスレン・ボロルマー(Baasansuren Bolormaa)
モンゴル文化芸術大学美術学部卒業。2008年に来日、日本を拠点に絵本作家、イラストレーターとして活躍。2004年第14回野間国際絵本原画コンクールにおいて『ぼくのうちはゲル』(石風社)がグランプリを受賞、2013年ボローニャ国際絵本原画展入選など、受賞多数。絵本に『モンゴルの黒い髪』(石風社)、『お月さまにいるのはだあれ?』(文教大学出版事業部)、『おかあさんとわるいキツネ』(福音館書店)、『バートルのこころのはな』(小学館)、『ゴナンとかいぶつ』(偕成社)などがある。埼玉県在住。

とやのひっこし

『トヤのひっこし』
イチンノロブ・ガンバートル 文/バーサンスレン・ボロルマー 絵/津田紀子 訳
定価(本体1500円+税)
トヤという女の子が家族とともに引っ越します。何日も歩いたある日、家畜たちがいっせいに走り出しました。なんと、美しい湖が現れ、新しい放牧地にたどり着いたのです! モンゴルの遊牧民のくらしを描いた絵本。

《2》月刊誌最新号<3月号>のご案内
 
こどものとも0.1.2.『のびのび おはよう』 こどものとも0.1.2.
『のびのび おはよう』


こばやし えみこ 文/池谷陽子 絵
定価(本体389円+税)

「ぱくぱく あさごはん」「ちゃぷちゃぷ おふろ」。幼い子どもの一日をシンプルでリズミカルな言葉と温かく存在感のある絵で描きます。

こどものとも年少版『はるをみつけたよ』

こどものとも年少版
『はるをみつけたよ』


平野恵理子 作
定価(本体389円+税)

つくしんぼうをみつけたよ。小さな花も咲いている。ちょうちょにおたまじゃくし、いちごにさくら餅。身の回りには春がいっぱい!

こどものとも年中向き『さくら ひらひら とんぴんぴん』 こどものとも年中向き
『さくら ひらひら とんぴんぴん』


わたり むつこ 作/ましま せつこ 絵
定価(本体389円+税)

桜の木の下でおこる、日本の情緒あふれるファンタジー。さくらことさくらたろうとの、不思議な出会いの物語。

こどものとも『たまごを うって こぶたを かって』

こどものとも
『たまごを うって こぶたを かって—ブルガリアの昔話』


八百板洋子 再話/日置由美子 絵
定価(本体389円+税)

卵を100こ運ぶ若いお百姓。空想に夢中になりすぎて、うっかり手を離してしまいます。失敗がかなしくもおかしい、東欧の昔話。



ちいさなかがくのとも『ちいさくてもできたあ』 ちいさなかがくのとも
『ちいさくても できたあ!』


いとう せつこ 文/進藤恵子 絵
定価(本体389円+税)

ドアストッパーに、せんたくばさみ……。ちいさな道具たちが、おおきなものを相手に大活躍します。ちいさくったって力もち!

かがくのとも『はなこさんはどうだった?』 かがくのとも
『ハナコさんは どうだった?』


古川タク 作
定価(本体389円+税)

ゾウは頭が毛だらけで、まつげが長くて、しっぽが細い? 全体だけじゃなくて、部分も見ることが本当に知るということなのです。

たくさんのふしぎ『くもといと』 たくさんのふしぎ
『クモと糸』

池田博明 文/荒川 暢 絵
定価(本体667円+税)

クモは、数種類の性質のちがう糸をつかいわけ虫をつかまえます。繊細な糸をたよりに狩りをするクモの美しい世界をご案内します。

母の友

母の友 
特集1 子どもの遊び場を考える
特集2 音からはじまる「ことば」の世界

定価(本体505円+税)

特集1では、今、どんどん窮屈になっている子どもの遊び場について考えます。特集2では赤ちゃんが「ことば」をどう捉えるかに迫ります。
こちらから3月号の目次をご覧いただけます。

《3》月刊誌編集部からこんにちは
 毎月交代で月刊誌の編集部から、読者の皆様にむけてメッセージをお届けしています。今月はたくさんのふしぎ編集部です。

たくさんのふしぎ編集部から

 こんにちは、たくさんのふしぎ編集部です。
 人間誰しも、苦手なものがあります。私の場合は、「漬け物」です。食卓におしんこがあがっていたりすると、それだけで落ち着かない気持ちになります。でも、「たくさんのふしぎ」に漬け物の企画が寄せられたりしたら……そこは仕事ですから、きちんと正面から向き合いましょう。
 生き物をテーマに扱うことが多い「たくさんのふしぎ」編集部ですが、実は、は虫類が苦手、昆虫が苦手、といったメンバーがおりまして、それらの人は、「この写真、気持ち悪い?」「うわぁ」、「こっちのカットなら耐えられる?」「まぁ、なんとか」といった具合で、掲載する絵柄の限界を試す実験台に使われております。
 さて、3月号は『クモと糸』。クモもまたその姿のせいか、人から毛嫌いされる生き物の代表格です。しかしクモの巣については、朝露や雨で飾られたときなど、その造形の見事さに感心したことがある人も多いのではないでしょうか。
 クモは種類によってすむ場所が異なり、糸で作る巣にも、様々な形があります。臆病な生き物であるクモは、長い時間をかけて糸の種類や巣作りに工夫をこらし、生きる場所を広げてきたのです。
 この本を読むと、そんなクモたちのけなげさが心に染みわたります。「クモが苦手」な人でも、きっとクモの巣は探してみたくなってしまうことうけ合いの、美しい絵本です。

★こちらから「たくさんのふしぎ」をご覧いただけます。


《4》2015年の月刊誌刊行予定をお知らせします!

 2015年度の月刊誌ラインナップをホームページで公開しました。福音館書店では、お子さんの年齢にあわせて選べる月刊誌を用意しています。ものがたり絵本からかがく絵本まで、子どもたちの想像と好奇心をひろげるバラエティ豊かなラインナップです。4月号から、ぜひ月刊誌の定期購読をはじめてみませんか。

★各誌のラインナップをご覧になりたい方はこちらへ! 

★2015年度の月刊絵本のご案内パンフレットもございますので、どうぞご利用ください。お申し込みはこちらから。

《5》原画展・イベントのお知らせ


●ブラティスラヴァ世界絵本原画展
会期 2015年1月4日(日)~ 3月1日(日)
休館日

1月5日(月)、2月2日(月)

時間 10時~18時、金・土は20時まで ※入場受付は閉館の30分前まで
会場

千葉市美術館
千葉市中央区中央3-10-8

問い合わせ先 TEL 043-221-2311
入場料

一般800円(640)円、大学生560円(450円)
※小・中学生、高校生、障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
※( )内は前売券・団体20名以上、および市内在住65歳以上の方の料金

関連作品

『きこえる?』 『おうさまのおひっこし』 ほか


●バーサンスレン・ボロルマー展—青い草原の少女—

会期 2015年1月26日(月)~2月7日(土)
※作家在廊日 2月4日13時~19時、2月5日11時~19時、2月7日11時~17時
休廊日

日曜日

時間 11時~19時 土曜日は17時まで
会場 Pinpoint Gallery
東京都港区南青山5-10-1二葉ビルB1F
問い合わせ先
TEL 03-3409-8268
入場料 無料
作家作品

『おかあさんとわるいきつね—モンゴルのおはなし』 『トヤのひっこし』 など


●絵本作家かこさとし川崎の思い出
日時 2015年2月17日(火)~3月15日(日)
休室日 2月25日(水)午前中、3月1日(日)全日
会場 川崎市立中原図書館6階多目的室(PDF)
神奈川県川崎市中原区小杉町3-1301
問い合わせ先 TEL 044-722-4932
入場料 無料
概要 かこさとしさんが、川崎市在住当時の子どもたちとのふれあいの中で描いた、川崎のスケッチや子どもたちの作品などを初公開します。


 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000