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 ★ あのねメール通信~福音館書店メールマガジン  2003年6月4日 Vol.19 ★
                

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         ◆◇◆  CONTENTS  ◆◇◆          

《1》 これぞ絵本! 松居直
《2》 月刊誌最新号<7月号>のご案内
《3》 「母の友」編集室の窓から
《4》 『菜の子先生がやってきた!』の著者・富安陽子さんのエッセイ
《5》 6月の新刊・福音館文庫のご案内
《6》 福音館文庫創刊一周年キャンペーン“わたしが選ぶ 福音館文庫!”の
    おしらせ

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《1》これぞ絵本! 松居直
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 滋賀県の安土町立図書館の太田典子館長さんよりいただいたお便りのなかに、ご
自身で保健センターに出向かれて、二歳児たちに『ちいさなねこ』を読んでやった
ら、「子どもたちは本当に真剣な顔で絵本をみていました」と記されていました。
それを読んでわたくしは、“我が意を得たり”という思いがしました。
『ちいさなねこ』は文も絵も写実的な手法で表現された物語絵本の傑作で、正統派
絵本の典型のような作品です。「こどものとも」の一冊として1963年5月に出
版され、以来40年間、いまなお「こどものとも傑作集」として読み継がれていま
す。これからもこの絵本の魅力は変わることはないでしょう。子どものものの見方
や感じ方の真実を見抜いて、眼に見えるような文章表現と、連続性と変化を踏まえ
た物語構成で語りかけるこの物語は、幼児向けの創作物語のお手本です。
 最近の絵本や物語に決定的に欠けているのは、日常性と生活感です。それは子ど
もの育ちを支える大切な物語体験が薄れていることを意味します。
『ちいさなねこ』は、“いつ・どこで・だれが・なにを・どうして・どうなった
か”という、物語の骨組となる起承転結がみごとに構成されています。また子猫と
子ども・自動車・犬の関係に、小と大の対照がたくみに組立てられてドラマをもり
あげ、最後は堂々としたお母さん猫の登場で締めくくられています。
 子猫の無防備な行動と、お母さん猫の注意深い行動の対比は、幼児にハッと気づ
かせるものがあるでしょう。ただしそうした読み取りや意味を、読み手が子どもに
解説したり、教えたりすることは禁物です。
 子どもたちにおもねったいわゆる絵本らしい表現のさし絵ではなく、物語の連続
性と場面変化を映画的な手法で、正統的な写実に徹した絵画表現が、この物語に真
に迫った緊張感と、また反面おおきな安心感とを与えています。後半に登場するお
母さん猫の存在感は、子猫を口にくわえて運ぶという驚きを伴いながら、子どもの
納得と共感とをかきたてるでしょう。
 お母さんが居て、よかったネ!

                                 松居直

『ちいさなねこ』 石井桃子 作/横内 襄 絵


松居直(まつい ただし)
児童文学家。京都生まれ。1951年同志社大学法学部卒業後、福音館書店の創業に参
画し、編集部長、社長、会長をへて、1997年より相談役、現在に至る。1956年月刊
物語絵本「こどものとも」を創刊し、編集長として赤羽末吉、長新太、堀内誠一、
安野光雅、加古里子、中川李枝子など、多くの絵本作家を世に出す。また、『もも
たろう』(1965年サンケイ児童出版文化賞受賞)『だいくとおにろく』や、陶淵明
の詩をもとにした『桃源郷ものがたり』など多数の絵本を執筆。著書は、『絵本と
は何か』『絵本の森へ』(日本エディタースクール出版部)、『絵本・ことばのよ
ろこび』『子どもの本・ことばといのち』(日本基督教団出版局)、『にほんご』
(共著、福音館書店)、『絵本の力』(共著、岩波書店)など多数。

★『ももたろう』 松居直 文/赤羽末吉 画
★『だいくとおにろく』 松居直 再話/赤羽末吉 画
★『桃源郷ものがたり』 松居直 文/蔡皋 絵

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《2》月刊誌最新号<7月号>のご案内
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☆月刊誌最新号<7月号>発売中です。

◇◆ こどものとも0.1.2.『あめかな!』
              U.G.サトー 作               ◇◆
 ポツポツと雨が降ってきたと思ったら、ざあざあの大雨に。でも、雨上がりの地
面からは湯気がのぼり、美しい色が咲きます。

◇◆ こどものとも年少版『サッチンのあかいくつ』
           さくらいともか 作                   ◇◆
  お父さんの革靴、お兄ちゃんの運動靴、おじいちゃんの下駄など、さまざまな履
物が登場します。でもサッチンの一番のお気に入りは赤い靴。

◇◆ こどものとも年中向き『じかきむしのぶん』
             松竹いね子 作/堀川 真 画            ◇◆
 葉の表面に白い線を書く“字かき虫”が卵から成虫になって葉っぱから飛び立つ
までを、やわらかい色使いでほのぼのと描きます。

◇◆ こどものとも『おとのさま』
          ただよしひと 作                        ◇◆
 小さな村の小さなお城のおとのさま。「わしはりっぱなおとのさま……」と歌い
ながら、村人たちを助けますが……。ピュアな絵本。

◇◆ ちいさなかがくのとも『かげは どこ』
            木坂 涼 文/辻 恵子 絵                ◇◆
 ぼくとかげは、いつもいっしょ。でも、ときどきかげは、ふしぎなんだよ。ぐー
んとのびたり、かっくんおれたり、ゆらゆらしたり。

◇◆ かがくのとも『ぼく、だんごむし』
         得田之久 文/たかはしきよし 絵               ◇◆
  だんごむしは誰もが知っている“むし”です。でも、その生態は意外と知られて
いません。あっと驚く生態をユーモラスに描きます。

◇◆ おおきなポケット【かがく】「どうして どうして どうしてなの」
                しばはら・ち 作
           【ものがたり】「こっこものがたり」
                  山村輝夫 作            ◇◆
(かがく)なのくんの日曜日一日の口から発したどうしてどうしての疑問集です。
子どもの中にわき起こるたのしくむずかしい疑問がぎっしりです。
(ものがたり)3きょうだいの家にこっこ(馬)が生まれます。そこに鹿のこっこ
が迷い込んできておはなしは展開していきます。

◇◆ たくさんのふしぎ『野菜の花が咲いたよ』
           北條純之 文/写真                  ◇◆
 ふだん食べる部分しか見ることのない野菜。しかし野菜も植物。実に美しい花を
咲かせます。花の美しさを通じ、野菜の生命を実感!

◇◆ 母の友 特集“子どもの歯”                    ◇◆
 歯に関して知っておきたい基本知識、むし歯の予防や治療について、また、歯と
体の発達について、様々な角度から考えます。


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《3》「母の友」編集室の窓から
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 今月号の特集は「子どもの歯」。虫歯や歯並びのことなど、気になるあれこれ
を調べてみました。
 日頃はついつい敬遠してしまう「歯医者さん」ですが、今回の取材ではたくさん
の興味深いお話を聞くことができました。
「歯医者さんにも虫歯はあるのですか? 虫歯になったらどうやって治療するので
すか?」など、子どものころから気になっていたことも、この機会とばかりに質問
してみました。答えは、「もちろん。虫歯なんかいっぱいありますよ」「信頼して
いる友人の歯科医に診てもらいます」とのことでした。
 もう一つ、担当が一番気になっていたことについても、恐る恐る聞いてみまし
た。「夜ビールを飲んで寝てしまったら、やはり虫歯になりますか?」
 答えは「なります。原料が麦芽糖ですから」とのこと。そうですか、やっぱ
り・・・。がっくりと肩を落とした担当者、今後は「寝る前ビール」は控えること
にします。
 そんな楽しい(?)取材の日々でしたが、ただひとつ困ったことが。虫歯につい
てのお話を聞いた後には、なぜか、無性に「甘い物」が食べたくなるのです。取材
の帰り、「打ち合わせ」と称して、何度「ケーキ」を食べにいったかわかりませ
ん。
 というわけで、虫歯はもちろん、「体重計」のほうが気になってしまった担当者
二人なのでした。


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《4》『菜の子先生がやってきた!』の著者・富安陽子さんのエッセイ
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 小学校時代の私は苦労多い日々を送っていました。…というのも、学校での毎日
は私にとって、ピンチの連続だったからです。小学校に入学して、まず最初に私が
追い詰められたのは、給食の時間でした。アルマイトのお皿の上に、トーストして
いない2枚の食パンがのっかっているのを見た時、私は心底驚いて言葉を失いまし
た。トーストせずに食パンを食べる! しかも、2枚も?! おまけに給食では、
その食パンといっしょに、ケンチン汁だとかヒジキの煮つけなんかを食べなければ
ならならないのです。ひどい時には、キツネうどんまで登場しました。私はそれま
で、キツネうどんと食パンを一緒に食べたことがなかったので、これはいったい、
どうなっているんだろうと途方に暮れてしまいました。それでも、クラスの中には
必ず給食の達人のような男の子がいて、私が食パンの耳をかじっている間に、その
子は、2枚の食パンとおカズを平らげ、お代わりまでしてのけるのです。達人でな
い私は、給食の時間の度に大ピンチに陥り、掃除の時間が始まっても、まだお皿の
上のパンとにらめっこしている始末でした。
 小学校に入学した時、担任の先生がおっしゃっていた言葉を思い出します。
「学校で、何か困ったことがあったら、何でも先生に相談してくださいね」
 ところが、私にとって、学校の生活というのは困ったことだらけでしたし、先生
はいつも私を助けてくれるとは限りませんでした。むしろ、その頃の私は、先生が
私をピンチに追いこんでいるような気がしていたのです。もちろん、大人になった
今では、あれが先生のせいではなかったことがよくわかります。先生は何も私を困
らせようとして「給食を残してはいけません」と言ったわけではありません。私を
困らせたくて、難しいツルカメ算の問題を解かせたり、「県庁所在地を覚えなさ
い」と言ったわけではないでしょう。
 でも、あの頃の私は、心のどこかで、救世主の登場を待っていました。
「富安さん。給食はこっそり残しても構いませんよ。だいたい、キツネうどんと食
パンを一緒に食べろなんて言う方がまちがっています」…そんなことを言ってくれ
る先生が、いつかは現われはしまいか。「富安さん。ツルカメ算なんて放っておき
なさい。何匹いるのかわからないツルとカメの足の数だけがわかっているなんて、
そんなバカげた話は聞いたこともありませんよ」…誰かが、そう言ってはくれまい
か。…そして、いつしか私の心の中には、菜の子先生という不思議な先生が住みつ
いていたのです。私が、学校の中で、ちょっぴり不安になったり、何かにつまずい
たり、心細くなった時、うす暗い廊下の向うから菜の子先生がやってきます。菜の
子先生は、学校の中の見えない迷い道に入りこんだ子どもの前にだけ現われます。
 今もどこかで、救世主の登場を待ちわびている子どもたちが、このお話を読んで
くれたらいいな…と思っています。
                                富安陽子

 
★『菜の子先生がやってきた!』 富安陽子 作/YUJI 画

富安陽子
 いま、もっとも力と勢いのある児童読み物の書き手のひとり。小社刊『やまんば
山のモッコたち』(改訂版)で、IBBYオナーリスト賞受賞。『クヌギ林のザワ
ザワ荘』(あかね書房)、「小さなスズナ姫」シリーズ(偕成社)などでもさまざ
まな賞を受ける。「ムジナ探偵局」シリーズ(童心社)を好評展開中。絵本の文の
仕事も多く、小社では『ケンカオニ』『まゆとおに』など。「やまんばの娘まゆ」
シリーズはさらに続いていく予定。

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《5》6月の新刊・福音館文庫のご案内
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【福音館文庫】
≪6月10日(火)配本予定≫
★『パディントン フランスへ パディントンの本4』
 マイケル・ボンド 作/ペギー・フォートナム 画/松岡享子 訳
◎ブラウンさん一家が夏休みにフランスを旅行する計画を立てたときから大騒動が
……。一家は無事に旅行できるのでしょうか。
 
★『魔女の宅急便 その2 キキと新しい魔法』
 角野栄子 作/広野多珂子 画
◎魔女のキキと黒猫ジジの宅急便屋さんは2年目をむかえ、町の人にもすっかりお
なじみになりました。そんなキキに大問題が……。

★『秘密の花園』
 フランシス・H・バーネット 作/猪熊葉子 訳/堀内誠一 画
◎両親を亡くした少女メリーは、ふしぎな謎に満ちた大きなお屋敷に引き取られま
す……。出会いと再生の一大ロマン。

★『ピーター・パンとウェンディ』
 J・M・バリー 作/石井桃子 訳/F・D・ベッドフォード 画
◎大人になることを拒否した少年ピーター・パンに連れられて、ウェンディたちは
ネヴァーランドへ飛んでいきます……。

★『ロビンソン・クルーソー』
 D・デフォー 作/坂井晴彦 訳/B・ピカール 画
◎世界中の子どもたちに読みつがれて足かけ四世紀を経た、孤島物語の傑作。美麗
な挿絵をそえて贈る「決定版」です。

【新刊】
≪6月4日(水)配本予定≫
★『人形の旅立ち』
  長谷川摂子 作/金井田英津子 画
◎なおが出会った、もうひとつの空は……。子ども時代にたちもどり、山陰の故郷
の町で紡ぎだされた5つの連作ファンタジーを収める。

≪6月11日(水)配本予定≫
★『ネネンとミシンのふしぎなたび』
  角野栄子 作/原ゆたか 絵
◎ネネンはスットビサーカスの女の子。いよいよきょう、たまのりでデビューで
す! ところが大たつまきがサーカスをふきとばし……。

★『イエローストーンの子グマ ジョニーベアー シートン動物記1』
  アーネスト・T・シートン 作・絵/今泉吉晴 訳
◎ホテルで残った食べ物がすてられてできた、ごみの山にやってくる甘えん坊の子
グマ、ジョニーを描いた動物物語の傑作。

★『ワタオウサギの子どもの物語 ラギーラグ シートン動物記2』
  アーネスト・T・シートン 作・絵/今泉吉晴 訳
◎ある日、ラギーラグの巣のそばでふしぎな音がしました。ラグが巣から頭を突き
だすと……。ワタオウサギのラグの冒険を描いた物語。

★『カランポーのオオカミ王 ロボ シートン動物記3』
  アーネスト・T・シートン 作・絵/今泉吉晴 訳
◎シートンがニューメキシコでであったオオカミの群れのリーダー、ロボと人間の
たたかいと、ロボをふくむすべてのオオカミへのシートンの愛を描いた動物物語。

≪6月18日(水)配本予定≫
★『ちびねこグルのぼうけん』
  アン・ピートリ 作/古川博巳・黒沢優子 訳/大社玲子 絵
◎ちょっと短気でやんちゃな子猫がくり広げる、愉快で楽しいお話。こんなに魅力
的で、けなげな子猫にはそう簡単にはお目にかかれません。

★『ユウキ』
  伊藤遊 作/上出慎也 画
◎サッカー少年・ケイタの前に現れる転校生は、いつも「ユウキ」。四番目にやっ
てきた長い髪の不思議少女は、数々の奇跡を起こすのだが……

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《6》福音館文庫創刊一周年キャンペーン“わたしが選ぶ 福音館文庫!”の
   おしらせ
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この6月、「福音館文庫」は創刊一周年を迎えました。
これを記念して、このたび“わたしが選ぶ 福音館文庫!”と題して、
読者の方から作品リクエストを募集することになりました。
福音館書店50年の刊行作品の中で、あなたがもう一度読んでみたい作品は?
あなたの一票が2004年度の「福音館文庫」を創ります。
皆様の思い出の一冊、心に残る作品をぜひお寄せください。

<応募要領>

 専用応募はがきまたは官製はがきにリストの候補作品(小社ホームページに6月
10日より掲載の予定)の中から、刊行ご希望の作品を3つ以内でお書きいただ
き、ご住所・お名前・電話番号・年令をお書き添えのうえ、下記宛お送りくださ
い。
 また、福音館書店ホームページからもご応募いただけます。(6月10日より)

締め切り 2003年8月末日(当日消印有効)
作品の決定発表 2003年11月中旬 小社ホームページ、新聞紙上にて。
賞品 応募者全員の中から抽選で300名様にオリジナル図書カード(1000円
分)をお送りいたします。なお、当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせてい
ただきます。賞品の発送は12月上旬を予定しています。

*リクエスト作品の刊行時期は、2004年6月を予定しています。
*応募およびお問い合わせ 
〒113-8686 東京都文京区本駒込6-6-3 福音館書店 「わたしが選ぶ
福音館文庫!」係


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◆発行者:株式会社 福音館書店 販売促進部 宣伝企画課
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