あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2015年6月17日 Vol.190
雨の日は、本を読むのにぴったり?

 「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 雨が降ったりやんだり、変わりやすい天気が続きます。子どもたちにとっては、長靴をはいて雨の中を遊ぶのも楽しいものです。でも、家の中でゆっくり絵本を読むのもいいですね。どちらも、子どもたちが喜ぶこと間違いなしです。

《1》月刊絵本「こどものとも0.1.2.」創刊20周年記念
   ~赤ちゃん絵本をめぐって~ 

「こどものとも0.1.2.」創刊号『でてこい でてこい』作者 林 明子さんのことば


――『でてこい でてこい』は1995年に月刊絵本「こどものとも0.1.2.」の創刊号として刊行され、1998年にハードカバーとなりました。今月は、創刊時の「作者のことば」を再録でお届けするほか、刊行から20年たった今、この本についての思い出を林明子さんにお聞きしました。

   色紙のなかに何が見える?    林 明子

 このごろ、人生を始めから終わりまで見渡すような気持ちになることがよくあります。そういうときは、この世界全体、すべての営みの不思議さを思い、感動してしまいます。そして、この世界に新しく人として生まれたばかりの赤ちゃんには、本当に「ようこそ」という気持ちになります。赤ちゃんの真新しい、澄みきった目を見るとき、自分もまた新しい目で、もう一度世界を見直していることに気がつきます。ちょうど、初めてのお客様を迎えたときに、お客様の目になって、自分の部屋を見まわすように。
 私は色紙が大好きです。ですから、初めてのお客様へのごちそうに、色紙で絵本を作りました。きれいな色の紙が無造作に重なり合っていると、それだけで、なんて美しいんだろうと思います。それを動物の形に切り抜いて、お客様に出すことにしました。いぬとねこには、もうきっと会っているだろうな、それじゃ、かえると、うさぎと……、と考えながら色紙を切り抜いていくと、面白くてやめられなくなりました。これから赤ちゃんは、大人になるまでに、どんなにたくさんの生きものに出会うことでしょう。この世の中には、まだたくさんの種類の虫や、花や、魚がいて、みんなそれぞれに美しい姿をしているなんて、驚くよね……、そんな気持ちを込めながら、へびや、ぞうを切り抜きました。
 この切り抜き遊びのごちそうが、気に入ってもらえるかどうか、ちょっとドキドキしています。もしも、何度も繰り返して読んでくれたら、赤ちゃんはきっと、形のない色のなかにも、生き物の気配を感じるようになってくれることでしょう。
 私もまた、赤ちゃんのような新しい目で、いろいろなところに隠れている、何か素敵なものを、見つけていきたいと思います。(「こどものとも0.1.2.」1995年4月号折り込み付録より転載)

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――小さな子どもたちに長いあいだ親しまれている『でてこい でてこい』。制作当時の様子はどのようなものだったのでしょうか。

 20年という時間は長いようで短いものですね。「こどものとも0.1.2.」創刊当時の編集部のメンバーが、赤ちゃん向けの絵本について真剣に話し合っていた様子を思い出します。
 切り絵で絵本を作ったのは、『でてこい でてこい』が初めてでした。塗った色よりもきれいに見えるかもしれないと、色紙を使いました。すべて絵はカッターで切り抜いて作りました。細かいところが多いありも、全部カッターで切って……。かえるは観察するために捕まえて、おふろで泳がせたりもしました(笑)。私にとっては、とても楽しく作った、記念品のような作品です。
 「こどものとも0.1.2.」創刊メンバーは、本をたくさん並べたとき、きれいな色や形がつまった、おもちゃ箱のようなイメージになればと考えていたそうです。そんな楽しいおもちゃ箱を、赤ちゃんにどうぞ、と差し出せればいいなと…。
 みなさんに読み続けてもらっていることは、とてもうれしいです。本が手渡され続けていることに感謝しています。(2015年6月 談)


『でてこい でてこい』
林 明子 作
定価(本体700円+税)
「だれか かくれてるよ でてこい でてこい」と色紙に呼びかけると、「げこげこげこ」「ぴょーん ぴょん」といろいろな動物たちが跳び出してきます。色と形の愉快な絵本です。
林 明子(はやし あきこ)

1945年、東京に生まれる。横浜国立大学教育学部美術科卒業。絵本に『ぼくのぱん わたしのぱん』『はじめてのおつかい』『あさえとちいさいいもうと』『きょうはなんのひ?』『おふろだいすき』『こんとあき』『はじめてのキャンプ』『おでかけのまえに』『はっぱのおうち』『くつくつあるけのほん(全4冊)』(以上福音館書店)などがある。長野県在住。

かっと
月刊絵本「こどものとも0.1.2.」
20×19センチ/22ページ
年間購読料5,040円(12ヵ月)/毎月定価420円(税込)

「こどものとも0.1.2.」は、赤ちゃんとお母さんお父さんとの豊かなふれあいの時間を作る絵本です。親子の心のつながりと喜びが生まれる12冊を毎月お届けします。

《2》「絵本に出会える場所」絵本美術館のご紹介
   八ケ岳小さな絵本美術館(長野県)
☆作家の創作の様子、作品の世界などをより深く楽しめる絵本美術館が全国にあります。
 今月は長野県諏訪郡の「八ケ岳小さな絵本美術館」に寄稿していただきました。

 八ケ岳小さな絵本美術館は、「ばばばあちゃん」シリーズでおなじみの絵本作家さとうわきこが主宰する小さな絵本美術館 岡谷本館の分館として八ケ岳の麓・原村にて1997年にオープンしました。名前の通り小さな絵本美術館ではありますが、『おとなのくせに本気で、あるいは楽しみに子どもの本とつきあっている人々は、いつかどこかで知りあうものだ…』 (ベッティーナ・ヒューリマン/児童文学研究家・スイス)。 いつもそんな出会いのある美術館でありたいと願い活動しています。

 小川が流れる美しい白樺林の中に建つ館内では、さとうわきこの絵本原画や、ハンス・フィッシャー、フェリックス・ホフマン、エルンスト・クライドルフなどの海外の絵本作家や、片山健、スズキコージなど日本国内の絵本作家の絵本原画や古書を収集・企画展示しています。
 また作品鑑賞のみならず、国内外の絵本が読める読書コーナーや広々としたテラスやティールーム、森の中には散策路や遊具もあり、いつまでもゆっくりとお過ごしいただけます。

 春には、ばばばあちゃんの『よもぎだんご』の絵本の世界を楽しむ「よもぎだんご作り」、夏には、美術館で宿泊しながらキャンプ・ツリークライミング・工作・ナイトウォークなどを楽しむ「おとまり美術館」など、子どもや大人も楽しめる様々なイベントを開催し、八ケ岳の雄大な自然の中での体験活動を行っています。
(2015年夏のおとまり美術館は7/31~8/2と8/21~8/23開催・7/5より予約受付開始 )

 この流れのはやい時代において心躍る絵本や、心にしみいる話に出合うことは、子どもにとってどんなに豊かなことでしょう。
 この美術館が多くの子どもたちの空想の世界をひろげるお手伝いをするとともに、 私たち大人にも、われを忘れて夢中にさせる絵本の世界を提供できたら、どんなにか楽しいことかと思います。
 子どもたちが魔法にかかるその時間をあなたももう一度持ってみようと思いませんか。たくさんの絵本や絵が皆さんをお待ちしています。

八ケ岳小さな絵本美術館
長野県諏訪郡原村原山17217-3325
TEL 0266-75-3450
開館時間:10時~18時(毎週火曜日、第2水曜日休館、展示替えのための臨時休館あり、12月~4月中旬は冬期休館)
入館料:大人700円 中高生400円 小学生300円 幼児無料

《3》雨の日におすすめの絵本

 7月は新刊がありませんので、今月は子どもたちと読みたい、雨にまつわる絵本をご紹介します。

『かさ』 『かさ』

松野正子 作/原田 治 絵
定価(本体800円+税)


雨の日も大好き、かさをさせるから! 小さい子どもたちの、そんな気持ちにぴったりの絵本。はずむ言葉と美しい色の絵で、かさをさして歩く楽しさを描きます。

『あめふり』

『あめふり—ばばばあちゃんのおはなし』

さとうわきこ 作・絵
定価(本体800円+税)

毎日毎日雨ばかり降り続くので、怒ったばばばあちゃんは雲の上の雷に向かって大声で言いました。「ようし、こっちにも考えがあるよ」。

『かとりせんこう』

『わたしのかさは そらのいろ』

あまんきみこ 作/垂石眞子 絵
定価(本体800円+税)

女の子が青い傘をさして「わたしの かさは そらの いろ あめの なかでも いい てんき」と歌ってると、動物たちが「いーれて」と言いながらとびこんできました。

『にじ』 『にじ』

さくらい じゅんじ 文/いせ ひでこ 絵
定価(本体900円+税)

虹ってどうしてできるのかな? 虹の向こう側にいったら、どんなふうに見えるのかな? 公園の噴水にお日さまがあたると、虹ができるから、確かめてみよう!
『ほらあめだ』 『ほら あめだ!』

フランクリン・M・ブランリー 作/ジェームズ・グラハム・ヘイル 絵/やすなり てっぺい 訳
定価(本体1300円+税)

雨はどのようにしてできるのでしょう? 水が循環しているということを、ひとつひとつていねいに、やさしく語っていきます。

《4》『どろぼうのどろぼん』日本児童文学者協会新人賞受賞
『どろぼうのどろぼん』が第48回日本児童文学者協会新人賞を受賞しました。詩人として活躍される斉藤倫さんによるはじめての長篇物語です。雨の降る日に読む本としてもおすすめです。

★福音館書店フェイスブックでもご紹介しています。ぜひご覧下さい。

『どろぼうのどろぼん』

『どろぼうのどろぼん』

斉藤 倫 作/牡丹靖佳 画
定価(本体1500円+税)

どろぼんはどろぼうの天才。どろぼんは絶対に捕まらない。どろぼんには「もの」の声が聞こえるのだ。雨の降る午後、あじさいの咲き誇る庭で、ぼくはどろぼんに出会った。

《5》編集部だより
☆絵本・童話第一・童話第二・科学書の編集部から毎月交代で読者の皆様にむけたメッセージをお届けします。今月は科学書編集部です。

科学書編集部から

 こんにちは。科学書編集部から、4月と5月の新刊を改めてご紹介します。当セクションで出しているのは自然にかかわる本や図鑑ばかりではありません。
 4月に出版された『わたしのうさぎ ハッピー』は、なんと本当にあったお話。ある小学生が実体験を書いた作文を元に、絵本にしたものです。主人公のさくらは、青い目のうさぎに出会い、ハッピーと名付け飼い始めますが、ある日、ハッピーが骨折してしまいます。さくらは獣医さんのアドバイスを受けながら看病を続けます。その時々のさくらの気持ちに寄り添い、また、各ページの様々なうさぎの様子を楽しみ(時には心配し)ながら読みすすめば、物語を堪能していただけるでしょう。また、「骨折」の様子やその治療法、そして獣医さんの仕事やうさぎの回復状況など、ノンフィクションとして読むこともできます。

 そして、5月の新刊は『ボルネオでオランウータンに会う—ケンタのジャングル体験』です。ボルネオ、ジャングル、オランウータン……なんだかわくわくしてきませんか?
 夏休みに、研究者といっしょにボルネオ島に出かけた少年が、ジャングルの中で自然と関わり、生きものに出会い、仲間や専門家との交流を通じて、自分の中にあった思いを固めていきます。この絵本は、ある博物館で行われた「ジャングル体験スクール」というツアーを絵本にしたもので、ボルネオ到着からジャングルを離れるまでを描いています。リアルに描かれたジャングルの様子や動物たち含め、どうぞ旅行記としても楽しんでください。
 当時博物館館長であった動物学者の河合雅雄さんが、「自然の中で仲間と遊ぶこと、それが“子どもの自然”の姿である」という思いから実施された「ジャングル体験スクール」。絵本で追体験してみませんか?

『わたしのうさぎはっぴー』 『わたしのうさぎ ハッピー』

みずしま さくらこ 原案/なとり ちづ 文・絵
定価(本体1200円+税)

飼っていたうさぎがある日骨折。なぜ、こうなったの? どう対応すればいいの? うさぎの飼育方法や習性、骨折と治療法などにもふれる科学絵本。

『ボルネオでオランウータンにあう』

『ボルネオでオランウータンに 会う—ケンタのジャングル体験』
たかはし あきら 文/おおとも やすお 絵
定価(本体1600円+税)

研究者といっしょにジャングルに行ける! 勇んでボルネオにやってきた少年の視点で描くジャングルの自然、生きもののつながり、そして念願のオランウータンとの出会い。

《6》原画展・イベントのお知らせ

● 「音楽と絵本」コンサート 『くものすおやぶんとりものちょう』
概要 2009年の子育て支援コンサートで大好評を博した「音楽と絵本」の6年ぶりの再演!時代劇絵本『くものすおやぶんとりものちょう』とクラシックの名曲が出会います。
日時 9月26日(土)14:00(15:30終演予定 ※チケット発売中
会場 第一生命ホール(晴海トリトンスクエア内)
問い合わせ先 トリトンアーツ・チケットデスク TEL:03-3532-5702(平日11:00~18:00)
関連作品 『くものすおやぶんとりものちょう』

●誕生60周年記念 ミッフィー展

概要 オランダの絵本作家ディック・ブルーナさんの手によって生まれたミッフィー(うさこちゃん)は、2015年に60周年という記念すべき年を迎えます。 本展では、家族や友だちなど「ミッフィーの大切なもの」をコンセプトに選りすぐった人気絵本7作品やブルーナさんの初期作品など、原画やスケッチ、制作資料など約300点を展観。1955年に初めて描かれた「ファースト・ミッフィー」の原画を世界で初めて公開します。
会期 2015年6月6日(土)~7月20日(月)
会場 青森県立美術館
問い合わせ先 青森放送 Tel 017-743-1234
関連作品 「子どもがはじめてであう絵本 0才から なまえ(全3冊)」 『うさこちゃんのたんじょうび―60周年記念特別版』

●没後10年「長新太の脳内地図」展

概要 長新太は、2005年に亡くなるまで漫画家、イラストレーター、エッセイスト、絵本画家として八面六臂の活躍をしました。なかでも、独特のユーモアあふれるナンセンス絵本で戦後の日本の絵本に新境地を切り拓きました。本展では、絵本や子どもの本の原画のほか、漫画やイラストレーションなども展示し、長新太の特異な発想の源泉を探ります。
会期 5月27日(水)~8月2日(日)
会場 ちひろ美術館・東京
問い合わせ先 TEL 03-3995-0612
関連作品 『チョコレートパン』の原画が展示されます。

●「拝啓 薮内正幸様」刊行記念展

概要 書籍『拝啓、薮内正幸様』(薮内正幸美術館刊)で使われた原画と、執筆者や手紙のエピソードにまつわる画を展示します。画と合わせて、執筆者からお借りした思い出の品物や当時の資料等も合わせて展示しています。
会期 2015年3月21日(土)~ 7月14日(火)
会場

薮内正幸美術館

問い合わせ先 TEL 0551-35-0088 
関連作品 『野鳥の図鑑―にわやこうえんの鳥からうみの鳥まで』 『しっぽのはたらき』 など

●さくらせかいさん 読み聞かせ&ワークショップ&サイン会  『いしゃがよい』刊行記念

概要 『いしゃがよい』の作者さくらせかいさんによる読み聞かせ&ワークショップ&サイン会が開催されます。
【イベント内容】
14時~ 読み聞かせ会 ※参加無料(先着順・お子さま優先)
14時15分頃~(読み聞かせ会終了後) 
さくらせかいさんによる【パンダぼうしを作ろう】ワークショップ
14時45分頃~(ワークショップ終了後) サイン会 
※『いしゃがよい』を購入された方に参加整理券を配布
開催店舗 リブロイオンモール鶴見店
日時:6月20日(土)14時~
お問い合わせ:06-6915-2600
関連作品 『いしゃがよい』

●『チムとゆうかんなせんちょうさん』のエドワード・アーディゾーニ展

概要 20世紀英国を代表する画家エドワード・アーディゾーニ。1959年に日本で出版された『ムギと王さま』のちいさな挿絵に魅かれ、アーディゾーニ作品の世界的なコレクターとなった佐藤英和氏(こぐま社創業者・現相談役)の蔵書が初公開。他にも商業デザインの仕事、リトグラフ、ペン画など、日本では目にすることのなかった作品も展示されます。
会期 2015年5月23日(土)~7月13日(月)
会場

銀座教文館 9Fウェンライトホール

問い合わせ先 TEL 03-3561-0003
関連作品 みんなの人気者『チムとゆうかんなせんちょうさん』

●ピーターラビットの世界展
概要

軽井沢の森の中で「ピーターラビット」シリーズの秘密を探求!100年以上愛され続ける絵本の世界を読み解きながら作者ビアトリクス・ポターの思いをひもとく大人の深読みへのお誘い。

会期

前期 2015年3月5日(木)~ 6月29日(月)
後期 2015年7月1日(水)~ 10月4日(日)
※前・後期で一部展示内容が変更となります。

会場

軽井沢絵本の森美術館

問い合わせ先 TEL 0267-48-3340
関連作品

『ティギーおばさんのおはなし』 『のねずみチュウチュウおくさんのおはなし』

 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000