あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2015年7月15日 Vol.192
曇り空から、まぶしい青い空へ…

 「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 ついこの間まで、肌寒い日もあったというのに、強い日差しが照りつけるようになりました。急に暑くなるこの時期は、体が暑さに慣れておらず、熱中症になりやすいそうです。みなさまも十分お気をつけください!

《1》月刊絵本「こどものとも0.1.2.」創刊20周年記念
   ~赤ちゃん絵本をめぐって~ 

     “ことばでかわいがる”      松野正子


 子どもが幼いころ、よく、猫や犬や鳥を拾ってきました。小さい生き物たちは、大声でなきつづけました。ふと、なき声がとだえたなと思って見てみると、親猫がきて、くわえていくところだったり、かごに入れた小雀のなき声が激しくなったと思うと、親鳥がとんできていたりと、親を呼ぶ子の精一杯のなき声と、それをききつけて、どこからか現れる親の姿は、いつも感動的でした。他の人にはきこえないほどかすかな赤ちゃんの声をききつける人間のお母さんの姿も、もちろん。
 ところで、犬や猫などの動物は、なめたり、かるくかんだりして、子どもをかわいがります。人間はどうでしょう? きいてみると、かわいくて、つい、赤ちゃんのお耳をなめたとか、指先をかんでしまったというひみつをもつお母さんは少なくありません。私もその一人です。人間も動物なのだと実感します。
 ただ、人間も動物だけど、人間なのだから、人間だけのかわいがり方もありそうです。人間は、子どもをだきしめます。――でも、猿やゴリラも、なかなか上手にだっこします。とすると、ほかに何か、人間独自のかわいがり方はないでしょうか。
 あります! "ことば" でかわいがります。ことばを使って子どもをかわいがるのは、人間だけではないでしょうか。私たちは生まれたばかりの赤ちゃんにも、ことばをかけています。「いいこだねえ」「おいしいかい」と。慈しみのこもったことばは、意味はわからなくても、肌の触れあいと同じように、赤ちゃんにとって快いにちがいありません。これは、ことばでかわいがられているといえましょう。絵本をよんであげるのも、ことばでかわいがっているのだと思います。『なんて よぶの?』(現在は品切)も含めて、「こどものとも0.1.2.」も、ことばで子どもをかわいがるのに役立ちますように。
(こどものとも0.1.2. 第2号(1995年5月号)『なんて よぶの?』折り込みふろくより再録)

★こどものとも0.1.2. 創刊20周年記念ページはこちら


『もう おきるかな?』
松野正子 文/薮内正幸 絵
定価(本体700円+税)

動物たちが親子で気持ちよさそうに眠っています。「もう おきるかな?」ページをめくると「あー、おきた!」最後にゾウの親子も起き上がり、さあ、鼻と鼻をつないでおでかけです。
松野 正子(まつの まさこ)

1935年生まれ。愛媛県生まれ。早稲田大学国文科卒業後、コロンビア大学大学院で図書館学を学ぶ。絵本に『ふしぎなたけのこ』『かさ』『もう おきるかな?』『よくきたね』(以上、福音館書店)、児童文学の翻訳に『時の旅人』(アリソン・アトリー作、岩波書店)などがある。2011年逝去。

かっと
月刊絵本「こどものとも0.1.2.」
20×19センチ/22ページ
年間購読料5,040円(12ヵ月)/毎月定価420円(税込)

「こどものとも0.1.2.」は、赤ちゃんとお母さんお父さんとの豊かなふれあいの時間を作る絵本です。親子の心のつながりと喜びが生まれる12冊を毎月お届けします。

《2》「絵本に出会える場所」絵本美術館のご紹介
   薮内正幸美術館(山梨県)
☆作家の創作の様子、作品の世界などをより深く楽しめる絵本美術館が全国にあります。
 今月は山梨県北杜市の「薮内正幸美術館」に寄稿していただきました。

 当館は動物画家であった薮内正幸(1940年~2000年)の描いた1万点以上もの原画を管理・収蔵・展示をする、日本では唯一の動物画専門の美術館です。2004年6月に名水の町として知られる山梨県北杜市白州町(当時は北巨摩郡白州町)に開館しました。小さな個人美術館ではあるものの、半期毎にテーマを変えながら全作品の入れ替えをしており、お越しのたびに新たな作品に出会えます。また移設復元された仕事机は、作家本人が今まさに描いているその時が再現され、実際に資料として使っていた膨大な動物関連の書籍とともに必見です(書籍は一部をのぞき閲覧可能)。
 薮内正幸は生涯で画を習ったことはありません。また、描いた動物たちの元のポーズの資料は無い、言い方を変えれば写真等を見ることもなく画を描いていました。ただただ動物が好きだった少年が、学者の方との交流を深めていった結果動物画家への道を歩むことになる…「好きこそ物の上手なれ」を地でいった姿がそこにはあります。一つことをやり続けることの大切さと、子供が本当に好きなものに出会えた時にそれを理解してあげる周囲の大人と、さらにどんなことでも手間と時間を掛けなければ身につかないといった、今の時代に忘れかけられた大事なことがそこにはありました。ドラマチックな偶然と必然の出会いがあって生まれた一人の動物画家のストーリー、ご興味のある方は、ぜひスタッフにお声掛け下さい!
 なお、当館では各地で講演会を行っております。会場(対象)は図書館から小・中学校、または幼稚園の保護者会や読み聞かせのグループなど、どんな場所でも原画を携えてお邪魔いたしますので、お気軽にお声掛け下さいませ。

薮内正幸美術館
山梨県北杜市白州町鳥原2913-71 
TEL 0551-35-0088
開館時間:10時~17時(入館は16時まで)
休館日:水曜日(祝日の場合は開館)※8月は無休。冬期休館があります (12月~3月中旬)。
入館料:大人 (高校生以上)500円 小・中学生:200円 就学前児童:無料

★藪内正幸さんの作品はこちら

《3》夏におすすめ! 

 暑い夏にぴったりの絵本を集めました。

『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』 『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』

安西水丸 作
定価(本体700円+税)

がたんごとんと、汽車は海辺を走ります。ざぶんざぶんと、波は浜辺に打ち寄せます。
『よるになると』 『よるになると』

松岡達英 作
定価(本体900円+税)

昼間は休み、夜になると活動をするもの。その反対に昼間は活動して夜は休んでいるもの。いろいろないきものたちの夜の世界には、昼間とは違った驚きがいっぱいです。
『はなびのはなし』

『はなびのはなし』

高頭 祥八作
定価(本体838円+税)


花火ってどうやって作るのかな? 花火はどうやって打ち上げるの? 空に上がった花火はどこから見ても同じなのはどうして? 花火のすべての疑問に答える花火のお話です。

『かとりせんこう』 『かとりせんこう』

田島征三 作
定価(本体800円+税)

蚊取り線香の煙がもんもんと漂うと、蚊がぽとん。もっと漂うと、花がぽとん。おじさんの髭がぽとん。看板がぽとん。幽霊がぽとん。どんどん落ちて、さてその威力は?
『ばばばあちゃんのアイス・パーティ』 『ばばばあちゃんの アイス・パーティ』

さとう わきこ 作/佐々木志乃 協力
定価(本体900円+税)

暑い日には、氷のお菓子を作って、アイス・パーティをしよう! キャンディやチョコや、ジュースや果物を、製氷皿やコップに入れて凍らせたら、どんなお菓子ができるかな?

《4》『夏の朝』が課題図書に選ばれました
 『夏の朝』が第61回青少年読書感想文全国コンクール中学校の部の課題図書に選ばれました。あのねメール通信169号で、著者本田昌子さんの作品にこめた思いを語るエッセイを掲載しています。ぜひご覧下さい。

なつのあさ

『夏の朝』
本田昌子 著/木村彩子 画
定価(本体1700円+税)
取り壊されるのを待つばかりの祖父の家。その庭の蓮が花開くとき、時間を越え、少女はいつかの夏へと旅をする。それは、かつてそこに生きた人々の想いをたどる旅だった。


《5》編集部だより
☆絵本・童話第一・童話第二・科学書の編集部から毎月交代で読者の皆様にむけたメッセージをお届けします。今月は絵本編集部です。

絵本編集部から

 今年もいよいよ夏がやってきました。夏といえば海、海といえばチム! 
海洋冒険絵本の古典『チムとゆうかんなせんちょうさん』は、もうお読みですか? 船乗りに憧れる男の子チムが、ひとりこっそり船に忍び込み、勇敢な海の男たちとの出会いや、命がけの冒険を通して成長する物語です。絵本から童話への橋渡しにもぴったりで、「小学校低学年の子どもたちが、初めて触れる本格的な冒険ロマンに夢中になっている」という声が編集部に寄せられています。「わしたちは、うみのもくずと きえるんじゃ。なみだなんかは、やくにたたんぞ」死を覚悟した船長のかっこいいこと。こんな大人になりたいと思わせる大人の登場人物たちも、チムシリーズの魅力です。
 そんなチムシリーズの、手に入りにくくなっていた2巻から6巻を限定復刊いたしました。著者アーディゾーニが自分の子どものために描いたこのシリーズは、「目の前の子どもをとにかく喜ばせよう」というサービス精神に満ちています。あるときは記憶喪失の女の子が浜辺に流れ着いたり、またあるときは突然いなくなってしまった両親を探す旅に出たりと、小さな子を物語の世界に誘い込むドラマティックな展開が目白押しで、しかも最後は完全なハッピーエンド。読んでいる最中のドキドキと、読み終えたあとの満足感を保証いたします。
 新たな友人を得て、新たな冒険にこぎ出すチムを、夏休みのお供にぜひどうぞ。でも、海に行くときはくれぐれも気をつけて、チムの真似はしないようにしてくださいね。

『ちむとゆうかんなせんちょうさん』 既刊 『チムとゆうかんなせんちょうさん』

エドワード・アーディゾーニ 作/せた ていじ 訳
定価(本体1300円+税)

船乗りになりたくてたまらないチムは、こっそり船に乗り込み、船員として働き始めました…。
チムシリーズ

限定復刊
『チムとルーシーとかいぞく』
『チム、ジンジャーをたすける』
『チムとシャーロット』
『チムききいっぱつ』
『チムひとりぼっち』


エドワード・アーディゾーニ 作/なかがわ ちひろ 訳
各定価(本体1400円+税)

《7》原画展・イベントのお知らせ

● ミッフィーのたのしいお花畑 ―ディック・ブルーナが描くお花と絵本の世界展―
概要 『うさこちゃんとじてんしゃ』や『うたこさんのにわしごと』などの絵本に描かれた、「花」と「植物」にスポットをあてて紹介します。さらに日本では未刊行の『はなのほん』も展示されます。
日時 2015年7月4日(土)~9月30日(水)
会場 清州市はるひ美術館
問い合わせ先 TEL 052-401-3881
関連作品 みんなの人気者うさこちゃん

●五味太郎作品展「絵本の時間」

概要

絵本の原画、国内外で出版された絵本を展示するコーナーなど、五味太郎さんの世界を堪能できる内容です。

会期 2015年7月17日(金)~ 8月31日(月)
会場 かごしまメルヘン館
問い合わせ先 TEL 099-226-7771
関連作品

『きんぎょがにげた』 『正しい暮らし方読本』


●里山 未来へのメッセージ  今森光彦写真展

概要

木城えほんの郷は、毎夏、里山に暮らし、この星に生きる自然と人間と生き物たちや環境を、切実に問い続ける写真を撮り続けてきた今森光彦さんの展覧会を開催しています。この夏は、「里山 未来へのメッセージ 今森光彦写真展」が開催されます。

会期 2015年7月28日(火)~8月30日(日)
会場 木城えほんの郷
問い合わせ先 TEL 0983-39-1141 
関連作品 『今森光彦 フィールドノート 里山』

●西平あかね絵本原画展

概要

人気のおばけシリーズから「おばけのおつかい」、「おばけのコックさん」、そしてお皿に描かれた唐子たちが主役の「おさらのこども」、なわとび遊びを題材にした「おはいんなさい」の4作品の原画約60点を展示されます。

会期 2015年7月22日(水)~ 8月23日(日)
会場

宇城市不知火美術館

問い合わせ先 TEL 0964-32-6222
関連作品 『おばけのおつかい―さくぴーとたろぽうのおはなし』 『おばけのコックさん―さくぴーとたろぽうのおはなし』ほか

●「宇宙のものがたり ~かこさとしとめぐる旅~」
概要

かこさとしさんの科学絵本の魅力を、下絵など自筆資料や複製原画、JAXA関連資料と合わせて紹介します。

会期 前期:2015年7月18日(土)~8月30日(日) 
後期:2015年9月5日(土)~10月12日(月・祝)
会場

福井県立ふるさと文学館

問い合わせ先 TEL 0776-33-8866
関連作品 『宇宙』

●にしまきかやこ絵本原画展
概要

『えかきうたのほん』(品切)の原画が出品されるほか、 『わたしのワンピース』(こぐま社)『ちいさなきいろいかさ』(金の星社)『えのすきなねこさん』(童心社)『もしもぼくのせいがのびたら』(こぐま社)など、11冊の絵本から約100点余が展示されます。

会期

2015年7月4日(土)~2015年9月27日(日)

会場

平田本陣記念館

問い合わせ先 TEL 0853-62-5090
 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000