あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2015年8月19日 Vol.194
まだ暑いけれど、残り少ない夏を楽しもう!

 「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 夏も後半戦です。まだ暑い日が続きますが、うだるような猛暑は一段落したのでしょうか。今月の「絵本に出会える場所」は軽井沢絵本の森美術館です。残り少ない夏休み期間、高原で絵本の世界に触れるのも素敵ですね。

《1》月刊絵本「こどものとも0.1.2.」創刊20周年記念
   〜赤ちゃん絵本をめぐって〜 

"Read books"ではなく"Share books"  佐藤いづみ(NPOブックスタート)

 市区町村自治体が行う0歳児健診などの機会に、「絵本」と「赤ちゃんと絵本を楽しむ体験」をプレゼントする「ブックスタート」。英国生まれのこの活動が日本で始まって、今年で15年目を迎えました。今では多くの人が、小さな赤ちゃんと絵本を楽しめることを知っていますが、2000年に活動を紹介し始めた頃は、「0歳の赤ちゃんに絵本は早すぎるのでは?」という反応が多かったのです。

「赤ちゃんは本を読めるのですか?(Can babies read books?)」
視察に訪れた英国で、活動を発案したウェンディ・クーリングさんにこう尋ねると、彼女は「ブックスタートの目的は"Read books"ではなくて"Share books"なのよ」と答えました。つまり、0歳の赤ちゃんにとっての絵本との関わりは、ストーリーを楽しんだり、新たな知識を得たりする"Read books(本を読む)"ではなく、絵本を開くことによって自然と生まれる、読み手との気持ちの通い合いやその楽しさを分かち合う"Share books"であるということ。そのあたたかく幸せな時間を、もれなくすべての家庭に届けるのがブックスタートだと説明してくれたのです。

 このウェンディさんの言葉が、日本で赤ちゃんと関わる仕事や活動をしていた人々の心に響いたのだと思います。「すべての赤ちゃんの幸せ」という大きな願いのもとに、図書館職員や文庫活動、子育て支援の取り組みをされていた方、また保健師や保育士といった方が、各地で熱心に活動を立ち上げたのです。自治体の複数の部門や住民ボランティアが、立場をこえて連携し、知恵を出し合ってひとつの活動を実施することは、当時はあまり前例がありませんでしたが、少しずつ地域それぞれの実施の形がつくられていきました。そしてこうした全国の活動を支えるために、出版業界や企業が、非営利の考えに基づいてブックスタートを支援する形も生まれたのです。

(エッセイのつづきは9月16日配信のメルマガでお届けします)

 


ブックスタートについて
0歳児健診等の機会に、「絵本」と「絵本を楽しむ体験」をプレゼントする活動。市区町村自治体の事業として、その地域に生まれたすべての赤ちゃんを対象に行われる。1992年に英国で発案され、日本では2000年「子ども読書年」を機に始まった。2015年7月末現在、全国の53%の自治体に広がり、これまでに約500万人の赤ちゃんが対象になっている(NPOブックスタート調べ)。
もっと詳しく知りたい方は
NPOブックスタートウェブサイト 
『赤ちゃんと絵本をひらいたら ブックスタートはじまりの10年』(NPOブックスタート編著 岩波書店 2010年2月発行)
佐藤 いづみ(さとう いづみ) 

2000年より日本へのブックスタートの紹介と推進団体であるNPOブックスタートの立ち上げ、全国への推進活動等に携わる。2006年にオーストラリアに移住。以降はNPOブックスタートの国際関連事業及び活動に関する書籍やレポートの執筆などを担当している。2012年IBBYロンドン大会では、英国ブックスタート20周年を祝うシンポジウムで日本での広がりを紹介した。

かっと
月刊絵本「こどものとも0.1.2.」
20×19センチ/22ページ
年間購読料5,040円(12ヵ月)/毎月定価420円(税込)

「こどものとも0.1.2.」は、赤ちゃんとお母さんお父さんとの豊かなふれあいの時間を作る絵本です。親子の心のつながりと喜びが生まれる12冊をお届けします。

《2》「絵本に出会える場所」絵本美術館のご紹介
   軽井沢絵本の森美術館(長野県)
☆作家の創作の様子、作品の世界などをより深く楽しめる絵本美術館が全国にあります。
 今月は長野県北佐久郡の「軽井沢絵本の森美術館」に寄稿していただきました。

 軽井沢絵本の森美術館は、西洋で生まれ、300年の歴史に彩られた絵本文化を紹介する美術館として、1990年に開館しました。絵本の歴史の初期を彩るウォルター・クレイン、ランドルフ・コールデコット、ケイト・グリーナウェイや、現代の絵本界を代表するエロール・ル・カインやマーシャ・ブラウン、バーナデット・ワッツなどの原画や初版本をはじめとする絵本資料など、約6,600点を収蔵しています。
 展示館では年に2〜3回企画展を開催し、「欧米絵本のあゆみ」「グリム童話」「アンデルセン童話」「動物絵本」など様々な角度から絵本文化を紹介しております。「絵本の魅力を再発見」することをテーマに、よりわかりやすく絵本の奥深さを伝えられるよう、展示の見せ方にも工夫をしています(例えばクイズ形式や絵本の比較などを行っています)。
 「森」に囲まれた15,000平方メートルある美術館の敷地内には、2つの展示館、絵本図書館、ショップや休憩コーナー、イベントスペースなどの建物が点在しています。中央には英国人のガーデンデザイナー、ポール・スミザーの手がけた「ピクチャレスク・ガーデン」が広がり、四季折々に表情を変える軽井沢の自然に触れることができます。
 また、絵本文化を探求するためのイベントやプログラムもご用意しています。毎年開催している「えほんサロン」では、絵本の研究者や作家によるトークを行い、絵本への新たな視点をご紹介しています。グループや学校団体向けの「学習プログラム」では、学芸員によるスライドや絵本資料を使ったレクチャーや展示解説などを行っております。
 軽井沢絵本の森美術館では、大人の知的好奇心をくすぐる新しい絵本の楽しみ方をご提案してまいります。ご来館の際はぜひ、軽井沢の澄んだ空気の中、絵本の世界にひたるひとときをお楽しみくださいませ。

軽井沢絵本の森美術館(ムーゼの森)
長野県北佐久郡軽井沢町長倉182(塩沢・風越公園)
TEL 0267-48-3340
開館時間:9時30分〜17時[12・1月は10時〜16時]
休館日:火曜日 ※ただしGW、7〜9月は無休、12・1月は不定休、1月中旬〜2月は冬季休館、展示替えのための休館あり
入館料:大人900円(3・4月、11〜1月は800円) 中学・高校生500円、小学生以下無料

《3》9月の新刊ごあんない 

《9月2日(水)販売開始》
『のげしと おひさま』 『のげしと おひさま』

甲斐信枝 作
定価(本体800円+税)

カエルやアリやチョウのように自分もどこかへ行けたら……のげしは、そう願っていました。のげしの思いを知ったおひさまは、願いはかなうと伝えます。そして、ある日……。
『稲と日本人』 『稲と日本人』

甲斐信枝 作/佐藤洋一郎 監修
定価(本体2000円+税)

はるか二千数百年前より、日本人は稲作を続けてきた。稲と日本人は、生死を共に生き抜いた、かけがえのない仲間同士である。


《9月9日(水)販売開始》

『リトルTの冒険』 『おにつばとうさん』

沼野正子 文・絵
定価(本体1400円+税)

鬼に唾をかけられ透明人間になってしまったお父さん。『今昔物語集』に収められたお話を、ユーモラスに描きます。
『おにつばとうさん』

『ちゃいろいつつみ紙のはなし』

アリソン・アトリー 作/松野正子 訳/殿内真帆 絵
定価(本体1100円+税)

なんの変哲もない、ちゃいろい紙が、クリスマスプレゼントを包んだ小包となり、旅をします。身近なものへの慈しみあふれる物語。

『岸辺のヤービ』

『岸辺のヤービ』

梨木香歩 作/小沢さかえ 画
定価(本体1600円+税)

ある晴れた夏の日、わたしが、湖に浮かべたボートの上で出会ったのは、ふわふわの毛につつまれた、二本足で歩くハリネズミのようなふしぎな生きもの、「ヤービ」でした。


《9月16日(水)販売開始》
『リトルTの冒険』

『リトルTの冒険』

古川タク 作
定価(本体1400円+税)

地球に隕石がぶつかるぞ! リトルTという男の子が、宇宙の彼方ビッグ星から地球を救うためにやってきます。がんばれリトルT!

『くつやのドラフテカ ポーランドの昔話』

『くつやのドラテフカ—ポーランドの昔話』

ヤニーナ・ポラジンスカ 文/足達和子 訳/ワンダ・オルリンスカ 絵
定価(本体1500円+税)

若い靴屋が、蹴散らされたアリ塚を帽子でかき寄せてやりました。「あなたがお困りの時は…」と、女王アリにいわれましたが……。

『ぼくたちに翼があったころ』

『ぼくたちに翼があったころ—コルチャック先生と107人の子どもたち』

タミ・シェム=トヴ 作/樋口範子 訳/岡本よしろう 画
定価(本体1700円+税)

愛と理想主義を貫きガス室に消えたコルチャック先生。彼が運営する「孤児たちの家」には、子どもたちの生きる喜びが輝いていた!

《4》月刊「たくさんのふしぎ」が創刊30周年を迎えました! 

 小学生向け月刊誌「たくさんのふしぎ」が、今年創刊30周年を迎えました。これを記念し、第一級の研究者たちによる5作品を「たくさんのふしぎ傑作集」として9月上旬から発売します。また、30年分360冊のバックナンバーから気になる一冊をさがせる楽しい特設ページもできました。こちらも、ぜひのぞいてみてくださいね!


《9月2日(水)販売開始》

『かしこい単細胞 粘菌』 『かしこい単細胞 粘菌』

中垣俊之 文/斉藤俊行 絵
定価(本体1300円+税)

粘菌モジホコリが、迷路を解き、電車の路線図をつくります。単細胞で、かしこい粘菌の知られざる能力があきらかになります。
『ゴリラが胸をたたくわけ』 『ゴリラが胸をたたくわけ』

山極寿一 文/阿部知暁 絵
定価(本体1300円+税)

ゴリラが胸をたたく「ドラミング」は、戦いの宣言? いいえ、ゴリラたちは、争いをさけるために胸をたたいていたのです。
『まちぼうけの生態学—アカオニグモと草むらの虫たち』

『まちぼうけの生態学—アカオニグモと草むらの虫たち』

遠藤知二 文/岡本よしろう 絵
定価(本体1300円+税)

「網にいるクモは、1匹の虫をつかまえるのに、どのくらいの時間まつの?」 そんな素朴な疑問に答えてくれるのがこの本です。

『みんなでつくる1本の辞書』 『みんなでつくる1本の辞書』

飯田朝子 文/寄藤文平 絵
定価(本体1300円+税)

にんじん1本、電車1本、柔道の勝負1本……。身のまわりにあふれる「1本」と数えるモノ・コトをあつめ、辞書をつくりました。
『ゆかいな聞き耳ずきん』 『ゆかいな聞き耳ずきん—クロツグミの鳴き声の謎をとく』

石塚 徹 文/岩本久則 絵
定価(本体1300円+税)

クロツグミはなんと鳴くのか。その謎がとけた時、クロツグミ1羽1羽のゆかいで個性豊かな暮らしぶりが立ち現れてきたのです。

《5》編集部だより
☆絵本・童話第一・童話第二・科学書の編集部から毎月交代で読者の皆様にむけたメッセージをお届けします。今月は童話第一編集部です。

童話第一編集部から

 「戦後」がぐるっと回って「戦前」につながりかねない状況や、寛容と相互理解をかなぐり捨てた排除と差別の言説が横行する荒んだ世情に、ひとつの灯りを投じたい——そんな思いをこめて、9月に『ぼくたちに翼があったころ—コルチャック先生と107人の子どもたち』を刊行します。本書は、イスラエルの現代児童文学作家による、緻密な取材をふまえた渾身のノンフィクション・ノベルです。
 ヤヌシュ・コルチャックは、20世紀初め、ポーランド・ワルシャワで愛と理想主義にもとづく孤児院運営をした、医師・児童文学者。ユダヤ人孤児が強制収容所へ送られる際、自分だけが助命される機会を拒否し、子どもたちと運命をともにしたその最期は広く知られているところです。では、コルチャック先生が関わった「孤児たちの家」での暮らしはどんなものだったのか? という問いに答えるのが本書です。そこでくり広げられたのは、子どもを心から愛し信頼する大人たちに支えられて、孤児たちが迷い、つまずき、まちがいながらも一歩一歩自立し成長していく、心身ともに健やかで豊かな日々でした。わかりあうこと、ゆるしあうこと、一人一人の個性をその欠点を含めて受け入れること……理想が現実的な力となって人を育てるその実践に、目をみはり膝を打ち、そして溜息をつかずにはいられません。ここでのコルチャック先生は、行いすました"りっぱな人"ではなく、不正や悪徳に対して全身で怒りを表す"熱いやつ"であり、いたずらめいた仕掛けで子どもたちを驚かす"愉快ぁw)�ネおじさん"でもあります。
 この、きわめて人間的な営みを踏みつぶし蹴散らした、差別・独裁・戦争に強い憤りを禁じえませんが、しかしこれは現代を生きる私たちの問題でもあります。コルチャック先生のようになることは難しい。しかし、彼の抱いた「よりよい社会を実現したい」という願いをともにすることは、私たちにもできるのではないかと思うのです。

『ぼくたちに翼があったころ』 『ぼくたちに翼があったころ—コルチャック先生と107人の子どもたち』

タミ・シェム=トヴ 作/樋口範子 訳/岡本よしろう 画
定価(本体1700円+税)

愛と理想主義を貫きガス室に消えたコルチャック先生。彼が運営する「孤児たちの家」には、子どもたちの生きる喜びが輝いていた!
《6》原画展・イベントのお知らせ

● ミッフィーのたのしいお花畑 —ディック・ブルーナが描くお花と絵本の世界展—
概要 『うさこちゃんとじてんしゃ』や『うたこさんのにわしごと』などの絵本に描かれた、「花」と「植物」にスポットをあてて紹介します。さらに日本では未刊行の『はなのほん』も展示されます。
日時 2015年7月4日(土)〜9月30日(水)
会場 清州市はるひ美術館
問い合わせ先 TEL 052-401-3881
関連作品 みんなの人気者うさこちゃん

●五味太郎作品展「絵本の時間」

概要

絵本の原画、国内外で出版された絵本を展示するコーナーなど、五味太郎さんの世界を堪能できる内容です。

会期 2015年7月17日(金)〜 8月31日(月)
会場 かごしまメルヘン館
問い合わせ先 TEL 099-226-7771
関連作品

『きんぎょがにげた』 『正しい暮らし方読本』


●里山 未来へのメッセージ  今森光彦写真展

概要

木城えほんの郷は、毎夏、里山に暮らし、この星に生きる自然と人間と生き物たちや環境を、切実に問い続ける写真を撮り続けてきた今森光彦さんの展覧会を開催しています。この夏は、「里山 未来へのメッセージ 今森光彦写真展」が開催されます。

会期 2015年7月28日(火)〜8月30日(日)
会場 木城えほんの郷
問い合わせ先 TEL 0983-39-1141 
関連作品 『今森光彦 フィールドノート 里山』

●かこさとし・ふるさと北陸スタンプラリー開催

概要

今年の夏から秋に、下記施設にて加古里子さん作品の複製画が展示されるのにともない、 スタンプラリーが行われます。 「だるまちゃん」「からすのパンやさん」「ロケットにのる子ども」の3つのスタンプを集めると、 「だるまちゃん」と「からすのパンやさん」がコラボした特製マグネットがもらえます。

●越前市かこさとしふるさと絵本館「石石」【常設展】
 7月17日〜8月31日  『かわ』
 9月3日〜11月15日  『からすのそばやさん』(偕成社)

●福井県ふるさと文学館 【宇宙のものがたり〜かこさとしとめぐる旅〜】
 前期 7月18日〜8月30日
 後期 9月5日〜10月12日
 『からすのパンやさん』(偕成社)『宇宙』など

●射水市大島絵本館 【かこさとし展】
 7月25日〜9月29日
 『からすのおかしやさん』(偕成社)など

関連作品 だるまちゃんシリーズ

●キュッパのびじゅつかん −みつめて、あつめて、しらべて、ならべて
概要

 『キュッパのはくぶつかん』のお話を導入にしながら、物を収集する過程の、そのワクワクした気持ちが伝わってくるようなコレクションや、何かを観察し、収集し、並べることを含むアーティストの作品を紹介します。

会期 2015年7月18日(土)〜10月4日(日)
会場

東京都美術館

問い合わせ先 東京都美術館 キュッパ展担当 TEL:03-3823-6921
関連作品 『キュッパのはくぶつかん』

●地球はどうぶつでいっぱいだ あべ弘士展
概要

あべ弘士さんの絵本の原画約80点、立体作品約10点が展示されます。

会期

2015年7月18日(土)〜 8月30日(日)

会場

喜多方市美術館

問い合わせ先 TEL 0241-23-0404
 
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Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000