あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2015年10月7日 Vol.197
子どもたちの宝物は…

 いつも「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 道ばたには、どんぐりやきれいな落ち葉など、子どもたちが大好きなものがいっぱい落ちています。過ごしやすいこの季節、おでかけも楽しみですね。

《1》9月の新刊『おにつばとうさん』の作者、沼野正子さん

 えッ、千年前に透明人間がいたって、本当?  沼野正子

おにつばとうさん
 「人間が、鬼にツバを吐きかけられたら透明人間になってしまったなんて、いつ、どこの話?」と思われるのではありませんか。実は、このお話の元になっているのは、今から千年ぐらい昔、大納言・源隆国(だいなごん みなもとのたかくに)という大変なお話好きの人が、全国で語り伝えられている不思議な話、恐ろしい話、めずらしい出来事などを次々聞き集め、その数1000以上の大コレクションになった! という『今昔物語集』の中に収められているのです。それぞれの話の冒頭に、必ず「今は昔…」という言葉をつけたので、今日まで『今昔物語集』という書名で伝わっているようです、多分…。
 さて、私が初めてこの物語集に出会ってから40年くらいたちました。あれこれ読んだ中で、当時を生きたフツウの人々が巻き込まれる不思議な事件の数々に、特に心を惹かれました。たとえば一緒に暮らしていた美しい女性が、実はドロボウの集団の首領だったとか、出産を手助けしてくれた親切なお婆さんが、赤ん坊を一口で食べようとしたとか、100人の男が引いても動かない舟を、小柄な女がズイズイと陸に引っ張り上げたとか、どれも「本当かなあ」と思いながら、物語の底に流れる、生き生きとした力のとりこになりました。千年昔の人たちの驚きと、現代に生きる私の驚きが、ぴったり重なることを不思議に感じ、私はこれまで『今昔物語集』の中のいくつかを、絵本にいたしました。
 今回の絵本は、毎朝、道端の観音さまにお参りしてから仕事に出かけ、夕暮には家族のところへ帰る、フツウのとうさんの物語です。たまたま帰りが遅くなったとうさんが、鬼たちの行列に出会ってしまったから起こる大災難! 鬼たちは、線香くさいとうさんを「喰えないヤツ」と、ツバを吐きかけて行ってしまうのですが、ようよう我が家に戻ってみれば、なんと、家族にはとうさんの姿が全く見えないらしい…今で言うなら透明人間になってしまった! というわけです。その先に起こる大珍事は、どうぞ絵本でご覧いただくとして、おにつばとうさんともかくとうさんは、毎日お参りしていた観音さまのお力で、もとの姿で家族のところへ戻れ、家族でお礼参りをする場面で終わります。よかった、よかった。
 現代に生きる私たちは、鬼には出会わないけれど、『今昔物語集』の時代にはなかった危険や、災害に見舞われています。目には見えない悪意が飛び交っているように思うときもあります。それでも、「どうぞ、明日も無事に過ごせますよう」と心の中で祈る気持ちで、絵筆を進めました。
 今も昔も、目には見えないけれど、守る力はきっとある。いや、あってほしい!

沼野 正子 (ぬまの まさこ)
東京生まれ。東京芸術大学工芸科卒業。著書に「地獄めぐり」シリーズ(汐文社)、「ほんとにこわい今昔物語」シリーズ(草土文化)のほか、『やまんばとがら』(岩波書店)、『おばけのひっこし』『ようかいさんは どこ?』(かがくのとも437号)『タンタンコロリン』(こどものとも年少版403号)(以上福音館書店)などがある。東京都在住。

おにつばとうさん 『おにつばとうさん』
沼野正子 文・絵
定価(本体1400円+税)
鬼に唾をかけられ透明人間になってしまったお父さん。観音様のお告げに導かれ、出会ったのは…。『今昔物語集』の一話をユーモラスで迫力ある絵本にしました。
《2》月刊誌<11月号>のご案内


こどものとも0.1.2.『くまさんふぅー』 こどものとも0.1.2.
『くまさん ふぅー』


飯野和好 作
定価(本体389円+税)

落ち葉つもる山をくまさんがのっし、のっし。子ぐまを見つけ、くまさんは「ぷるん ぷちゅっ ふぅー」となめて可愛がります。
こどものとも年少版『てぶくろくん』

こどものとも年少版
『てぶくろくん』


佐々木マキ 作
定価(本体389円+税)

てぶくろくんが来てくれた。ぼくはてぶくろくんと公園に行って、かくれんぼをしたり、歌を歌って踊ったり、いっぱい遊んだよ。

こどものとも年中向き『フーちゃん みなかった?』 こどものとも年中向き
『フーちゃん みなかった?』


村田エミコ 作
定価(本体389円+税)

ねこのフーチャンは病院が大嫌い。どこかに逃げたフーちゃんを、絵本の中で探してみてください。目印はしっぽに巻いた包帯です。
こどものとも『かすみのどんぐり』 こどものとも
『かすみのどんぐり』


征矢 清 文/まるやま あやこ 絵
定価(本体389円+税)

はずかしがりやのかすみは、山のおじさんが訪ねてくると隠れてしまいました。微妙な子どもの心情を描きだした作品。
ちいさなかがくのとも『アオサギの さかなとり』 ちいさなかがくのとも
『アオサギの さかなとり』


とうごう なりさ 作
定価(本体389円+税)

アオサギが池の浅瀬で水面をじいっと見つめています。やがて勢いよく頭を水中につっこむと、そのくちばしには大きな魚!
かがくのとも『まつぼっくり』 かがくのとも
『まつぼっくり』


菅原久夫 文/大島加奈子 絵
定価(本体389円+税)

子どもがひろい集めるまつぼっくり。その不思議な造形はどんなふうにでき、どんな役割を持っているのか。受け継がれる命の物語。
たくさんのふしぎ『神々の花園』 たくさんのふしぎ
『神々の花園』


澤野新一朗 文・写真
定価(本体667円+税)

南アフリカの砂漠に、春の数週間だけ出現する一面の花園。その色とりどりのふしぎな光景を、美しい写真の数々でご紹介します。
ははのとも11がつごう

母の友
特集「母だって本が読みたい」
特別企画「子どもに聞かせる一日一話」
定価(本体505円+税)

忙しい子育ての日々だからこそ、本の力が心に響く? 特集は「母だって本が読みたい」。人気企画「子どもに聞かせる一日一話」も。
こちらから目次をご覧いただけます。

《3》月刊誌編集部からこんにちは
 毎月交代で月刊誌の編集部から、読者の皆様にむけてメッセージをお届けしています。今月はこどものとも第一編集部です。

こどものとも第一編集部から

 金木犀の香りが優しくあたりを包みこんでくれる季節になりました。地面を見れば、たくさんのどんぐりが落ちています。思わず拾ってポケットに入れたくなりますね。そんな季節にぴったりの絵本ができました。「こどものとも」11月号の『かすみのどんぐり』です。
 恥ずかしがり屋のかすみちゃんの家に、山のお土産をたくさん持って、おじさんがやってきます。恥ずかしくて隠れてしまうかすみちゃんですが、おじさんのお土産の中に、自分の分があるのか、気になってしかたありません。おじさんもそのかすみちゃんの気持ちを知り、からかうようにちょっとじらすのですが、最後にとっておきのお土産がありました! おばあちゃんお手製の袋に入ったぴかぴかのどんぐりたちです。かすみちゃんは、このお土産をきっかけにおじさんとの距離がぐっと縮まります。女の子とおじさんの心温まる交流を描いた作品です。
 絵を描かれたのは、柔らかな筆致で描く少女に定評のある、まるやまあやこさんですが、今回はそれに加えて、山のおじさんの存在感に注目です。山男の木訥さと温かさをみごとに表現してくださいました。色のにじみなど生かしながら、おおらかに描くことを心がけられたようです。制作にあたっては、実は同じ編集部の男性にモデルになってもらい、和やかな雰囲気の中、いろいろスケッチしていただきましたが、人物の動きをとらえる目の確かさに、改めて驚きました。素晴らしい人物描写をぜひじっくり味わってください。

「こどものとも」についてもっと知りたい方はこちらへ
「こどものとも年中向き」についてもっと知りたい方はこちらへ

《4》原画展・イベントのお知らせ

●誕生50 周年ぐりとぐら展
概要

「ぐりとぐら」のお話全7作品の貴重な原画をはじめ、『いやいやえん』の挿絵原画まで、50年の奇跡を170点以上の原画で展観します。また、映画監督・宮崎駿さんと中川李枝子さんの対談映像、世界11の国と地域に広がる海外版の展示や、読書コーナーなど「ぐりとぐら」のすべてを紹介します。

会期 2015年9月12日(土 )~10月25日(日)
会場 いわき市立美術館
問い合わせ先 TEL 0246-25-1111
関連作品

「ぐりとぐら」シリーズ『いやいやえん』


● 滝平二郎の世界

概要

初期の木版画をはじめ、名作絵本の原画、新聞連載の「きりえ」に加え、貴重なデッサンや下絵など、過去最大規模の約230点によって滝平二郎の画業を振り返ります。滝平が横手市で制作した木版画≪秋田にて≫をはじめ、作家・斎藤隆介との名コンビにより生み出された絵本『八郎』や『三コ』の原画など、秋田ゆかりの作品も併せてお楽しみください。

会期 2015年9月19日(土)~ 11月23日(月・祝)
会場 秋田県立近代美術館
問い合わせ先 TEL:0182-33-8855(9:00~17:00)
関連作品

『八郎』 『三コ』


●五味太郎プロジェクト 「海外出版の愉しみ」

概要 今までに350タイトル以上の絵本を描いてきた五味太郎。そのうち100タイトル余の作品が、海外25カ国以上で翻訳出版されています。 「絵は言語を超える自在さを持っている」、 そんな五味太郎の実感とともに、海外出版の絵本の愉しみを披露します。表紙の原画も数点展示しますので、あわせてお愉しみください。
会期 2015年10月6日(火)~10月18日(日)
会場

ギャラリー ル ベイン [GALLERY le bain] (東京都港区西麻布3-16-28 )

問い合わせ先 TEL:03-3479-3843

●絵本「きこえる?」の作者 はいじまのぶひこさんと一緒につくる本

概要 講師のはいじまのぶひこさんと一緒にじっくりのんびり、羽を伸ばして遊ぶワークショップです。起承転結にこだわらない、気楽な感じの、絵入りの本を作ります。

参加費:1,000円+材料費
定員:30名程度 (先着順)
日時 2015年10月11日 (日) 13:00〜16:30
会場

三鷹市駅前コミュニティセンター

問い合わせ先 お申し込みは三鷹ネットワーク大学ウェブサイトよりお申し込みください。
 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000