■あのねメール通信バックナンバー(2003年7月2日 Vol.20)

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 ★ あのねメール通信~福音館書店メールマガジン 2003年7月2日 Vol.20 ★
                

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         ◆◇◆  CONTENTS  ◆◇◆          

《1》 これは、ぼくの本だ! 松居直
《2》 月刊誌最新号<8月号>のご案内
《3》 「母の友」編集室の窓から
《4》 『ちびねこグルのぼうけん』の訳者・古川博巳さんのエッセイ
《5》 7月の新刊のご案内
《6》 福音館文庫創刊一周年キャンペーン“わたしが選ぶ 福音館文庫!”
    リクエスト中間集計のおmらせ
《7》 ホームページに新コーナー誕生!
    「ページをめくれる絵本のコーナー」のご案内

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《1》これは、ぼくの本だ! 松居直
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 福音館文庫が刊行されはじめて一年になります。過去50年間に、福音館書店が
出版した単行本の創作童話や古典童話、昔話集やノンフィクションの中から精選し
た作品を、文庫版として読者の皆様に手軽に求めていただけるように工夫しまし
た。これからもつぎつぎと続刊いたしますので、ご家庭の文庫として備えていただ
けると幸いです。
 私のきわめて個人的な経験ですが、幼稚園から小学校へ入学して、とても緊張
し、興奮していたとき、母が私に木製の組み立て式の本立てをくれました。「ここ
に、自分の本や教科書などをしまいなさい」というのです。早速、私は数少ない絵
本類や教科書を並べました。
 自分の本立てができたのは、とても嬉しいことでした。「これは、ぼくの本
だ!」と強く思いました。かけがえのない自分の財産ができた気分で、小学生に
なった歓びをかみしめ、小学生としての自分を強く意識し、勉強をはじめるのだと
改めて自覚しました。制服・制帽を身につけたときとは違った歓びでした。学年が
進むにつれて、本立てに本がすこしずつ増えてゆくのを、眺めるのも良い気分でし
た。自分の本を持つということは、読書への積極的な関心をかきたてる貴重な経験
です。
 父親となり、絵本を子どもたちと読むようになり、子どもによって絵本や物語の
好みが異なることを知って、子どもたちが小学生になったとき、一人ひとりに本立
てを与えました。好みの本が同じ場合は、できるだけそれぞれに買ってやるように
しました。「ぼくの本」「わたしの本」という意味は、読書体験の上では大切だと
考えます。共用することも大切ですが、自分の本を持っているという体験に意義が
あります。
 子どもたちは大学生になっても、専門書とともに自分の絵本を本棚に並べていま
した。その絵本はその子の精神的なルーツを示す記録です。そしてやがて自分自身
が親になったとき、自分のにおいのするその絵本や童話を、わが子に読んでやり、
手渡すことになるのでしょう。子どもの本は、そうした深い意味のある存在です。

                            松居直


松居直(まつい ただし)
児童文学家。京都生まれ。1951年同志社大学法学部卒業後、福音館書店の創業に参
画し、編集部長、社長、会長をへて、1997年より相談役、現在に至る。1956年月刊
物語絵本「こどものとも」を創刊し、編集長として赤羽末吉、長新太、堀内誠一、
安野光雅、加古里子、中川李枝子など、多くの絵本作家を世に出す。また、『もも
たろう』(1965年サンケイ児童出版文化賞受賞)『だいくとおにろく』や、陶淵明
の詩をもとにした『桃源郷ものがたり』など多数の絵本を執筆。著書は、『絵本と
は何か』『絵本の森へ』(日本エディタースクール出版部)、『絵本・ことばのよ
ろこび』『子どもの本・ことばといのち』(日本基督教団出版局)、『にほんご』
(共著、福音館書店)、『絵本の力』(共著、岩波書店)など多数。

★『ももたろう』 松居直 文/赤羽末吉 画
★『だいくとおにろく』 松居直 再話/赤羽末吉 画
★『こぶじいさま』 松居直 再話/赤羽末吉 画
★『ぴかくんめをまわす』 松居直 作/長新太 絵
★『桃源郷ものがたり』 松居直 文/蔡皋 絵


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《2》月刊誌最新号<8月号>のご案内
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☆月刊誌最新号<8月号>発売中です。

◇◆ こどものとも0.1.2.『めーめーはなはな』
             沼野正子 作                  ◇◆
 女の子とぬいぐるみのゾウが、お互いの目、鼻、口、耳、手足などを比べ合って
遊んでいるうち、お腹をポンポンたたきながら踊りだします。

◇◆ こどものとも年少版『なつ なつ なつ』
            のさか ゆうさく 文・絵               ◇◆
「なつ」と何度も言ってみて。あ、いつの間にか「つな」に変身した! 2文字の
言葉のくり返しが楽しい、不思議な言葉遊び絵本。

◇◆ こどものとも年中向き『おばけかぞくのいちにち』
             西平あかね 作                         ◇◆
 人間の子どもが眠るころ、おばけの子どもは保育園に出かけます。おばけの暮ら
しを人間の暮らしとの対比で楽しく愉快に描きます。

◇◆ こどものとも『たろうめいじんのたからもの』
          こいでやすこ 作                    ◇◆
 泳ぎが上手になって、川の中のきれいな石を手に入れたいきつねのきっこ。泳ぎ
を教えてくれるたろう名人とは一体だれなのでしょう。

◇◆ ちいさなかがくのとも『おなかのすいた ばったの トト』
                 得田之久 作                             ◇◆
 バッタのトトは、お腹がぺこぺこ。大好きなエノコログサを探していると、ごち
そうを食べている、いろんな虫に出会います。

◇◆ かがくのとも『やまでひとばん』
          横溝英一 作                                      ◇◆ 
 テントやトイレを自分たちでつくり、夜は星空の下でたき火。家族とともにはじ
めて過ごす、野外での一晩の様子を描きます。

◇◆ おおきなポケット【かがく】「サンゴのすむ海」
                吉野雄輔文・写真
           【ものがたり】「つきよのばんに」
                  おぼまこと 作                 ◇◆
(かがく)すきとおった水、色とりどりのサンゴと魚たち。夢のように美しいサン
ゴ礁の海を、写真で紹介します。
(ものがたり)人間の家でくらしていたかえるのルナが、ある日森でまよって、く
まさんに出会ったら……

◇◆ たくさんのふしぎ『ウミウシ』
           中野理枝 文/豊田直之 写真            ◇◆
 潮だまりや海底にいる小さな生物「ウミウシ」。「海の宝石」と呼ばれるほど美
しい体の色には生きのびるための秘密が隠されています。

◇◆ 母の友 特集“私たちは子どもを守れるか
                   ―今こそ考えたい「平和」のこと”                   ◇◆
 苦い経験から平和をめざして出発したはずの私たちの国が、今、とても変です。
今月は、戦争を体験した先輩の言葉に耳を傾け、日本はどこに行こうとしているの
かを考えます。

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《3》「母の友」編集室の窓から
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 どうやら人は、小さいものにひかれるようです。私が子どものころは、ミクロマ
ンなどというそのものズバリの玩具が流行しましたし、「世界最小」というコピー
は、今や諸々の商品の売り文句として定着しています。また最近では、ミジンコな
どのプランクトンに魅了される人も少なくないと言います。そんな私たちの小さい
ものを愛でる心を、存分に満たしてくれるのが、「母の友」の付録の歴史に燦然と
輝く豆本の数々です。母の友の付録を振り返る記事のために、取りそろえられた豆
本を見ていると、その絶妙な小ささにくらくらしてしまいました。
 そんな豆本のひとつ「手品」(安野光雅 作)が復刻されて、8月号の付録になり
ました。しかし、作り方を読むにつけ、本来あるはずの、作る喜びというものを味
わえないであろう不器用な自分が、ただただうらめしい。それでも、何とか作って
みようと思っているのは、一度目にしたあの完成品の見事な小ささが、目に焼き付
いてはなれないからでしょう。とりあえずまっすぐな線が引けるようになってか
ら、仕事に取りかかろうと考えています。


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《4》『ちびねこグルのぼうけん』の訳者・古川博巳さんのエッセイ
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 この童話の主人公、猫のちびっこグル君は、納屋で生まれましたが、自分の全然
知らないドラッグストア(薬や駄菓子の店舗)にもらわれていきます。短いしっぽ
をしていて、そのしっぽのように短気なところが、一番の欠点でした。そのため
に、失敗することも多くあります。お店のおじさん、おばさん以外に、いろんな人
や原っぱでの虫や動物との出会い、しくじりや冒険が描かれていて、読者はついつ
い惹きこまれます。
 訳者にとっても、本書出版にあたり、いくつかの忘れられない出会いがありまし
た。まず、原作との出会いですが、1950年代初め頃から十数年、わたしは阪神
間の高校で英語科の教員をしていました。50年代半ばに母校の恩師らと〈黒人研
究の会〉の創設に携わりました。その結果、黒人の歴史や文学に関心を抱くように
なりました。当時、わたしは高校生に読ませる英語の副読本として適切な読み物を
探していました。何冊か取り寄せていましたが、その中の一冊がAnn Petry作 The
Drugstore Cat(1949)でした。
 実はその高校に赴任するなり、すぐ担任を任され、最初に出会った当時の生徒た
ちが、といっても、現在60代半ばをこえているのですが、今年6月中旬にわたし
の喜寿を祝って、集まってくれることになっています。そのとき、出席者のみなさ
んに本書が手渡せることになったのは、思いがけない喜びです。
 いまひとつ、思いがけない出会いがありました。昨年12月、旧知の大社淑子さ
んから電話があり、訳書のさし絵を彼女の妹さんが担当してくださっていることを
知らされました。淑子さんは、定年退職されるまで早稲田大学教授で、近年、ノー
ベル文学賞受賞者であるアフリカ系アメリカ人女性作家、トニ・モリスンの多くの
作品を訳してこられた方です。わたしにも立派な批評書を送って下さったことがあ
りました。妹さんも一緒にお住まいとのこと、わたしにとっては、まったく有難い
ことでした。近年はモリスンだけでなく、アフリカ系の女性作家が目ざましい活躍
をしていますが、ピートリはその先駆的作家の一人でした。
 ピートリがこの童話を書いた動機は、物語が何よりも好きな姪に読ませるため
だった、と言われています。わたしが近年になって、この童話を訳したいと思い
立った一番の理由は、孫に読ませたいという衝動に駆られたからでした。小鳥、兎
につぎ、今は捨て猫を可愛がって育てている娘一家の四人姉妹に、そして、クワガ
タ虫を飼育し、雨の日にもコーギー犬を散歩に連れて出る息子の家の兄妹たちにで
す。さし絵画家玲子さんのおかげで、美しい本になった本書のことを、私はまだ孫
たちに秘密にしています。いきなり見せて、グル君の冒険みたいに、驚かせたい魂
胆からです。
 本書がわたしの孫だけでなく、動物好きの、たくさんの子どもたちの心に触れる
ことを願っています。

                              古川博巳    
                           

 
★『ちびねこグルのぼうけん』 アン・ピートリ 作/古川博巳・黒沢優子 訳/大社
玲子 絵


古川博巳(ふるかわ ひろみ)1927年、奈良市に生まれる。神戸市外国語大
学・英米学科中退。京都女子大学、天理大学などで英米文学・黒人文学などの教鞭
をとる。1954年、〈黒人研究の会〉創設に参画し、前代表、現在は顧問。著書
に『黒人文学入門』(創元社)『ブラックへの旅路』(せせらぎ出版)、訳書に
『黒人はなぜ待てないか』(共訳・みすず書房)など多数。兵庫県在住。

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《5》7月の新刊のご案内
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【新刊】
≪7月2日(水)配本予定≫
★『このゆびとまれ』
  平出衛 作
◎女の子が蝶々に「いっしょにあそぶのもこのゆびとまれ!」と声をかけたら、い
ろいろな動物がやって来て、「とーまった!」。でも、蝶々は…。

★『親子でたのしむストロー工作』
  有木昭久 作/新開孝 写真
◎手作りのおもちゃで遊ぶことは、子どもたちに新鮮な面白さを伝えるはず。本書
は身近なストローなどの材料でおもちゃを作り、それで遊ぶことを、連続写真展開
で示します。

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《6》福音館文庫創刊一周年キャンペーン“わたしが選ぶ 福音館文庫!”
   中間集計のお知らせ
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 6月のメールマガジンでお知らせした「福音館文庫」創刊一周年キャンペーンの
“わたしが選ぶ 福音館文庫!”には、読者の皆様からハガキやホームページで多数
の作品リクエストをいただき、ありがとうございます。
 6月30日現在のリクエストの中間集計をお知らせします。

順位      書  名           投票数
 1     若草物語                          76
 2      あしながおじさん                  69
 3      ふしぎの国のアリス                48
 4      魔法使いのチョコレート・ケーキ    45
 5      トム・ソーヤーの冒険              40
 6      海底二万海里                      39
 7      九つの銅貨                        31
 8      ぞうのドミニク                    28
 8      レ・ミゼラブル(上)(下)        28
10      アラビアン・ナイト                27

 応募は8月末まで受け付けています。応募要領をもう一度掲載しますので、皆様
ふるってご応募ください。

 福音館書店50年の刊行作品の中で、あなたがもう一度読んでみたい作品は?
 あなたの一票が2004年度の「福音館文庫」を創ります。
 皆様の思い出の一冊、心に残る作品をぜひお寄せください。

<応募要領>

 専用応募はがきまたは官製はがきにリストの候補作品(小社ホームページに掲載
されています。下のURLからご覧ください)の中から、刊行ご希望の作品を3つ以内
でお書きいただき、ご住所・お名前・電話番号・年令をお書き添えのうえ、下記宛
お送りください。
 また、福音館書店ホームページからもご応募いただけます。

締め切り 2003年8月末日(当日消印有効)
作品の決定発表 2003年11月中旬 小社ホームページ、新聞紙上にて。
賞品 応募者全員の中から抽選で300名様にオリジナル図書カード(1000円
分)をお送りいたします。なお、当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせてい
ただきます。賞品の発送は12月上旬を予定しています。

*リクエスト作品の刊行時期は、2004年6月を予定しています。
*応募およびお問い合わせ 
〒113-8686 東京都文京区本駒込6-6-3 福音館書店 「わたしが選ぶ
福音館文庫!」係

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《7》 ホームページに新コーナー誕生!
    「ページをめくれる絵本のコーナー」のご案内
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 絵本の絵をクリックするとページをめくって見られるコーナーができました。
 今年4月以降に刊行された絵本9点と、ロングセラーの絵本48点がご覧いただけま
す。
 ブロードバンド(ADSL,CATV,FTTH,無線LAN)ご利用の方むけです。
 福音館書店ホームページのトップページのバナーよりお入りください。

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◆発行者:株式会社 福音館書店 販売促進部 宣伝企画課
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