あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2016年3月2日 Vol.207
春は、すぐそこに

 いつも「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 3月がはじまりました。日差しに春のあたたかさを感じるこのごろです。進級・進学を控えたこの時期に、福音館からも2016年度の月刊絵本の年間購読をプレゼント! 応募のお知らせはメールマガジン後半にありますので、ぜひご覧くださいね。

《1》   『ははがうまれる』 宮地尚子さんのエッセイ

 「私なんかが、おかあさんになっていいのかな」 宮地尚子

 ときどきランチを食べにいくお店があります。若いカップルでやっていて、カナダじこみのメニューがおいしいのです。ははがうまれる夜もたまにいきますが、古民家のガレージを改装したお店で、陽当たりがよいので、お昼どきが断然気持ちいいのです。小さな庭に面した窓際の席が運よく空いていれば、食事をしながら、たっぷりひなたぼっこができます。
 そのお店に、「しばらくランチをお休みします。」という張り紙がありました。「どうしたのかな、残念だな」と思いながら、なかなか立ち寄る機会がないまま、数ヵ月がたちました。
ある日の午後、カップルの女性の方とばったり、お店の近くのスーパーの前で会いました。彼女は生まれて数ヵ月の赤ちゃんを胸に抱っこしていました。
 「あらあ、赤ちゃんだ!」
 「そうなんです。実は、子どもができたので、ランチをお休みしてたんです」
 「そうだったの!おめでとう!!!生まれたのはいつ?」
 「8月です。」
 「そうかあ。よかったね」
 「ええ。ありがとうございます」
 「おかあさんになったんだね」
 「そうなんです。私なんかが、おかあさんになっていいのかな、って思っちゃうんですけど」
 ぐっすり眠っている子どもの顔を、大切そうに覗き込みながら、彼女はそう言いました。
 ああ、ここにも「母が生まれたんだ」と私は思いました。 ははがうまれる「私なんかが、おかあさんになっていいのかな。」子どもを持って、そんなとまどいをもつ女性は少なくありません。子育ては、知らないことだらけ、迷いだらけ、失敗だらけ。そして自分はまだまだ未熟で欠点だらけ。なかなか泣き止まない我が子に苛立ったり、気持ちの余裕がなくて、寄ってくる子どもを邪険にしたくなったり、ひっこみじあんでママ友がうまく作れなかったり。私も子育て中、横で寝ている子どもを見ながら、あんな接し方でよかったんだろうか、こんな私が母親でいいんだろうかと、よく悩みました。
 でも、生まれてから、赤ちゃんのすることがすべて初体験なように、母親になった女性にとっても、母としてすることは初体験ばかり。だから赤ちゃんが生まれるように、「母も生まれる」。そう捉えた方が面白いし、「うまくできなくても当然」と思えて、楽になるんじゃないかと思います。
 逆に言えば、社会が母親の子育てに期待することは、あまりに多すぎます。うまく育てることができて当たり前とされ、子どもに何かあれば、すぐに母親の育て方が悪いと責められてしまう、そんな不安をいつもお母さんたちは抱えています。
 でも、だいじょうぶ! みんな生まれてきていいように、みんなお母さんになっていいのです。不完全でいいのです。失敗しながら、子どもが成長していくように、失敗しながら、お母さんも成長していくのです。そんな思いを込めて、『ははがうまれる』を書きました。ひらがなは、これから始まる未分化な感じをあらわしています。
 いったんお母さんになってしまったら、簡単にやめることはできません。周りの人といっしょに、みんなで子育てを楽しみましょうね。続編で『ちちがうまれる』も書こうかな(笑)。

宮地 尚子(みやじ なおこ)
兵庫県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科地球社会研究専攻・教授。精神科医師。医学博士。専門は文化精神医学、医療人類学、トラウマとジェンダー。1986年、京都府立医科大学卒業。1993年同大学院修了。1989~1992年、ハーバード大学医学部社会医学教室、および法学部人権講座に客員研究員として留学。近畿大学医学部衛生学教室勤務を経て、2001年より、現職。著書に、『トラウマの医療人類学』『環状島=トラウマの地政学』(共に、みすず書房刊)、『傷を愛せるか』(大月書店刊)、『震災トラウマと復興ストレス』(岩波ブックレット)、『トラウマ』(岩波新書)などがある。

『ははがうまれる』 『ははがうまれる』
宮地尚子 著/呉 夏枝 絵
定価(本体1100円+税)

多くの人のトラウマと向き合ってきた精神科医が、自身の経験や専門知識も交えてつづる、子育てのヒント。月刊誌「母の友」連載時に多くの共感を呼んだエッセイです。

《2》月刊誌<4月号>のご案内


こどものとも0.1.2.『ねんねんよう』 こどものとも0.1.2.
『ねんねんよう』


神沢利子 文/鎌田暢子 絵
定価(本体389円+税)

「ねんねんよう ねんねんよう」。ねこのお母さんが赤ちゃんにささやきます。カンガルーもペンギンも、りすもくまも、赤ちゃんはみんな、お母さんの「ねんねんよう」の声に安らかに眠ります。優しいリズムが心地良い眠りを誘う、子守歌の絵本。
こどものとも年少版『こたろうのさかなつり』

こどものとも年少版
『のりまき』


小西英子 作
定価(本体389円+税)

海苔の上に、ごはんをのせて、細長く切った卵焼きをのせ、きゅうりをのせ、えび、あなご、しいたけ、かんぴょうをのせて……「のりまき のりまき いっぱいできた!」。

こどものとも年中向き『もじもじこぶくん』 こどものとも年中向き
『もじもじこぶくん』


小野寺悦子 文/きくち ちき 絵
定価(本体389円+税)

恥ずかしがりやのこぶたのこぶくんは、もじもじしていてアイスクリームを注文できません。そこへ、ほかのお客さんがどんどん割り込んできてしまい…。
こどものとも『もぐとぐるとうみかぜごう』 こどものとも
『もぐとぐると うみかぜごう』


安江リエ 作/及川賢治 絵
定価(本体389円+税)

モグラのもぐとぐるは、置き去りにされているスニーカーを見つけ、スポーツカーに改造しました。二人は海に向けて出発します。
ちいさなかがくのとも『かなへびくんとひなたぼっこ』 ちいさなかがくのとも
『かなへびくんと ひなたぼっこ』


島津和子 作
定価(本体389円+税)

かなへびが石の上でひなたぼっこ。こっちの石には2匹もいるよ。春の陽ざしの中、女の子がかなへびに出会います。
かがくのとも『にわのきあげは』 かがくのとも
『にわの キアゲハ』


岩渕真理 作
定価(本体389円+税)

キアゲハが庭で38個の卵を産みました。でも、卵も、産まれた幼虫も、次々に他の虫に食べられて数が減ってゆきます。無事に蝶へと羽化できるものは、いるのでしょうか!?
たくさんのふしぎ『昆虫の体重測定』 たくさんのふしぎ
『昆虫の体重測定』


吉谷昭憲 文・絵
定価(本体667円+税)

一万分の一グラムからはかれる電子天びんというはかりを使って、いろいろな昆虫の体重をしらべると、そこには驚きの結果が待っていました。
ははのとも4がつごう

母の友
特集「『こどものとも』の世界」
定価(本体505円+税)

1956年、世界でもめずらしい、月刊の物語絵本「こどものとも」が生まれました。創刊当時までさかのぼり、その理由に迫ります。また、60年の歴史の中から様々な作品を紹介し、見てたのしい、読んで納得の特集をおとどけします。

こちらから目次をご覧いただけます。

《3》月刊絵本&月刊誌 1年間プレゼント! 締切迫る(3月7日まで)


 お子さんの年齢にあわせた月刊絵本と、大人のかた向けの月刊誌「母の友」の年間購読プレゼント応募受付中です。
 各誌3名×8シリーズ、合計24名の募集となります。お子さんの年齢や興味にあわせて、ご希望のシリーズを選んでご応募ください。年間で3回ほど、電話やメールでのアンケート調査にご協力いただきます。みなさんのご応募をおまちしています。(ご応募はこちらから)
※応募の締め切りは、3月7日(月)17:00まで

各月刊絵本と月刊誌の年間ラインナップなど、くわしい内容はこちら


《4》月刊誌編集部からこんにちは
 毎月交代で月刊誌の編集部から、読者のみなさまにむけてメッセージをお届けします。

こどものとも第二編集部から

 みなさん、こんにちは。少しずつ暖かくなってきて、何だかうれしい気持ちになってきますよね。
 そんなわくわくした季節にぴったりの絵本が、「こどものとも年少版」4月号『のりまき』です。表紙から、朱色のお皿にずらりと並んだのりまきが、何と華やかなんでしょう! この絵本は、のりまきができるまでを、リズミカルな言葉と共に、テンポ良く描いた食べもの絵本です。
 作者の小西英子さんは、この絵本を作るにあたり、まず問屋街に走り、何種類もの巻きすを買って、その中から一番いい、職人さんの手作りのものを選んで描かれました。エビは、縞が美しいものを描きたいからと、新鮮な、生きた車エビを買ってきて、家でゆでて描かれました。きゅうりもすごいのです。切ったときのタネの配置が美しいものを描きたいと、上等なきゅうりを買ってきて、何本も切って、一番いいと思うタネの配置のきゅうりを描かれたそう! すごいこだわりには頭が下がりますね。
 でも、のりまきを身近に感じてほしいから……と、のりは「スーパーの普通ののり、"特選有明のり"を選びました」と小西さん。絵本に描かれたのりは、のり特有の微妙な質感が見事に描かれ、何という美しさなのでしょう! 小西さんの絵本にかける熱い思いがたっぷりこもった本当においしそうなこの絵本、どうぞお子さんと存分にお楽しみください。お腹がすいてくること、うけあいです!
 「こどものとも0.1.2.」の4月号は、『ねんねんよう』。お母さんの「ねんねんよう」の優しい語りかけに、動物の赤ちゃんたちが皆すやすや寝入る、おやすみなさいの絵本です。文章は、日本の児童文学界を代表する大ベテランの神沢利子さん。丁寧で温かな絵を描いたのは、鎌田暢子さん。神沢さんは、「読んでもらった赤ちゃんと、読んであげた大人が幸せで平和な気持ちになってくれたらうれしいです」とおっしゃっていました。たっぷりの愛情が感じられる絵本を、赤ちゃんと一緒にどうぞお楽しみください。この絵本を読んだら、幸せな気持ちに包まれて、赤ちゃんもきっと眠たくなることでしょう。
「こどものとも0.1.2.」についてもっと知りたい方はこちらへ
「こどものとも年少版」についてもっと知りたい方はこちらへ

《5》あのねぶっくくらぶ 2016年度 申込受付中!


 福音館書店が自信をもっておすすめする選りすぐりの絵本と童話を、毎月1冊 ずつ、お子さまの成長にあわせてご家庭に直接お届けする「あのねぶっくくらぶ」。2016年度(2016年4月~2017年3月)のお申し込みを、4月いっぱいまで受付中です!

  ★あのねぶっくくらぶのご案内

《6》原画展・イベントのお知らせ

●井上洋介 絵本の世界『くまの子ウーフ』もやってくる!

概要

『おだんごぱん』(こどものとも47号)や『くまの子ウーフ』をはじめ、初公開となる『ものうり草子』(2015年福音館書店)など絵本、童話の32タイトルにおよぶ原画約300点を展示し、絵本作家・井上洋介の魅力に迫る展覧会です。

会期 1月23日(土)~ 3月21日(月・祝)
会場 ふくやま美術館
問い合わせ先 TEL 084-932-2345
関連作品 『おだんごぱん』(こどものとも47号) 『ものうり草子』など

●「ひながたり ~ひな人形をかたる~」

概要

ひな人形をテーマにした石井桃子さんの代表作の一つ『三月 ひなのつき』をとおして、そこに描かれた、女性のひな人形への想いと荻窪にゆかりの深い石井桃子さんを紹介します。

会期 2月20日(土)~ 3月27日(日)
会場 杉並区立郷土博物館分館 西棟2階
問い合わせ先 TEL 03-5347-9801
関連作品 『三月 ひなのつき』

●「『てんじつきさわるえほん ぞうくんのさんぽ』 刊行記念
なかのひろたかさん トーク&サイン会“ てんじ と えほん のおはなし ~ぞうくんの あたらしいさんぽ~ ”」

概要 絵本『ぞうくんのさんぽ』は、「こどものとも」1968年6月号として刊行されました。出版から約50年、発行部数139万部、3世代にわたって読まれているロングセラー作品です。絵本は大人と子どもが一緒に楽しむもの、というのは「こどものとも」の編集方針のひとつです。目の見えない人も目の見える人も同じ絵本を介して、楽しい時間を共にできるようにという思いから、「てんじつきさわるえほん」第2弾としてお届けすることになりました。制作の裏側や作品への想いなど。絵本作家自らの言葉によって、その魅力に触れる貴重な機会です。皆さまぜひお越しください。
日時 2016年3月7日(月)19:30 ~
会場 ジュンク堂 池袋本店
問い合わせ先 TEL 03-5956-6111
関連作品 『てんじつきさわるえほん ぞうくんのさんぽ』

●アキノイサム原画展・秋野和子氏ミニ講演会

概要

大胆で民族色豊かな多くの絵本を描いた画家アキノイサムの原画展と絵本作家秋野和子さんの絵本にまつわる講演会をおこないます。原画展示中は、『たこなんかじゃないよ』の作品にちなんだ、お絵かきの特別企画も予定しています。

原画展
【日時】3月2日(水)~15日(火)
【場所】兵庫県たつの市揖保川図書館フロア

講演会
【日時】3月13日(日)14:00~15:00
【場所】たつの市総合文化会館アクアホール2階 第3会議室
【対象】一般
【定員】25名(先着順)
【申込】揖保川図書館(電話可)※2月5日(金曜日)受付開始

会場 揖保川図書館(兵庫県たつの市)
問い合わせ先 TEL 0791-72-7666
関連作品 『たこなんかじゃないよ』

●「ことばってたのしいな―木島始の詩と絵本」 展

概要

詩人・木島始(1928~2004年)の詩と絵本の世界を紹介する展覧会です。本展では、今年度練馬区に寄贈された木島始関係資料から、大人も子供も楽しめる詩と絵本の世界を取り上げます。詩人ならではの視点で輝く言葉の数々。絵本になったときの楽しさと面白さ。美術も愛した木島自身が描いた絵や原稿を含め、堅苦しい「展覧会」ではなく、「ことばってたのしいな」と遊んでいただきたい展覧会です。

会期 2016年1月9日(土)~3月27日(日)
会場 練馬区立石神井公園ふるさと文化館分室 展示室
問い合わせ先 TEL 03-5372-2572
関連作品 『はなをくんくん』 『木』ほか
 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000