あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2016年4月20日 Vol.209
春の風がふいてきたら……

 いつも「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
 2016年4月で、月刊絵本「こどものとも」は創刊60周年を迎えました。今回のメールマガジンは「こどものとも」60周年大特集。元・こどものとも編集長による「こどものとも60周年によせて」」のご挨拶のほか、作家・池澤夏樹さんによる記念エッセイ「あの絵本たちの思い出」、編集部から「こどものとも」4月号の紹介をお届けします。

《1》こどものとも60周年 記念エッセイ
「こどものとも」編集の60年

画期的なスタート『ぐりとぐら』
 1950年代、絵本といえば名作のダイジェスト絵本という時代に、創作の物語絵本を、しかも月刊で刊行するという「こどものとも」の試みは、ほんとうに画期的なものでした。この試みの土台にあったのは、子どもが大人と一緒に物語を楽しむことが、子どもの心の成長に大きな力になるという確信だったと思います。それまでの日本の子どもの本の主流だった、教訓、郷愁などの大人からの押し『しょうぼうじどうしゃじぷた』つけを排し、何よりも子どもが心から楽しめる物語を届けることに力を注いだのです。
 絵については、それまでの類型的な童画に見切りをつけ、様々なジャンルから、それぞれの物語にふさわしい新しい描き手に登場してもらい、“絵に物語を語らせる”ことを追求していきました。
 創刊から10年間のこうした取り組みの成果が、1960年代前半に大きく花開き、今もロングセラーの中核として子どもたちに愛され続ける多くの作品を生み出しました。

絵本ブームのなかで
 こうした魅力的な創作絵本に刺激を受けて、子どもの本を主な活動の場とする作家、画家、そして『カニ ツンツン』絵本作家が次々に登場し、絵本の表現が多様化します。絵本の創作、出版は盛んになり、70年代には、“絵本ブーム”と言われる時代を迎えます。「こどものとも」からも、本格的な物語絵本に加えて、全く新しい発想、表現の絵本が次々に生まれていきます。
 一方、絵本ブームの陰で、絵本の子ども離れや物語軽視の傾向が現れ始めまし『とうもろこしおばあさん』た。それに対して、80年代から90年代にかけて、「こどものとも」は、大人の読者に重心が片寄りがちなブームからは距離を置き、子どもに真正面から向き合った作品を見極めることに努める一方、新鮮で力強い物語と絵の表現を求めて世界の様々な地域にも目を向けました。

いつもかわらず いつもあたらしく こどものそばに『でんしゃにのったよ』
 創刊から40年、2000年代に入るころには、「こどものとも」で育った方が、読み手はもちろん作り手としても活躍するようになりました。絵本を読んでもらう喜びを知る世代が、「こどものとも」にまた新たな力を与えてくれています。
『はかせのふしぎなプール』 子どもが心から楽しめる物語を届けることを柱としつつ、常に絵本の新しい可能性を模索するという「こどものとも」の姿勢は世代を超えて受け継がれています。60周年のキャッチフレーズのとおり、「いつもかわらず いつもあたらしく こどものそばに」いる月刊絵本でありつづけることを目指して、これからも子どもたちに絵本を手渡していきたいと思います。


川崎康男(かわさき やすお)

1985~1994年こどものとも編集部編集長、2008~2011年「こどものとも」第一編集部編集長をつとめる。現取締役編集担当。

《2》この人も好きだった! 「こどものとも」~池澤夏樹さん~
 月刊絵本「こどものとも」が創刊60周年を迎えることを記念し、各界で活躍されているみなさんの「こどものとも」にまつわる思い出やエピソードを特設ページでお届けします。
  記念すべき第一回目は作家・池澤夏樹さんによる「あの絵本たちの思い出」です。エッセイはこちらからどうぞ。
こどものとも60エッセイ
《3》4月の新刊のご案内 

《4月13日(水)好評発売中》
『路線バス しゅっぱつ!』 『路線バス しゅっぱつ!』
鎌田 歩 作
定価(本体1200円+税)

つばさくんは、友だちと路線バスにのって公園にいくことにしました。精密なイラストレーションで描く、はじめての路線バスの旅。


《4月20日(水)販売開始》
『ねこどけい』

『ねこどけい』
きしだ えりこ 作/やまわき ゆりこ 絵
定価(本体900円+税)

ことちゃんの家の鳩時計が気になる猫のねねこ。猫の家をもらったねねこは、鳩時計をまねして猫時計に!

『菜の子ちゃんとカッパ石』

『菜の子ちゃんとカッパ石ー日本全国ふしぎ案内 2
富安陽子 作/YUJI 画
定価(本体1300円+税)

本州の西の端・下関に、ワルのカッパが150年ぶりに戻ってくる!ふしぎな転校生・山田菜の子と地元の少年トオルの一夜の冒険!

『むかし、にほんおおかみがいた』 『むかし 日本狼がいた』
菊池日出夫 文・絵
定価(本体1500円+税)

江戸時代を舞台にニホンオオカミの生態や人間との関わりが描かれています。絶滅したニホンオオカミがこの絵本でよみがえります。

《4》月刊誌編集部からこんにちは
 毎月交代で月刊誌の編集部から、読者の皆様にむけてメッセージをお届けしています。今月はこどものとも第一編集部です。

こどものとも第一編集部から

 「こどものとも」60周年という記念すべき年の4月号は、「こどものとも」「こどものとも年中向き」ともに、とってもフレッシュで魅力的な動物の物語です。『もぐとぐるとうみかぜごう』(「こどものとも」)はふたごのもぐらのお話で、『もじもじこぶくん』(「こどものとも年中向き」)は、はずかしがりやのこぶたのお話。子どもたちは動物のお話が大好きですよね。絵本を楽しむ年齢は、生き物として同じ目線で動物と共感しあえる時期です。もぐらやこぶたに会ったことがなくても、絵本の中ではすーっとその動物になって、または友だちのように共感しながら、物語を体験することができます。
 ですから絵本を作る時には、主人公の動物がとても魅力的でないといけません。もぐらを描いてくださった及川さんと編集担当は多摩動物公園(東京)の「もぐらのいえ」を訪れ、じっくりもぐらを観察することから始めました。丸い毛糸玉のようなもぐらが、カタカタ動きまわるのを飽かず眺めて、はて、どんな主人公にしようかと。子どもたちが親しみを感じてくれて、それでいてもぐらっぽさを失わず、元気な愛すべき主人公にと考える日々が続きました。下絵の流れや構図が決まってきてからも、及川さんはずっと悩み続け、最後の段階で、やっとやっと「もぐとぐる」が誕生しました。慎重派で料理好きの「もぐ」と積極的で発明家の「ぐる」、性格の違うふたりの良い相棒ぶりがとても楽しく描かれています。
  はずかしがりやの「こぶくん」も、きくちさんの試行錯誤の末に誕生しました。表情豊かなこぶくんのことを応援したくなること間違いなし!です。どうぞたっぷりお楽しみください。
こどものとも年中向き『そらがおちてくるんです』 こどものとも年中向き
『もじもじこぶくん』


小野寺悦子 文/きくち ちき 絵
定価(本体389円+税)

恥ずかしがりやのこぶたのこぶくんは、アイスクリームを買いにゆきますが、もじもじしていてなかなか注文できません。そこへ、ほかのお客さんがどんどん割り込んできてしまい…。
★こどものとも年中向き くわしくはこちら

こどものとも『もぐとぐるとうみかぜごう』 こどものとも
『もぐとぐると うみかぜごう』


安江リエ 作/及川賢治 絵
定価(本体389円+税)

モグラのもぐとぐるは、置き去りにされているスニーカーを見つけ、スポーツカーに改造しました。二人は海に向けて出発します。
★こどものとも くわしくはこちら

《5》こどものとも60周年記念フェスタ 後期イベント開催!
 2016年3月19日から4月5日まで開催し、たくさんの方にご来場いただいた「あそぼう つくろう 絵本のせかい—こどものとも60周年記念フェスタ」、いよいよ4月28日より後期イベントがはじまります(5月1日まで)。
 創刊号から最新号までの「こどものとも」を手にとって読むことのできる読書スペースを設けるほか、4月30日は事前申し込みなしでご参加いただける「こどものともわくわく工作&COINNコンサート」もひらかれます。
 詳しい日程・内容は、こちらの特設ページをご覧ください。
《6》原画展・イベントのお知らせ

●水はみどろの宮 挿絵原画展
概要

長く絶版だった石牟礼道子さんの『水はみどろの宮』が山福朱実さんの挿画を加えた新装版として、福音館文庫から出版されました。その刊行を記念した原画展を開催します。

会期 2016年5月10日(火)~5月22日(日)※5月16日(月)はお休み
会場 ポレポレ坐
関連作品 『水はみどろの宮

●赤羽末吉スケッチ写真 モンゴル・1943年
概要

『スーホの白い馬』『かさじぞう』などの絵本作家として名をはせる赤羽末吉さんによって撮影された1943年のモンゴル。草原に点在するパオ、馬や羊の遊牧、晴天からスコールへの変化が一望できる大空、貝子廟での祭り、装飾的な民族衣装など、モンゴルの大地と民俗が画家の視線で切り取られています。 近代化が進む現在、73年前のモンゴルを伝える貴重な写真約90点(全作品モノクロ)の初公開展示です。

会期 2016年5月31日(火)~ 6月26日(日)
会場 日本カメラ博物館
関連作品 『スーホの白い馬』
 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000