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 ★ あのねメール通信~福音館書店メールマガジン 2003年8月6日 Vol.21 ★
                
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         ◆◇◆  CONTENTS  ◆◇◆          

《1》 文字に魂がある 松居直
《2》 月刊誌最新号<9月号>のご案内
《3》 「母の友」編集室の窓から・ 「母の友」創刊50周年のお知らせ
《4》 『ユウキ』の著者・伊藤遊さんのエッセイ
《5》 8月の新刊のご案内
《6》 福音館文庫創刊一周年キャンペーン“わたしが選ぶ 福音館文庫!”
    リクエスト中間集計のお知らせ

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《1》文字に魂がある 松居直
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 “乾さんの書を絵本化した「こどものとも」の2003年1月号『月 人 石』を手に
したときの衝撃は強烈だった。魂をわしづかみにされて揺さぶられたような感動と
言おうか。……こちらの魂がビリビリと振動する。そして、みんなやさしい。こん
な書を見たことがなかった。”
 ノンフィクション作家の柳田邦男さんの「こどもの本」7・8月号(日本児童図
書出版協会発行)の連載エッセイは、このような書き出しではじまっています。絵
本『月 人 石』は、脳性マヒで身体の不自由な書家・乾千恵さんの書に、谷川俊太
郎さんの詩と川島敏生さんの写真とを組み合わせた、異色の絵本です。
 これは書が、文字というものの持つ精神性や造形力を見る者に感じさせるととも
に、筆をとる人の内面の思いやイメージまでも伝える力をもっていることを、改め
て感じさせてくれる貴重な絵本です。幼い読者もそれを受けとめていることが、次
のお便りでわかります。
 “本当に不思議な本ですね。3歳の長女は書かれている字が文字とは全く感じな
かったようです。まず「扉」のページで写真を見て、字を見たとたん「あ! おん
なじ!」と叫んで、嬉しそうに字を指でなぞりました。次の「猫」のページで『ネ
コ』という字だと教えてやると、「ここがあたま、ここがアンヨ、ここがシッポで
背中があるの!」と、字をいとおしそうになぞります。どの文字も写真を見ると、
あら、これは象形文字だったかしらと思うくらい、その文字の伝えたい内容が伝
わってくるので驚きました。「影」のページでは、子どもは写真と文字から強い
メッセージを感じたらしく、「ママ、こわーい」と言って、こわごわ文字をなぞり
ました。私も影の写真を見て、ああこの字は、こんな意味だったんだと納得。どの
ページもびっくりするくらい強いメッセージを感じました。子どもも自然に手が動
いて、文字の上をなぞってゆくようでした。私が一番魅かれたのは「人」のペー
ジ。筆と人が支えあって一つになったような後ろ姿が、胸に深く残りました。親子
ともにお話に強くひきこまれた絵本でした。”(宮崎市・油屋順子さん)
 「こどものとも」の歴史に残る傑作です。
                            松居直


★「こどものとも」2003年1月号『月 人 石』
                乾千恵  書/谷川俊太郎  文/川島敏生  写真

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松居直(まつい ただし)
児童文学家。京都生まれ。1951年同志社大学法学部卒業後、福音館書店の創業に参
画し、編集部長、社長、会長をへて、1997年より相談役、現在に至る。1956年月刊
物語絵本「こどものとも」を創刊し、編集長として赤羽末吉、長新太、堀内誠一、
安野光雅、加古里子、中川李枝子など、多くの絵本作家を世に出す。また、『もも
たろう』(1965年サンケイ児童出版文化賞受賞)『だいくとおにろく』や、陶淵明
の詩をもとにした『桃源郷ものがたり』など多数の絵本を執筆。著書は、『絵本と
は何か』『絵本の森へ』(日本エディタースクール出版部)、『絵本・ことばのよ
ろこび』『子どもの本・ことばといのち』(日本基督教団出版局)、『にほんご』
(共著、福音館書店)、『絵本の力』(共著、岩波書店)など多数。

★『ももたろう』 松居直 文/赤羽末吉 画
★『だいくとおにろく』 松居直 再話/赤羽末吉 画
★『こぶじいさま』 松居直 再話/赤羽末吉 画
★『ぴかくんめをまわす』 松居直 作/長新太 絵
★『桃源郷ものがたり』 松居直 文/蔡皋 絵
★『にほんご』 安野光雅・大岡信・谷川俊太郎・松居直 編

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《2》月刊誌最新号<9月号>のご案内
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☆月刊誌最新号<9月号>発売中です。

◇◆ こどものとも0.1.2.『こちょこちょ』
             福知伸夫 作                  ◇◆
 オランウータンを“こちょこちょ”くすぐったらどうなる? 絵を見ていると、
くすぐったくなったり、そばにいる人をくすぐりたくなってくる。

◇◆ こどものとも年少版『みんなあつまれ』
                         スズキコージ  作                             ◇◆
 汽車に乗って子どもたちがお祭りに出かけます。魔法使いのおばあさんからも
らったお面をかぶり、歌ったり、踊ったりして楽しみます。

◇◆ こどものとも年中向き『かなへびくんのあかいながぐつ』
                           島津和子 作                                ◇◆
 かなへびくんは嵐の日になくなった赤い長靴を友だちのがまくんと一緒に探し回
ります。そこに赤い大きな怪しい生き物が現れて……。

◇◆ こどものとも『オレンジいろのビーチサンダル』
                   市川宣子 作/菅野由貴子 絵                         ◇◆
 花火を見に行っておねえちゃんとはぐれたゆうちゃんは、なくなった片方のビー
チサンダルにのった小さな男の子と出会います。

◇◆ ちいさなかがくのとも『おひさまが しずむ』
                           越智典子 文/沢田としき 絵                 ◇◆
 ベランダが夕日でオレンジ色に染まってから一番星が輝き出すまでの夕暮れの
詩。鳥がねぐらに帰り、空が刻々と色を変えていきます。

◇◆ かがくのとも『なっちゃんの なつ』
                   伊藤比呂美 文/片山健 絵                           ◇◆
 なっちゃんは1人で河原にでかけました。そこは草が生いしげり、花が咲き、無
数の命がざわめいている世界でした。濃密な日本の夏。

◇◆ おおきなポケット【かがく】「もののけ工作絵巻」
                                 たごもりのりこ 作
           【ものがたり】「いつもとちがうかえりみち」
                                     甘友ういこ 作                    ◇◆
(かがく)動かして、飛ばしてあそぶ、簡単にすぐ作れる妖怪工作がいっぱい。切
るだけで作れるおまけもついて、夏休みの自由研究に最適です!
(ものがたり)平凡な帰り道を楽しんでいた子の前に、突然知らない子が現れま
す。

◇◆ たくさんのふしぎ『大根はエライ』
                       久住昌之 文/絵                                ◇◆
 日本で一番食べられている野菜なのに、どこか脇役な感じの大根。そんな大根の
意外な大活躍を見ながら、大根の生き様を考えてみる。

◇◆ 母の友 “創刊50周年記念特別号”                                 ◇◆
 創刊当時の企画「こどもに聞かせる一日一話」を作家と読者の新しい作品でお届
けします。その他、楽しい記事がいっぱいです。

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《3》「母の友」編集室の窓から ・「母の友」創刊50周年特集のお知らせ
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 この9月号は創刊50周年記念号ということで、近年はずっと行なっていなかった童
話の公募をいたしました。応募作品711編の書き手は、全国各地、海外在住、若い方
からお年寄りまで、そして男性も大変多かったのです。テーマや文体など、それぞ
れに持ち味があり、ドキドキしながら、1編ずつ拝読しました。

 400字詰め原稿用紙、たった3枚分の中に、1つの物語を展開すること自体、簡
単なわざではありません。さらに、それが読み手をひきつけるものであることは。
その困難に、プロ、アマ含め大勢の方が挑戦してくださいました。

 こんな短くても、面白いお話ができるんだ、いろんなタイプの――いろいろな題
材、いろいろな構成、いろいろな語り口の物語ができるんだということを、9月号を
お手にとり、ぜひ、体験してください。また、このような公募の機会をもうけるこ
とも検討しております。次は、あなたが、新たな書き手となってくださいますよう
に。


★「母の友」創刊50周年を記念して、小社ホームページでは「母の友」の歴史や
「母の友」から生まれた本の紹介、「母の友」の歴代表紙展覧会など多彩な内容の
特集を掲載しております。

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《4》『ユウキ』の訳者・伊藤遊さんのエッセイ
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  夏休みの宿題

 夏休みの宿題は最初の一週間で終わらせて、そのあと心おきなく遊ぶという子ど
もは、少ないのではないでしょうか。私の場合、いつも最後の三日間が勝負でし
た。半泣きでドリルの問題を解き、慈悲深い新聞社が夏の終わりころ紙面に載せる
「夏休みの天気」を書き写しながら、絵日記をでっちあげました。自由研究は、た
いてい工作。始業式の前日や、ひどい時は当日の朝に仕上げをして、まだ絵の具も
乾かない作品をぎりぎりセーフで提出しました。そういう悪い癖は大人になったら
直るのかと思っていましたが、いまだにお尻に火がつかないと何もできません。
 夏休みというのは長いのです。私の通った小学校では四十日間もありました。子
どもの私にとって、それは永遠ともいえる長さでした。朝から友達と遊びに出か
け、昼ごはんを食べに帰ったあと夕方まで外で遊びました。寺や神社の境内にある
大きな木は、照りつける太陽から守ってくれました。虫を捕り、草花を摘み、隠れ
んぼう、球技。時には自転車で冒険に出かけ、暑さの厳しい日はプールで泳ぎまし
た。そうやって毎日遊んでも、次の日も次の日もまだまだ夏休みでした。学校のこ
とはいつしか頭の中から消え去り、休みはずっと続くような気がしはじめます。宿
題はもう少しあとになってからやろう。だって夏は遊ぶためにあるのだから……。
 けれども、物事には終わりがあるのです。赤トンボを見かけたと思ったら、夏休
みは残りわずかになっていました。絵日記はいつから描いていなかったでしょう。
ドリルの白いページの多さといったら……。しかし、それらはまだなんとかなる範
囲です。問題は自由研究でした。私は手近な箱でロボットを作ることに決めます。
もちろん間に合うはずもなく、ほとんどできていないそれを持って、いつも父に泣
きつきました。年中行事のようなものでした。
 父はいちおう小言を言うのですが、頭の中ではもうロボットの組み立てを考えて
います。手先の器用な父にかかれば、ロボットくらい朝飯前でした。私はそれを
知っているので、あえて工作を選ぶのです。「そんなに上手に作ったら、子どもの
作品ではないことがばれてしまう」という母の忠告(?)にしたがって、父はわざ
と下手に組み立てました。いかにも子どもが作ったかのように……。私は色を塗る
ことだけは得意だったので、仕上げは自分でしました。随分と甘やかされていたも
のです。
 子どもを甘やかして育てると、ろくな人間にならないと言います。そのとおりだ
と思いながらも、呼び起こすたび幸せな気持ちになれるこの記憶は私の密かな宝物
です。だから私は、息子たちの宿題をこっそり手伝ってしまいました。夏休みの思
い出の中で、宿題すらも幸せな記憶となるなら、それもいいのではないかと言いわ
けしながら。

                           伊藤遊 
 
★『ユウキ』 伊藤遊 作/上出慎也 画

伊藤遊(いとう ゆう)『鬼の橋』『えんの松原』(以上福音館書店)と続く平安
朝ファンタジーで、すでに多くの読者を獲得、現代日本を代表する児童文学の書き
手のひとりとなりました。児童文学ファンタジー大賞、産経児童出版文化賞、日本
児童文学者協会新人賞ほか受賞歴も多彩です。この春からは、朝日新聞の子ども読
書欄で、ファンタジーの紹介・批評の連載執筆が始まっています。

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《5》8月の福音館文庫新刊のご案内
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【福音館文庫】
≪8月5日(火)配本≫
★『文庫版いっすんぼうしの話 ショヴォー氏とルノー君のお話集4』
  レオポルド・ショヴォー 作/出口裕弘 訳
◎フランスの一寸法師ロワトレ君が木靴の舟に乗って大冒険。アヒルと旅をし巨人
に追われ、王女さまとのロマンスも……。

★『文庫版流れのほとり』
  神沢利子 作/瀬川康男 画
◎1931年夏、麻子の一家は、炭坑技師である父さんの赴任地、樺太に向かう。北の
自然と暮らしを描く回想の物語。

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《6》福音館文庫創刊一周年キャンペーン“わたしが選ぶ 福音館文庫!”
   中間集計のお知らせ
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 6月のメールマガジンでお知らせした「福音館文庫」創刊一周年キャンペーンの
“わたしが選ぶ 福音館文庫!”には、読者の皆様からハガキやホームページで多数
の作品リクエストをいただき、ありがとうございます。
 7月31日現在のリクエストの中間集計をお知らせします。

順位      書    名                          投票数
  1      若草物語                             142
  2      あしながおじさん                     133
  3      ふしぎの国のアリス                    99
  4      つる姫                                89
  5      海底二万海里                          79
  6      魔法使いのチョコレート・ケーキ        78
  7      トム・ソーヤーの冒険                  75
  8      レ・ミゼラブル                        62
  9      九つの銅貨                            61
 10      アラビアン・ナイト                    52
 10      ぞうのドミニク                        52

応募は8月末まで受け付けています。ふるってご応募ください。
 福音館書店ホームページからもご応募いただけます。

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◆発行者:株式会社 福音館書店 販売促進部 宣伝企画課
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