あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2016年5月18日 Vol.210
新緑のまぶしい季節です

いつも「あのねメール通信」をご愛読いただき、ありがとうございます。
お天気が良い日は、新緑が気持ちよくて、外を散歩するのが楽しい季節ですね。
今月のメルマガでは絵本『はちみつ』、『あまがえる、のはらへ』など、生き物についてとりあげた絵本のエッセイをご紹介します。絵本を読んだ後は、お散歩に出かけてみませんか!

《1》『はちみつ』の作者 ふじわら ゆみこさんのエッセイ
ミツバチの魅力 -蜂蜜、花、自然、人とのつながり-
こどものとも60エッセイ

 「ぼく、蜂蜜大好き。ミツバチが蜂蜜をつくってくれるんだよね。ミツバチは何を食べているの?」養蜂場へ見学に来る子どもたちから、こんなかわいい質問を受けることがあります。ミツバチの食べ物は、成虫は花蜜(かみつ)からつくられる蜂蜜、幼虫は花粉と蜂蜜の混合物です。花蜜も花粉も花由来、つまり、ミツバチは花がないと絶対に生きていけません。
 一つの巣箱には2万匹から多い時は6万匹以上のミツバチが暮らしているので、たくさんの花蜜と花粉が必要です。桜、リンゴ、栃(とち)、クローバー、ニセアカシア、ユリノキ、クリ、ケンポナシ、ソバ……。ミツバチは季節の花々へと飛んで花蜜を吸い、色とりどりの花粉だんごを足につけて自分の巣箱へ戻ってきます。その様子を見る時、私はとても幸せな気持ちになります。なぜなら子育てに必要な花粉をミツバチが集めることで、花の方は受粉され結実するという共生関係があり、それが豊かな自然生態系や環境をつくり出すことにつながっていくからです。小さなキューピットたちが自然界で果たす役割は、計り知れないほど大きいことでしょう。私たちが食べる多くの作物も受粉してくれます。
 ここ10年間で、ミツバチの興味深い生態やその重要な役割、そしてもちろん「蜂蜜」に魅了される人々が増え、各地で「ミツバチプロジェクト」が数多く始動し、色々な活動が展開されています。ミツバチは、人と人とをつなぐキューピットでもあるようです。
 さて、人が美味しい蜂蜜を手に入れるためには、ミツバチの天敵(スズメバチ、クマ等)の防除、病気の予防、良い女王蜂の育成など「養蜂」の技術を駆使し、五感をフルに使って世話をすることで、ミツバチになるべく多くの蜂蜜をつくってもらい、彼らの分は残して余った分をいただきます。こうやって採れた蜂蜜は、花ごとに色や香り、味が違い、それぞれ個性的です。例えば、ユリノキの蜂蜜は透き通るような淡黄色で上品な甘み、ボダイジュの蜂蜜はミントやニッキに似たスッとした味わい、ソバの蜂蜜は色が黒く味が濃厚で香りも特徴的というふうに。また、巣箱の中では蜂蜜だけでなく、ローヤルゼリー、プロポリス、蜜蝋など多様な生産物がミツバチによってつくられ、どれも有効に利用できます。昔から蜂蜜は薬として使われきたこともあり、私は巣箱を秘かに「薬箱」と呼んでいます。でも、どんなに養蜂家が頑張ってミツバチの世話をしても、天候不順や、花の豊作・不作は人の力の及ばないこと。養蜂は自然界の微妙なバランスの上に成り立っている営みだと感じます。
 この絵本『はちみつ』では、画家のいせひでこさんが、四季折々にスケッチに来てくださり、ミツバチと蜂蜜、そして自然や花の魅力を色あざやかに表現した素晴らしい絵を描いてくださいました。絵本に登場した私の2人の子どもたちは現在20代になり、娘はニホンミツバチの研究を、息子は化学物質に弱いミツバチのために、なるべく農薬を使わない作物つくりと養蜂の両立を目指して、日々奮闘しています。

ふじわら ゆみこ

1956年、神奈川県鎌倉市生まれ。慶応義塾大学法学部卒業後、会社勤務、南米コロンビア遊学などを経て、養蜂業を営む夫と結婚。岩手大学農学部大学院に社会人入学し、2008年に博士(農学)の学位を取得。現在、藤原養蜂場勤務。岩手県盛岡市在住。

『はちみつ』

『はちみつ』 かがくのとも絵本
ふじわら ゆみこ 文/いせ ひでこ 絵
4才から
定価(本体900円+税)
とろりと甘いはちみつはどうやってできるの? 養蜂家のお父さんと子どもたちのはちみつ作りの一年を通して、花とみつばちからの贈り物"はちみつ"の魅力を伝えます。

《2》この人も好きだった!「こどものとも」 ~浜 文子さん~
月刊絵本「こどものとも」が創刊60周年を迎えることを記念し、各界で活躍されている方の「こどものとも」にまつわる思い出やエピソードをお届けします。
第二回目は、子育て中のお母さんを励ますエッセイを多く執筆している作家・浜 文子さんが、ご自身の「こどものとも」と子育ての思い出を寄せてくださいました。エッセイはこちらからどうぞ。
こどものとも60エッセイ
《3》5月の新刊のご案内 

《好評発売中》
すずめくん どこで ごはん たべるの? 』マルシャークの詩より

『すずめくん どこで ごはん たべるの? ーマルシャークの詩より』
たしろちさと 文・絵
3才から 
定価(本体900円+税)
おなかがすいた“すずめくん”は、近くの動物園へ。動物たちのごはんをわけてもらうんだ。今日はだれのところに行こうかな?

『はちみつ』

『はちみつ』
ふじわら ゆみこ 文/いせ ひでこ 絵
4才から
定価(本体900円+税)
とろりと甘いはちみつは、どうやってできるの? 養蜂家のはちみつ作りの四季を、子どもたちの目線で楽しく描きます。

『夜空をみあげよう』

『夜空をみあげよう』
松村由利子 文/ジョン・シェリー 絵/渡部潤一 監修
5才から
定価(本体1,200円+税)
夏の大三角、地球照、空を横切る国際宇宙ステーション……都会の夜空にも、宇宙の神秘を感じられるシーンはたっぷりあります。夜空観察入門。

『わたしのこねこ』 『わたしのこねこ』
澤口たまみ 文/あずみ虫 絵
4才から
定価(本体1,200円+税)
「わたし」の家に子猫がきた。名前は「くろ」。早く仲良くなりたいな。主人公は、少しずつ「くろ」のきもちがわかってきて……。
『七十二歳の卒業制作』学ぶこと、書くこと、生きること 『七十二歳の卒業制作ー学ぶこと、書くこと、生きること』
田村せい子 作/岡本よしろう 画
小学校上級から
定価(本体1,300円+税)
中1の4月で学業を中断せざるをえなかった作者は、60代で一念発起、夜間中学を振り出しに、学ぶ喜びと人生の意味を求めて奮闘する。
密林の闇をこえて 『ボノボとともに』 『ボノボとともにー密林の闇をこえて 』
エリオット・シュレーファー 作/ふなと よし子 訳
中学生から
定価(本体1,700円+税)
紛争による混乱と暴力の続くアフリカ・コンゴ民主共和国。この地を舞台に、14歳の少女と、人類に最も近い類人猿とされるボノボとのサバイバルを描く。

《4》月刊誌編集部からこんにちは
 毎月交代で月刊誌の編集部から、読者の皆様にむけてメッセージをお届けしています。今月はちいさなかがくのとも編集部です。

ちいさなかがくのとも編集部から

 夏が近づくと、田んぼのあぜ道を歩きたくなります。ほんの数日前まではおたまじゃくしだった、ちいさなアマガエルたちに出会えるからです。一歩ふみだすごとに、ぴょん! 足もとを元気に跳びはねるのですが、本格的な夏を迎えるころには、あぜ道に彼らの姿は見られなくなります。いったいどこへ…? 「ちいさなかがくのとも」の6月号は、そんなちいさなアマガエルの"はじめての旅"を描いたおはなしです。  
 この絵本をつくるため、文章をご担当いただいた澤口たまみさん、日本画家の磯部光太郎さんと、岩手県の各地で取材を行いました。この取材を通して、たくさんのアマガエルに出会ったのですが、実はもうひとつ、印象に残る<出会い>がありました。それは、一匹の毛虫です。ヒトリガという蛾の幼虫で、体全体が黒と茶色の毛につつまれているため、"クマケムシ"という呼び名があります。その毛虫を草の上に見つけると、澤口さんは優しく「おいでおいで」と声をかけ、あっという間に自身のてのひらへ呼び込みました。そして「このコは毒がないから大丈夫、のせてみませんか?」とおっしゃるのです。それまで毛虫を手にのせたことなどなかったのですが、澤口さんの笑顔を見ていると「のせてみよう」という気持ちになるから不思議です。そうっと手を差しのべると、毛虫はもくもく歩いて澤口さんの手からこちらへ渡ってきました。その毛はふわふわとやわらかく、まるで猫にふれているようです。毛虫はそのままもくもく歩き、続いて差し出された磯部さんの手へと渡っていきました。
 その時、ふと、こんなことを思いました。何だか絵本が生まれていく過程を見ているようだと。文章を紡ぐ方から、描き手の方へ。大切な思いを伝えるように一匹の毛虫が渡っていきました。この毛虫は絵本の中にも登場します。磯部さんの美しい日本画の表現とともに、お楽しみいただけたらと思います。
ちいさなかがくのとも『あまがえる のはらへ』 ちいさなかがくのとも
『あまがえる、のはらへ』

澤口たまみ 文/磯部光太郎 絵
定価(本体389円+税)
田んぼのおたまじゃくしに脚がはえ、ちいさな緑色のカエルになりました。カエルたちは慣れ親しんだ田んぼをはなれ、野原をめざします。
★月刊絵本「ちいさなかがくのとも」くわしくはこちらをご覧ください。

《5》こどものとも60周年記念フェスタが閉幕しました。
2016年3月より開催し、たくさんの方にご来場いただいた「あそぼう つくろう 絵本のせかい—こどものとも60周年記念フェスタ」が5月1日をもちまして、閉幕いたしました。たくさんの方々にご来場いただき、ありがとうございました。イベントの様子は随時、こちらの特設ページでご報告いたします。

*写真はイベントの様子です。

《6》原画展・イベントのお知らせ

●水はみどろの宮 挿絵原画展
概要

長く絶版だった石牟礼道子さんの『水はみどろの宮』が山福朱実さんの挿画で、新装版として、福音館文庫から出版されました。その刊行を記念した原画展を開催します。

会期 5月10日(火)~5月22日(日)
会場 ポレポレ坐
関連作品 『水はみどろの宮

●赤羽末吉スケッチ写真 モンゴル・1943年
概要

『スーホの白い馬』などの絵本作家として名をはせる赤羽末吉さんによって撮影された1943年のモンゴル。草原に点在するパオ、馬や羊の遊牧、晴天からスコールへの変化が一望できる大空、貝子廟での祭り、装飾的な民族衣装など、モンゴルの大地と民俗が画家の視線で切り取られます。 近代化が進む現在、73年前のモンゴルを伝える貴重な写真約90点(全作品モノクロ)の初公開展示です。

会期 5月31日(火)~ 6月26日(日)
会場 写真博物館
関連作品 『スーホの白い馬』
 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000