あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2016年6月15日 Vol.211
新緑のまぶしい季節です

いつも「あのねメール通信」をご愛読いただき、ありがとうございます。
全国的に梅雨に入り、空模様の悪い日やじめじめした日が続いていますが、こんな時期こそお子さんと
おうちで絵本を楽しんではいかがでしょうか。6月は絵本から読み物まで、バラエティ豊かな新刊がせ
いぞろいです。ぜひ親子でお楽しみください!

《1》『せなか町から、ずっと』の作者 斉藤 倫さんのエッセイ
せなか町から、きみへ
『せなか町か、ずっと』

 いぬを飼っています。
 しらないあいだに、ベッドのしたに入って、ねごとをいっていたりします。どんな夢を見ているのかなとおもいますが、ことばが話せないので、きっとわかる方法はありません。
 ちゃぶ台でしごとをしていると、じゃまをしないようにしているのか、せなかをむけたまま、すこしずつすりよってきて、いつのまにか、おしりだけを、こちらにぴったりくっつけて、おすわりしていたりします。
 たぶん、とても、どうでもいいこと。あぶくのように、消えてしまうこと。いぬは、きっとぼくより早く死ぬ。そうしたら、この世でぼくだけが、かすかにおぼえているでしょう。ぼくも、すぐに死んで、そうしたらどこにもなくなってしまう。
 これからの時代を生きていかなくてはならない、きみたちには、もっと価値や、いみのあることは、たくさんあって、それらを身につけることは、じつに、たいせつです。なのに、ぼくは、そうではないことを、子どもたちのために書いておきたいのです。
 この『せなか町から、ずっと』には、ちいさなストーリーが八つ入っています。せなか町で暮らすひとびとや、ひとではないなにかの、ささやかな物語です。
 あまのじゃくなカーテン、だれにも鳴らしかたのわからない楽器、はこから出てこないねこ、などなど、おおきな事件は起きませんが、暮らしているひとびとにとっては、こころに残るようなできごと。そうしたことが、なんと巨大なマンタのせなかにある(らしい)せなか町で、くりひろげられるのです。
 生きていると、いつか、価値や、いみが、たよりにならない、そんなときがやってきます。なにひとつ確実なものや、たよりになるものがないようにおもえるときが。
 そのとき、いままで、なんでもない、とるに足らないとおもっていたことが、たった一点で、かがやいて、じぶんの人生を支えてくれることがあるものです。
 そうしたことは、これを読んだみなさんには、すぐに伝わりはしないでしょう。そんなむずかしいことをいうつもりもないのです。
 でも、子ども向けだからといって、おろそかにしたくないという考えで、ぼくは、この物語を書きました。だから、ただ楽しんでもらえたなら、それ以上のことはありません。
 ふだん生きているせかいで、あまり味わえない、いみもないような、すてきな時間を、この町ですごしてもらえたなら、うれしい。読書という、ほんらいはとてもむだなものが、きみを支えてくれる日が、きっといつかおとずれるはずです。

斉藤 倫(さいとう・りん)

1969年生まれ。詩人。2004年『手をふる 手をふる』(あざみ書房)でデビュー。14年、初めての長篇『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)を発表。同作で、第48回児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞を受賞。他の詩集に『さよなら、柩』(思潮社)、『本当は記号になってしまいたい』(私家版)などがある。

『せなか町から、ずっと』

『せなか町から、ずっと』 福音館創作童話シリーズ
斉藤 倫 作/junaida 画
小学校中学年から
定価(本体1,400円+税)
おてんばな女の子は名前を落っことし、少女の涙からは、極上のハチミツができあがる。ふしぎなことがあたりまえ、せなか町でおこったことをみなさんにお話ししましょう。

《2》この人も好きだった!「こどものとも」 ~西 加奈子さん~
月刊絵本「こどものとも」が創刊60周年を迎えることを記念し、各界で活躍されている方の「こどものとも」にまつわる思い出やエピソードをお届けします。
第三回目は、作家・西 加奈子さんに、ご自身が小さいころ大好きだった「こどものとも」の1冊をご紹介いただきました。エッセイはこちらからどうぞ。
こどものとも60エッセイ
《3》6月の新刊のご案内 

《好評発売中》
ぺんぎんたいそう

『ぺんぎんたいそう』
齋藤 槙 作
0才から 
定価(本体800円+税)
ペンギンのユニークで愛らしい動きは、まるで体操のよう。読みながら思わず身体が動いてしまう絵本です。

『ぞうきばやしのすもうたいかい』

『ぞうきばやしのすもうたいかい』
広野多珂子 作/廣野研一 絵
2才から
定価(本体900円+税)
昆虫たちの相撲大会。虫たちの特徴を生かしたユーモラスな勝負が続きます。大一番はクワガタとカブトムシ。さて勝ったのは?


講談えほん『三方一両損』

講談えほん『三方一両損』
宝井琴調 文/ささめや ゆき 絵
小学校中学年から
定価(本体1,100円+税)
三両の入った財布を落とした吉五郎とそれを拾った金太郎とが、江戸っ子の意地をかけての大げんか。大岡越前による名裁きを語った講談が、楽しい絵本に!

『ぼくのいちにち どんなおと?』

『ぼくのいちにち どんなおと?』
山下洋輔 文/むろまいこ 絵
3才から
定価(本体1,400円+税)
日常の聞き慣れたはずの音が、聞いたことのない自由なオノマトペになり、立体的な絵を添えて楽しく描かれます。耳でも目でも楽しめる音の絵本です。

『ロボとピュータのはいくえほん なつやすみのまき』

『ロボとピュータのはいくえほん なつやすみのまき』
あらしやま こうざぶろう 文/みなみ しんぼう 絵
5才から
定価(本体1,200円+税)
ピュータは、おとうさんのロボから俳句を教わりました。俳句って、おもしろいなあ! 海で、キャンプ場で、今年の夏休みは俳句で過ごします!

おめでたこぶた その3『サムのおしごと』

おめでたこぶた その3『サムのおしごと』
アリソン・アトリー 作/すがはら ひろくに 訳
やまわき ゆりこ 画
小学校中学年から
定価 (本体1,300円+税)
かかしになって小麦畑の番をしたり、農場ではたらいたり、こぶたのサムが大活躍します。心優しい人びととサムの交流を温かく描いた「おめでたこぶた」のシリーズ第3巻。

『夜空をみあげよう』

『せなか町から、ずっと』
斉藤 倫 作/junaida 画
小学校中学年から
定価(本体1,400円+税)
おてんばな女の子は名前を落っことし、少女の涙からは、極上のハチミツができあがる。ふしぎなことがあたりまえ、せなか町でおこったことをみなさんにお話ししましょう。

『海のなか のぞいた』 『海のなか のぞいた』
よしの ゆうすけ 作
6才から
定価(本体1,200円+税)
水中メガネをもってきたから、今年の海はひと味ちがう! 星型のヒトデ、透明なエビ、大きな目玉のカエルウオ……初めて見る海の中は、生き物たちでにぎやかだ。
『ハワイ島のボンダンス』 『ハワイ島のボンダンス』
いわね あい 文/おおとも やすお 絵
小学校低学年から
定価(本体1,400円+税)
ハワイに住む姉を訪ねるおばあちゃんの旅に同行した少年が、親戚の人たちと一緒にハワイ島のボンダンスを体験! いろんな国の人も参加するボンダンスってどんなダンス?
『はじめてであう小児科の本 改定第四版』 『はじめてであう小児科の本 改定第四版』
山田 真 著/柳生弦一郎 画
定価(本体2,600円+税)
30年以上読みつがれてきた小児の医学書の改訂第四版。
予防接種、けがの処置などを新しく書き直しました。ウイルス性胃腸炎などの項目も追加しています。

《4》月刊誌編集部からこんにちは
 毎月交代で月刊誌の編集部から、読者の皆様にむけてメッセージをお届けしています。今月は「かがくのとも」編集部です。

かがくのとも編集部から  虫目をきたえる

 野山を歩いて虫をめざとく見つける目を虫好きの人たちは「虫目」と呼んでいますが、この「虫目力」は人によってかなり違います。
 先日、バッタの取材に行ってきました。メンバーは昆虫を専門とする博物館学芸員である文章担当の著者A氏。子どもの頃から昆虫好きで昆虫画を得意とする作画担当の著者B氏。多くの取材経験で虫慣れしているつもりですが、A、B両氏から見れば“虫ど素人”の編集者である私の3人です。
 取材対象のバッタは、孵化したばかりの一齢幼虫か一回脱皮をした二齢幼虫です。体長は2~3ミリ程度。バッタなので当然跳び上がります。着地点を見失うともうわからなくなる。しかも周囲の自然と同化する保護色です。
 観察ポイントを熟知しているA氏はどんどんバッタを見つけ、素早く何匹も捕獲していきます。小さな幼虫をサンプル管に追い込むようにして捕る様は名人技です。B氏はというと、じっと動かず見つけたバッタをデジカメで撮影中です。レンズとバッタの距離わずか数センチ。気配を消しそっと近づいて写真撮影なんて忍者ですか?
 A、B氏が虫目力名人クラスならば、私は初心者レベル。しばらくは収穫ゼロが続きました。とはいえやはり慣れてくるもので、ひたすらバッタを探し求めているうちに、だんだんとバッタを視界に捕捉できるようになってきました。大げさかもしれないですが、視界が開け世界が拡がった感じです。発見の喜びを久しぶりに実感しました。わずかな時間で虫目力がアップしたようです。
 このような取材経験がかがくのともの作品作りには欠かせません。読んでくれた子どもたちに虫目力がついてくれたらうれしいです。
かがくのとも『あかちゃんは ふしぎが いっぱい』

かがくのとも7月号『あかちゃんは ふしぎが いっぱい』
安江リエ 文/ いまき みち 絵
定価(本体389円+税)
あかちゃんは、人が生涯必要とする機能を短い期間でひとつひとつ獲得してゆきます。家族の目を通して、あかちゃんの発達と行動を、やさしく丁寧に描きました。

月刊絵本「かがくのとも」くわしくはこちらをご覧ください。

《5》原画展・イベントのお知らせ

●絵本・動物・地球展ー8人の作家が奏でるいのちのうたー
概要

生き物と自然の共生を、絵本の世界で活躍する作家たちの作品で考える展覧会です。

会期 2016年4月16日(土)~ 6月26日(日)
会場 群馬県立館林美術館
関連作品 『わにわにとあかわに』

●村上慧 個展『家の提出』
概要

2014年4月から現在まで発泡スチロールで制作した自身の家を背負って日本中を歩き、移住を繰り返しながら暮らしている村上慧さんの個展です。

会期 2016年6月9日(木)~7月4日(月)
会場 awai art center
関連作品 『家をせおって歩く』(「たくさんのふしぎ」2016年3月号)

●日紫喜洋子 絵本原画展
概要

こどものとも年中向き2016年7月号『ちいさな あかい にわとり』(再話・大塚勇三)の原画を展示する日紫喜洋子さんの個展です。

会期 2016年6月18日(土)~6月26日(日)
会場 アトリエ木里
関連作品 『ちいさな あかい にわとり』(「こどものとも年中向き」2016年7月号)

●NO CHO SHINTA, NO LIFE!?「別冊太陽 長新太」資料展
概要

絵本や漫画、イラストレーション、エッセイなどで広く親しまれる長 新太さんの作品と人生を紹介する「別冊太陽 長 新太」(平凡社/2015年11月刊)制作のために集めた資料と、彼の著作約100冊を展示します。

会期 2016年6月19日(日)~7月1日(金)
会場 絵本の読める小さな喫茶店シーモアグラス
関連作品 福音館書店 長新太さん著作一覧

●山福朱実 挿絵原画版画展
概要

山福朱実さんによる本の挿絵原画版画展です。熊本震災支援”熊本、文学の光”の活動のひとつとして開催され、売上の一部を義援金といたします。

会期 2016年6月30日(木)~7月17日(日)
会場 本屋 Title
関連作品 『水はみどろの宮』(石牟礼道子 作)

●Zuking in Wonderland ! ふしぎの国のスズキコージ展
概要

スズキコージさんの手がけた絵本作品、ライブペインティング作品など、スズキコージさんの多彩な仕事をご紹介する展覧会です。

会期 2016年7月2日(土)~9月11日(日)
会場 八ヶ岳小さな絵本美術館
関連作品 『エンソくんきしゃにのる』『きゅうりさんあぶないよ』

●安野光雅のふしぎな絵本展
概要

画家、絵本作家、装丁家として幅広い活躍を続ける安野光雅さんの多彩な活動の中から、「ふしぎ」をテーマに、想像力にみち、幅広い学識とユーモアに富んだ作品群をご紹介します。

会期 2016年7月9日(土)~8月28日(日)
会場 三菱地所アルティアム
関連作品 福音館書店「安野光雅の絵本」ページ

●美術館に行こう!-ディック・ブルーナに学ぶモダン・アートの楽しみ方-
概要

ディック・ブルーナさんの絵本を通して、子どもたちにモダン・アートとの出会いを楽しんでもらう展覧会です。

会期 2016年7月9日(土)~9月8日(木)
会場 静岡県立美術館
関連作品 みんなの人気者うさこちゃん

●かこさとしの世界
概要

絵本「だるまちゃん」シリーズ等に代表される絵本作家としてはもちろん、多様な視点と世界をもったかこさとしさんの作品と想いを紹介する展覧会です。

会期 2016年7月9日(土)~8月21日(日)
会場 こおりやま文学の森資料館
関連作品 福音館書店 加古里子さん著作一覧

●西巻茅子の世界
概要

『わたしのワンピース』でおなじみの、西巻茅子さんの原画展です。

会期 2016年7月15日(金)~8月28日(日)
会場 仙台文学館
関連作品 『おさんぽさんぽ』『うみのおさんぽ』『サンタクロースのくるひ』
 
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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000