あのねメール通信
福音館書店メールマガジン2017年3月15日 Vol.220
ご卒園・ご卒業 おめでとうございます

いつも「あのねメール通信」をご愛読くださりありがとうございます。
3月は卒園式・卒業式の季節。新しい世界にはばたく皆さまに心からのエールをお送りします。
新しい……といえば、福音館書店も3月から新しいホームページをオープンしました。
読者の皆さまが新しい絵本に巡り会える場としてご活用いただければと願っています。
ぜひ遊びにいらしてください。福音館書店ホームページ

《1》『猫魔ヶ岳の妖怪』の再話者、八百板洋子氏のエッセイ
『猫魔ヶ岳の妖怪』ー祖先からのおくりものー
猫魔ヶ岳の妖怪

 この本には、四つの福島の伝説が入っています。伝説は昔話と異なり、その土地にあった話として伝承されてきたものです。  
 表題作の「猫魔ヶ岳の妖怪」は、会津の山、猫魔ケ岳に伝わる話です。  
 会津地方は雪が深く、人々は、昔から厳しい自然と向き合って暮らしてきました。  
 山は、春には山菜、秋にはきのこや木の実が採れ、恵みをもたらしましたが、一方で、人々は山に大きな畏れをいだいていました。  
 この話は、人間が山に捨てたことで妖怪となった猫と、退治を命じられた鉄砲うちの若者との触れあいと別れを哀しく伝えています。
 福島は、北海道、岩手県に次いで三番目に広い県です。県内が大きな山脈で遮られ、浜通り、中通り、会津地方の三つに分かれています。それぞれの地域で、気候も風習も、言葉も違い、伝えられている話も変化に富み、伝説や昔話の宝庫です。
 自然が美しく、海も山も川も、湖もあります。漁業も盛んで、米や、桃、柿、りんごなどの農作物が豊かです。
 人々は昔から、この自然の恵みを享受しながら、自然と共存して暮らしてきましたが、東日本大震災と原発事故で、はかり知れない多くのものを失いました。今なお、海も川も、湖も泣いています。
 水も深刻ですが、土もたいへんです。山や田畑は動かないものなので、蘇生するのに、どれだけの時間がかかることでしょう。
 わたしは、福島の中通りの、山あいの町で生まれ育ちました。学校から帰ると、弟と自転車で阿武隈川に魚を採りにでかけました。
 夏休みには、家の裏庭から見える安達太良山に、家族とテントをもって登ったり、原町(現・南相馬市)の海辺に住む親戚の家に遊びに行きました。
 その後、大学時代を東京で過ごし、ブルガリアに留学しましたが、夏にバルカン山脈の山あいの村で民話の採録をしたときも、吹雪のドナウ川の川辺に立ったときも、安達太良の青い山や阿武隈川が目に浮かびました。
 きっと、みなさんにも、心の中に子どもの頃に見た自分だけの風景があると思います。
 この本にある四つの伝説は、わたしたちに、人間と自然が共存することのむずかしさと、自然がもたらす恵みのありがたさを伝えてくれます。
 「大杉とむすめ」は、吾妻山のふもとの古い杉の木の精霊と恋におちた娘の話です。村の畑の日射しを遮っていた大杉は、娘の哀願もむなしく、村人たちに切り倒されてしまいます。
 また、「天にのぼった若者」と「おいなりさまの田んぼ」からは、暮らしを支える桑の木や稲の実りを、自然からの貴重な贈り物として大切に守り、感謝の祈りを忘れなかった祖先たちのあたたかい心が伝わってきます。
 わたしは、この本をとおして、みなさんに心の風景を思い出してもらえたら、と思います。

八百板洋子(やおいた・ようこ)
福島県生まれ。ソフィア大学大学院に留学。訳詩集『ふたつの情念』(新読書社)、『吸血鬼の花よめ−ブルガリアの昔話』(福音館書店)でそれぞれ日本翻訳文化賞を受賞。『ソフィアの白いばら』(福音館書店)で産経児童出版文化賞・日本エッセイストクラブ賞を受賞。その他の訳書に『いちばんたいせつなもの−バルカンの昔話』(福音館書店)など。日本民話の会で民話の採録、研究に携わる。日本の昔話では、『おはなし12か月(全15巻)』(共著・国土社)などがある。
猫魔ヶ岳の妖怪

猫魔ヶ岳の妖怪―福島の伝説
日本傑作絵本シリーズ
八百板洋子 再話/斎藤隆夫 絵
定価(本体2,000円+税)
福島につたわる伝説から、後世に残したいよりすぐりの4話、「猫魔ヶ岳の妖怪」「天にのぼった若者」「大杉とむすめ」「おいなりさまの田んぼ」を1冊の絵本にしました。

《2》春におすすめ、入園・入学に贈りたい絵本

入園・入学にぴったりの絵本をご紹介しています。ぜひ、春休みに親子でお楽しみください。

《3》月刊誌編集部からこんにちは

毎月交代で月刊誌の編集部から、読者の皆様にむけてメッセージをお届けしています。
今月は「こどものとも第二」編集部です。

こどものとも第二編集部から

 「こどものとも年少版」は1977年創刊の月刊絵本です。今年で40周年を迎えました。これまで「年少版」からは、『きんぎょが にげた』『くだもの』『しゅっぱつ しんこう!』など、数多くのロングセラーの名作が生まれています。近年では『わにわにのおふろ』『おべんとう』『くだもの だもの』などの人気作も続々と誕生しています。
 ところで、子どもにとって大事なことは何でしょう? よく食べ、よく寝、よく遊ぶことでしょう。そのときに絵本があったら、子どもの世界はより楽しく、より豊かになると私たちは信じています。まだ幼い子どもは、何でも吸収しようとする旺盛な好奇心と柔らかな感性を持っています。そのときに、1回ゲラゲラ笑っておしまい、というような表面的な面白さの絵本が、本当の意味で子どもの心を豊かにするのでしょうか?
 子どもには、深く心に残る絵本が大事だと思います。美しく、何度読んでも面白い、子どもたちが心の底から楽しめる、子どもの興味や関心が広がる、そんな絵本を私たちはこれからも届けてまいります。大人が子どもに向けて真剣に作った絵本、そういう絵本をお届けします。
 今年の「年少版」4月号は、『いちばんせんちょう』。「いちばんせんちょう いちばんせんとう ぼくのうしろをついてこい」というリズミカルな言葉にのって、男の子が動物たちと行進しながら遊ぶ、元気な世界を描きます。物語の入り口に立つ幼い子どもにぴったりの楽しいお話です。
 こどものとも第二編集部では「こどものとも0.1.2.」も作っていますが、「0.1.2.」4月号は『ぱっちり おはよう』。目をぱっちりあけた愛嬌ある動物たちがこちらをじっと見つめ、鮮やかな色彩の絵で赤ちゃんを魅了すること、間違いなし。初めて絵本を見る赤ちゃんが存分に楽しめる絵本です。
「年少版」「0.1.2.」とも、1年間通してバラエティに富んだわくわくする作品を用意していますので、今年もどうぞよろしくお願いいたします!


「こどものとも年少版」4月号

「こどものとも年少版」4月号『いちばんせんちょう』

こさかまさみ 文 /はたこうしろう 絵
毎月定価 420円(税込)
いちくんが白い帽子をかぶって、「いちばんせんちょう いちばん せんとう」と歌いながら歩いていくと、動物たちに出会います。
★月刊絵本「こどものとも年少版」くわしくはこちらをご覧ください。

「こどものとも0.1.2.」4月号 

「こどものとも0.1.2.」4月号『ぱっちり おはよう』

増田純子 作
毎月定価 420円(税込)
「ぶたさんが ぐう ぐう ぐう」「おめめ ぱっちり。おはよう」。目をぱっちり開けて動物たちが元気に起きる、おはようの絵本。
★月刊絵本「こどものとも0.1.2.」くわしくはこちらをご覧ください。

《4》原画展・イベントのお知らせ

福音館書店ホームページのリニューアルにより、絵本原画展・イベントの予定を「お知らせ」コーナーのイベント欄よりご覧いただけるようになりました。ぜひ休日のおでかけの参考にしてください。

 

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◆発行:株式会社福音館書店 広報宣伝部広報宣伝課
Illustrations (C) Yuriko Yamawaki 2000