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 ★ あのねメール通信~福音館書店メールマガジン 2003年11月5日 Vol.24 ★
                

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         ◆◇◆  CONTENTS  ◆◇◆          

《1》 絵本が動く 松居直
《2》 月刊誌最新号<12月号>のご案内
《3》 「母の友」編集室の窓から
《4》 『おいらはトムベエ』の著者・中沢けいさんのエッセイ
《5》 11月の新刊のご案内
《6》 2003クリスマス・セレクションのご案内

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《1》絵本が動く 松居直
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 安西水丸作の赤ちゃん絵本『がたんごとん がたんごとん』を読んでまず感心す
るのは、初めの表紙から終りまで“がたんごとん”という音の言葉のひびきとリズ
ムが、途切れることなく続いていることです。一度この言葉のリズムと流れに乗る
と、途中で降りることはできません。まだ言葉の意味などわからない赤ちゃんで
も、大好きなお母さんの声にのって伝わってくるこの音、この言葉のひびきには
すっかりのせられてしまいます。
 そんな気分のときに、“がたんごとん”に呼応する“のせてくださーい”という
言葉を耳にし、さし絵を眼にすると、見なれた哺乳壜やコップやスプーンがつぎつ
ぎと現われて、汽車に乗ります。この物語の流れと変化を眼にすると、“のせてく
ださーい”という言葉の働きや意味を感じとります。赤ちゃんはこうした体験をと
おして意味をしらなくてもその言葉を感じとり、体得します。言葉は教えこむより
も、楽しい気分のなかで感じとるときに、心に伝わるのです。歓びに包まれてから
だに伝わる言葉は、気持をゆたかにすると同時に心に深く残ります。
 “がたんごとん”の繰返しとさし絵の変化は、物語の流れをしだいに盛りあげま
す。壜やコップやスプーンという赤ちゃんの身近な道具の形についで、リンゴとバ
ナナという食物の形が現われ、つぎにネコとネズミでは形に加えて動きが読みとれ
ます。こうしたところに作者の、見せることへの細やかで巧みな表現の工夫が感じ
られます。絵本のページをめくるという動きには、“それから”という流れと共に
“どうなる”という変化への期待があります。この絵本は一見単純にみえるのです
が、赤ちゃんの聴覚と視覚に対する適切な配慮がみられます。
 そして最後は“みんなおりてください”のクライマックスを画面一杯の動きで盛
りあげ、一転して静かな食卓の場面で締めくくられます。この最後の画面の右はし
に貨車が描かれ、“がたんごとん さようなら”という言葉が添えられて、“さよ
うなら”で絵本が閉じられることで、この言葉の働きが生かされます。それと共に
“がたんごとん”のリズムは、再び表紙につながります。
 赤ちゃんとお母さんが“がたんごとん”にあわせて、いっしょに手を添えてペー
ジをめくってくださると、絵本はいきいきとした動きのある物語の世界を語り出す
でしょう。

                            松居直

★『がたんごとん がたんごとん』 安西水丸 作


松居直(まつい ただし)
児童文学家。京都生まれ。1951年同志社大学法学部卒業後、福音館書店の創業に参
画し、編集部長、社長、会長をへて、1997年より相談役、現在に至る。1956年月刊
物語絵本「こどものとも」を創刊し、編集長として赤羽末吉、長新太、堀内誠一、
安野光雅、加古里子、中川李枝子など、多くの絵本作家を世に出す。また、『もも
たろう』(1965年サンケイ児童出版文化賞受賞)『だいくとおにろく』や、陶淵明
の詩をもとにした『桃源郷ものがたり』など多数の絵本を執筆。著書は、『絵本と
は何か』『絵本の森へ』(日本エディタースクール出版部)、『絵本・ことばのよ
ろこび』『子どもの本・ことばといのち』(日本基督教団出版局)、『にほんご』
(共著、福音館書店)、『絵本の力』(共著、岩波書店)など多数。

★『ももたろう』 松居直 文/赤羽末吉 画

★『だいくとおにろく』 松居直 再話/赤羽末吉 画

★『こぶじいさま』 松居直 再話/赤羽末吉 画

★『ぴかくんめをまわす』 松居直 作/長新太 絵

★『桃源郷ものがたり』 松居直 文/蔡皋 絵

★『にほんご』 安野光雅・大岡信・谷川俊太郎・松居直 編


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《2》月刊誌最新号<12月号>のご案内
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☆月刊誌最新号<12月号>発売中です。


◇◆ こどものとも0.1.2.『かえる!ぴょん』
                            わたりむつこ作                            ◇◆

 カエルにアヒルにネコにペンギン、それからブタも一緒になって、ぴょんと跳び
上がる絵本。理屈じゃなくて、ぴょんは面白い!

◇◆ こどものとも年少版『ゆきのひのポンテ』
                         オスターグレン晴子 文/エヴァ・エリクソン 絵 ◇◆

 子犬のポンテは初めての雪を体験。くんくんふんふん、においをかぎながら、雪
の上に残された何かの足跡を追い掛けて行くと……。

◇◆ こどものとも年中向き『ゆめみとぷりん』
                           らる・いしはら 作                          ◇◆

 ゆめみは人形のぷりんと森にでかけました。森の砂場で転んだぷりんは一人で起
きあがり、森の奥へ歩いていくと1軒の家があり……。

◇◆ こどものとも『おばあさんのうちへ』
                   こみねゆら 作                                      ◇◆

 メイは毛糸玉を持っておばあさんのうちにいきます。セーターを編んでもらうの
です。ところが、毛糸はコロコロころがって……。

◇◆ ちいさなかがくのとも『てんとうむし どこいくの』
                           カズコ・G・ストーン 作                     ◇◆

 あか、くろ、きいろ……いろいろな色のてんとうむしがたくさんあつまってき
た!これから、みんないっしょに冬をこします。

◇◆ かがくのとも『みんなで もちつき』
                   菊池日出夫 作                                      ◇◆

 年末、田舎のおじいちゃんの家で餅つきをする、あきちゃん一家。農家の暮らし
や自然を子どもの目を通し、暖かく描き出します。

◇◆ おおきなポケット
            【かがく】「よい子れんしゅう帳」
                        おかべりか 作
            【ものがたり】「どろだらけになるところだったクリスマス」
              ズビニェク・マリンスキー 作/関沢明子 訳/佐々木マキ 絵 ◇◆

 (かがく)これさえあれば、絶対よい子になれる、子どもたちのつよーい味方の
      「れんしゅう帳」です。なのに、読むと絶対笑ってしまうのはなぜ?
 (ものがたり)クリスマスを家族と過ごそうと、家に帰ってしまった冬じいさ
      ん。すると外は「冬」ではなくなって、雪は解けるし、大変なこと
            に!

◇◆ たくさんのふしぎ『好奇心の部屋 デロール』
                       今森光彦 文・写真                              ◇◆

 動物の剥製、昆虫標本、化石や鉱物などがいっぱいのふしぎなお店「デロー
ル」。今も昔も訪れた人の好奇心をくすぐり続けてきました。

◇◆ 母の友特集「家族そろって大そうじ」                               ◇◆

 年末の大掃除は、いつから始めますか? 大掃除をイベントとして楽しむ方法を
考えます。コンピューターゲームの続編もお楽しみに。


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《3》「母の友」編集室の窓から
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 年末の大掃除にかけた日数は、平均5.3日。ライオン株式会社家庭生活研究所で昨
年20代から60代の主婦387名にアンケートした結果、このような日数が出ました。中
には10日以上かけて掃除している方もいます。大掃除の場所は、窓ガラス、ガスレ
ンジ、換気扇など普段あまり掃除しない場所やトイレ、浴室など掃除していても汚
れが落ちきれていない所を集中して掃除するようです。
 「大掃除」が、「この際だから、家をきれいにしよう」と発奮する良いきっかけ
になることは確かです。気持ちよく新年を迎える為にも「ここは私がひとがんば
り」と思われるでしょう。しかし今や「大掃除」は、企業の販売戦略のひとつに組
み込まれているのです。そして私たちも盛んなコマーシャルによって「そろそろ大
掃除の時期だね」と、ある種の季節感を味わうような状態になりつつあります。テ
レビで「奥様、大掃除は済ませましたか? 手軽に汚れが落ちる新製品のお知らせ
です」とあおられて、とりあえず大掃除用品を買ってしまうということはありませ
んか。実際に台所用と住宅・家具用の合成洗剤の売り上げは、12月が一番高いので
す。日本石鹸洗剤工業会がまとめた資料によると2002年の12月は、91億7200万円。
 こうした企業の戦略に乗せられずに、自分なりの「大掃除」があっても良いので
はないでしょうか。そこで12月号では「汚れを落とす」というよりも家族一緒に
「家にたまった雑物の整理をする」という視点で大掃除を考えてみました。お役に
立つとうれしいのですが……。


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《4》『おいらはトムベエ』の著者・中沢けいさんのエッセイ
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ねこのトムベエのこと

 絵本の文章を書いてみませんかと勧められた時、いちばん最初に思い出したの
は、家の子どもたちが眠る前の楽しいひと時だった。二人の子どもが小学校の三、
四年生頃まで、寝床の中で本を読む習慣があった。子どもを育てていると、おもし
ろいことばかりがあるわけではない。うんざりしたり、面倒だったり困り果ててし
まったりと、いろいろなことがあるけれども、寝床の中に入って、本を読んで聞か
せるのは、いつ、どんな時でも、楽しいひと時だった。いつも、お兄ちゃんが左
側、妹が右側と位置が決まっていて、暑い夏の盛りでも、二人は身体をぴったりと
寄せて、お話を聞いていた。
 オリガ・ヤクトーヴィチさんが描いた猫を見せてもらった時、絵本を読んでもら
いながら眠りの道をたどって行く子どもの夢の中にも忍び込んで行くように、いた
ずらで元気の良い男の子みたいな猫の話を書こうと決心した。野良猫ではないけれ
ども、もし、乱暴者の野良猫とけんかをしたとしても、決して負けないような元気
の良い猫のことをいろいろと想像してみた。
 ところが、オリガさんの絵には謎のようなものが隠れていた。最初は元気いっぱ
いに見えた猫の絵だが、何度もくり返し眺めていると優しく繊細で、時には傷つき
やすいようなかわいらしさが密んでいるのだ。そういう繊細なところが見えて来る
頃には、トムという名前もトムベエという愛称も、私の頭の中にしっかりと浮かん
でいた。紙に描かれたトムベエなのに、そのお腹のあたりを撫でてやると、柔らか
い毛の感触が指先に伝わって来るように感じられた。デッサンのしっかりとした、
そして毛の一本一本まで細部がきちんと描かれた絵だからこそ、一瞥した時とは異
なる印象の広がりがある。
 そういうわけで、トムベエは我家に住みついてしまった。あまり広くないベラン
ダで、秋になって、新しい花芽が柔らかく伸び始めた薔薇に水をやっていると、植
木鉢のかげからトムベエがにやぁと顔を出す。まるで、逃げ出した紙の鳥が、雨に
降られて木の枝にひっかかっているのを見つけた時のような顔をしている。今では
大学生になって、帰宅時間もすっかり遅くなった二人の子どもを待ちながら夕御飯
の支度をしているとトムベエが真面目くさった顔で静かに、居間を通り抜けて行
く。朝、起きて顔を洗っていると、洗面台の下にトムベエが居て、やっぱり顔を
洗っているという具合に、絵本から抜け出したトムベエを、見かけるようになっ
た。
 トムベエはきっと「おいらはトムベエ」の絵本を読んでくださったみなさんのお
家にもあらわれるにちがいない。どうか、みなさん、いたずらの好きな、けれど
も、当人(猫?)はちっともいたずら好きだなんて思ってはいないトムベエをかわ
いがってやって下さい。

                             中沢けい

★『おいらはトムベエ』 中沢けい 文/オリガ・ヤクトーヴィチ 絵


中沢けい(なかざわ けい)
1959年、神奈川県横浜市生まれ。明治大学政治経済学部卒業。18歳の時、『海を感
じる時』(講談社)で第21回群像新人賞受賞。『水平線上にて』(講談社)で第7回
野間文芸新人賞を受賞。著書に『女ともだち』(河出書房新社)、『さくらささく
れ』『豆畑の昼』『七つの音』(以上、講談社)、『楽隊のうさぎ』(新潮社)、
『月の桂』『楽譜帳』『首都圏』『喫水』(以上、集英社)、『人生の細部』『時
の装飾法』(以上、青土社)、『占術家入門報告』(朝日新聞社)などがある。埼
玉県在住。

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《5》11月の新刊のご案内
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≪11月5日(水)配本≫
★『グースにあった日』
    キャリ・ベスト 文/ホリー・ミード 絵/まえざわあきえ 訳

◎「一本足で、どうやって生きていくんだろう」。障害を持つグースとふれあった
自らの体験をもとに描いた感動的な絵本。

★『天の橇がゆく』
    神沢利子 文/宇野亜喜良 画

◎父への思いを綴った「天の橇がゆく」をはじめ、神沢利子の珠玉のエッセイ11編
に、宇野亜喜良の美しい絵が魔法の息を吹きこみました。

≪11月11日(火)配本≫
★『文庫版 シモンとクリスマスねこ』
    レギーネ・シントラー 文/ジータ・ユッカー 絵/下田尾治郎 訳

◎幼いシモンのためにパパとママが1日1話語る、心温まるクリスマスの24のお話
集。

★『文庫版 親指姫 アンデルセンの童話1』
    大塚勇三 編・訳/イブ・スパング・オルセン 画

◎世界中で愛されているアンデルセンの童話から、『親指姫』『皇帝の新しい服』
『ナイチンゲール』など18編を収録。

★『文庫版 人魚姫 アンデルセンの童話2』
    大塚勇三 編・訳/イブ・スパング・オルセン 画

◎アンデルセンの童話の最高傑作『人魚姫』をはじめ、アンデルセンの自伝といわ
れる『みにくいあひるの子』など17編を収録。

★『文庫版 雪の女王 アンデルセンの童話3』
    大塚勇三 編・訳/イブ・スパング・オルセン 画

◎天性の童話作家アンデルセンが描く多彩で豊かな真実の世界です。傑作『雪の女
王』や『マッチ売りの女の子』など16編を収録。

★『文庫版 絵のない絵本 アンデルセンの童話4』
    大塚勇三 編・訳/イブ・スパング・オルセン 画

◎貧しい画家を慰めるため、月が夜毎に語りきかせます。生涯旅を愛したアンデル
センのみごとな短編集。

≪11月12日(水)配本≫
★『ノルウェーの昔話』
 アスビョルンセンとモー 編/大塚勇三 訳/エーリク・ヴェーレンシオルほか 画

◎アスビョルンセンとモーが編んだ、ノルウェーの昔話集から34話を選び訳し、出
版当時につけられた2人の画家の挿絵を復刻しました。

≪11月19日(水)配本≫
★『きつねとうさぎ』
    F・ヤールブソワ 絵/Y・ノルシュテイン 構成/こじまひろこ 訳

◎きつねに家をとられてしまったうさぎが、狼や熊や牛に助けを求めるが、だれも
きつねを追い出せない。そこへおんどりがやってきて…。

★『「自閉症」という名のトンネル』
    日向佑子作

◎「自閉症」の子たちが暮らす閉鎖病棟の管理主義に、ひとりの保母がしなやかな
勇気をもって立ち向かい、小さな“奇跡”の花を咲かせてゆく。

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《6》2003クリスマス・セレクションのご案内
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  今年もこの季節がやってきました!  冬の寒さを吹き飛ばすような、体の芯から
あたたまる絵本がいっぱい!  大切な人へのプレゼントにもおすすめです。
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*商品は12月20日前後に到着するように発送いたします。
*現在ホームページで申し込み受付中。締切は12月15日(月)いっぱいとさせていた
 だきます。

★ 2003クリスマス・セレクション


  今回のクリスマス企画実施期間(2003.11.1~12.15)に、企画対象商品に関わら
ず通販でのご注文をいただいた方には、クリスマスにあわせて、クリスマスカード
を発送いたします。


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