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 ★ あのねメール通信~福音館書店メールマガジン 2003年12月3日 Vol.25 ★
                

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         ◆◇◆  CONTENTS  ◆◇◆          

《1》赤ちゃん絵本の生まれるまで 松居直
《2》月刊誌最新号<1月号>のご案内
《3》「母の友」編集室の窓から
《4》11月の新刊『グースにあった日』の訳者・まえざわあきえさんのエッセイ
《5》2003クリスマス・セレクションのご案内 (今回だけの特典付き・締切迫る)

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《1》赤ちゃん絵本の生まれるまで 松居直
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  月刊物語絵本「こどものとも」は創刊以来、4、5歳児を対象に編集していまし
た。ところが作品によっては3歳児が興味をもったり、2歳児がさし絵に強い関心
を示すといった事実を知り、絵本は作りようによっては1、2歳児にも働きかける
可能性があるのではないかと思いはじめました。ただし無闇に早教育めいたことを
意図することは、厳につつしむべきだとも考えました。
  1960年ごろ、欧米には乳幼児を対象としたはじめてものを識る“ものの絵本”と
いう考え方があることを知り、1963年にフランクフルト国際図書展に参加した機会
に、その実態を確かめたいと思って、ヨーロッパ各国の図書館の児童室や代表的な
出版社を訪ねました。しかし決定的な赤ちゃん絵本にはなかなか出会えません。た
またまアムステルダムの児童図書館を訪ねたとき、最新刊のオランダの絵本として
見せられたのが、ディック・ブルーナさんの最初の絵本4冊『ふしぎなたまご』
『きいろいことり』『ちいさなさかな』『さーかす』で、強烈な印象をもちまし
た。
  絵本としての本の形、色彩と線の造形性、そしてさし絵にぴったりのテキストは
みごとというほかありませんでした。この造形感覚は赤ちゃんの眼にもしっかりと
映り、大人にとっても鮮烈な印象を与えるにちがいない傑作だと思いました。数ヶ
月後に送られてきた“うさこちゃん”の最初の4冊には、圧倒される思いでした。
即座に日本語版の契約をして、1964年に8冊シリーズで「子どもがはじめてであう
絵本」のセットを発売しました。
  このブルーナ絵本に対する子どもと大人の読者の反応は圧倒的で、その読者の反
響を分析していて“赤ちゃん向けの絵本”の必要性と可能性に確信をもつことがで
きました。新しい企画はいつも読者に示唆を与えられ教えられることを、このとき
も痛感しました。この経験を踏まえて試行錯誤を繰り返すなかからようやく生まれ
たのが、1969年に出版した瀬名恵子さんの独創的な赤ちゃん絵本シリーズ「いやだ
いやだの絵本」と、それにつづく「あーんあんの絵本」です。
  1980年代に入り渡辺茂男作・大友康夫絵『どうすればいいのかな?』をはじめと
する「くまくんの絵本」シリーズをきっかけに、新しい乳幼児対象の「幼児絵本シ
リーズ」を出版することができ、国内のみならず海外においても注目されるところ
となり、日本の赤ちゃん絵本は国際的に定評をえることとなり、そこからさらに発
展した画期的な企画が1995年創刊の「こどものとも0.1.2.」です。

                            松居直

★『ふしぎなたまご』 ディック・ブルーナ 文・絵/石井桃子 訳

★『きいろいことり』 ディック・ブルーナ 文・絵/石井桃子 訳

★『ちいさなさかな』 ディック・ブルーナ 文・絵/石井桃子 訳

★『さーかす』 ディック・ブルーナ 文・絵/石井桃子 訳

★“うさこちゃん”の最初の4冊
『子どもがはじめてであう絵本第1集』ディック・ブルーナ 文・絵/石井桃子 訳

★ブルーナの絵本については「みんなの人気者“うさこちゃん”」をご覧ください。


★『いやだいやだの絵本』 せなけいこ 作・絵

★『あーんあんの絵本』 せなけいこ 作・絵

★『どうすればいいのかな?』 渡辺茂男 作/大友康夫 絵

★「こどものとも0.1.2.」



松居直(まつい ただし)
児童文学家。京都生まれ。1951年同志社大学法学部卒業後、福音館書店の創業に参
画し、編集部長、社長、会長をへて、1997年より相談役、現在に至る。1956年月刊
物語絵本「こどものとも」を創刊し、編集長として赤羽末吉、長新太、堀内誠一、
安野光雅、加古里子、中川李枝子など、多くの絵本作家を世に出す。また、『もも
たろう』(1965年サンケイ児童出版文化賞受賞)『だいくとおにろく』や、陶淵明
の詩をもとにした『桃源郷ものがたり』など多数の絵本を執筆。著書は、『絵本と
は何か』『絵本の森へ』(日本エディタースクール出版部)、『絵本・ことばのよ
ろこび』『子どもの本・ことばといのち』(日本基督教団出版局)、『にほんご』
(共著、福音館書店)、『絵本の力』(共著、岩波書店)など多数。

★『ももたろう』 松居直 文/赤羽末吉 画

★『だいくとおにろく』 松居直 再話/赤羽末吉 画

★『こぶじいさま』 松居直 再話/赤羽末吉 画

★『ぴかくんめをまわす』 松居直 作/長新太 絵

★『桃源郷ものがたり』 松居直 文/蔡皋 絵

★『にほんご』 安野光雅・大岡信・谷川俊太郎・松居直 編


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《2》月刊誌最新号<1月号>のご案内
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☆月刊誌最新号<1月号>発売中です。


◇◆ こどものとも0.1.2.『ごろんご ゆきだるま』
                            たむらしげる 作                           ◇◆

  ごろごろごろんごと転がってきた雪玉から雪だるま誕生。犬と一緒に遊びます。
作者が手染めした布をちくちく手縫いして作った絵本。

◇◆ こどものとも年少版『けいとだま』
                         大槻あかね 作                                ◇◆

  赤い毛糸玉がひとつありました。そこへやって来たのは、毛糸玉より小さな小さ
な人でした。その人は毛糸でマフラーを編み始め……。

◇◆ こどものとも年中向き『ガラシとクルピラ』
                           陣内すま 文/ヴァンペレーラ 絵             ◇◆

  アマゾン川のほとりに住む少年ガラシが、狩りにでかけたジャングルで、森と動
物の守り神クルピラと出会う不思議なお話。

◇◆ こどものとも『かえるをのんだととさん』
                   日野十成 再話/斎藤隆夫 絵                         ◇◆

  腹の痛くなったととさんは、お寺の和尚さまの処方で蛙をのみこみます。その
後、蛇、雉、猟師、鬼と次々にのみこみ、最後は……。

◇◆ ちいさなかがくのとも『しろいかみの サーカス』

                           たにうちつねお 作/いちかわかつひろ 写真   ◇◆

  白い紙を折ったり、まるめたり、やぶいたり……。すると、紙がサーカスをはじ
めます。誰もがどこでも楽しめる紙遊びの絵本。

◇◆ かがくのとも『まんまるダイズみそづくり』
                   ミノオカ・リョウスケ 作                            ◇◆

  お味噌汁のお味噌って、何からできているんでしょうか?  それはダイズです。
ダイズがお味噌になるまでをじっくり描きます。

◇◆ おおきなポケット【かがく】「ジオラマめいろ館」
                                 保田克史 作
                     【ものがたり】「タマゴ  タマゴ  タマゴ」
                                     岡田貴久子 文/井上洋介 絵       ◇◆

  (かがく)こんな迷路見たことある!?  島へ地底へ遊園地へ、巨大な迷路がの
            びていく!  ジオラマ模型で作られた立体迷路に挑戦してみよう!
  (ものがたり)卵サンド好きの主人公が卵を買いに出かけると、ふしぎなお店に
            ぶつかって……。卵がいっぱいのお話です。

◇◆ たくさんのふしぎ『なぞのサル  アイアイ』
                       島泰三 文/笹原富美代 絵                       ◇◆

  南の島のおサルさんて、歌に歌われた、あのアイアイが、実は、リスとコウモリ
とサルを寄せ集めたような姿に、針金みたいに細長い中指まで持った、とても奇妙
なサルだったなんて知っていましたか。

◇◆ 母の友  特集「新春インタビュー」                                 ◇◆

  新年を迎えるこの時期に、生活のこと、家族のこと、子育てについて考えてみま
せんか?  新春インタビューをお楽しみに。
★こちらから「母の友」1月号の目次をご覧いただけます。


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《3》「母の友」編集室の窓から
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 無事インタビューを終えて外に出た筆者とカメラマンを待ちかまえていたもの
は、土砂降りの雨。念のためにと筆者が持ってきた小さな折り畳み傘一本を頼り
に、なんとか近くの喫茶店に飛び込んだものの、雨は一向に止む気配がありませ
ん。困ったなあ。自分たちだけならともかく、それぞれの鞄の中に入っている撮っ
たばかりのフィルムと録音テープ、これだけは雨に濡らすわけにはいきません。
 しばらく様子を見ましたが、帰りの電車の時間も迫っています。仕方がない。鞄
を守るようにして外に出ました。気のせいか、雨は益々強まっていくようです。と
にかく駅までタクシーを拾わなければ。やっと通りかかった一台に乗り込んだ時に
は、二人ともびしょぬれでした。
 ところが、やれやれと落ち着いた途端、今までの雨が嘘のように突然止みまし
た。うっすらと薄日まで射しています。さっきまでの苦労は、一体なんだったの。
「お客さん、大変でしたねえ」と、運転手さんもにやにやしています。まあ、いい
か。鞄のなかのフィルムとテープは無事だったし。……とまあ、とんだ秋の気まぐ
れな驟雨のなかで「新春インタビュー」の記事ができあがったのです。

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《4》11月の新刊『グースにあった日』の訳者・まえざわあきえさんのエッセイ
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グースが教えてくれたこと

  2003年1月、私は野生のグースを見に、宮城県の伊豆沼に行きました。
  朝6時まえから、凍った沼のほとりにたたずんで、沼の中央に残る水面に集まっ
た何万という数のグースを見ていました。それだけの数が集まると、鳴き声ももの
すごい大きさになります。最初はばらばらに鳴き叫んでいた声が、日の出の頃にな
ると「コォー、コォー」と一つにそろってきます。ちょうど、コンサートのあとの
盛大な拍手が、だんだんとそろって、アンコールの手拍子にかわるような感じで
す。そのとき、突然、水面から茶色の帯がふわりと空に浮くように、グースたちが
いっせいに舞い上がりました。そして、あっという間に朝焼けの空いっぱいに広が
ると、グループに分かれ、隊列を組んで、餌場に向かって飛んでいきました。
  『グースにあった日』に出てくるグースは、おそらくカナダガンという種類で、
白鳥を少し小さくしたような大型のグースです。アメリカのコネチカット州に住
む、このお話の作者、キャリ・ベストさんは、今から10年以上もまえの3月のある
日曜日、庭で芝刈りを始めました。すると、家のまえの沼に来ていたグースたち
が、芝刈り機の音に驚いていっせいに飛び立ちました。ところが一羽だけ、飛び立
たないグースがいます。片足がちぎれかけたグースでした。そのグースを見た瞬間
は、驚きと悲しみと恐怖で、お話の主人公のように、どうしたらよいかわからなく
なったといいます。ベストさんは、グースを怖がらせないようにすぐに芝刈り機を
止めると、後ずさりしてそっと家に入りました。
  つぎの日から、ベストさんの息子さんが心配して観察を始めました。そして家族
みんなで、毎日少しずつ元気を回復していくグースを見守ったそうです。秋になっ
てグースたちが沼から姿を消すと、一本足のグースもいなくなりました。
  ところが翌年、ベストさんは一本足のグースが同じ沼に舞い降りてきた瞬間を、
偶然目撃します。それから何週間かあとの5月の「母の日」の朝、窓ごしに、一本
足のグースがヒナを連れているのを見て、あわてて外へ飛び出したそうです。ベス
トさんは、野生の生き物の逞しさ、そして、自然をまえにして人間のできることが
いかにわずかであるかを、つくづく感じたと言います。
  それ以来、ベストさんは当時撮った写真を見ては、このグースのことをどう語ろ
うかと考え続けました。片足を失ってもいつも堂々としていたグースを、同情や涙
を誘うだけのお話の主人公にしてしまいたくなかったから。
  そういう長い時間を経て、『グースにあった日』は誕生しました。
  『グースにあった日』は、一羽のグースにまつわるお話ですが、人間社会につい
てもいろいろと考えさせられます。与えられた生命を生き抜く尊さ。抗(あらが)
えない運命を受け入れ、最後まで日々を送る勇気。障害を持つ人々と社会のありよ
う。
  一本足のグースは、つぎの年も、家族をつれてベストさんの家のまえの沼にやっ
てきたそうです。
  一本足のグースを見たのは、その年が最後だったそうです。

                                                    まえざわあきえ

★『グースにあった日』 キャリ・ベスト 文/ホリー・ミード 絵 /
                       まえざわあきえ 訳


まえざわあきえ(前沢明枝)
青葉学園短期大学助教授。言語学専攻。米国留学中に英米児童文学に親しむ。絵本
の訳書に『シンプキン』(朔北社)、『ビバリーとしょかんへいく』(文化出版
局)など、児童書の訳書に『バドの扉がひらくとき』(徳間書店)などがある。東
京都在住。


◎12月は新刊はございません。

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《5》2003クリスマス・セレクションのご案内 (今回だけの特典付き・締切迫る)
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  今年もクリスマスがせまってきました!  冬の寒さを吹き飛ばすような、体の芯
からあたたまる絵本がいっぱい!  大切な人へのプレゼントにもおすすめです。

  今回だけの特典として、この企画商品をお買いあげの方で、ご希望の方には、オ
リジナルのギフト用バッグに入れてお送りします。

*この企画は通販のみの受付とさせていただきます。書店受取はできません。
*書籍発送料は何冊でもお申し込み1回につき380円です。
*商品は12月20日前後に到着するように発送いたします。
*現在下記URLで申し込み受付中。締切は12月15日(月)いっぱいとさせていた
  だきます。

★ 2003クリスマス・セレクション


  今回のクリスマス企画実施期間(2003.11.1~12.15)に、企画対象商品に関わら
ず通販でのご注文をいただいた方には、クリスマスにあわせて、クリスマスカード
を発送いたします。

◎2004年カレンダー好評発売中



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