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 ★ あのねメール通信~福音館書店メールマガジン 2004年3月3日  Vol.28  ★
                

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         ◆◇◆  CONTENTS  ◆◇◆          

《1》 絵本の文章力 松居直
《2》 月刊誌最新号<4月号>と月刊誌のホームページ・リニューアルのご案内
《3》 「母の友」編集室の窓から
《4》 話題の新刊『しあわせいっぱい荘にやってきたワニ』の訳者吉上恭太さん
        のエッセイ
《5》 3月の新刊のご案内
《6》 ホームページ「魔女の宅急便」コーナー開設のご案内
《7》 「ばばばあちゃん3時のおやつコンテスト」のご案内

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《1》真実を描きだす絵本 松居直
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 よく読まれている絵本に『おおきなかぶ』があります。ロシアの昔話を絵本にし
たもので、昔話絵本の典型ともいえる作品です。一、二歳の子どもから読んでやる
ことができます。
 この物語は考えれば考えるほど、おかしいありえない筋です。巨大なかぶを抜こ
うとして、おじいさんが引っぱるのですが抜けません。そこでおばあさんが手を貸
し、つぎに孫娘が力を貸すのですがだめです。犬と猫が手伝っても抜けません。と
うとうねずみが手を貸すと、やっとかぶは抜けたという、よく知られた昔話です。
 現実にはありえないなんともナンセンスな物語ですが、“おはなし”としてのお
もしろさや、おどろきやユーモアが感じられ、笑いとともに聴く者の気持を解放し
てくれます。特に子どもの気持を舞いあがらせ、「うんとこしょ どっこいしょ」
の掛声が、子どもによろこびと力を与えてくれます。
 しかしこうした非現実的な物語に、安易にさし絵をつけて絵本にしますと、か
えって物語のウソが見えてしまい、まったくつまらない話になってしまいます。眼
に見えるように語られる昔話を、絵本にするときのむずかしさがそこにあります。
 しかし文と絵との微妙な関係が、うまく生かされますと、絵本という時間と空間
のつくりだす独特の世界に、現実性をおびたみごとな物語が浮かびあがります。
 「おおきなかぶ」という昔話に、いわゆる絵本調のかわいらしい絵や、マンガ風
の平板な絵や、色彩で眼を引こうとする絵をつけたのでは、物語が死んでしまいま
す。
 子どもが絵本『おおきなかぶ』に共感し、繰り返し聴きたがるのは、内田莉莎子
さんのみごとな訳文と、彫刻家・佐藤忠良先生の写実に基づいた人間や動物の姿と
その動きが、この物語に生活感を与え、秘められた人間性の真実を子どもに伝え、
“ホントウだ、よかったな”という共感をもたらすからです。
 絵本のさし絵には、物語に秘められた真実を描きだし、語り伝えることが求めら
れています。

                                                         松居直


★『おおきなかぶ』-ロシア民話-トルストイ再話/内田莉莎子訳/佐藤忠良画



松居直(まつい ただし)
児童文学家。京都生まれ。1951年同志社大学法学部卒業後、福音館書店の創業に参
画し、編集部長、社長、会長をへて、1997年より相談役、現在に至る。1956年月刊
物語絵本「こどものとも」を創刊し、編集長として赤羽末吉、長新太、堀内誠一、
安野光雅、加古里子、中川李枝子など、多くの絵本作家を世に出す。また、『もも
たろう』(1965年サンケイ児童出版文化賞受賞)『だいくとおにろく』や、陶淵明
の詩をもとにした『桃源郷ものがたり』など多数の絵本を執筆。著書は、『絵本と
は何か』『絵本の森へ』(日本エディタースクール出版部)、『絵本・ことばのよ
ろこび』『子どもの本・ことばといのち』(日本基督教団出版局)、『にほんご』
(共著、福音館書店)、『絵本の力』(共著、岩波書店)など多数。

★『ももたろう』 松居直 文/赤羽末吉 画

★『だいくとおにろく』 松居直 再話/赤羽末吉 画

★『こぶじいさま』 松居直 再話/赤羽末吉 画

★『ぴかくんめをまわす』 松居直 作/長新太 絵

★『桃源郷ものがたり』 松居直 文/蔡皋 絵

★『にほんご』 安野光雅・大岡信・谷川俊太郎・松居直 編


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《2》月刊誌最新号<4月号>と月刊誌のホームページ・リニューアルのご案内
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☆小社ホームページの月刊誌案内のページをリニューアルし、各月刊誌の2004年度
の刊行予定をご覧いただけるようにいたしました。 どうぞご覧ください。


☆月刊誌最新号<4月号>発売中です。

◇◆ こどものとも0.1.2.『よくきたね』
                            松野正子 文/鎌田暢子 絵                  ◇◆

 「おいで おいで」の呼びかけに、よちよち歩きの赤ちゃんが一生懸命歩いていく
と、お母さんはあたたかく迎えてくれます。

◇◆ こどものとも年少版 『おさんぽ さんぽ』
                          西巻茅子 作                                 ◇◆

  女の子がお散歩に出かけると、猫や犬が「つれてって」と加わります。最後は、
みんなで馬の背中にのってお散歩です。

◇◆ こどものとも年中向き 『はやく おむかえ こないかな』
                            なとりちづ 作/おおともやすお 絵          ◇◆

  お迎えを待ちながら、ひとりで王様になって遊んで大満足のりゅうくんですが、
やっぱりお母さんのお迎えが待ち遠しい。

◇◆ こどものとも 『ぞうくんの あめふりさんぽ』
                    なかのひろたか 作・絵                             ◇◆

  今日はあめふり。でもぞうくんはごきげん。また散歩に出かけます。出会ったか
ばくんは、池の中を散歩しようと言うのですが。

◇◆ ちいさなかがくのとも 『じゃぐちを あけると』
                            しんぐうすすむ 作                         ◇◆

  じゃぐちをあけて、さあ、はじまり。指ではじいて、チュッ。スプーンにあてる
と……。水のふしぎな形がつぎつぎと生まれます。

◇◆ かがくのとも 『ばばばあちゃんと おべんとう つくろう』
                    さとうわきこ 作                                   ◇◆

  子どもたちはお弁当が大好き。青虫弁当、爆発弁当、怪物弁当など独創的なお弁
当ばかり。さあ、自分だけのお弁当をつくって下さい。

◇◆ おおきなポケット  今月のポケット「あつまれ! せかいの小学生」
                       いまいみこ他 写真・文/相良敦子 構成           ◇◆

  世界9カ国の小学生が、通学路や学校の様子、かばんの中身や先生の似顔絵を披
露してくれます。ほかにお話2つと楽しい連載が始まります。和田誠さんの新しい
表紙も毎月ご期待を!

◇◆ たくさんのふしぎ 『鳥の巣』
                        鈴木まもる 文・絵                             ◇◆

  春になると、鳥たちは卵やヒナを育てるため巣を作ります。鳥の巣にはどんな工
夫がされているのでしょうか?

◇◆ 母の友  特集「地域で育てる子どもたち」                           ◇◆

  子育ての不安、子育ての危機は、親子の孤立から。生活をしているその地域で子
どもを見つめ、守り、育てあう関係を探ります。

★こちらから「母の友」4月号の目次をご覧いただけます。


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《3》「母の友」編集室の窓から
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 『ぐるんぱのようちえん』や『たろうのおでかけ』は、知らない人のないくらい
広く子どもたちに愛されている絵本ですが、その絵本画家、堀内誠一については、
意外に知られていないように思います。それで「母の友」の4月号では、11ページ
のささやかな特集ですが、「絵本画家、堀内誠一の世界」を企画いたしました。
 その準備段階で、堀内夫人の路子さんをお訪ねして、ご長女の花子さんとお二人
から、堀内さんの絵本制作の現場の様子を伺うことができました。数日で仕上げて
しまうものもあったようですが、それはむしろ少なく、「何枚も何枚も描き直し
て、反古にした絵が沢山散らばっていた。仕事をしているときは、まわりで騒いだ
り、話しかけたりすることはできなかった」と、子どもだった当時をふりかえっ
て、花子さんは語ってくださいました。
 グラフィックデザイナーでもある堀内さんは一方で、「アンアン」や「ブルータ
ス」などの雑誌づくりの中心メンバーとして活躍、その仕事ぶりは「目の前でさら
さらとイラストの下描きを描き、写真の寸法を決め、ページのデザインを構成して
いき、それが完成時には、寸分違わず仕上がっている」と共に仕事をした仲間たち
の語りぐさになっているほど。  
 そうした雑誌づくりのときとは違う堀内さんの絵本づくりへの向き合い方が、か
いま見えるような気がしました。
 また、堀内さんによる挿絵の本を見せていただいた中には、そうと知らずに親し
んできた童話の本も多く、「あっ、これも堀内さんの挿絵だったのか」という再発
見がいくつもありました。今回はページの都合上、詳しく取り上げることができま
せんでしたが、物語を読む力抜群の堀内さんの挿絵についても、いつかご紹介でき
たらと思います。
 今年度にもう一度、今回はごく一部しかお伝えできなかった堀内さんの代表的作
の絵本数冊を取り上げて、その絵本の魅力を解き明かしてみたいと考えておりま
す。どうぞお楽しみに。


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《4》話題の新刊『しあわせいっぱい荘にやってきたワニ』の訳者吉上恭太さんの
   エッセイ
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  不思議なおみやげ

 ふなのりのジョニー・ゴライトリーは、外国からいろいろなおみやげをもってき
ます。オウムやサル、トーテムポール、丸木船、氷山のてっぺん……そして今度の
航海からジョニーがもってきたおみやげは? 
 大きなワニだったのです! 下宿屋のミネアポリスさんも、これにはびっくり
ぎょうてん……。「しあわせいっぱい荘にやってきたワニ」は、ジョニーがもって
きた、とんでもないおみやげが引き起こした、楽しい大騒動のお話です。
 ジョニーがつれてきたのは、ワニはワニでもクロコダイル。アフリカやオースト
ラリアにいる、とてもどう猛なワニです。いわゆる人食いワニですね。大きなもの
になると全長七メートルもあるそうですから、人ひとりくらいペロリと飲み込むな
んて朝飯前です。
 残念ながら、いや、幸運なことに、ぼくはいまだかつて、こんな素敵で、迷惑な
おみやげをもらったことはありません。
 おみやげって、こどものころ、いいえ、おじさんになったいまでも、胸がときめ
くものがありますね。とくに、それが行ったことのない外国のものだと、なおさら
です。
 ロシアの人形マトリョーシカ、ニューヨークの地下鉄の切符トーケンで作ったア
クセサリー、ポーランドのフリーマーケットで見つけたドイツの古い、ぼくよりも
年寄りのカメラ、みんな、はるか遠くにある、異国の空気をつれてきてくれまし
た。
 いままでで、いちばん心に残った、不思議なおみやげは、なんだったのだろう?
そういえばジョニーは、氷山のてっぺんをもってきましたが、ぼくも南極のおみや
げをもらったことがあります。
 友だちにジョニーのようなふなのりはいませんでしたが、こどものころ、おとな
りに南極越冬隊員の人がいて、ある日、茶の間のこたつの上に“おみやげ”がおい
てあったのです。
 それは南極の氷でした。もちろん氷山のてっぺんではなかったとは思いますが、
じゅうぶんにすごいでしょう? とても昔のことなので、あいまいな記憶でしかな
いのだけれど、洗面器に入った、にぎりこぶしほどの大きさの白い氷でした。で
も、氷は、やっぱり氷ですよね。しばらくの間、じっと見ていたのですが、南極の
氷だからといって、他の氷とどうちがうのか、ちっともわかりません。氷は氷で
す。いいかげん、あきてしまったときでした。氷から何か聞こえます。耳をすます
と、パチパチといっているのです。氷が何かしゃべっているようでした。
 それは、氷にとじこめられた空気がはじける音だと、大人たちが教えてくれたけ
れど、本当だったのでしょうか? 南極の氷は、じきにとけてしまったけれど、あ
のときのわくわくした気持ちは、いまでも覚えています。
 おみやげは、もらう人がちょっとおどろくものがいいですね。あくまで、ちょっ
とですけれど。

                             吉上恭太


★『しあわせいっぱい荘にやってきたワニ』 アーシュラ・ウィリアムズ作/
                                         吉上恭太訳/堀川理万子絵



吉上恭太(よしがみ きょうた)
1957年、東京都に生まれる。週刊誌・児童書の編集者を経て、現在は翻訳、編集、
小説の創作など、幅広い分野で活躍している。絵本の翻訳に、『ちゃんとたべなさ
い』、『きこえる きこえる』、『きこえる きこえる なつのおと』、『きこえ
る きこえる ふゆのおと』(以上小峰書店)、『おねえさんになるひ』、『うし
がそらをとぶ』(以上徳間書店)、お話の翻訳に『ゲーターガールズ ワニワニ
ロックンロール』(小峰書店)などがある。


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《5》3月の新刊のご案内
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≪3月3日(水)配本≫
★『魔女の宅急便 その4 キキの恋』
    角野栄子 作/佐竹美保 画

◎離れて暮らすとんぼさんからキキのもとに届く手紙。キキもとんぼさんもひとり
になって大きな自然の中で自分を見つめ直し、ひとまわり大きくなります。

★『しげみむら おいしいむら』
    カズコ・G・ストーン 作

◎やなぎ村の隣村のしげみ村は、春になると「野原のお菓子屋」を開きます。やな
ぎ村からバースデーケーキの配達注文も来て、大忙し。

★『ペカンの木 のぼったよ』
    青木道代 文/浜田桂子 絵

◎体を動かすのも話すのも不自由なりんちゃん。でも幼稚園ではみんな友だち。あ
る日、友だちと先生の力でりんちゃんは木登りできたのです。

★『まゆとおに やまんばのむすめ まゆのおはなし』
    富安陽子 文/降矢なな 絵

◎山姥の娘まゆは、ある日鬼に会います。鬼はまゆを煮て食べようとお湯を沸かし
ます。まゆはそうとは知らず手伝います。

≪3月9日(火)配本≫
★『文庫版 南島紀行』
    斎藤たま 作/杉田徹 写真

◎家々に宿をもらいながら、子どもの遊びや古い歌をたずね、奄美の島々を巡る
…。密度の濃い、ほんものの旅の魅力がここにある。

★『文庫版 パディントンとテレビ パディントンの本5』
    マイケル・ボンド 作/ペギー・フォートナム 画/松岡享子 訳

◎パディントンが、またまた大騒動を巻き起こします。今回はテレビのクイズ番組
に出演しアナウンサーと珍問答をしたあげく…。

≪3月10日(水)配本≫
★『風の星』
    新宮晋 作

◎あたたかい光の中で生まれた風が、旅をする。広がる海、さまざまな土地、人々
の暮らし。風と一緒に地球を感じるユニークな絵本。

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《6》ホームページ「魔女の宅急便」コーナー開設のご案内
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 3月3日に新刊『魔女の宅急便 その4』が刊行されたのを機に、小社ホームページ
の「みんなの人気者」に「魔女の宅急便」のコーナーを開設しました。作者・画家
のエッセイや、登場人物の紹介など、「魔女の宅急便」をまるごと楽しめる情報満
載です。


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《7》「ばばばあちゃん3時のおやつコンテスト」のご案内
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 2月には『ばばばあちゃんのなぞなぞりょうりえほんむしぱんのまき』と『ばば
ばあちゃん絵はがきの本』が、3月には「かがくのとも」2004年4月号『ばばばあ
ちゃんとおべんとうつくろう』が刊行されたのを記念して、読者のみなさんにも、
ばばばあちゃんに負けないユニークでおいしいおやつを作ってもらおうと、「ばば
ばあちゃん3時のおやつコンテスト」を開催することになりました。くわしくは
ホームページの次のページをご覧ください。



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