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 ★あのねメール通信~福音館書店メールマガジン2007年11月7日 Vol.72   ★
            

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          ◆◇◆  CONTENTS  ◆◇◆

《1》 連載:絵本と子どもたち―図書館の窓から―(8) 代田知子
《2》 月刊誌最新号<12月号>のご案内
《3》 月刊誌編集部からこんにちは
《4》 話題の新刊『リバウンド』の訳者、小梨直さんのエッセイ
《5》 11月の新刊のご案内
《6》 書籍編集部だより
《7》 原画展のお知らせ

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《1》連載:絵本と子どもたち―図書館の窓から―(8) 代田知子
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 私が図書館員として小学校の授業に招かれ、おすすめ本を紹介する時間を持つよ
うになってからもう20年近くたちました。この間に何度も読み、1年生でも6年生
でも、どんなクラスでもほぼ間違いなく子どもたちを夢中にさせてきた本がありま
す。それが、『こいぬがうまれるよ』です。
 『こいぬがうまれるよ』は、1匹のダックスフントの誕生の瞬間から親から離れ
る2ヵ月までを、絵ではなく写真で追った絵本です。日本での初版が1982年。今で
こそ、精巧なカメラや拡大レンズを駆使した写真の絵本がたくさんでていますが、
当時は写真絵本と呼べるような作品はそう多くありませんでした。しかもこれは、
使われているのがモノクロ写真。表紙にいる子犬の顔も寂しげで、ちょっと暗い感
じがします。地味な本だなあというのが読む前の印象でした。
 ところが読んでみると、私は、生まれたばかりの赤ちゃん犬が一生懸命に生きて
いる姿から目を離せなくなりました。それに、この絵本は2ヵ月後にこの犬をもら
うことになっている女の子が、「ああ、まちきれない」と、子犬の成長過程を読者
に報告していく形で進むのですが、この語りことばがじつにいいのです。
 学校で読むと第一声の、「いいこと おしえてあげようか?」、「おとなりの 
いぬに あかちゃんが うまれるの。いっぴき わたしが もらうんだ!」から、
さっそく「いいなー」という声がとんできます。どのクラスにも住宅事情や親の反
対から犬を飼えない子がたくさんいるからです。その子たちの声に押されるように、
クラス全体がお産の体勢に入った母犬を見守ります。
 すると、「いちばんめの あかちゃんが でてきた」「ふくろに はいっている」
と、母犬のおしりから羊膜にくるまれた子犬がでてくるではありませんか。
 「えっ?」と怪訝そうな顔をする子どもたち。遠くからは見えにくい写真です。
でも、これは絶対に見せたいので読むのをちょっと中断させ、「よく見て。袋の中
に赤ちゃん犬がいるよ」と、1人1人に近づけて見せてやります。
 モノクロ写真なのでそんなにグロテスクにはならず、誠実に出産場面を伝え、生
命の神秘も感じさせてくれる貴重な写真だと私は思っています。でも、おとなに読
むと、「リアルすぎる」と目をそむける人も必ずいます。でも、子どもは違います。
1年生でも6年生でも絵本の方に首を伸ばし、「ほんとだ!」「すげえ!」と息を
のむのです。母犬が歯で袋をやぶり、へその緒で母犬と繋がっている子犬がでてく
ると、「どれが、へその緒?」「人間と同じだね!」とますます首を伸ばしてきま
す。
 こうして子犬が誕生するまさにその瞬間に立ち会った子どもたちは、まぶたも耳
の穴もふさがったままで身体もふにゃふにゃな子犬が、おっぱいをぐいぐい飲み、
めきめき大きくなっていく様子を、その一挙一動に歓声を上げながら見守ります。
特に、語り手の女の子がこの小さなダックスフントに「ソーセージ」と命名する場
面では大変な騒ぎになります。「うわあ!」と笑い声が起こり、「変な名前!」と
いいながらも、この子犬が可愛くて可愛くてたまらないといった様子で大喜び。名
前がついたこの瞬間から、ソーセージは絵本からとびだして、すっかりみんなの犬
になってしまったようです。
 歯が生え、1月後にはお座りができるようになり、ついにはダンボール箱から逆
立ちで「だっしゅつ」できるまでになるソーセージ。「モノクロで地味だ」だなん
てとんでもありませんでした。ソーセージの写真はどれもこれもが可愛くて、時に
ひょうきんで、本当に目が離せません。子どもの歓声を聞きながらこの本を読んで
いると、「命ってすごいな」、「それをちゃんと受け止めているこの子たちもすご
いな」と、私の胸はいつもいっぱいになってしまいます。


★『こいぬが うまれるよ』
  J・コール 文/J・ウェクスラー 写真/つぼいいくみ 訳 定価945円


代田知子(しろた ともこ)
1956年、東京に生まれる。埼玉県三芳町図書館勤務。日本子どもの本研究会理事。
図書館司書の仕事とともに、子どもの本の研究と普及活動をしている。図書館員、
教師、保育士などへの研修会講師も努める。著書に『読み聞かせわくわくハンドブ
ック』(一声社)、DVD『絵本・読み聞かせ おうちで実践編1~2』(アスク)な
どがある。


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《2》月刊誌最新号<12月号>のご案内
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☆月刊誌最新号<12月号>は、発売中です。

◇◆こどものとも0.1.2.『いろいろぼうし』
              谷川晃一 作 定価410円           ◇◆

ねこさんは赤い帽子、いぬくんは青い帽子、ぞうさんは黒、うまくんは黄色……。
パステルの色彩が美しい絵本です。

◇◆こどものとも年少版『だれのくるま?』
            N・ポポフ 案・絵/児島宏子 文 定価380円   ◇◆

靴の形をした不思議な車から、細いしっぽやとがった耳、きょろきょろ目玉がのぞ
いています。だれの車でしょう?

◇◆こどものとも年中向き『ハバラさんのほし』
             岡井美穂 文・造形 定価380円        ◇◆

ゴミ収集車のおじさん、ハバラさんと、掃除機に乗ってゴミの星にいった男の子の
前に、粗大ゴミや燃えないゴミでできたおもしろい公園がありました。

◇◆こどものとも『はやく かえってこないかな』
         鈴木永子 作 定価410円               ◇◆

パパの誕生日に、もみちゃんはママとカボチャのケーキを作りました。パパを待ち
くたびれたもみちゃんは、ついつまみ食いをして……。

◇◆ちいさなかがくのとも『キャベツ めキャベツ』
             藤田雅矢 文/土橋とし子 絵 定価380円    ◇◆

キャベツは、いつ丸く巻き始めるのか? 芽キャベツはキャベツの赤ん坊なのか?
知っていますか? 実際に育ててみました。

◇◆かがくのとも『どっちも すき』
         またきけいこ 作 定価410円             ◇◆

早くてもゆっくりでも、高くても低くても、暗くても明るくても、どっちも好き。
2つに分けても、2つに分けられるから、どっちも好き。

◇◆おおきなポケット かがくのポケット「ふしぎなパピエ」
                    平山暉彦 作 定価770円    ◇◆

しょうたくんは 牧野博士と900年前のイギリスにタイムトラベル。そこでなんと暴
君に立ち向かうのです。他に楽しいお話2編。

◇◆たくさんのふしぎ『りんごの礼拝堂』
           たくぼひさこ 文/HAYATO 絵 定価700円      ◇◆

フランスの小さな村のこわれかかった礼拝堂。その古い小さな礼拝堂をタクボさん
という日本人が、村人と一緒によみがえらせました。

◇◆母の友 特集「海外に暮らす」 定価530円              ◇◆

学校でティータイムがある。休日のレジャーはサバンナのゾウ見物。所変われば子
育ても変わります。海外で暮らす日本女性を紹介します。

★こちらから「母の友」12月号の目次をご覧いただけます。



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《3》月刊誌編集部からこんにちは
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☆毎月交代で月刊誌の編集部から読者の皆様にむけたメッセージをお届けしていま
す。今月は、「こどものとも第1」編集部です。“「母の友」編集室の窓から”も、
毎月、このコーナーに掲載します。

◇◆こどものとも第1編集部から◇◆

 こどものとも第1編集部では、「こどものとも」と「こどものとも年中向き」の
2誌を作っています。冒険やファンタジーの楽しい物語、日本や世界の昔話、動物、
乗り物、子どもの生活のお話、ナンセンスの絵本など、子どもたちが何度も繰り返
し手に取ってみたくなるような絵本と1冊でも多く出会えるように! と、願って
います。
 さて、今、編集作業をしているのは、2月号。
 「こどものとも」2月号は『ゆきがいっぱいふりました』という、雪国の子ども
たちの1日を描いた絵本。
 「年中向き」2月号は『ハナさんのあかいぬの』という、パッチワークで作られ
た絵本です。この絵本を作る課程で、布のあたたかさ、ふかふかとした手触りをで
きるだけ絵本の中でも再現したいと、7月ごろから何度も印刷所の方と話しあい、
現場に立ちあい、テストを繰り返しました。そして、ある方法が見つかったとき、
みんなで「これだ!」と大喜びしたのです。
 先日、幼稚園を訪問し、絵本を読みました。終わったとき、ひとりの子が「絵本
はどうやって作るの?」と聞いてきました。私たちの絵本作りには、多くの人々が
関わっています。まず著者の方をはじめ、私たち編集者、紙や印刷技術に詳しい制
作担当者、そして印刷所の方、製本所の方がいます。1冊1冊、原画のタイプも違
えば、大きさも違います。
 ですから、絵本が完成するまで、みんなが何度もいったりきたり相談を繰り返し
ながら作っていきます。今度絵本を手に取った時は、そんな人たちのこともちらり
と思い浮かべてもらえたら、また違う絵本の楽しみがあるかもしれませんよ。

★こちらから「こどものとも」をご覧いただけます。


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◇◆「母の友」編集室の窓から◇◆

 今、何が一番大切なのか。深い経験と洞察から生まれた問題意識を、映画を通し
て真正面から伝えようとしているひと――それが高畑勲さんの印象でした。
 日本はもちろん、世界のアニメーションをリードするスタジオジブリの監督とし
て、「火垂るの墓」や「おもひでぽろぽろ」、「平成狸合戦ぽんぽこ」などの名作
を生み出してきた高畑さんが、今のアニメーションや絵本についてどう考えている
のか聞きたくて、夏の終わり、スタジオジブリを尋ねました。
 事前にお送りしていた質問事項を眺めて「非常に重要かつ難しい問題ですね」と
いったかと思うと、一気に話し始められた高畑さん。日本のアニメーションの成功
と問題、絵本とアニメーションの決定的違いなどなど、アニメを観る側、絵本を作
る側にいる者として、目からうろこの指摘のオンパレード。一見辛らつと思える批
判も、確かな経験と揺ぎない信念に裏打ちされていて、ぐいぐい引き込まれます。
「いやあ、とっちらかっちゃってすみません。仕切りなおしますか?」と頭をかく
高畑さん。気がつくとインタビューは3時間を超えています。雑誌の記事にしてお
くにはもったいないほどの濃密な内容。「本当にまとめられるだろうか?」と一瞬
ためらいましたが、なぜか大丈夫だな、と思えたのは、やはりお話の根底にある線
が太くてまっすぐだったから。アニメーションを知り尽くした高畑さんだから語れ
た今月号(12月号)「アニメと絵本のだいじな話」、ぜひご覧ください!
 12月号はそのほか、海外に居を移し子育てする女性たちの物語「特集・海外に暮
らす」、国際共通語エスペラントの世界大会レポートなど、新しい視点の得られる
記事が満載。好評・絵本作家のアトリエは、あたたかな動物の絵で人気の垂石眞子
さんです。

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《4》話題の新刊『リバウンド』の訳者、小梨直さんのエッセイ
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   ハンディと、バスケと、ハンバーガー
                       小梨直

 いまから20年近く前、アメリカ南部を車で旅したことがあります。インターステ
イト・ハイウェイ(州間高速道路)とモーテルをつかっての、行き当たりばったり
の貧乏旅行。現地に留学していた友人とふたりでしたが、田舎の知らない店はやは
り不安なので、食事はピザやハンバーガーなどのチェーン店ばかりを利用していま
した。そんななか、たしかアラバマ州のどこかでマクドナルドに入ったとき、入口
のすぐ脇に身障者用の駐車スペースがあったことを、なぜかいまも鮮明に覚えてい
ます。へえ、さすがだなあ、と。当時の日本の都会生活では、あまり目にする機会
がなかったからでしょう。でも、肝心の入口がスロープになっていたかというと…
…思い出せない。
 英語に put oneself in someone's shoes という表現があります。直訳すれば、
「ほかの人の靴をはく」、つまりは「人の身になって考える」。簡単なことではあ
りません。それも、いっときだけでなく、いつもいつも、どんな場合でも、となる
と。
 今回わたしが訳したこの『リバウンド』には、まさにそういう場面が出てきます。
主人公の13歳の少年ショーンが、友だちになった同級生デーヴィッドの「靴をはい
てみる」のではなく、ここでは「車いすに乗って一日を過ごす」のです。
 訳しているこちらまで、腕が痛くなってきそうでした。ショッピングセンターで
は、「川の中央で急流に洗われる岩になった気がした」。この感覚は、ずっと以前
1ヵ月ほど片脚ギプスの生活を強いられたときに、駅の人ごみで味わった覚えがあ
ります。道路の段差、建物の入口、階段、エスカレーター、エレベーター。すべて
が、いつもとはちがう障害となって、目の前に立ちはだかる。なにをするにも、ガ
ツンと壁にぶつかってばかりいるような、もどかしさ。
 有能なバスケットボール選手として活躍していたデーヴィッドが、いまはどんな
思いで、人知れず日々なにと戦っているか。おなじバスケットボール好きの少年と
して、これまでスポーツのためだけにつかっていればよかった全身の筋肉で、主人
公ショーンは文字通りそれを体感します。そして最後、「一日中すわったままで、
こんなに腹が減るなんて」と、ふたりでウェンディーズのドライブスルーを“強行
突破”して買ったハンバーガーにかぶりつく。
 腕の疲れといっしょにショーンの心になにかが染みこんで、デーヴィッドの真の
味方となるための一歩を踏みだすことができたのは、この瞬間でしょう。「やって
やる」というデーヴィッドの気迫がショーンにのりうつり、やがては逆に、おなじ
ような強烈なチェストパスをデーヴィッドに投げかえすときがやってくる……。こ
れはバックボードに当たって跳ねかえったボールに食らいつき、不屈の精神でゴー
ルを決めようとする、少年たちの物語なのです。

★『リバウンド』
  E・ウォルターズ 作/小梨直 訳/深川直美/画 定価1680円


小梨 直(こなし・なお)
1958年、東京生まれ。7年前から長野県北安曇郡在住。主な訳書にウォレス『ビッ
グフィッシュ』、バントック『不思議な文通』、メイル『プロヴァンスの贈りもの』
(以上、河出書房新社)、アシモフ他編『いぬはミステリー』、カーク『ハリー・
ポッター誕生』(以上、新潮社)、シメール『地球のこどもたちへ』(小学館)な
どがある。


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《5》11月の新刊のご案内
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《11月7日(水)出荷開始》
★『ブルくんとかなちゃん』
  ふくざわゆみこ 作 定価780円

ブルくんはかなちゃんと仲良くなりたいのに、かなちゃんは逃げてばかり。どうす
れば仲良くなれるのかな?

★『ちょっとだけ』
  瀧村有子 作/鈴木永子 絵 定価840円

弟が生まれてお姉さんになったなっちゃんは、お母さんの手を借りずにひとりでい
ろいろ挑戦してみます。切なさを乗り越えて成長するなっちゃん。

★『おとうさんをまって』
  片山令子 作/スズキコージ 絵 定価840円

お父さんはしばらく帰らない。お父さんの乗った汽車を見送ったぼくは、おもちゃ
屋で偶然汽車のおもちゃを見つけます。

《11月13日(火)出荷開始》
★『文庫版 半分のふるさと』
  イ サンクム 作/帆足次郎 画 定価893円

日本で生まれ育った朝鮮人の作者が、日本への愛憎を胸に祖国への愛に目覚めはじ
めるさまを描く、いきいきとした自伝。

《11月14日(水)出荷開始》
★『いるいるだあれ』
  岩合日出子 文/岩合光昭 写真 定価945円

動物写真家、岩合光昭が撮った動物の美しいシルエットと、岩合日出子の簡潔な文
の親子で一緒に楽しめる写真絵本です。

★『花になった 子どもたち』
  J・T・ライル 作/市川里美 画/多賀京子 訳 定価1470円

母親を亡くし心閉ざした姉妹は、妖精の物語に導かれて、おばさんの家の古い庭で
ティーカップを探し始める。ある“まじない”を解くために。

《11月21日(水)出荷開始》
★『リバウンド』
  E・ウォルターズ 作/小梨直 訳/深川直美 画 定価1680円

バスケットボール好きなカナダの中学生、ショーン。車いすにのった転校生デーヴ
ィッドと一緒に行動させられ、互いを知る一歩を踏みだす。


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《6》書籍編集部だより
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☆絵本・童話・科学書の編集部から毎月交代で読者の皆様にむけたメッセージをお
届けします。今月は童話編集部です。

◎童話編集部から

 J・L・コンリー作『プラネット・キッドで待ってて』を刊行したとき、ある図
書館員のかたから「アメリカン・リアリズムの系譜につらなる力作だと思います」
との感想をいただきました。
 米文学史にはとんと疎いのでにわかにはピンとこなかったのですが、思えば『ト
ム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険』を書いたマーク・トウェ
インは「アメリカン・リアリズムの代表的作家」ということだし、確かにこの2作
には著者の少年時代の情景、風物が克明にまた濃密に映し出されています。
 ある時代の空気のなかに人々の暮らしや思いをくっきりと描く……そうか、〈イ
ンガルス一家の物語〉がまさにそうじゃないか! さらに時代をさかのぼった〈ク
ワイナー一家の物語〉も、また。
 そうして現代に目を転じれば『クレイジー・レディー!』があり、バスケットボ
ールをテーマにしたふたつの作品『最後のシュート』(ノン・フィクション)『リ
バウンド』(11月新刊、こちらはフィクション)が並んでいます。
 遠くて近い、近くて遠いアメリカ――ことさらに意識はしていなくても、少年少
女向けの面白い読み物を求めていく過程で、やはり目を離せずにきたというところ
でしょうか。
 今後、コンリーのもう1作『トラウト・サマー』(仮題)を予定しているほか、
メキシコとの国境地帯に暮らす若者の日々を追う魅力的な物語も翻訳進行中。おっ
と、〈クワイナー一家〉もあと3冊あるんです。
 どれもこれも、お楽しみに! 

★『プラネット・キッドで待ってて』
  J・L・コンリー 作・絵/尾崎愛子 訳/おおの麻里 画 定価1785円


★『トム・ソーヤーの冒険』
  マーク・トウェイン 作/大塚勇三 訳/八島太郎 画 定価2205円


★『ハックルベリー・フィンの冒険』(上下2巻)
  マーク・トウェイン 作/大塚勇三 訳/E・W・ケンブル 画 各定価1890円



★〈インガルス一家の物語〉シリーズ(5巻)
  L・I・ワイルダー 作/恩地三保子 訳/G・ウィリアムズ 画 
  全巻揃い定価9660円、文庫版:全巻揃い定価3782円


★〈クワイナー一家の物語〉シリーズ(4巻)
  M・D・ウィルクス 作/土屋京子 訳/D・アンドレイアセン 画 
  全巻揃い定価6930円


★『クレイジー・レディー!』
  J・L・コンリー 作/尾崎愛子 訳/森脇和則 画 定価1575円


★『最後のシュート』
  ダーシー・フレイ 著/井上一馬 訳 定価1575円


★『リバウンド』
  E・ウォルターズ 作/小梨直 訳/深川直美/画 定価1680円



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《7》原画展のお知らせ
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たるいしまこ 絵本原画展
会期:2007年10月5日(金)~12月2日(日)
会場:八ヶ岳小さな絵本美術館 長野県諏訪郡原町17217-3325
問合せ先:TEL 0266-75-3450


府中市立中央図書館開館記念 絵本原画展
─絵はものがたりの世界をひろげる魔法のつえ
会期:2007年12月5日(水)~12月16日(日)
会場:府中市美術館1階市民ギャラリー 府中市浅間町1-3 都立府中の森公園内
問合せ先:府中市立中央図書館 TEL 042-362-8647
入場無料

生誕110年記念 初山滋大回顧展
─色彩と線の詩人がおりなすモダニズムの世界
会期:2007年11月21日(水)~2008年1月31日(木)
会場:ちひろ美術館・東京 練馬区下石神井4-7-2
問合せ先:TEL 03-3995-0612
入館料:大人800円、65歳以上および20名以上の団体は700円、高校生以下無料


現代の百鬼夜行を描く~井上洋介の世界展
会期:2007年10月20日(土)~11月18日(日)
会場:木城えほんの郷 宮崎県児湯郡木城町石河内475
問合せ先:TEL 0983-39-1141
入館料:大人500円、小中校生300円



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