☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

 ★あのねメール通信~福音館書店メールマガジン2008年2月6日 Vol.75   ★
            

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

          ◆◇◆  CONTENTS  ◆◇◆

《1》 連載:絵本と子どもたち―図書館の窓から―(11) 代田知子
《2》 月刊誌最新号<3月号>のご案内
《3》 月刊誌編集部からこんにちは
《4》 「タンタンの冒険旅行」の訳者、川口恵子さんのエッセイ
《5》 2月の新刊のご案内
《6》 書籍編集部だより
《7》 原画展のお知らせ


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《1》連載:絵本と子どもたち―図書館の窓から―(11) 代田知子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 図書館に勤めはじめたばかりのある日、絵本の棚を整理していた私は、『ひとま
ねこざる』の絵本を見つけて、思わず息をのんでしまいました。そのときまですっ
かり忘れていたのですが、これは私が幼稚園の時に買ってもらい、何度も何度もそ
れこそなめるように読み返していた本だったからです。「そうだ、あの絵!」心臓
がばくばく音を立てはじめ、私はすぐさま、今も鮮明に覚えている絵のページを探
しました。
 高層ビルの窓ふきの仕事をしていたおさるのジョージが、ある部屋に忍び込み、
ペンキ屋が置きっぱなしにしておいたペンキで壁にジャングルを描いてしまったあ
の場面です。子どもの頃、「また怒られるぞ。ダメ、描いちゃダメだ!」とはらは
らしながらお話を聞いていた私が、次のページに突然本物のジャングルが現れたの
で大喜びしたという、すごいシーンです。あのころ私は、ジョージが生まれ故郷の
ジャングルに帰りたい一心で絵を描いたから、そしてとても絵がうまかったから、
ジョージが筆を運ぶそばから壁に描いたヤシの木が本物に変わっていったのだ、と
思いこんでいました。おまけにそこには本物のヒョウまで出てきたのです。すごい
ぞ、ジョージ! 私は心の底からジョージを尊敬してしまいました。
 ところがこの絵本と再会し、改めてその絵を見てみるとまったく違うのです。そ
れは落書きの域を超え、とても大胆で上手な絵でした。でも、ペンキで描いただけ
の絵です。おまけに、私が本物だと思い込んでいたヒョウも、顔がついたヒョウ柄
の布をかぶせた、ただの椅子でした。「違う。この絵じゃない。もっとリアルにジ
ャングルが描いてあったはずだ」私は地団駄を踏みたいほど悔しくなりました。で
も、他にそれらしい絵は見あたりません。
 なあんだ、ジョージは私が思っていたほどすごいおさるじゃなかったんだ……。
大好きな絵本とまた会えたのに、あっという間に夢がこわされ、私はしゅんとして
しまいました。でも、どうして? どうして子どものときの私は、ジョージが本物
のジャングルをそこに出現させたと思いこんでしまったのでしょう? あんなに何
度も読み返していたのに、なぜ本当のことに気づかなかったのでしょう?
 それが不思議でたまらずゆっくり読み直してみますと、なるほど! その秘密が
分かりました。壁も椅子のカバーも真っ白な平凡でつまらない部屋の絵が、ページ
をめくったとたん、まるで奇跡のように楽しいジャングルの絵に変わったというそ
の場面に、こういう文章が添えられていたからです。
 「1じかんほどして、ぺんきやさんが もどってきました。どあを あけた と
たんに、あっと、おどろきました。へやじゅうが、じゃんぐるに かわってしまっ
ていたからです。かべいちめんに やしの木が かいてあって、きりんが 1ぴき
に、ひょうが 2ひき、しまうまが 1ぴき いました。 そして、こざるが 1
ぴき、やしのきに のぼっている じぶんの すがたを、かいていました」
 ああ、夢中でお話を聞いていた私は、そしてまだ文章を正確に理解できなかった
私は、「へやじゅうが、じゃんぐるに かわってしまって」という文章を文字通り
に受け取ってしまったのです。そしてこの文章と絵が合わさったとき、私の頭の中
に本物のジャングルを魔法のように作りだしているおさるの姿が、どどーんと広が
っていったに違いありません。私は、絵本の絵そのままではなく、自分の頭で創り
上げた私の『ひとまねこざる』の絵を見ていたのです。そして、その絵は何十年も
たった今も、その絵が「本当じゃなかった」と気づいた今も、私にとっては「本物」
なのです。
 読み聞かせを聞いている子どもたちが、すっかりお話の世界に入り込んでしまっ
ていると感じるとき、また、読んでいるつもりになって暗記した文章を唱えながら、
夢中で絵本をめくっている子どもの姿を見たとき、私はいつも「今、あの子の頭の
中には、何が見えているのかしら?」と、その絵が見たくてたまらなくなります。
少なくとも、布をかぶせた椅子の絵を見ても本物のヒョウだとは思うことができな
い今の私より、ずっとずっとすばらしい絵を見ているはずですから。

★『ひとまね こざる』
  H.A.レイ 文・絵/光吉夏弥 訳 定価672円(岩波書店)

代田知子(しろた ともこ)
1956年、東京に生まれる。埼玉県三芳町図書館勤務。日本子どもの本研究会理事。
図書館司書の仕事とともに、子どもの本の研究と普及活動をしている。図書館員、
教師、保育士などへの研修会講師も努める。著書に『読み聞かせわくわくハンドブ
ック』(一声社)、DVD『絵本・読み聞かせ おうちで実践編1~2』(アスク)な
どがある。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《2》月刊誌最新号<3月号>のご案内
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆月刊誌最新号<3月号>は、発売中です。

◇◆こどものとも0.1.2.『すすむ』
              U.G.サトー 作 定価410円         ◇◆

たったか、とっとこ走るヒト。のろのろ、ぬめぬめゆっくり進むカタツムリ。さま
ざまな生きものたちが前進する姿を描きます。

◇◆こどものとも年少版『ちいさな くろい いし』
            M・ベロニカ 作/石津ちひろ 訳 定価380円   ◇◆

砂浜にやってきた子どもたちが選ぶのは白い石やカラフルな石ばかり。そばでじっ
と見ていた小さな黒い石は、寂しくなってしまいます。

◇◆こどものとも年中向き『ふくろうのそめや』
             奥山多恵子 文・絵 定価380円        ◇◆

昔、ふくろうの染め屋がいました。そのころ鳥たちは色や模様がついていなかった
ので、ふくろうに染めてもらおうとやってきます。

◇◆こどものとも『アルマジロくんと カメくん』
         藤巻吏絵 作/さとうあや 絵 定価410円        ◇◆

アルマジロくんとカメくんは市場へ買い物へでかけます。しかし歩く速度が違うた
め、ふたりはどんどん離れていってしまいます。

◇◆ちいさなかがくのとも『おひさまは いつも』
             八木マリヨ 作 定価380円          ◇◆

くもりの日、雨の日、おひさまはどこにいるの? おひさまは、くもの上。くもの
上は、いつも晴れ!

◇◆かがくのとも『ごとおべえが いく―ひきがえるの はる』
         西村繁男 作 定価410円               ◇◆

春の訪れが近いある日、たくさんのごとおべえ(ヒキガエル)が池に集まってきま
した。「かえる合戦」の始まりです。

◇◆おおきなポケット かがくのポケット「キタキツネの子どもたち」
                    久保敬親 写真・文 定価770円 ◇◆

キタキツネの子どもたちは、北海道に雪解けが近づく3月に生まれます。それから
秋に巣立ちをするまで、その生態を描きます。他に楽しいお話2編。

◇◆たくさんのふしぎ『ニワシドリ―あずまやを作るふしぎな鳥』
           鈴木まもる 文・絵 定価700円          ◇◆

ニワシドリ=庭師鳥。その名のとおり、まるで手入れされた植木のような「あずま
や」を作る鳥です。いったい何のために作るのでしょう?

◇◆母の友 特集「『七歳』の不思議」 定価530円            ◇◆

子どもたちは、6歳から7歳にかけて卒園と入学という人生のなかの節目を迎えま
す。この大切な時期の子どもの成長を考えます。

★こちらから「母の友」3月号の目次をご覧いただけます。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《3》月刊誌編集部からこんにちは
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆毎月交代で月刊誌の編集部から読者の皆様にむけたメッセージをお届けしていま
す。今月は「おおきなポケット」編集部です。“「母の友」編集室の窓から”も、
毎月、このコーナーに掲載します。

◇◆おおきなポケット編集部から◇◆

 「おおきなポケット」には〈かがくのポケット〉というノンフィクションのペー
ジがあります。主な読者対象は、小学校1~3年生。行動範囲が広がり、外の世界
への興味がどんどんふくらんでいる時期の子どもたちです。自然のこと、身のまわ
りの社会や生活のこと、遊びのこと、幅広く題材を選んでお届けしていますが、今
回は4月号の「かがくのポケット」について、お話します。
 4月号のテーマは、「鳥のあしあと」です。著者の藤田祐樹さんは、そもそも人
類の二足歩行の研究をしていました。ところが、研究の息抜きに(?)やはり二本
足で歩行するハトをながめるうち、その首を振る歩き方がおもしろくて夢中になり、
ついに鳥の歩き方の研究をするようになってしまったという、ちょっとおもしろい
経歴の学者さんです。
 飛び方ではなくて、歩き方の研究なんて、不思議な感じがしますが、鳥って、じ
つはよく歩くのです。スズメはちょんちょんとジャンプしながら、ハトは首を振っ
て歩きます。コサギは、長い脚で優雅に歩きながら魚を探しています。カモの親子
は体をゆすりながらヨチヨチあるきます。足の形もさまざまです。大きい足、小さ
い足、ゆびが長い足、水かきのある足。足の形が違うと、足跡は違ってきます。そ
れに、歩き方が違っても、足跡は違ってきます。
 本を作るにあたって、干潟や不忍池、公園、さまざまな場所で、著者たちと取材
を重ねました。足跡と足の形を観察するうち、そのすべての造作が、泳ぐため、泥
の上をあるくため、砂の上をすばやく走るため、など、鳥たちが生きていくための
さまざまな工夫に満ちていることを知り、おどろきました。
 足跡の形、歩幅などから、どの鳥が、どんなことをしていたか、ある程度推理す
ることができるのです。ふだんは高いところにいて、間近で観察することはむずか
しく、つかまえようと思っても飛んで逃げてしまう野生の鳥たちの暮らしを、足跡
からたどることができるのです。
 動物行動学の基本は「想像してみること」です。「鳥のあしあと」は、まさに動
物行動学の入門編。足跡探しを通じて、身近な鳥たちの生活を知ると、野外へでる
のが楽しみになると思いますよ。

★こちらから「おおきなポケット」をご覧いただけます。



◇◆「母の友」編集室の窓から◇◆

 朝、集団登校をする小学生の列に出会って、驚くことがあります。それは、先頭
を歩く高学年生と、後に続く低学年の子どもの体の大きさの違い。ランドセルに背
負われているみたいな1年生を見るにつけ、「この子と年長さんとの間にはいった
いどんな違いが?」と、なんだか心配になってしまいます。
 でも調べてみると、古今東西小学校への入学は6、7歳が定番。「学校に入る」
ということは、この時期の子どもに必要かつ適切なステップのようなのです。
 なぜ「7歳」なのか? そして子どもはどのようにして新しい環境を受け入れて
いくのでしょう。
 3月号ではこの「『七歳』の不思議」を特集します。発達上の変化と、現場の先
生たちのまなざしから、親として、この時期のわが子を見守るヒントが見えてきま
す。
 連載「絵本作家のアトリエ」では、北海道・旭川在住のあべ弘士さんをたずねま
した。力強くてユーモラスであたたかい、あべ弘士というひとの魅力の原点がたっ
ぷり詰まっています。どうぞお楽しみに!

★こちらから「母の友」3月号の目次をご覧いただけます。


★こちらから「母の友」のブログをご覧いただけます。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《4》「タンタンの冒険旅行」の訳者、川口恵子さんのエッセイ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    24冊そろったタンタン
                      川口恵子

 去年は、タンタン・シリーズの作者エルジェの生誕百年にあたる年。それを祝う
イベントや大規模なタンタン展なども世界各国で催され、ファンにとっては幸せな
1年でした。
 タンタンとスノーウィの最初の冒険『タンタン、ソビエトへ』が出版されたのは
1929年。9冊目の『金のはさみのカニ』までは第二次大戦以前にモノクロ版で発表
され、戦後に現在のカラー版に改訂され出版し直されたものです。「えっ? そん
なに昔の本だったの」と驚かれる方も多いでしょう。デビューからすでに80年近く。
人間の年で言えばかなりのお爺ちゃんですが、21世紀になった今も、タンタンはバ
リバリの現役。相変わらず若々しく、少しも古臭さを感じさせません。親から子へ
子から孫へ(ひょっとしたら孫からひ孫へ)、世代を越えて読み継がれ、世界中で
愛され続けるタンタン。物語の大半が、過去の時事問題を扱っているにもかかわら
ず、なぜか現在進行形で起こっている出来事のように新鮮に感じます。それどころ
か、何度も読み返すうちに、未来を読み解く鍵さえそこに隠されているような気が
してくるから不思議です。国際紛争、内戦、石油利権、多国籍企業の世界支配。東
西冷戦は終わっても、世界の枠組みはタンタンの時代とあまり変わってはいない、
そんなこともこのシリーズは気づかせてくれるのです。
 1983年からはじまった福音館版タンタンも、今回の『タンタンとピカロたち』と
『タンタンとアルファアート』で、全24巻すべてが出揃いました。『ピカロ』の舞
台は、アルカサル将軍がゲリラとして活躍する南米。ハドック船長、ビーカー教授、
デュポン&デュボン、ランピョン、カスタフィオーレ夫人ら、おなじみタンタン・
ファミリーが総出演します。1970年代の雰囲気もたっぷり楽しめて、「これぞタン
タン!」という最高の仕上がり。最終巻の『アルファアート』は、エルジェが亡く
なる数ヶ月前まで手がけていた作品で、残念ながら未完に終わってしまいましたが、
残されたラフ・スケッチとシナリオ形式のセリフによって、物語の全体像をうかが
い知ることができます。エルジェの創作の秘密を探るうえでもかかせないファン必
携の1冊。裏表紙には、フランス語原書の刊行順に24冊のリストも付いてます。お
手元にタンタンの本をお持ちの方は、この裏表紙と見比べてみることをお勧めしま
す。物語のつながりがよくわかりますよ。
 この25年間、愛読者の皆さんから、驚くほどたくさんの温かい励ましをいただき
ました。その応援に支えられ、私達スタッフも様々な困難を乗り越えることができ
ました。25年間で24冊のタンタン。決して多くはないけれど、みんなの思いのこも
ったかけがえのない24冊です。よろしかったら、お手に取ってごらんください。
 
★「タンタンの冒険旅行」シリーズ
  エルジェ 作/川口恵子 訳 定価各1680円


川口恵子(かわぐち けいこ)
1953年、福岡県に生まれる。東京大学教養学科フランス科卒。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《5》2月の新刊のご案内
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

《2月6日(水)出荷開始》
★『まえむき よこむき うしろむき』
  いのうえようすけ 文・絵 定価840円

ぞうさんを前から見たり、横から見たり、後ろから見ると、それぞれ様子が違いま
す。他ではどうなんだろう。どんなふうに見えるかな?

★『まゆとりゅう―やまんばのむすめ まゆのおはなし』
  富安陽子 文/降矢なな 絵 定価840円 

やまんばと、まゆが、龍の背に乗って、春一番の雨を降らせます。激しい雨で、雪
が解け、雪解け水が川になる――季節の節目の物語。

《2月13日(水)出荷開始》
★『いろいろ おせわに なりました』
  やぎゅうげんいちろう 作 定価780円

どんなお世話になったのか、絵を見くらべてみてみよう。わらべ歌を題材にした、
とってもおかしなユニークな絵本!

★『くまとりすの おやつ』
  きしだえりこ 文/ほりうちせいいち、もみこ 絵 定価780円 

木いちごがいっぱいなりました。くまは大きなかごにたくさん、りすは小さなリュ
ックサックに一つだけ摘みます。そしておなかいっぱい食べました。

《谷川俊太郎の科学絵本3冊 2月1日(金)出荷開始》
★『きもち』(新刊)
  谷川俊太郎 文/長新太 絵 定価880円 

絵をたどっていくと、そこにはいろんな気持ちが込められています。うれしかった
り、はずかしかったり、すぐに消えたり、ずーっと残ったり……。

★『とき』(復刊)
  谷川俊太郎 文/太田大八 絵 定価880円 

大昔のそのまた昔、昔々のそのまた昔、そんな昔から時は流れて……今もなお、時
は止まることなく過ぎていく。決して後戻りしない。

★『コップ』(復刊)
  谷川俊太郎 文/今村昌昭 写真/日下弘 AD 定価880円 

コップに水を入れる。するとコップは水をつかまえる! コップのいろんな働き、
いろんな様子。コップから世界が見える。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《6》書籍編集部だより
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆絵本・童話・科学書の編集部から毎月交代で読者の皆様にむけたメッセージをお
届けします。今月は童話編集部です。

◎童話編集部から

ショヴォーを知っていますか?(その1)

 レオポルド・ショヴォー(1870~1940)、フランスの作家・画家にして外科医。
代表作『年をとったワニの話』のあらすじは――ピラミッドが建つのをじかに見た
ほどの高齢の一匹のワニが、空腹のあまり曾孫を食べて親族一同に責められ、故郷
を出奔してナイルを下る。紅海で知り合ったタコの娘と恋仲になるが、美味しそう
な脚の魅力に抗しきれず、一夜に一本ずつ食べていく。とうとう全部の脚を食らい
つくすが、数の勘定ができないタコは気づかない。ワニはついに、眠ったタコを丸
ごとお腹におさめ、苦い涙を流す……。おいおい、なんて救いがなくて残酷な! 
と思いかもしれませんが、ともかくご一読あれ。不思議にからっとして、すこーん
と突き抜けたお話のなんともいえない味わいに、きっとびっくりされるはずです。
そうしてあなたもショヴォーの世界がやみつきに……。
 山本夏彦氏が1940年代に翻訳・刊行した『年を歴た鰐の話』が絶版となって以来、
長いことこの書物は“幻の本”とされてきました。作家ショヴォーの存在も含めて
山本氏の創作ではないかと疑われたこともあります。本国フランスでもすっかり埋
もれて探索の手だてもなく……しかし! 「ショヴォーに首ったけ」チームが総力
をあげた調査の末、ショヴォー作品の全貌が明らかになり、ひょんなことから遺児
も発見! しかもその末息子は原画多数を保持していた! ああもう、語り出した
ら止まりません。またお話しいたしましょう。ともあれ、奇想縦横の物語とエスプ
リあふれる挿画が響きあうこの希有なシリーズを、ぜひ手に取ってくださいますよ
うに。

★『文庫版 年をとったワニの話』
  レオポルド・ショヴォー 作/出口裕弘 訳 定価735円


★『年を歴た鰐の話』(歴は旧字体)
  レオポルド・ショヴォー 作/山本夏彦 訳 定価2100円(文藝春秋社)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《7》原画展のお知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ぐりぐらとなかまたち 山脇百合子絵本原画展
会期:2008年1月11日(金)~3月2日(日)
会場:岐阜県美術館 岐阜県岐阜市宇佐4-1-22
問合せ先:TEL 058-271-1313
休館日:月曜日(休日の場合は翌日)
入館料:一般700円(600円)前売500円、大学生500円(400円)前売300円、
    高校生以下は無料     ※( )内は20名様以上の団体料金。


第14回絵本原画展 岸田衿子―山小屋だより
会期:2008年2月2日(土)~2月12日(火)
会場:高崎シティギャラリー 高崎市高松町35-1
問合せ先:TEL 027-352-4613 NPO法人時をつむぐ会
会期中無休
入場料:一般800円(前売600円)、子ども(3歳~18歳未満)500円(前売400円)
※20名以上の団体 一般500円、子ども300円(3歳未満100円)



*************************************
このメールの再配信、および掲載された記事の無断転載を禁じます。
定価はすべて消費税5%込みの価格です。
◆配信先の変更および解除は次のページからおこなうことができます。

◆発行:株式会社福音館書店 宣伝部宣伝企画課
*************************************