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 ★あのねメール通信~福音館書店メールマガジン2008年5月7日 Vol.78  ★
            

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         ◆◇◆  CONTENTS  ◆◇◆

《1》 連載:めくってうれしい絵本体験記(2) 飯野和好
《2》 月刊誌最新号<6月号>のご案内
《3》 月刊誌編集部からこんにちは
《4》 新刊『森のすみか』の作者・さくらいともかさんのエッセイ
《5》 5月の新刊のご案内
《6》 書籍編集部だより
《7》 原画展のお知らせ


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《1》連載:めくってうれしい絵本体験記(2) 飯野和好
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・『100まんびきのねこ』ワンダ・ガアグ 文・絵/石井桃子 訳

 我が家の近くに、光明寺という鎌倉時代からなるりっぱなお寺がある。歴史上
貴重な横に広がる大きな山門。その山門に、数匹の猫が住んでいるというか、た
むろしている。
 先日、新緑の風に吹かれようと散歩し、境内に向かった。山門の敷居をまたご
うとした時、茶のまだら毛の大きな猫がのっそり歩いてきた。「お、チョッチョ
ッ、ニャアゴニャアゴ、ホラホラ」と撫でてやろうとした。ところが、猫はなん
の反応もないどころか、私をまったく無視して、私の足元をのそりのそりといっ
てしまった。今までどんな猫でも声をかけたりすれば、クッと警戒し毛を逆立て
て逃げたり、妙に甘えて足元にからみついてきたり、一応こちらを見たものだ。
なのに、あのまだら猫にはちょっぴり傷ついた。肩すかしをくらった私は、ふん
猫め、と境内をでた。
 さて、猫もいろいろ、猫の絵本もたくさんあるが、今回は、私が二十代の頃、
スケールが大きいなあ、へーっ、猫たちは恐いなあ、でも、このたんたんとした
ユーモアの味はなんだろうと気になり 買った絵本、ワンダ・ガアグの『100まん
びきのねこ』である。
 昔々、おじいさんとおばあさんが自分たちの寂しさをまぎらわすために猫が欲
しいと思い、おじいさんが猫を採りにでかける。この猫を採りにいくというのが
すごい! 丘を越え、谷を越え、どんどんいき、ついにどこもかしこも猫でいっ
ぱいの丘につく。なんと100万匹、1億、1兆匹の猫が 丘いっぱいにいるのです
から壮観です! こんなにいっぱいの猫のなかから、かわいい猫を選ぶのは大変
です。おじいさんは迷ったあげく、丘いっぱいにいるぜんぶの猫を連れて帰るこ
とになりました。「ただいま」と帰ったおじいさんと猫を見て、おばあさんは呆
れて「おやおや、おまえさん!」といいました。この感じ、石井桃子さんの訳が
とても好きです。
 とにかく1匹しか飼えないので、おばあさんはしばらく考えて、「わかりまし
たよ! どのねこをうちにおくか、ねこたちにきめさせましょう」うっかりして
いたおじいさんも、「それがいい」といって、「おまえたちのなかで、だれが
いちばんきれいなねこだね!」と聞きました。「わたしです!」「ぼくです!」
「いいえ、わたしです!」さあ、大変なことが始まりました。丘いっぱい、100
万匹、1億、1兆匹の猫たちがけんかを始めたのです。なんでも争いごとの始め
は、この私こそは! 自分だけが、という欲望なのですね。あまりのすごさに、
おじいさんとおばあさんは家に逃げ込みました。
 しーんとなんの音もしなくなって、外にでてみると、1匹の猫もいません。皆、
たべっこ! していなくなってしましまったのです。もったいないことをしてし
まったと、がっかりしていると、草のあいだに痩せて骨と皮ばかりになった1匹
の子猫がこわそうにすわっていたのです。さあ、この子猫はどうして生き残れた
のでしょう。そして、おじいさんとおばあさんにかわいがられるようになったの
でしょう。絵本を見てのお楽しみです。

★『100まんびきのねこ』
  ワンダ・ガアグ 文・絵/石井桃子 訳 定価945円



飯野和好(いいの かずよし)
絵本作家・イラストレーター。1947年、埼玉県秩父郡生まれ。おもな絵本に『知
らざあ言って聞かせやしょう』(ほるぷ出版)、『むかでのいしゃむかえ』『ね
ぎぼうずのあさたろう』シリーズ(以上、福音館書店)、おもな挿絵に『おもち
ゃ屋のクィロー』(福音館書店)、『小さなスズナ姫』シリーズ(偕成社)など
がある。絵本制作の他に、舞台美術やブルースハープの演奏でも活躍。


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《2》月刊誌最新号<6月号>のご案内
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☆月刊誌最新号<6月号>は、発売中です。

◇◆こどものとも0.1.2.『ぜろくん おとおり』
              片山健 作 定価410円           ◇◆

ぜろくんが、はいはい歩きで、土の上、草の上、砂利道、水たまり、なんでも平
気でずんずん進めば、お父さんが待っていた。

◇◆こどものとも年少版『ぶたのさんぽ』
            白川三雄 作 定価380円           ◇◆

ブタの親子の散歩に、イヌ、ネコ、ニワトリの子どもたちがついてきた。みんな
が着いたところは泥の池。さあ、どろんこ遊びの始まりだ。

◇◆こどものとも年中向き『ねむたい うさぎの おまじない』
             征矢清 作/北林小波 絵 定価410円     ◇◆

はるちゃんは野原で大きくて不思議なうさぎに会います。うさぎは、はるちゃん
のボールにすてきなおまじないをかけてくれます。

◇◆こどものとも『ポッダとポッディ』
      シビル・ウェッタシンハ 作/松岡享子 訳 定価410円    ◇◆

スリランカの農村で、ポッダとポッディという貧しい夫婦が、思いがけず庭で作
物を育てることになり、貧しさからぬけだします。

◇◆ちいさなかがくのとも『いけのおと』
             松岡達英 作 定価380円          ◇◆

池のほとりで耳をすましてごらん。あっちからこっちから、いろんな音が聞こえ
てくる。あの小さな音を出しているのは、だれ?

◇◆かがくのとも『やまをこえる てつどう』
         横溝英一 作 定価410円              ◇◆

スイッチバックやループ線などのしくみを紹介しながら、山や谷の美しい景色が
見える、ゆったりとした列車の旅を描いた絵本です。

◇◆おおきなポケット かがくのポケット「新幹線しゅっぱつ!」
                    鎌田歩 作 定価770円    ◇◆

新幹線はやて、こまちが東京駅に到着してから、おりかえして出発するまでわず
か12分。発車までの緊張の時間を描きます。他に楽しいお話2編。

◇◆たくさんのふしぎ『カーニバルがやってきた!』
           白根全 写真・文 定価700円          ◇◆

カーニバルは、リオだけじゃないよ! 世界各地で催される個性的で元気あふれ
るカーニバルを、臨場感いっぱいにご案内。

◇◆母の友 特集「園バスは走る!」 定価530円            ◇◆

同じ通園でも、徒歩かバスかで違ってくることが結構あるようです。親の事情、
園の事情、そして子どもの事情をのぞきます。

★こちらから「母の友」6月号の目次をご覧いただけます。



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《3》月刊誌編集部からこんにちは
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☆毎月交代で月刊誌の編集部から読者の皆様にむけたメッセージをお届けしてい
ます。今月は「こどものとも第1」編集部です。“「母の友」編集室の窓から”
も、毎月、このコーナーに掲載します。

◇◆こどものとも第1編集部から◇◆

 「こどものとも」の7月号は、安野光雅さんの絵本『あいうえおみせ』です。
安野さんは、美術の分野だけではなく、科学、数学、文学などにも造詣が深く、
その独創性に富んだ作品は、国際アンデルセン賞を受賞するなど世界で注目され
ています。その安野さんの初めての絵本が、1968年に出版された「こどものとも」
144号『ふしぎなえ』だったことをご存知でしたでしょうか。
 今回、1977年の『もりのえほん』以来、31年ぶりに安野さんの絵本を「こども
のとも」でお届けできることになり、私たちはたいへんうれしく思っています。
また、安野さんが「自分は『こどものとも』でスタートしたから、ぜひまた『こ
どものとも』で絵本を作りたかった」とおっしゃってくださったことも、たいへ
んうれしく、ありがたいことです。
 『あいうえおみせ』は、お店やさんがオンパレードの絵本です。安野さんがお
孫さんと一緒にバスに乗っていたとき、商店街を通ると、お孫さんが「○○やさ
んだ」「△△やさんだ」と、とっても楽しそうだったこと、そして、故郷の津和
野の町のお店やさんの数々を懐かしく思い出したことなどが、この絵本を作るき
っかけになったそうです。
 安野さんならではの遊びも随所にちりばめられた絵本の中の商店街を、ぜひ子
どもたちといっしょに歩いてみてください。

★こちらから「こどものとも」をご覧いただけます。


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◇◆「母の友」編集室の窓から◇◆

 今月の特集「園バスは走る」では、実際に幼稚園の送迎バスに同乗して取材し
ました。写真を撮ってもらったHIRAROCKさんは、2月号の「渡辺範子さんインタ
ビュー」の際にも、子どもたちの写真を撮ってもらったカメラマン。その時に子
どもを撮るおもしろさに目覚め、今回も生き生きとした表情をとらえてくれてい
ます。つい先日、ご自身も父親になられました。徒歩通園の様子を取材させても
らった斉藤航太君親子は、もとは園バスを使用していました。ある理由があって
現在は片道25分かけて歩いて通園しています。その理由とは? 本誌をご覧くだ
さい。
 好評連載「絵本作家のアトリエ」には、中川宗弥さんが登場。『ありこのおつ
かい』『はじめてのゆき』などの絵本で斬新な表現を展開される中川さん。お連
れ合いの李枝子さん(『ぐりとぐら』などの作者)ともども、「自分たちは『母
の友』で子どもの本のデビューをした」とおっしゃり、快く取材にこたえてくだ
さいました。お聞きしたエピソードのひとつひとつが、これから絵本を描く方々
にも参考になるであろう貴重なものばかりです。

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《4》新刊『森のすみか』の作者・さくらいともかさんのエッセイ
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   モモンガ、ももんが、ももんがあ
                        さくらいともか

 モモンガはリス科の小動物。前足と後ろ足の間に発達した毛皮のマントで、夜
の森を滑空します。
 ところで、この「ももんが」あるいは「ももんがあ」という言葉、不思議な響
きの言葉と思いませんか。調べてみると、あまり良いイメージで使われた様子は
ありません。江戸時代には、両手をパッと広げて子供をおどかす仕草・遊びであ
ったことや、人をののしる言葉であったことが、『広辞苑』に載っています。ま
た草双紙(江戸時代のマンガ本?)の研究家によると、ももんがあ(ももんが)
は化け物の親玉として「見越入道」と化け物界を二分し、その覇権を争っていた
そうです。(アダム・カバット『ももんがあ対見越入道』講談社)
 森に住むお化けのたぐいと思われていたのでしょうか。たしかに、懐中電灯な
どの明かりを持たず、闇夜の森で空を飛ぶモモンガに出会えば、正体不明の化け
物と思うかもしれません。まるでしっぽのはえたハンドタオルが飛んでいるよう
ですから。
 物語『森のすみか』はそのモモンガが主人公です。名前はクルル。
 実は物語が生まれる以前から、ぼくの頭の中に一匹のモモンガが住み着き、う
ろちょろ動き回っていました。このモモンガ、ぼくの頭の中でいったい何をする
つもりなんだろうと思っていると、同じくぼくの中でくすぶっていた月の疑問
(ぼくは小さい頃から近眼で、月の模様が餅つきウサギに見えたことなど一度も
ありませんでした)と絡み合って、ひとつの物語となっていきました。それが
『森のすみか』の第2章「月の狩場」です。
 短編「月の狩場」を活字にしようとなった時、ぼくは編集者の女性に連れられ、
モモンガの森を訪ねました。「モモンガの森」というテーマパークじゃないです
よ。ほんとうの山の中、森の奥です。鉄道と車を乗り継ぎ、それからまた何時間
も山道を歩いて辿り着いた森の山小屋で、ぼくはクルルのモデルであるモモンガ
達と対面しました。
 モモンガを実際に見ると、小さなからだに濡れた大きな瞳がマスコットキャラ
クターのようなバランスで、とても愛くるしい動物です。化け物からはほど遠く、
日本で住む動物の中で一番「かわいい」のではないかと思えます。
 さて、夜行性のクルルは、山小屋の布団の中に丸まって眠るぼくの頭の中から
抜け出し、ほんもののモモンガ達と追いかけっこをしたようです。モモンガ達に
誘われ、夜の森を飛び回り、木の芽をかじり、枝先で三日月を仰ぎ……ひょっと
してフクロウの鳴き声を耳にしたかもしれません。地面を駆けるオコジョの尻尾
を目にしたかもしれません。
 クルルはたしかな存在感を身につけて、ぼくの頭の中に帰ってきました。そし
て、夜の森の出来事をぼくに話してくれたのです。それがこの『森のすみか』の
お話です。
 そういう意味でいうと、モモンガのクルルは化け物ではなく森の妖精のたぐい
かもしれませんね。

★『森のすみか―モモンガ クルルの物語』
  さくらいともか 作 定価1785円 



さくらい ともか
1956年、大阪府に生まれる。同志社大学卒業後、現代美術の作家として活動。現
在は童話、絵本など児童書の分野での創作に力を入れる。その主な作品に『子ネ
ズミ チヨロの冒険』(偕成社)、『サッチンのあかいくつ』(「こどものとも
年少版」)などがある。京都府在住。


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《5》5月の新刊のご案内
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《5月7日(水)出荷開始》
★『ちゅっ ちゅっ』
  MAYA MAXX 作 定価600円

パンダの親子も、ネコの親子も、イヌもウサギもゾウも、みんなそれぞれの方法
で「ちゅっちゅっ」とふれあいます。ぼくとママも「ちゅっ」。

★『こりゃ まてまて』
  中脇初枝 文/酒井駒子 絵 定価600円 

幼い子が散歩に出かけると、チョウやトカゲ、ハトやネコに出会います。「こり
ゃ まてまて」と追いかけると、逃げられてしまいます。

★『にゃんきっちゃん』
  岩合日出子 文/岩合光昭 写真 定価945円 

世界の動物を撮りつづけている岩合光昭さんが、何年にもわたって“にゃんきっ
ちゃん”(岩合さんの家のネコ)を撮っていたのです。

《5月13日(火)出荷開始》
★『文庫版 シチリアを征服したクマ王国の物語』
  D・ブッツァーティ 作/天沢退二郎、増山暁子 訳 定価683円 

飢えと寒さにたまりかねて山からおりたクマたちは、人間たちをうちやぶり、ク
マの王国を打ち立てる。おもしろく、やがて悲しい物語。

《5月14日(水)出荷開始》
★『ピーのおはなし』
  きもとももこ 作 定価945円

子犬のピーは、お母さんのためにイチゴをとりに出かけますが、川に落ちてしま
います。苦労しながらもたくさんイチゴを持って帰ると……。

★『ゆうこのキャベツぼうし』
  やまわきゆりこ 作・絵 定価840円

ゆうこがキャベツを頭にのせると、キャベツぼうしになりました。動物たちもお
そろいのキャベツぼうしをかぶって、おにごっこが始まりました。

★『きのうの少年』
  小森真弓 作/サイトウマサミツ 装画 定価1680円

6年生になったアキと幼なじみの少年3人。おたがいの距離感の微妙な変化にと
まどいつつも、新たな1歩を踏みだそうとします。

《5月21日(水)出荷開始》
★『トーキナ・ト アイヌの神話』
  津島佑子 文/宇梶静江 刺繍/杉浦康平 構成 定価1680円

フクロウの神様の妹が語るアイヌの神話。妹はある時、魔界へとさらわれてしま
う。その妹を助けるのがアイヌラックル。その結末は……。

★『うえには なあに したには なあに』
  L・M・シェーファー 作/B・バッシュ 絵/木坂涼 訳 定価1470円

君がモグラだったら、上にはなにが見える? クジラだったら下には? それぞ
れの場所から見えるものをたどる、地球に出会う旅。

★『菜の子先生はどこへ行く? 学校ふしぎ案内●花ふぶきの三学期』
  富安陽子 作/YUJI 画 定価1575円

学校を不思議ワールドに変えるマジカル・ティーチャーの活躍――大雪の日の雪
女訪問から、座敷わらしも登場する卒業ストーリーまで。


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《6》書籍編集部だより
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☆絵本・童話・科学書の編集部から毎月交代で読者の皆様にむけたメッセージを
お届けします。今月は童話編集部です。

◎童話編集部から

ショヴォーを知っていますか?(その2)

 2月号に続いて、“奇想とエスプリの作家・画家”レオポルド・ショヴォーに
ついてもう少し。福音館文庫版〈ショヴォー氏とルノー君のお話集〉に集められ
た作品は、ショヴォーが愛する息子・ルノーに語り聞かせて生まれた物語群です。
「ノコギリザメとトンカチザメの話」をはじめいくつかの話には、ルノー君がシ
ョヴォー父さんに語りをねだったり、ストーリーに茶々を入れたりするほほえま
しい様子が、そのままに書き(描き)こまれています。
 じつは、これらの作品は、最初に発表されたときにはもっと長いテキストをも
ち、あるものには高名な画家ピエール・ボナールが絵をつけたりしていたのです。
かなりの時を経てからショヴォーは文章を刈り込んで磨き上げ、みずから独自の
絵をつけて、後年私たちがたんのうすることになる“ショヴォーの世界”をつく
りあげたのですが、そこに至る過程には、ひとつの悲哀に満ちたできごとがあり
ました。第1次世界大戦のさなか、医師がこぞって前線に駆りだされた状況下で
虫垂炎にかかったルノー君を、外科医でもあるショヴォーはみずから手術したの
ですが、ルノー君は亡くなってしまったのです。……なんということでしょう!
 ショヴォーがそのことについて直接語った言葉は残っていません。ですが、作
品集の改訂(産み直し、というべきでしょうか)にこめた息子への愛惜の気持ち
は、お話の底に終始ひびいているように思えます。『ふたりはいい勝負』のラス
ト、小学校にあがるルノー君を送ったショヴォーが息子との間にかわした「じゃ
あね」の挨拶に痛切な響きを感じ取ってしまうのは、作品の読みとしては正道で
はないのかもしれません。が、しかし……。
 今回は感傷的になってしまいました。

 
★『文庫版 年をとったワニの話』
  レオポルド・ショヴォー 作/出口裕弘 訳 定価735円


★『文庫版 子どもを食べる大きな木の話』
  レオポルド・ショヴォー 作/出口裕弘 訳 定価683円


★『文庫版 名医ポポタムの話』
  レオポルド・ショヴォー 作/出口裕弘 訳 定価788円


★『文庫版 いっすんぼうしの話』
  レオポルド・ショヴォー 作/出口裕弘 訳 定価630円


★『文庫版 ふたりはいい勝負』
  レオポルド・ショヴォー 作/出口裕弘 訳 定価788円



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《7》原画展のお知らせ
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五味太郎作品展[絵本の時間]
会期:2008年4月1日(火)~6月11日(水)
会場:武蔵野市立吉祥寺美術館 武蔵野市吉祥寺本町1-8-16 FFビル7階
問合せ先:TEL 0422-22-0385
休館日:4/30(水)、5/8(木)、5/28(水)
入場料:100円(ただし、小学生以下、65歳以上、障害のある方は無料)


「こどものとも」絵本原画展 ~みんなおいで、えほんのもりへ~
会期:2008年4月19日(土)~5月25日(日)
会場:丹波市立植野記念美術館 兵庫県丹波市氷上町西中615-4
問合せ先:TEL 0795-82-5945
休館日:月曜日
入場料:大人500円、大・高生300円、小・中学生200円
※20名以上の団体割引あり。


美術館に行こう! ディック・ブルーナに学ぶモダン・アートの楽しみ方
会期:2008年4月19日(土)~5月18日(日)
会場:岩手県立美術館 盛岡市本宮字松幅12-3
問合せ先:TEL 019-658-1711
休館日:月曜日
入場料:一般800円(650円)、高校・大学生500円(400円)、
    小・中学生300円(250円)
※( )内は、20名以上の団体料金。


えほんの絵の世界
会期:2008年4月12日(土)~6月29日(日)
会場:黒部市美術館 富山県黒部市堀切1035
問合せ先:TEL 0765-52-5011
休館日:月曜日
入場料:一般500円(400円)、高校・大学生400円(300円)、中学生以下無料
※( )内は、20名以上の団体料金。



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