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「魔女の宅急便」シリーズ完結を迎えて、作者角野栄子さんに、その思いを語っていただきました。
<取材・文=河村道子>


おわりのとびらからはじまるそれぞれの物語

「24年も続いたものですから、もう自分の中に住んでいる人でしょ。キキもジジも。別れるのは淋しかったですね。完≠チて書いた時は感無量でした」

 宮崎駿監督によってアニメ化され、日本一有名な魔女になったキキ。映画のなかで描かれていたのは、原作第1巻の独り立ちのエピソードだったが、物語はその後も紡がれつづけ、13歳だったキキも、第5巻では恋をする20歳の女性に……。そして最終巻の第6巻では、なんとお母さんに!

「発売当初からこの物語を読んでくれた方たちは、もうお母さん世代。みなさん、独り立ちや結婚などの節目をキキと一緒に迎え、すごく幸せなことに主人公と読者の気持ちが強く結ばれた作品になりました。この最終巻の中でも、キキは読者のみなさん同様、悩めるお母さんをやっていますよ(笑)」

「ファンタジーと呼ばれるけれど、この物語は限りなく普通の話」と語る角野さん。ほうきで空を飛べるというたったひとつの魔法はたしかに空想の世界のものだけれど、その魔法はキキにとってプライドでもあり、時にコンプレックスにもなるもの。得意なものや好きなものと向かい合うときに、人間誰しも持つ気持ち−それがここで描かれる魔法だ。

「誰でも魔法をひとつは持っているんです。空を飛べたり、姿を消したりすることはできなくても、自分が好きなことで生きられれば、それは魔法になる。そんな気持ちを込めて、私はこの物語を書き続けてきました」
  角野さんのその思いがより強く、鮮明に映し出される第6巻では、コリコの町で出会ったおソノさんをはじめ、もうひとりの魔女・ケケや不思議な老婦人・ヨモギさんなどの懐かしい人々が次々と登場する。と、同時にこれまで物語の中にちりばめられてきた宝物のような言葉≠スちとの再会も待っている。

「頭で考えたり、計画したわけではない、自分の中からふと飛び出してくる言葉。それを私は大切にし、何より信じて物語の中で使っているんです。意味があるかどうかなんて深く考えずに使ったそれらの言葉は、なぜか不思議とお話に取り込まれていき、今回、また大切な意味を持って再び現れてきました」

 キキの物語はこれでいったん終わるけれど、これは終わりであって終わりではない、と角野さんは言う。第3巻に登場する、終わりから開く不思議な本「おわりのとびら」のように−−。

「本は扉を開けて違う世界に入って行くもの。そして本の終わりは閉まるのではなく、そこからまたさらに別の扉が開く。物語を読んだことでさらに違う世界が見え出す、いわばはじまりなんです。本の世界の面白さはそういうところにあります。それぞれの人が、それぞれの物語をここからまたつくっていってほしいなと思います」

(「ダ・ヴィンチ」(メディアファクトリー)2009年11月号より)



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