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タンタンで1冊といわれたら、これっっ!
タンタンシリーズ中、一等泣かせる船長のセリフ
「さあ船長さんがもやい綱をときますよ」がでてくる『タンタン チベットをゆく』に、決まりです。
タンタン本人の魅力の本質は、正義感を胸に常に前向きに行動するその姿だと思います。で、タンタンってポーカーフェイスなことが多く、殴り合いのシーンだって涼しい顔しているしそこがまたカッコイイ。ところがところが、ですね、ここでついでに言わせていただくと、このシーンで、タンタン、苦痛でマユを寄せている! のです。普段「にっこり」とか「悩み」とか「びっくり」とか、べたべたしない表情しか見せないタンタンシリーズのなか、これはレアで、ジーンときます(お気に入りのヒーローが苦痛に耐える表情ってちょっとトキメクものですよね。)。その点でも、この巻は「宝物」を秘めています。
そして、そもそものストーリー、チベットへゆくその道中の面白いこと!(いやもちろんハラハラさせるシリアスな場面が本筋なのでしょうが。) よくもこれだけ笑えるシチュエーションを盛り込めたものだと感嘆してしまいます、単なる「滑った転んだ」系からチョルテン(塔)を絡めた民俗学的なギャグまで、様々で。その「災難」は主役タンタンだって免れることはできません!タンタンシリーズのもつユーモアの深さ豊かさですよねえ。
そうそう、ストーリーに関係ないところにまでギャグが描き込まれているので要注意!ハドック船長がチベットの村の子どもたちの挨拶を誤解して、悪いしぐさを返してみせるのですが、それを「異人さんの挨拶の仕方」だと受け止めた子どもたちは、子どもらしく面白がりお互いに教え合う、というシーンがストーリーの後ろで展開され、それはそれで微笑ましいなあと読み進めていくと、なんとナントの難破船!数日後村に戻ってきた船長一行を村の子どもたちが出迎えてくれるのです、船長の「悪いしぐさ」でもって!その時は手がふさがっているので船長はやりかえしたくても、なすすべがないのでした!伏線の深~い、でもほんの一コマのシーンです。みんなちゃんと気づいてるかなあ。
それと、タンタンシリーズの登場人物はほとんど大人だけど、「チャン」だけは唯一「同世代」、というところも特筆しておかねば。
特筆というと、もうひとつ。
ほとんどの作品では、スッキリ事件解決、で終わるのに対し、この巻だけは、結局ワルモノは居ず、「ミグー」が寂しく見送る…、という終わり方をしているので、読後感が他の作品とは違います。その点でも「チベット」は特異性が高くて、「この1冊」的性格がますます際立ちます。
と言うわけで、他の巻も大好きだけど、この際いろんな意味を含めて、「この1冊」には『タンタン チベットをゆく』を、推しまくりたいと思います!

タンタンの冒険シリーズは、以前フランスに住んでいたときに語学の勉強のつもりで購入したのがきっかけで、すっかりその世界観にはまってしまいました。
当時はフランス語版で24冊揃えましたが、日本に帰国した後はさらに日本語版でも揃えているところです。
この本は、24冊シリーズの中でも特別な1冊です。
なぜなら、作者のエルジェさんが亡くなる直前に書かれたもので、未完だからです。
ストーリーもまだ序盤、まだ下書きだけの段階の原稿・・・
それが、そのまま掲載されているのです。
まだ未完成な原稿も、エルジェさんはこうやってストーリーを作っているのか、、という製作のヒミツをのぞき見しているような感覚になります。
ファンにはたまりませんね。
序盤だけ、しかも下書きのような状態であっても、ストーリーにひきこまれます。
この続きが読めないなんて、、、本当に残念です。
でも、この続きは、読者一人ひとりの想像力にまかされているのかもしれませんね。
あんれい様には『タンタンとアルファアート』という未完の作品のレビューをお寄せいただき、書くには難しい内容だったと思うのですが、作品の面白さが十分に伝わってきました。
わたしは小学3年生です。
この本は図書館でみつけて読んで、
ウヒョ!
となってしまいました。
それぐらいエルジェは、
い大な人だなーと思いました。
とくにスノーウィの(わたしはスノーウィが好きなのですが)タンタンにむけてのセリフが好きです。
どく者にぐちをこぼすところもいいです。
小学3年生のわかめさん。タンタンを大好きな気持ちが「ウヒョ!」という表現から伝わってきて、とてもうれしくなりました。

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【講評】
なまくらトック様のレビューからは、「タンタンの冒険」シリーズへの愛情がひしひし伝わってきました。
「この巻は「宝物」を秘めています。」という言葉から、タンタンをとても大切に思ってくれていることが感じられました。
ほかの作品のレビューも力作ぞろい。楽しく読ませていただきました。