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オオカミに食べられたって、お掃除はおぼえない! 『おそうじを おぼえたがらない リスのゲルランゲ』

オオカミに食べられたって、お掃除はおぼえない!

『おそうじを おぼえたがらない リスのゲルランゲ』

ブナの林のなかで、おばあさんと10匹の兄弟たちと暮らしているリスのゲルランゲ。毎日楽しく暮らしていましたが、ゲルランゲは掃除が大嫌い。「ぼく、ご飯なんかいらない。野宿をしたっていい。オオカミに食べられたっていい。でも、ぼく、お掃除はおぼえたくない」と言い張るゲルランゲ。そうじをサボり続けて、とうとう家を追い出されてしまいます。

すぐさまオオカミに捕まり、いまにも食べられるというときになっても、ゲルランゲは、オオカミの前に座り込むと、またこう言います。「ぼく、食べられてもいいんです。でも、お掃除はおぼえたくありません。」
その言葉にびっくりして、食べることを躊躇するオオカミ。そして、「この話は、わしにはややこしすぎる」と言って、ゲルランゲをキツネのところに連れて行きますが……。はたしてゲルランゲの運命やいかに?


この作品は、フランスの作家、ジャンヌ・ロッシュ=マゾンさんが、今から80年以上前に発表した物語。掃除嫌いが原因で引き起こされる抱腹絶倒の愉快なお話です。堀内誠一さんによるおしゃれで勢いのあるカラー挿絵が、ゲルランゲの強い意志や、その強情ぶりに翻弄されるオオカミの狼狽ぶりを生き生きと表現しています。

それにしても、「食べられたって掃除はおぼえない」なんて、掃除嫌いもここまでくると表彰もの。ゲルランゲのきっぱりとしたいさぎよいセリフに、掃除ができないというコンプレックスを持つ身としては、本当に胸のすく思いがします。「ご飯もいらない、野宿してもいい、でもお掃除はしません!」って、一度でいいから同じセリフを我が家でも言ってみたい!……ぜったいに言えませんが。


「日々の絵本」水曜担当・Y
チームふくふく本棚の長老。趣味は、お酒と野球とトロンボーン。

2018.05.30

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