勝負を通して芽生える友情が熱い! 『まゆとかっぱ』
勝負を通して芽生える友情が熱い!
『まゆとかっぱ』
勝負ごとといえば、小学生のとき、三歳下の弟と将棋をして負けました。それまできょうだいの競いごとで負けたことのなかった私は、幼い弟にあっさりと打ち負かされたことが気に入らず、姉の特権で無理やり再勝負に持ち込んだのですが、汚名返上の夢叶わず、その後三日間ほどへそを曲げていたことを思い出します。
『まゆとかっぱ』でも、やまんばの娘のまゆと大がっぱのデッカマルが、沼のお相撲チャンピオンの座をかけて、真剣勝負に挑みます。まゆの挑むデッカマルは、腕自慢の力持ち。はたして勝負は平和裏に終わるのでしょうか……?
ある朝、林のなかを散歩していたまゆは、沼のほとりで岩を相手に相撲の練習をする子がっぱのミドリマルと出会います。ミドリマルは沼のお相撲チャンピオンを目指して特訓中なのでした。
ミドリマルに相撲のルールを教えてもらったまゆは、さっそく岩をひっつかんで「ハッケヨイ!」。岩を沼のむこうまでぶん投げてしまいます。これにはミドリマルも大仰天。
まゆの怪力を聞きつけたかっぱたちが集まってきて、沼のほとりはかっぱだらけに。ついにお相撲チャンピオンのデッカマルも出てきて、まゆに勝負を挑んできました。いよいよ真剣勝負のはじまりです!
勝負のゆくえも気になりますが、このものがたりの中で特にご注目いただきたいのは、むしろ勝負の後の展開のすがすがしさ! 負けた選手が勝った選手の強さを素直に称え、選手同士は手を合わせます。負けた方を応援していた観戦客も、みんな一緒に勝者を祝い、誰もいつかの私のようにへそを曲げたりはしていません。まゆとデッカマルの勝負は、双方大満足、大盛況のうちに幕を閉じたのでした。
秋と言えば、読書の秋、スポーツの秋。『まゆとかっぱ』を読んだ後はぜひ、お相撲遊びにも興じてみてくださいね。まゆのように、素敵な友だちと出会うきっかけになるかもしれませんよ。
「やまんばのむすめ まゆ」シリーズについて詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
金曜担当・U
チームふくふく本棚のNew Face。趣味は、好きな俳優の演技を真似して悦に入ること。
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