イベントレポート

角野栄子さんの国際アンデルセン賞授賞式に出席してきました!

福音館の社員が参加したイベントのご報告をするこちらのコーナー。今回は、8月31日にアテネで行われた国際アンデルセン賞の授賞式のレポートです。作家賞を受賞した角野栄子さんにメダルと賞状が授与された授賞式と、IBBYの世界大会の様子をお届けします!

国際アンデルセン賞授賞式のため、アテネへ


今年3月に『魔女の宅急便』をはじめとした数多くの児童文学作品で知られる角野栄子さんが小さなノーベル賞とも呼ばれる「国際アンデルセン賞・作家賞」を受賞されました。この嬉しいニュースが届いてから半年経った8月31日に、ついに授賞式が開催されました。
授賞式の会場はギリシア・アテネ。角野さんのお祝いに、福音館の社員もアテネに駆けつけました。

国際アンデルセン賞の授賞式はIBBY(International Board on Books for Young People:国際児童図書評議会)が2年に一度開催する世界大会で行われます。IBBY世界大会は1953年から開催されており今年で36回目の開催です。今回は「East meets West around children’s books and fairy tale」をテーマとして、8月30日から9月1日までの3日間の日程で行われました。

IBBY世界大会の会場は、世界各国から数百人規模の児童文学作家や研究者等が集まり大変賑やかでした。会場には世界各地から届けられた子どもの本が展示されているほか、出席者による研究発表等がいくつもの会場に分かれて行われていました。 もちろん『魔女の宅急便』をはじめとした角野さんの作品も展示されており、大変人気を博していました。

角野さん、授賞式が開催されるまでのスケジュールの合間を縫って海外メディアから取材を受けていらっしゃいました。写真はスウェーデンの記者から質問を受けている様子です。角野さんが会場を歩いていると、世界中から集まった児童文学関係者が「おめでとう!」と声をかけながら挨拶に来ていましたよ。

地域を超えて、物語には大きな力があると信じている

国際アンデルセン賞の授賞式はアテネの中心から少し離れた海辺の会場で行われました。画家賞を受賞したロシアのIgor Oleynikovさんに続き、作家賞を受賞した角野さんの名前が呼ばれると会場からは大きな拍手が鳴り響きました。記念のメダルと賞状が授与された後、角野さんによるスピーチが行われました。

幼い頃に亡くなったお母さまのこと、またよくお話を聞かせてくれたお父さまのこと、昔話に登場する魅力的なオノマトペ、創作のきっかけとなったブラジルでのルイジンニョ少年との出会い、物語を「読む人」から「書く人」になった経緯、そして過酷な戦争の中で物語にどれだけ慰められたかなどを語る角野さんの言葉の一つ一つに、世界中から集まった人々は熱心に耳を傾けていました。スピーチの結びに角野さんがおっしゃったことが印象的です。

「物語は私が書いたものであっても、読んだ瞬間から読んだ人の物語になっていく。読んだ人一人一人の物語になって生き続ける。そこが物語の素晴らしいところだと思います。(中略)今は難しい時代ではあるけれども、地域を越えて、物語には大きな力があると信じています。」

スピーチが終わると、深い感動に包まれた会場から、ふたたび大きな拍手が鳴り響きました。

授賞式の翌日にはIgor Oleynikovさん、米国人作家のKatherine Patersonさんらとともに「文化的危機-子どもの本、児童文学の場合」というテーマで意見交換が行われ、IBBY世界大会は閉幕となりました。
 
角野栄子さん、あらためて、おめでとうございます!!

(編集部/ライツ事業室)

2018.09.14

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