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生誕60周年おめでとう! パディントン『くまのパディントン』

生誕60周年おめでとう! パディントン

『くまのパディントン』

イギリスでは知らない人のいない、ママレード好きのクマ・パディントン。マイケル・ボンド氏による児童文学作品として世に出たパディントンは、その後、絵本・アニメ・映画などでも大活躍し、世界中の子どもから大人までに、愛されています。1958年10月13日に第一作『くまのパディントン』が発表されてから、今年で60年になりました。

物語の始まりは、ロンドンのパディントン駅。ブラウン夫妻は、スーツケースの上にポツンと座っているクマに気づきました。そのクマは「どうぞこのくまのめんどうをみてやってください。おたのみします。」と書かれた札を首から下げていました。自らを「暗黒の地ペルーから来た密航者」と言うそのクマを、ブラウン夫妻はウィンザー・ガーデン32番地にある自宅へ連れて帰り、家族の一員に迎え「パディントン」と名づけます。

それからというもの、最初のお話でクリームとジャムだらけになって以来、パディントンは様々な騒動を巻き起こします。お風呂に入ればおぼれかける、地下鉄の駅ではエスカレーターを止めてしまう、百貨店に行けばショウウィンドウに入る、劇場に行けばマーマレードサンドイッチをボックス席から下に落とす、海に行けば漂流して大騒動……。すべていたずらではなく、おおまじめに行動した結果こうなるのがパディントンです。

翻訳を手がけている松岡享子さんは、最初に『くまのパディントン』を読んだとき、あまりにおもしろかったので、終始声を出して笑い続けたと語っているほど、抱腹絶倒、奇想天外なエピソードが続きます。

そんなパディントンを受け入れておおらかに見守るブラウン一家、近所でお店を開いているグルーバーさんなど、周囲の人々との交流も、この物語の魅力です。

グルーバーさんとパディントンは「お十一時」と称してお茶の時間をともに過ごします。「ココアを飲んで菓子パンを食べながら、気の合った者とおしゃべりをするくらいいいものはないね。」と二人は語り合います。クマと人でありながら、お互いを尊重し、腹を割って話し合う二人の姿はほほえましく、うらやましい場面です。

もはやパディントンのいない生活がどんな生活だったのかわからないほど、街の人たちを魅了するキャラクターのパディントンの物語、福音館書店からは全10冊刊行されています。どうぞお好きな1冊からお読みください! どこから読んでも大笑いできることうけあいです。そして、1冊読み終わったあとは、パディントンのことが大好きになっていることでしょう。

パディントンについてくわしく知りたい方は、みんなの人気者「パディントン」をご覧ください。


「日々の絵本」月曜担当・H
入社14年目。舞台鑑賞が好きです。子連れで楽しめる作品を中心に月2~3本鑑賞しています。

2018.10.12

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