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男の子とタコの、ユーモラスな友情物語!『タコやん』

男の子とタコの、ユーモラスな友情物語!

『タコやん』

子どもにとって、どんな友だちと、どんな風に遊ぶのかは一大事。仲のよい友だちができなかったり、一緒に遊んでもなかなか楽しくならなかったり……友だちのことって意外と難しいですよね。
『タコやん』は、しょうちゃんという男の子と、タコのタコやんのユーモラスな友情物語の絵本です。ある日、しょうちゃんの家のドアがステテンテンとノックされます。

「はい、どなた?」

開けると、そこにいたのは8本足のタコ。海からノタコラペタコラやってきたのです。

「タコやんです。あそびましょ」

いきなりの訪問に戸惑うしょうちゃんは、心の中で「タコと あそぶのは いやだなあ」と思い、「ゲームしてるから、また こんど」とドアを閉めようとするのですが、そこはタコ。ぺちゃんこになって、ドアのすき間からヌルリンチョと入ってきてしまいます。

ところが一緒に遊んでみたら、これが楽しい! 公園に行けば、サッカーだってかくれんぼだって、うまいこと楽しいこと。「タコやん すっげえ!」とみんなの人気者です。それでも、タコやんは頭をかきながら「それほどでも」とどこまでも謙虚。なんていいやつなんでしょう。こんな友だちいたらいいなと思わずにはいられません。



そんなとき、いばりんぼうおじさんと狂暴な犬が公園にやってきて、楽しかった様子は一変……でも、大丈夫! そこでもタコやんは大活躍するのです。そして、出会いがあれば別れもある。最後は思わずしんみりしてしまいます。しょうちゃんの心の中には何が残ったのでしょうか。

32ページという短いお話の中に、こんなにアツい友情の余韻が残るのはどうしてなのか。文章は、絵本「オニのサラリーマン」シリーズも人気の富安陽子さん。ノタコラペタコラ、ステテンテンなどリズミカルな擬音語は、口にするだけで楽しくなってきます。

全体にのんびりしたユーモアを漂わせる絵を手がけたのは、かつて伝説の漫画雑誌「ガロ」の編集長も務めたイラストレーターの南伸坊さん。新たな名コンビによる傑作タコ絵本の誕生です!

「日々の絵本」担当F
チーム新加盟。入社15年目。趣味(最近)は野鳥観察と盆踊り、好きな場所は本屋さん。

2019.06.19

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