イベントレポート

世界の児童書関係者との出会い|ボローニャ国際児童図書展 vol.2

福音館の社員が参加したイベントのご報告をするこちらのコーナー。今回は、角野栄子さんが国際アンデルセン賞を受賞したことでも話題の、世界最大規模の児童書ブックフェア「ボローニャ国際児童図書展」の様子を、2回に渡ってお届けいたします! 今回は、ブックフェアで世界中の出版社がどのような仕事をしているのか、社員の目線からお届けします。

絵本や童話を、「売る」「買う」という仕事


福音館書店が現地で行っている仕事は、大きく分けてふたつあります。 

ひとつは、「売り」の仕事です。
これは、福音館の作品を海外で翻訳出版するための権利を海外出版社に販売するというものです。具体的には、福音館のブースに海外出版社を招き、30分間のミーティングの中で、たくさんの作品を紹介します。紹介した作品を気に入ってもらえた場合は、翻訳出版に向けた契約条件などの交渉に入ります。
福音館書店の作品は、1960年代から世界の多くの国と地域で翻訳出版されてきましたが、国によって作品の見方が異なるため、日本で人気のある作品が必ずしも海外出版社に気に入ってもらえるとは限らず、作品の選定は難しいところもあります。
ただ、私たちが予想していなかった作品に興味を持っていただけることも多々あり、作品を紹介するたびに新たな発見があります。特に普段やりとりの少ない欧米出版社の反応を直接見ることができる絶好の機会です。最終的に、今回のブックフェアでは、約60社とのミーティングを行いました。

もうひとつは、「買い」の仕事です。
福音館書店では、「うさこちゃん」「エルマーのぼうけん」「三匹のやぎのがらがらどん」など、多くの海外作品を翻訳し、日本に紹介してきました。ボローニャブックフェアでは、更なる海外の良書を探すために、様々な海外出版社のブースを巡ります。事前にアポイントを取ってミーティングを行うことが大半ですが、気になる出版社のブースに飛び込みで入ることもあります。そうして色々な作品を実際に見ることで、偶然掘り出し物を見つけたり、世界の児童書の流れを感じられたりするため、フェア会場をくまなく歩き回ることも非常に重要です。 
このような仕事を絶え間なく行っていますので、華やかな雰囲気の一方、毎年とても慌ただしい4日間となります。

急成長する中国児童書市場のパワー


そのような中、今回とても印象的だったのは中国の出版社の存在感です。
ボローニャブックフェアでは、毎年ゲスト国を一つ選び、その国に関する展示やイベントがたくさん開催されます。今回のゲスト国は中国で、近年、中国国内で「井噴」(油田が吹き出す様)と例えられるほど急成長を遂げた中国児童書市場の勢いそのままに、約300名もの関係者が来場し、会場を賑わせていました。
福音館のブースにも、例年にも増して中国出版社が訪れ、積極的に作品を選んでいました。福音館も長年お付き合いしてきた出版社を中心に、より多くの福音館の作品を中国に紹介し、現地の子どもたちに届けたいと考えています。

今年のボローニャブックフェアもあっという間に過ぎていきました。海外出版社の方々だけでなく、日本の出版社や各団体の方々、そして著者の方々にお目にかかることができ、とても有意義な4日間でした。
これからも良い本を皆さまの手に届けられるよう本づくりに励みながら、海外での活動も定期的にお届けできたらと思っています。
 

(ライツ事業室)

2018.04.09

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