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テントウムシは一円玉より重い?軽い? 体重比べで、昆虫たちがより身近に。『昆虫の体重測定』

テントウムシは一円玉より重い?軽い? 体重比べで、昆虫たちがより身近に。

『昆虫の体重測定』

「たくさんのふしぎ」や「かがくのとも」など、かがく絵本でも子どもたちに大人気のテーマ、昆虫。でも、昆虫の重さを意識することは、あまりないのではないでしょうか。

あるとき、著者の吉谷昭憲さんは、薬品を調合するときに使う「電子天秤(でんしてんびん)」で昆虫の重さをはかることを思いつきます。昆虫が動いても大丈夫なようにクッキーをいれる透明な袋にいれるなど、様々な工夫をしながら重さをはかった昆虫の種類はなんと1,200種以上!

オオムラサキとアサギマダラという一見同じぐらいの大きさの蝶の重さをはかったときには、意外なことがわかります。2種類の蝶の重さがまったく違ったのです。オオムラサキは「1.45グラム」、アサギマダラは「0.25グラム」と、その差は6倍もありました。吉谷さんは、その差をなわばりを守るために敵を追い払う必要がある「オオムラサキ」と、長距離を移動する「アサギマダラ」の生態のちがいではないかと、考えます。


吉谷さんの文章とのびのびと描かれる昆虫の絵からは、重さを知ることによる新鮮な驚きや興奮が、昆虫へのより深い興味や愛情に繋がっていくことが感じられます。60種類以上もの昆虫がそれぞれの体重と共に登場する本作は、「昆虫」を知るだけでなく、科学の出発点ともいえる「やってみる」「試してみる」ことの面白さを子どもたちに教えてくれます。

さてさて、テントウムシの体重の答えです。電子天秤ではかったテントウムシの体重は「0.05グラム」、一円玉のたった1/20の重さです。小さいことは頭では分かっていましたが、その重さをリアルに知るとなんだか別の感情が生まれてきました。実は虫が大の苦手な私ですが、そんな小さな虫たちの体にも、私たちと同じように色々な器官があり、呼吸をし、餌を食べて生きている。そう思うと、怖がってばかりもいられない……。そんな気持ちが湧いてきます。

子どもたちがときどき家に連れ帰ってくる、ダンゴムシやアリや何かの幼虫に悲鳴をあげている全国のお母さんたちにも、おすすめの1冊です。

『昆虫の体重測定』が月刊誌(「たくさんのふしぎ」2016年4月号)として刊行されていた際、付録として巻末についていた「昆虫の重さをくらべてみよう」ポスターが、A4サイズのシートとしてダウンロードできます。印刷して下敷きにはさんだり、部屋の壁にはったりとお楽しみください。

>>ダウンロードはこちら


「日々の絵本」金曜担当・T
チームふくふく本棚の姉さん。趣味は、居酒屋のおつまみを自宅で再現すること。

2018.06.08

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