日々の絵本と読みもの

エスカレーターや車の中身もお見通し! 便利で面白い「断面の絵」の魅力を知ろう『だんめんず』

エスカレーターや車の中身もお見通し! 便利で面白い「断面の絵」の魅力を知ろう


『だんめんず』

小さいころに、全自動の機械などをみて「どうやって動いているんだろう……」と想像をめぐらせたことはありませんか? 私は小さいころ、自動販売機や自動改札機がなぜ動くのかと色々想像した結果、中には人がいるに違いないと考えて、しばらくの間、機械の前を通るときには心の中で「ご苦労様です」と声をかけていました。

加古里子さんによるかがく絵本『だんめんず』は、そんな好奇心旺盛な子どもたちの興味を満たしてくれる「断面図」の魅力に迫る絵本です。

絵本を開くとまず、台所でよく見かける野菜の切り口が目にはいります。そして、この切り口は「だんめん」と呼ばれることが説明されます。

ページをめくると今度は、どんぶりがまっぷたつに!「だんめんのえ」を描くと、なかの様子や仕組みが見えて便利なことがよくわかります。絵本は、こうした「だんめんのえ」が「だんめんず」と呼ばれることを教えてくれます。

そして、普段の生活の中ではのぞくことのできないエスカレーターや車の中身も大公開。こんな仕組みになっていたのか! と大人も思わず魅入ってしまうことうけあいの断面図が続々と登場します。


最後には、断面図についてよく学んだ読者にうれしいご褒美も……。子どもの喜びに寄り添い続けた加古さんらしい、遊び心と優しさにあふれた一冊です。

学者や設計士が使うものといったむずかしいイメージもある断面図ですが、この絵本では、工学博士としての顔も持つ加古さんが、丁寧な語り口と平易な表現で、子どもたちを「断面の絵」の世界に誘ってくれます。身の回りの不思議なものを見て「あの中は一体どうなっているんだろう?」と想像を膨らませているお子さんに、ぜひ読んでいただきたい絵本です。


『加古里子のかがくの世界 あそびとくらし 絵本セット』に含まれる作品の詳細は、こちらの特集ページからご覧ください。
※セットに含まれる絵本は、単品でも購入いただけます。
※セットには、加古さんから子どもたちへのメッセージが書かれたミニ色紙が特典として封入されています。



金曜担当・U
チームふくふく本棚のNew Face。趣味は、好きな俳優の演技を真似して悦に入ること。

2018.10.05

  • Twitter
  • Facebook
  • Line

記事の中で紹介した本