日々の絵本と読みもの

大切なことは、すべてここに。「絵本の与えかた」

大切なことは、すべてここに。「絵本の与えかた」

「絵本の与えかた」

「絵本の与えかた」、ご存知ですか?
ご希望の方にお送りしている福音館の無料リーフレットです。「与えかた」とは、またずいぶん上から見下ろすようなネーミングだな……と思われるかもしれませんが、どうぞご容赦を。同じ名前でずっと作り続けている歴史の長いリーフレットなんです。


最初に刊行されたのは1962年。今から57年前ですね。世の中のできごととしては、アメリカとソ連の間で「キューバ危機」が起きたり、巨人の王貞治選手が一本足打法に開眼した年だそうです。

そのころの福音館では、初代編集長・松居直が、岩波書店から刊行されていた良質な翻訳絵本に影響を受けて子どもの本の出版を志します。そして、1956年に月刊絵本「こどものとも」を創刊、1961年には翻訳絵本の刊行を開始しています。しかし、まだまだ日本に絵本の少なかった時代。単に絵本を出版するだけでなく、その絵本を読者に理解してほしい、親子でより良く楽しんでほしいという願いから、読者に語りかけるリーフレットの刊行を思い立ちます。

1962年、初号のネーミングは「絵本のえらび方」。でも、翌年からすぐに「絵本の与えかた」と名前が変わり、選ぶということだけでなく、選んだ絵本をどのようにして楽しんでいただくかということにも踏み込んだ内容になりました。初期の「絵本の与えかた」には、児童文学者・石井桃子さんや瀬田貞二さんも、よい絵本とはなにか、ということについて文章を寄せています。

現在の「絵本の与えかた」は、1980年ごろからほぼ変わらぬ内容で、子どもの成長に応じたおすすめの絵本を、年齢別、ジャンル別に80点ほど紹介しています(紹介しているのはすべて福音館のロングセラー絵本ですが、なにぶん自社のリーフレットなので……大目に見てください)。そして、絵本はなにかを教えるためのものではなく「子どもの楽しみそのもの」であるということ、絵本は「おとなが子どもに読んであげる本」だということ、絵本が「親と子の心を強く結びつける」ということなど、子どもといっしょに絵本を楽しむときに大切にしていただきたいことを、語りかけるようにしたためています。

じつは、長い人生のなかで、子どもが心の底からたっぷり絵本を楽しめる時期って、そんなに長くないんです。子どもはどんどん成長して、気づいたらあっという間に大きくなってしまう……。だからこそ、幼いときを逃さずに、親子でたっぷり絵本を味わっていただきたいなと思います。「絵本の与えかた」は、文章が長くて、ちょっと時代がかっている記述もありますが、そのなかには、親子で絵本を読むときに大切にしてほしいことがぎゅっとつまっています。ぜひお手にとってみてください!

●リーフレット「絵本の与えかた」は、以下のホームページ資料請求フォームからご請求いただけます。
●また、pdf版も用意していますので、ダウンロードしてお読みいただくことも可能です。

「絵本の与えかた」のご希望はこちらへ


「日々の絵本」水曜担当・Y
チームふくふく本棚の長老。趣味は、お酒と野球とトロンボーン。

2019.01.31

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