日々の絵本と読みもの

みて みて、じょうずにできたでしょう! 『ながーい はなで なにするの?』

みて みて、じょうずにできたでしょう!

『ながーい はなで なにするの?』

   おかあさんによりそっているゾウのあかちゃん。
 おかあさんのまねをして、長い鼻で草をつかんで口に入れたり、水を吸い込んでみたり、砂浴びをしてみたり。


   でも、まだ鼻をうまく使えないので、草は散らかるし、水はポタポタとこぼれるし、砂は体にかからずに飛び散ってしまいます。それでもゾウのあかちゃんは言います。「みて みて、おかあさんみたいに じょうずにできたでしょう!」。そのようすをお母さんゾウはやさしく見守っています。


 さまざまなことをこなしてしまうゾウの長い鼻のすごさと、母子ゾウのほほえましい姿が印象的な絵本です。作者は、『ぺんぎんたいそう』(福音館書店刊)が話題の齋藤槙さん。幾重にも色を塗り重ねた貼り絵を使って、ゾウのあたたかみと存在感を美しく表現しています。
 

 ゾウの暮らしや鼻のことをもっと知るために、今回、東京都の上野動物園を取材しました。
 上野動物園に住むゾウは、アジアゾウ4頭。そのうちメスの3頭は、日中は野外でいっしょに過ごしています。野生の状態でも、メスは子どもたちといっしょに集団で暮らし、危険が迫ったときには子どもたちをみんなで守るんだとか。ゾウの妊娠期間は2年近くもあるらしく、長い時間をかけて生んだ子を必死で守ろうとする姿を思うと、絵本に登場する母子のゾウの間に流れているあたたかな雰囲気にも納得。ちなみにオスのほうは、繁殖の時期以外は、単独かオスだけの群れで暮らすそうです。

   ゾウの長い鼻は、じつは上唇と鼻が長い年月をかけて進化し、今の形になったとのこと。その鼻には骨がなく、すべて筋肉でできているため、自由に動かすことができます。取材時にも、絵本に出ているように、草をつかんで食べたり、水を吸い込んだり。砂を鼻先でじょうずに集めて背中にかけていたし、落ちている落花生も器用に拾って食べていました。ゾウの鼻先を近くで見せていただきましたが、平らではなくちょっと出っ張っている部分もあって、人の手のように開いたり閉じたり。そして、長く伸ばしてなんにでも興味津々で鼻先を寄せてきました。モノをつかむだけじゃなくて、鼻先でいろいろな情報を得たり、コミュニケーションも取り合ったりできる、まさにスーパーツール!


 現在、日本では40園近い動物園でゾウを見ることができます。絵本を楽しんだあとは、ぜひ動物園へ。ユニークで驚くべきゾウの「長い鼻」の動きに注目してみてください。

※写真は、上野動物園のゾウたちと飼育担当の方々。お世話になりました!


「日々の絵本」担当・Y
チームふくふく本棚の長老。趣味は、お酒と野球とトロンボーン。

2019.05.23

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