ゆうべのおもちゃ

ゆうべのおもちゃ 9 段ボールのツリー

もっと子どもと遊びたいのに、ついつい家事や仕事に追われてしまって……。そんな日々のすきま時間に、がんばらずに楽しめる手作りおもちゃを、毎月1つご紹介します。第9回は「段ボールのツリー」です。

段ボールのツリー

 
子どもの頃、高さ30センチほどのクリスマスツリーが、一年じゅう本棚に飾ってありました。父がどこかの蚤の市で見つけてきたもので、もみの木形の板きれ2枚を、十字に組みあわせる簡単な作りでした。おそらく昔からあるおもちゃなのですが、平面のものが瞬時に立体に変身するのが、なんとも爽快で、「これ考えた人は、なんて頭がいいんだろ!」と、子どもながら、ほれぼれしたものでした。

うちでメインに飾るのは、ぴょん一が小さいころにスーパーで買った小型のツリーですが、5、6年前、玄関にも何か飾りが欲しくなり、あの板きれツリーを段ボールでこしらえてみようと思いたちました。作ってみてから、断面に溝を発見! なんと、うまい具合にようじがささるので、飾りがつけられるのです。

作り方は簡単です。段ボール紙を切って、同じ大きさと形のモミの木を2枚作ります。色をぬったら、あとは、片方には上半分、もう片方には下半分、縦の中心線に切りこみを入れてできあがりです。飾りはなんでもいいのですが、写真では、てっぺんに金紙の星、赤と白のきらきらしたボタン、丸めた銀紙をつけました。それぞれ、ようじやパンの袋についていたワイヤーで軸をつけてあります。木の実でもいいし、紙に描いて切りぬいた小鳥やリスが登場した年もありました。

それにしても、ただの紙の木が、あっというまに立つのです。ぴょん子も、神妙な面持ちでくり返し組み立てています。大小のツリーをどんどん作ってやります。切るだけです。いくらでも作れます。わたしも、立たせるたびに、つくづく感動します。


堀内紅子(ほりうち・もみこ)
1965年、東京都生まれ。翻訳家。訳書に『ラバ通りの人びと』『三つのミント・キャンディー』『ソーグのひと夏』『わたしの世界一ひどいパパ』、絵を担当した絵本にくまとりすのおやつ(以上福音館書店)などがある。東京都在住。昨年、保育士の資格を取り、世田谷区の子育て支援拠点「おでかけひろば」で修行中。

※ 月刊絵本「かがくのとも」の折り込みふろく(2008年4月号から1年間連載)より転載。当時12歳の長男”ぴょん一くん”と3歳の長女”ぴょん子ちゃん”と一緒に楽しんだ手作りのおもちゃについて綴ったエッセイを、当時のままにお送りします。

2019.12.16

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