日々の絵本と読みもの

地下の世界をのぞいてみませんか? 『あまがえるりょこうしゃ ちかたんけん』

地下の世界をのぞいてみませんか?

『あまがえるりょこうしゃ ちかたんけん』
春です。暖かくなってくると、たくさんの生き物が土の中から地上にあらわれはじめます。
アリ、ダンゴムシ、ミミズ……などなど。虫たちはいったい土の中でどんな生活をしているのでしょう。
「あまがえるりょこうしゃ」シリーズ第4弾になるこの作品では、地面の下の不思議な世界をたっぷりとご案内します。


これまで、数多くの科学絵本を描いてきた作家、松岡達英さんの故郷は、新潟県の長岡市。
その南端にある川口町には、今でも広大な自然が残されています。
遠くそびえる越後三山(越後駒ヶ岳、八海山、中ノ岳)、山々から流れ出る大小の川、点在するたくさんの池、そして、その里山で暮らす人々……。                          

~『野あそびずかん』(福音館書店 現在品切)より~

ここを舞台にして生まれたのが、「あまがえるりょこうしゃ」シリーズです。

主人公は、あまがえる旅行社のツアーコンダクター、あまがえる君。「両生類」であることを武器に、これまで池の中、陸の上と、たくさんのガイドをしてきました。
第1弾のツアーは、水中がよく見えるペットボトルを船にして『トンボいけたんけん』。第2弾は、紙ひこうきで『もりのくうちゅうさんぽ』。第3弾は、雪原用の改良ペットボトルで『ゆきやまたんけん』に出発します。あまがえる君は優秀なツアーコンダクターなんです。このあまがえる君のツアーには、松岡さんが少年時代に新潟の自然の中で探検したワクワクや不思議がたくさん散りばめられています。
第1弾は、小学校の国語の教科書にも掲載されていますので、あまがえる君を知っている子も多いことでしょう。

さて、今回は、人間のゴミ捨て場からひろってきたヒゲソリのモーターをエンジンにした車で、ついに未開の地下探検へ向かいます。
乗りこむのは、カタツムリにバッタにテントウムシ。車の運転士はもぐら博士です。

みんなヘルメットをかぶり、さあ出発。でもなぜか、頭に酢をしみこませた綿をつけています。
(実はアリは酢が大嫌い! 毒を持つアリに襲われないための作戦なのです)
ツアーでは、クロオオアリの巣を見学したり、ウシのうんこで「発酵ごはん」を作るダイコクコガネに出会ったり、クロスズメバチの巨大な巣に突っ込んでしまったり……。土の中は新しい発見でいっぱいです。
車はどんどん進んでいきます。さてさて、みんな地上に戻ってこられるのでしょうか?

ミミズやモグラなど、地面の下で暮らす生きものだけでなく、地面の上で暮らしていても、卵や幼虫、さなぎなど、成長過程のひとときを土の中で過ごす生きものはたくさんいます。母なる大地とはいいますが、土は植物だけでなく、さまざまな生きものを育んでいるのです。

海外取材も豊富な松岡さんですが、世界の自然をみても日本ほど緑の多い国はないと実感されたそうです。
ぜひみなさんも、身近にある自然を楽しんでみてください。

担当S・ヒゲソリのモーターで作ったペットボトルの車に、わたしも乗りたい!

2021.04.16

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